院内保育士とは?【特徴・仕事内容・給与・資格・病棟保育士との違い・向いている人】

保育園や幼稚園、放課後等デイサービスや児童福祉施設など、保育士の資格を活かして働ける場所はたくさんありますね。その中でも、病院の中の保育園で働く、院内保育士という仕事を知っていますか?この記事では、一般的な保育園で働く保育士と院内保育士の仕事内容の違いや、院内保育士の給与、特徴について紹介しています。院内保育士になりたい方や検討中の方にぜひ読んでいただきたい記事です。

院内保育士とは?

病院に併設された保育園で働く保育士のこと

院内保育士とは、病院内にある医療従事者の子供を預かるための保育施設で働く保育士さんのことです。利用者である医師や看護師の労働時間に合わせて、院内保育所も24時間体制で保育を行いますよ。そのため、一般的な保育園とは異なり、子供の夕食、朝食や寝かしつけなどの業務があり、子供とより親しくなることが特徴です。また、病院に併設された小規模な保育園であるため、一般的な保育園より使用できるスペースが狭く、園庭などがないことも多いです。

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院内保育士の特徴

一般の保育園よりも給与が高い

院内保育士という職業の特徴をいくつか紹介しますね。給与面の特徴として、一般的な保育園で働く保育士の給与より院内保育所で働く保育士の給与の方が高いことが挙げられます。全国的な平均として保育士の給料は約15万円ですが、院内保育園の保育士は平均して約18万円です。初任給でも一般的な保育士より高く設定されていることが多いですよ。一般的な保育園と比較して給与が高い理由は、院内保育士の労働時間が医療従事者に合わせて日勤と夜勤の交代制だからです。夜勤手当によって一般的な保育士より給与が高くなります。

持ち帰りの作業がほぼない

院内保育所では大規模なイベントがないため、イベントの準備をする負担がかからないことが特徴です。院内保育所に通う子供は、親の仕事の時間によって時間も曜日もばらばらに登園してきます。そのため、みんなで一斉に行事に参加することは難しいので、大規模なイベントが開催されることは少ないです。また、小規模なのでクラスがないところも多く、クラス運営や事務作業により持ち帰りの仕事が発生することが少ないです。

役職が少なくキャリアアップしづらい

基本的に院内保育所は小規模なので、クラス分けされていないことがほとんどです。そのため、キャリアアップを目指す保育士が一番最初に就く役職であるクラスリーダーになることができません。院内保育士が役職に就き給与額を上げるためには、施設長を目指しましょう。院内保育所では若手のうちから役職に就くことは難しいと言えますね。キャリアアップを目指して勤続する必要があります。

夜勤がある

院内保育士の仕事で最も大きな特徴は、夜勤があることでしょう。院内保育士の勤務時間は子供たちの保護者である医療従事者に合わせたものとなっています。そのため夜勤にも対応する必要があり、シフトを組み交代で夜勤に取り組みますよ。夜勤中の仕事内容は、基本的に子供の見守りです。子供が眠れているかをチェックし、保育士も交代で睡眠をとります。体力が必要なので、夜勤の前後は自分で体調をしっかり整えましょう。

休みが取りづらいことがある

院内保育士は24時間体制で対応することが求められるため、シフト制で仕事を行います。院内保育所は小規模なところも多いので、保育士さんの数が少ない場合は休みが取りづらくなりがちです。一般的な保育士も休みが取りづらいことは多いですが、院内保育士は夜勤もします。体調不良などで急に休む必要があるときは、夜勤を代わってくれる保育士を見つけにくいかもしれません。休みの取りにくさは院内保育所ごとに異なりますので、しっかり確認して、よく考えておきましょう。

院内保育士の仕事内容

夜勤があること以外は通常の保育と同じ

仕事内容は子供たちの保育で、そこは普通の保育士と変わりません。しかし勤務時間に差があることから、夜勤など一般的な保育士にはない仕事をすることがあります。夜勤の日は、子供たちの夕食やお風呂、寝支度を手伝い、子供たちが眠った後は、制作や書類作成などの業務をしながら見守りをします。不規則な時間に預けられる子供たちの生活リズムや体調が乱れてしまわないように、園で配慮をしてあげましょう。

院内保育士の給料

正規職員の給与は保育士の平均より高い

正規職員の場合、院内保育士の給与は保育士の平均よりも高い傾向があります。院内保育士の給与が保育士の平均より高くなる理由は主に2つに分けられるでしょう。1つ目の理由は、夜勤手当が支給されることです。2つ目の理由は、院内保育士の給与が病院の勤務水準に合わせて設定されていることです。日本医労連2022年度院内保育所実態調査結果によると、院内保育士の正規雇用の初任給の平均額は172,416円です。総務省が調査した令和元年度のデータによると、一般的な保育士の初任給の平均は短大卒で165,555円、高卒で153,176円です。

院内保育士に必要な資格は?

