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放課後等デイサービスの仕事について、興味はあるけど詳しくは知らないという方もいるのではないでしょうか。今回の記事では放課後等デイサービスの対象者や役割、やりがいについて紹介しています。また、2024年度から法改正や報酬改定がありますよ。今回の改正によって旧制度と新制度で様々な変更点があります。記事内で、どのような改正があったのかも解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
放課後等デイサービスとは
障害のある子供のための福祉サービス
放課後等デイサービスとは、障害のある子供のための福祉サービスです。日常生活を送る上で必要な支援や訓練、学習指導など、一人一人に合わせた支援を行います。放課後等デイサービスは児童福祉法の新設に伴い、2012年に新設されました。以前は未就学児と就学児が通う児童デイサービスがありましたが、法改正により就学児のための放課後等デイサービスと、未就学児のための児童発達支援に分かれました。
放課後等デイサービスの対象者
6歳~18歳
放課後等デイサービスの対象者は、障害のある小学生と中学生と高校生です。年齢は6歳~18歳が原則ですが、最長で20歳まで利用可能となっていますよ。基本的には身体障害や知的障害、発達障害や精神障害がある子供が対象となります。さらに、児童相談所や医師などから療育の必要性があると認められ、受給者証が発行された子供も放課後等デイサービスを利用できるようになります。放課後等デイサービスの支援は、土日祝日、夏休みなどの長期休暇に行いますよ。
放課後等デイサービスの役割
子どもの最善の利益の保障
放課後等デイサービスでは子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図るものとして、子供一人一人の特性に合わせた支援を提供します。具体的には以下のような活動を行っています。
子供の発達段階に合わせて、基本的な日常生活動作の訓練や自立のための生活支援を行います。具体的には、利用する子供が通っている学校と連携をとり、子供が意欲的に参加できるような遊びを行います。
・創作活動
創作や音楽、自然に触れる機会を設け、表現することの喜びを体験して豊かな感性を養います。
・地域交流の機会の提供
他の社会福祉事業や地域活動を通して、地域と交流する機会を提供します。
・余暇の提供
子供たちが楽しくできる遊びやリラックスできる環境を用意します。
共生社会の実現に向けた後方支援
放課後等デイサービスでは、放課後児童クラブや児童館などの、子育て支援を行う事業所への後方支援を実施しています。これらの事業所と必要に応じて連携をとりながら、適切な運営をしていきますよ。後方支援では、様々なプログラムを通して、多くの経験を積んでいくためのバックアップをします。また、保育所などを利用している障害のある子供に対しては、保育所等訪問支援を積極的に行います。
保護者支援
放課後等デイサービスでは、利用する子供だけではなく保護者に対して以下のような支援も行います。
・ペアレント・トレーニングを活用して、子供の成長を支える力を身につけられるように支援する
・保護者の時間を確保するために、子供のケアを一時的に代行する支援を行う
これらの支援を行うことで保護者が心身にゆとりをもち、自信をもって子供と向き合えるようになります。
放課後等デイサービスで働くスタッフの職種
管理者
管理者は事業所全体を管理し、スタッフの配置や労務管理、見学対応や保護者対応など幅広い業務を行います。また、学校や地域などの関連機関や、児童発達支援管理責任者と連携をとりながら支援を行います。管理者になるために必須の資格や要件はありません。しかし、療育には専門的な知識が必要なので、一定の実務経験を求められます。さらに、管理者は事業所の方針によって児童発達支援管理責任者と兼務することもできますよ。
児童発達支援管理責任者
児童発達支援管理責任者は、子供一人一人に合わせた個別支援計画を作成し、サービスの管理を行います。個別支援計画は子供の特性や発達課題、保護者の意向を踏まえて作成されます。支援が開始されたら定期的にアセスメント・モニタリングを行い、必要に応じて支援の見直しをしますよ。児童発達支援管理責任者になるには、一定の実務経験が必須となっています。児童発達支援管理責任者について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてくださいね。
保育士
放課後等デイサービスでは、保育士も個別支援計画に基づいた支援サービスを提供します。保育士になるには、厚生労働大臣が指定する養成施設を卒業する方法と、実務経験を積んだあとに国家試験を合格する方法があります。放課後等デイサービスの対象者は保育園児よりも年上の子供ですが、保育園で身につけたスキルや経験は、放課後等デイサービスでも十分に活かすことができますよ。療育分野で働く保育士について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
児童指導員
放課後等デイサービスでは、児童指導員も保育士と同じように個別支援計画に基づいた支援サービスを行います。児童指導員という資格はなく、児童指導員任用資格を取得することで児童指導員になることができますよ。具体的な要件は以下の通りです。
