子供が熱を出したときの対処法は?【受診の目安・解熱剤・手順・やってはいけない】

子供は大人と比較すると免疫が弱く、感染症にかかりやすいです。冬は感染症、夏は熱中症で体調を崩したり、季節の変わり目に急に発熱したりすることも少なくないですよね。この記事では、急に子供が発熱したときの対処法や、病院に行く目安を詳しく解説しています。子供が保育中に発熱したときの対応を確認しておきたい保育士さんや、どんな症状があったら救急車を呼べばいいのか知りたい方にぜひ読んでいただきたい記事です。

子供が熱を出したときの家庭や保育園でのケア方法は?

水をたくさん飲ませる

子供が熱を出したとき、保育園や家庭でできる対処法として、水を飲ませることが有効です。人間の体は発熱すると汗をかき、体温を下げようとします。このとき、水分が不足していると汗をかけず、熱が下がりません。また、熱を下げるときに体の水分を使うので脱水症状を起こす可能性があります。こまめに水分補給をさせてあげましょう。冷たい水は体に負担がかかってしまうため、冷たい水ではなく常温の水がおすすめです。冷蔵庫などで冷やした飲み物しかない場合は、電子レンジなどで少し温めて常温以上の温度にしてから飲ませてあげると良いですよ。

安静にさせる

子供は大人と比べて体温が高いので、大人なら寝込んでしまう体温でも元気にしていることがあります。発熱している場合はできるだけ安静にさせたほうが良いですが、発熱している子供が遊びたがったり、体を動かしたがるかもしれません。そういった場合、室内で短時間なら遊ばせても問題ありませんよ。ただし、走り回ったり体を動かす運動は避けてください。また、感染を防ぐため、友達と遊ぶことは避けましょう。

部屋の温度と湿度を整える

風邪を早く治すには、部屋の温度と湿度を適正なものに整えることが重要です。室温は夏場は25~28度、冬場は20~25度が目安です。夏にクーラーや扇風機を使用するときは、送風が直接子供に当たらないようにしてくださいね。発熱に伴い、のどの痛みや席の症状がある場合は、特に湿度の管理が重要になります。湿度は60~70%が目安です。乾燥する冬は、加湿器を使用したり、濡れたタオルを干したりして湿度を調節しましょう。

医師の指示があれば解熱剤を飲ませる

子供が高熱で苦しんでいるとき、医師の指示のもとで解熱剤を飲ませることも効果的です。熱が出るのは、体内に入ってきたウイルスや細菌から身を守るためです。熱が出ること自体は悪いことではありません。しかし、発熱すると体力を消耗するので、子供がぐったりしていたら解熱剤を使用してあげてもいいでしょう。子供の熱が38~38.5度が、解熱剤を使う目安です。熱の上がり始めや、上がりきっていないうちに使うことは避けましょう。

氷嚢でクーリングをする

子供が熱を出して暑がっているときは、氷嚢でクーリングをしてあげると良いでしょう。クーリングとは、発熱時に血流を冷やし熱を冷ますことです。クーリングをするタイミングは、子供の熱が上がりきってからです。子供が寒がっているときや、手足が冷たい場合はまだ熱が上がりきっていません。子供が嫌がったら無理にする必要はありません。クーリングをすると良い個所は、首、わきの下、太ももの付け根です。これらの個所は太い血管が通っているので、クーリングをすると効率的に体の熱を冷ませますよ。

保育士くらぶ

保育中に子供が熱を出したときの対応手順

①保護者に連絡する

保育中に熱を出した子供がいたら、まずは子供の状況を観察し、保護者に連絡しましょう。検温を行い、熱があれば他に症状がないかも確認します。間違いがないように、検温は2回行うのがベストです。特に、微熱の場合は水分補給をさせた後30分時間を置いてから、もう1回検温しましょう。熱があると判断した場合は、保護者の緊急連絡先に電話をしましょう。電話では、子供の体温や、他に出ている症状があればそれも伝えて、迎えのお願いをします。

②発熱した子供を別室で休ませる

保護者の迎えが来るまでの間は、発熱している子供を別室で休ませましょう。熱で体調が割るそうにしている場合は、布団で寝かせ、こまめに水分補給をさせましょう。子供が暑がっているときはクーリングなどをして体を冷やし、子供が寒がっている場合は布団を重ねて温めてあげます。また、熱があっても元気で、友達と遊びたがる子供がいるかもしれません。子供が寝そうになくても布団を敷いて、横になれる場所を確保し経過を観察します。

③発熱後の経過を保護者に伝える

保護者がお迎えに来たら発熱後の経過を伝え、子供を引き渡します。発熱後の経過を伝えることで、病院でもスムーズに診察できますよ。可能であれば、保護者が迎えに来るまでの間に子供の経過を簡単にメモ書きしておき、渡してあげると良いですね。保護者に伝える内容は、発熱後の経過、発熱以外の症状、保育園で流行している感染症があればその状況などです。子供を保護者に引き渡すとき、もし保護者が慌てていたら落ち着かせてあげましょう。

子供の発熱の基準は?

