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皆さんは、サービス管理責任者という仕事をご存知ですか?あまり身近な仕事ではないかもしれませんね。しかし、安全な障害福祉サービスの提供には欠かせない存在です。この記事では、サービス管理責任者の仕事内容や勤務場所、サービス管理責任者になるための条件など、サービス管理責任者について詳しく解説します。障害福祉に興味がある、施設の責任者として快適なサービスを提供したい、と考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
サービス管理責任者とは?
障害福祉サービスを提供する施設の責任者
サービス管理責任者とは、障害福祉サービスを提供する施設で行われるサービスに対しての責任者です。通称”サビ管”とも呼ばれています。グループホームなどの障害福祉サービスを提供する施設には、サービス管理責任者の配置が障害者総合福祉法により義務付けられていますよ。事業所区分による配置基準は以下の通りです。
療養介護・生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援 | 利用者60人:1人 |
グループホーム | 利用者30人:1人 |
サービス管理責任者の仕事内容
個別支援計画の作成
サービス管理責任者の仕事内容1つ目は、個別支援計画の作成です。個別支援計画とは、事業者がその利用者に対してどのようなサービスを提供するのかを記載した契約書のようなものです。法令により作成することが定められています。個別支援計画を作成することで、事業所は計画に基づき効率よくサービスを行うことができるでしょう。利用者やその家族にとっても、どのようなサービスが提供されるのかを事前に把握できるため、安心してサービスを受けることができます。
関係機関との連携
2つ目は、関係機関との連携です。利用者一人ひとりに合わせたサービスが提供できるように他の事業所や行政、病院などと連携を行います。利用者の障害の度合いや必要なサービスはそれぞれ異なります。そのため、どの機関と連携すれば利用者の希望を叶えられるのか検討するのも、サービス管理責任者の仕事と言えます。また、連携先の各分野の専門家に話を聞くことで、個別支援計画の作成にも役立てることができるでしょう。
職員の指導
3つ目は、職員の指導です。より良いサービスの提供には、スタッフのレベルアップが欠かせません。具体的には、技術向上のための勉強会を企画したり、外部で行われている研修会への参加や資格取得を促したりといったことが挙げられます。また、経験の浅い職員のフォローをすることも大切ですよ。障害福祉サービスの提供はチームで行うことが多いため、一部の人だけでなく、全員がスキルアップできるように取り組むと良いでしょう。
サービス管理責任者の勤務場所は?
入所系事業所
サービス管理責任者の勤務場所にはさまざまな種類の事業所があります。1つ目は、入所系事業所です。入所系事業所には、療養介護や施設入所支援、宿泊型自立訓練や自立生活援助、共同生活援助(グループホーム)などが含まれますよ。療養介護は、病院に入院し医療的ケアが必要な障害を持つ人が支援対象です。他の事業所では、身体や精神に障害を持つ人の集団生活をサポートします。また、グループホームでは、入所している人が将来1人暮らしできるようになることを最終目標として、生活援助をしています。
通所系事業所
2つ目は、通所系事業所です。通所系事業所には、自立訓練(機能訓練・生活訓練)や生活介護などが含まれます。自立訓練には2種類あり、機能訓練は身体障害者が支援対象で、生活訓練は知的障害者や精神障害者が支援対象です。障害を持つ人が利用する施設や住居にサービス管理責任者が訪問し、日常生活のサポートを行います。また、自立に向けた生活へのアドバイスも行いますよ。生活介護は、常に介護を必要とする人が支援対象です。主に食事や入浴、排泄などのサポートを行います。生活介護の支援は自立訓練に比べ、支援対象者の障害の度合いが重い傾向があります。
就労支援事業所
3つ目は、就労支援事業所です。就労支援事業所には、就労継続支援A型や就労継続支援B型、就労移行支援が含まれます。就労継続支援では、一般企業での就職が難しかった人に対して働く場を提供します。就労移行支援では、職業訓練などを行い障害を持つ人の一般企業への就職をサポートします。サービス管理責任者の就職先として一番多いのが、これらの就労支援事業所です。就労継続支援A型とB型については、それぞれ以下の記事も参考にしてみてくださいね。
サービス管理責責任者の資格取得に必要な実務経験
直接支援業務8年以上
サービス管理責任者の資格を取得するには実務経験が必要です。ただし、どのような支援業務を行うのかや資格の有無により、必要な実務経験は異なります。1つ目のパターンは、直接支援業務を8年以上行うことです。直接支援業務とは、身体障害や精神障害を持つ人に対し、食事介助や入浴介助など日常生活のサポートを直接行う業務のこと。直接支援業務で実務経験を積む場合、施設に8年以上在籍し実際に1440日以上勤務する必要があります。直接支援業務を行う施設には、以下のような施設が該当します。
- 障害を持つ人が入所、または通所する事業所
- 保健医療機関や保険調剤薬局、訪問看護事業所
- 障害を持つ人を雇用する事業所(特例子会社や重度障害者多数雇用事業所など)
- 障害児入所施設
- 老人福祉施設
- 特別支援学校
相談支援業務5年以上
2つ目のパターンは、相談支援業務を5年以上行うことです。相談支援業務とは、身体障害や精神障害を持つ人が日常生活で自立するための相談をうけたりアドバイスをしたりする業務のこと。相談支援業務で実務経験を積む場合、施設に5年以上在籍し実際に900日以上勤務する必要があります。相談支援業務を行う施設には、以下のような施設が該当します。
- 地域生活支援事業や指定相談支援事業など
- 公的な相談機関(児童相談所や発達障害者支援センターなど)
- 障害を持つ人や高齢者が利用する施設
- 障害者職業センターや障害者雇用支援センターなど
- 特別支援学校
直接支援業務5年以上(公的資格保持者)
3つ目のパターンは、公的な資格を持ち、直接支援業務を5年以上行うことです。指定された公的資格を持つ人は、5年以上直接支援業務を行うことで研修を受けることができます。指定された公的資格には、以下のような資格が該当します。