・大学や大学院で社会福祉学、心理学、教育学、社会学を卒業した者
・社会福祉士または精神保健福祉士の資格保有者
・高校を卒業した者で、2年以上児童福祉事業に従事した経験がある者
・3年以上児童福祉事業に従事した経験があり都道府県知事が適当と認めた者
児童指導員について詳しく知りたい方は以下の記事をチェックしてみてくださいね。
機能訓練担当職員
機能訓練担当職員とは、理学療法士や言語聴覚士と、作業療法士や心理指導担当職員のことを言います。放課後等デイサービスでは、機能訓練を提供している事業所や、医療的ケアが必要な重症心身障害児に支援を提供している事業所に、機能訓練担当職員の配置が必要です。機能訓練担当職員は、日常生活を送る上で必要な機能や動作の維持と改善のための訓練を行いますよ。支援サービスは主に、作業療法や感覚統合療法と、運動療法や心理療法などがあります。
嘱託医・看護師
放課後等デイサービスでは、重症心身障がい児などの医療的ケアが必要な子供に支援する場合に、嘱託医と看護師の配置が必要となります。嘱託医は放課後等デイサービスに常駐しているわけではなく、事業所から委託を受けて医療ケアを行います。嘱託医は子供たちの診察や治療を行い、看護職員は子供の健康管理や医療的ケアを行いますよ。放課後等デイサービスで看護職員として働くには看護師や准看護師、保健師や助産師のいずれかの資格が必要です。 放課後等デイサービスで働く看護師について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
放課後等デイサービスで働くことのやりがい
子供の成長を感じられる
放課後等デイサービスは、一般的な保育園よりも少人数の子供たちを支援します。そのため、一人一人としっかり向き合い、手厚い支援を行えます。また、子供が目標を達成できたり、課題を克服できたときに成長を実感できますよ。例えば、自分で靴を履くことができるようになったり、友達と協力して遊ぶことができるようになったときなどです。日々子供たちと関わり向き合う中で、自分自身の成長も感じられるようになります。
誰かの役に立てている実感が得られる
放課後等デイサービスの支援内容は子供への支援だけでなく、保護者への支援もあります。保護者は「周りの子はできるのに、どうしてうちの子はできないんだろう」や「いつ、どのような問題行動が出るかわからない」など、様々な悩みを一人で抱えているかもしれません。そういうときに、保護者の悩みに寄り添いながら適切なアドバイスをすることで、誰かの役に立てているという実感が得られるでしょう。
放課後等デイサービスの法改正・報酬改定について
放課後等デイサービスの2類型化
放課後等デイサービスは2024年の法改正により、総合支援型と特定プログラム特化型の2つに分類されます。法改正の理由は、今まで放課後等デイサービスの支援内容は事業所により様々で、適切な支援をしない事業所が出てきてしまい問題になっていたためです。
総合支援型の放課後等デイサービスでは、以下の4つの基本活動の全てを行います。
・自立支援と日常生活の充実のための活動
・創作活動
・地域交流の機会の提供
・余暇の提供
<特定プログラム特化型>
特定プログラム特化型は総合型の放課後等デイサービスよりも、より専門性の高い支援を行います。具体的な内容についてはまだ議論されている段階にあります。
(参考:放課後等デイサービスガイドライン )
基本報酬の見直し
放課後等デイサービスの旧制度と新制度の基本報酬の違いは以下の通りです。
授業終了後→604単位
学校休業日→721単位
<新制度>
区分1→30分以上1時間30分以下、574単位
区分2→1時間30分以上3時間以下、609単位
区分3→3時間超5時間以下、666単位
新制度では授業終了後と学校休業日の区分けがなくなり、時間により3つに区分されることになりました。平日は区分1と2のみの算定、区分3は学校休業日のみ算定できます。
加配加算について
放課後等デイサービスの旧制度と新制度の加配加算の違いは以下の通りです。
理学療法士等→187単位/日
児童指導員等→123単位/日
その他の従事者→90単位/日
<新制度>
常勤専従・経験5年以上→187単位/日
常勤専従・経験5年未満→152単位/日
常勤換算・経験5年以上→123単位/日
常勤換算・経験5年未満→107単位/日
その他の従事者→90単位/日
ここでいう経験は児童福祉事業等に従事した経験年数が算定基準です。
その他の改定
2024年度から、5領域全てを含めた支援を提供することが運営基準に明記されるようになりました。5領域とは「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」を指します。他にも以下のような改定があります。
・業務継続計画(BCP)策定義務化と減算新設
・情報公表未報告減算の新設(WAM NET)
・虐待・身体拘束の減算の新設や見直し
まとめ
転職の選択肢に放課後等デイサービスを入れよう
いかがでしたか。今回は放課後等デイサービスについて解説しました。2024年度から法改正や報酬改定が施行されます。旧制度と新制度では様々な変更点があるため、しっかり確認することをおすすめします。今回の改正の目的は、よりよい支援サービスを提供することが目的ですよ。もし、放課後等デイサービスに少しでも興味を持ちましたら、転職の選択肢に放課後等デイサービスを入れてみてくださいね!