保育士資格があれば大丈夫

院内保育士に必要な資格は保育士資格です。仕事内容は子供の保育をすることなので、看護師免許などの医療に関する資格は必要ありません。また、一般的な保育士が、保育に関連する資格を取ることで給与を上げられることがありますが、院内保育士も同様です。保育士の仕事に関連している「リトミック指導員」や「保育カウンセラー」などの資格がおすすめです。ただし、資格によっては通学が必要なものや、応募条件に制限があるものもあります。自分に向いている資格を探してみましょう。

院内保育士に向いている人の特徴

子供1人1人と深くかかわる保育をしたい人

子供たち1人1人と深くかかわる保育をしたい人は、院内保育士に向いているでしょう。院内保育所は小規模なのでクラス分けがされていないところがほとんどです。また、子供たちが保育所にいる時間はそれぞれ違います。朝から夕方までの子もいれば、学校が終わった夕方から夜まで利用する子もいるので、子供たちが一斉に何かをすることは少ないでしょう。一般的な保育園よりもっと丁寧に子どもと関わりたい保育士さんは、院内保育士として働くことを考えてみてもいいかもしれません。

院内保育士に向いていない人の特徴

生活リズムが乱れるのが嫌な人

生活リズムが乱れるのが嫌だと感じる人は、院内保育士に向いていないと言えるでしょう。院内保育所に預けられる子供たちは1人1人ばらばらの時間に預けられます。院内保育所では親の都合で夜まで預けられる子供のために夜勤があります。シフトによって夜勤と日勤の交代制になるため、生活リズムが安定しにくくなってしまいますよ。夜勤はしたくないけれど院内保育士の仕事がしたいと考えている人は、日勤だけで募集している院内保育所を探してみましょう。

院内保育士の求人数は?

通常の保育園の施設と比べ少ない

院内保育士の求人数は一般的な保育園の保育士と比べて少ないです。現在、一般的な保育園で働く保育士の数は不足しており、求人数も多いです。院内保育所は利用者が医療従事者に限定されているため、入所している子供の数が少ないです。そのため求人数は多くありません。しかし高齢化が進む日本では医療従事者の数が増えており、それに伴って院内保育士の求人数も増加していくことが予想されます。これから需要が高まっていく職業と言えますね。

病棟保育士との違い

保育の対象

病棟保育士も院内保育士も、どちらも病院の中で保育を行う職業であるという共通点がありますね。この2つの職業の違いは、保育の対象です。院内保育士は病院内に併設された保育園で、医療従事者の子供を保育します。その一方で、病棟保育士は病棟に入院している子供を保育しますよ。病棟保育士も院内保育士と同様に保育士資格のほかに特別な資格はいらない仕事ですが、院内保育士と比べて医療の知識や専門的なスキルを求められる機会が多いです。そのため、病棟保育士になるなら保育士資格ではなく医療保育専門士という資格を保持していると、なお良いでしょう。この資格は院内保育士には必要ありません。

病棟保育士についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください!

院内保育の特徴

少人数の子供を長時間預かる

院内保育は少人数保育であることが特徴です。長時間預かり、夜も保育所で寝たりするため、子供たちにとって院内保育所は第二の家と言えるでしょう。子供たちがリラックスして保育所で過ごせるようにするためにも、1人1人に向き合った保育をすることが求められますね。また、院内保育所によっては小学校や他の保育園などから帰ってきた子供たちを預かるところもあり、学童保育のような役割を果たす側面もあります。

園自体が小規模

院内保育所自体が小規模であることも、特徴の一つです。院内保育所は、所属する病院によって管理されています。院内保育所は病院施設内に設置されることが多く、一般的な保育園にあるような園庭や広いホールが無い場合がほとんどです。保育士はそれを考慮して、狭いスペースでもできる運動や体を動かす遊びを考案しなければなりません。狭いスペース内でも子供を健やかに育ててあげましょう。

行事が少ない

行事が少ないことも院内保育の特徴の一つです。行事をするとなると、多くの保護者が予定を合わせる必要がありますが、院内保育所の利用者である医療従事者は、休みがバラバラです。そのため行事が少ないのです。ピアノが苦手で悩んでいる保育士さんは、行事でピアノを弾く機会が少ない院内保育所で働くことをおすすめします。しかし院内保育所によっては、病院と一緒に大きな行事を行うことがあります。就職する前に院内保育所の方針をよく確認しましょう。

保護者と連絡がとりやすい

子供たちの保護者が同じ建物内で働いているという点は、院内保育の大きな特徴の一つです。そのため、院内保育所では緊急時にも保護者と連絡が取りやすいです。子供が発熱したときや、医者に診てもらう必要が出た時など、緊急時に連絡が取りやすいと安心できますよね。また、すぐ近くで保護者が働いているのが見えると、保育所を利用している保護者の役に立てているということをより実感できます。これもやりがいの1つではないでしょうか。

まとめ

院内保育士の特徴を理解して就職に役立てよう

院内保育士は、医療従事者の子供を預かる少し特殊な保育士です。院内保育士は一般的な保育士と比べて、もらえる給与が高く、大規模な行事やイベントが少ないです。また、少人数保育なので、子供たちとより深く関わることができます。夜勤などの仕事を負担に感じることもあるかもしれませんが、やりがいのあるお仕事です。院内保育士の特徴を理解して、ぜひ就職に役立ててみてくださいね。

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保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/