- 介護福祉士
- 精神保健福祉士
- 保育士
- 児童指導員任用資格
- 精神障害者社会復帰施設指導員任用資格
- 介護職員初任者研修修了者(ホームヘルパー2級以上)
直接支援業務または相談支援業務を3年以上(国家資格保持者)
4つ目のパターンは、国家資格を持ち、直接支援業務または相談支援業務を3年以上行うことです。指定された国家資格とは、以下のような資格が該当します。
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 保健師
- 助産師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 視能訓練士
- 技師装具士
- 歯科衛生士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
- 柔道整復師
- 管理栄養士
- 栄養士
サービス管理責任者の資格取得に必要な研修
基礎研修
サービス管理責任者はいくつかの研修を受ける必要があります。1つ目は基礎研修です。前述したような実務経験を積むことで、この基礎研修を受けることができますよ。基礎研修には、11時間の相談支援従事者初任者研修と15時間のサービス管理責任者研修が含まれます。この2つの研修では以下のようなことを学びます。
- 障害者の地域支援とサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の役割に関する講義(5時間)
- 障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律および児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロセスに関する講義(3時間)
- 相談支援におけるケアマネジメント手法に関する講義(3時間)
- サービス提供の基本姿勢とサービス提供のプロセスに関する講義(7.5時間)
- サービス提供プロセスの管理に関する演習(7.5時間)
この研修は、実務経験が既定の年数に達する2年前から受講することができます。研修の実施方法などは自治体によってことなるため、お住いの地域の実施方法を調べてみてくださいね。
実践研修
2つ目は実践研修です。基礎研修を修了してから5年以内に2年以上の実務経験(OJT)を積み、実践研修を受講することでサービス管理責任者の資格を取得することができます。実践研修では以下のようなことを学びます。
- 障害福祉の動向に関する講義(1時間)
- サービス提供に関する講義および演習(6.5時間)
- 人材育成の手法に関する講義および演習(3.5時間)
- 多職種および地域連携に関する講義および演習(3.5時間)
資格試験などはなく、実践研修を修了することでサービス管理責任者として働くことができるようになります。
更新研修
3つ目は更新研修です。サービス管理責任者の資格を取得した後は、5年ごとに更新研修を受講する必要があります。更新研修の受講資格は以下の通りです。
- 実践研修修了後、サービス管理責任者など(※1)として更新研修開始日前の5年間に2年以上の実務経験(※2)がある人
- 現在、サービス管理責任者など(※1)に従事している
※2:勤務日数に関わらず、従事期間が通算で2年以上あれば可
- 障害福祉の動向に関する講義(1時間)
- サービス提供の自己検証に関する演習(5時間)
- サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義および演習(7時間)
更新研修を受けるタイミングの5年間とは、実践研修の修了年度を起点として翌年度から5年度以内と考えています。5年度以内に1回更新研修を受講していれば、次に更新研修をうける年は6年以上空いていても大丈夫です。
他の職業との違いは?
サービス提供責任者との違い
最後に、サービス管理責任者に似た職業との違いを紹介します。1つ目の職業は、サービス提供責任者です。通称”サ責”とも呼ばれています。サービス管理責任者が障害福祉サービスの責任者であるのに対し、サービス提供責任者は訪問介護サービスの責任者。利用者へのサービス内容を考えたり職員の指導をしたりと、施設内での役割はサービス管理責任者とほぼ同じです。しかし、資格を取得するための条件は全く異なるので注意が必要ですよ。
相談支援専門員との違い
2つ目の職業は、相談支援専門員です。相談支援専門員とは、障害を持つ人やその家族の悩みに対し、社会的な資源を利用してアドバイスする仕事です。社会的な資源とは、主に国や自治体が提供している社会保険やサービスのこと。サービス管理責任者との違いとして挙げられるのが、相談支援事務所で勤務しながら地域の人の悩み相談も聞くという点です。サービス管理責任者は、障害福祉サービスを提供する施設に勤務し、その施設を利用する人に対して直接支援をします。そのため、どの場所でどんな人へサービスの提供を行うのかが、この2つの職業の違いと言えるでしょう。
児童発達支援管理責任者との違い
3つ目は、児童発達支援管理責任者です。児童発達支援管理責任者の仕事内容はサービス管理責任者とほぼ同じで、子供への障害福祉サービスを提供する施設で個別支援計画を作成したり利用者の相談を聞いたりします。資格取得のための要件はサービス管理責任者と全く同じです。この2つの職業の違いは、サービスを提供する対象者の年齢。サービス管理責任者が主に18歳以上を対象とするのに対し、児童発達支援管理責任者は0~18歳未満を対象としています。児童発達支援管理責任者に関しては、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
まとめ
サービス管理責任者として福祉サービスの質向上に努めよう!
いかがでしたか?今回は、サービス管理責任者の仕事内容や資格の取得方法など、サービス管理責任者について詳しく解説しました。サービス管理責任者は障害を持つ人を支える現場のリーダーであり、障害福祉サービスの提供には欠かせない存在です。利用者全員が快適な生活を送れるように、利用者一人ひとりと向き合ってサポートしていくことが大切と言えるでしょう。施設を利用する全員と深く関わり、生活のサポートをしたい!と考えている方は、ぜひサービス管理責任者を目指してみてくださいね。