37.5度以上

保育園ごとに異なりますが、一般的に子供の発熱の基準は37.5度以上と決められているところが多いです。しかし、子供は大人と比べて平均体温が高いです。平熱が高い子供の場合、平熱より1度上がったら熱があるとみなした方がより正確に熱の有無を把握することができますよ。保育園で預かるときには、37.5度以上の熱がある子供は何かの感染症に罹患している可能性があると判断し、受け入れを断ることも多いです。

乳児の場合は38度以上

生後3カ月未満の乳児が38度以上の熱を出した時は、基本的に入院での対応となります。この年の赤ちゃんは外の温度に体温が影響されやすいです。体温を測る際には注意して、暑い外から帰ってきたばかりの時や、寒いところにいたときは、しばらく待ってから体温を測ってください。乳児は言葉で体調の悪さを表現できません。そのため、大人はしっかりと乳児の様子を観察し、普段と違う様子がないか確認してあげましょう。

子供が熱を出したときやってはいけないこと

無理にお風呂に入れる

子供が熱を出した時に無理やりお風呂に入れるのは避けましょう。熱を出していても子供が元気な場合は問題ありませんが、長時間の入浴や熱いお湯につかるのは控えるのが望ましいです。長時間湯船につかる行為は体力を消耗するので、体を洗いシャワーで汚れを流す程度にとどめたほうが良いですよ。子供を入浴させられないときは、お湯で濡らしたタオルをよく絞り体を拭いて、清潔に保つことができますよ。

無理に食事をとらせる

発熱して食欲がない子供に無理やり食事をとらせることは避けましょう。熱があるときは消化器官が弱っています。無理やり食べさせると吐き戻してしまうので、子供が苦しそうなときに食事をとらせる必要はないです。食事をとれないときには、その分水分補給をしっかりとしましょう。何か食べられそうなときには、おかゆやスープなど消化の良いものを食べさせます。また、下痢の症状がなければ、アイスクリームやゼリーのような、冷たくてのど越しの良いものもおすすめです。アイスクリームはのどの痛みを和らげる効果もあるので、熱に加えてのどの痛みの症状があるときは特に良いですよ。

独断で解熱剤を使う

子供に解熱剤を使うときは医師の指示を受けるようにしましょう。子供に解熱剤を飲ませることは悪いことではありません。しかし、解熱剤の中には子供に使ってはいけない成分が含まれていることがありますよ。子供に使ってもいい解熱剤の成分はアセトアミノフェンです。そして子供に使ってはいけない成分は、ロキソプロフェン、アスピリン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸です。これらの成分が入った市販の解熱剤を子供に飲ませてしまうことがないよう、よく確認しましょう。解熱剤は医師に処方されたものや、医師や薬剤師に確認したものを使った方が安全ですね。

病院を受診する目安は?

38度以上の熱が3日以上続く

熱以外の症状がなくとも、38度以上の熱が3日以上続く場合は病院に行きましょう。発熱は、体の中に入った病原菌を体の熱で殺そうとして起こります。発熱が続くと言うことは病原菌を殺し切れていないということです。熱が長引くと子供の体にも負担がかかってしまいますよね。何の病原菌が原因なのか調べ、適切に対処できるようにしましょう。もし保護者の方から発熱が続くと相談を受けた場合は、医療機関を受診するように助言してあげてください。

発熱に加え下痢や嘔吐の症状がある

発熱に加えて下痢や嘔吐の症状が出ている場合は病院を受診しましょう。脱水症状になりやすく危険です。脱水症状を避けるためなるべく水分補給をしたいところですが、嘔吐の症状がひどい場合は水を飲ませただけでも吐き戻してしまうことがあります。このようなときは、30分から2時間ほど水を飲ませることをやめて様子を見ましょう。おしっこの量が極端に少ない、意識がぼんやりしている場合はすぐに病院へ行ってくださいね。

救急車を呼んだ方がよい場合

意識がもうろうとしている場合

熱で子供の意識がもうろうとしていたら、救急車を呼びましょう。危険な状態です。子供の意識の有無を確認するためには、名前を呼び掛けてみたり、体を動かせるか聞いたり、会話ができるか確かめてみましょう。また、熱で体に負担がかかると、意識がもうろうとしたり、幻覚が見えるときがあります。熱で幻覚を見たり異常な行動をとることを熱せん妄と言います。通常、せん妄の症状は2,3日で治りますが、熱せん妄の症状が出ている場合も病院へ行きましょう。

痙攣している場合

子供が38度以上の熱を出した時、熱性痙攣という乳幼児特融の痙攣が起きることがあります。これは生後6か月から5歳ごろまで起こります。熱性痙攣は基本短時間でおさまりますが、痙攣がおさまるまでに5分以上かかる場合、痙攣がおさまっても意識が回復しない場合は救急車を呼びましょう。熱性痙攣の対処法は、子供の衣服を緩め、吐いた時に吐しゃ物が顔にかからないよう、体と顔を横向きにします。

まとめ

子供が発熱したときは落ち着いて対処しましょう

この記事では、子供が発熱したときの対処法、やってはいけないこと、病院の受診の目安などを紹介しました。子供が熱を出した時は誰でも不安になりますよね。しかし知識があれば、きっと急な発熱にも落ち着いて対処できるはずですよ。特に保育士さんの場合は、保護者の方から頼られるタイミングも多いです。保育のプロとして保護者の方の頼りになれるよう、知識と経験を積んでいきましょう。

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