宗教法人が運営する保育園の特徴とは?【メリット・非課税・なぜ・違い・注意点】

宗教法人が運営する保育園と、そうでない保育園の違いをご存知ですか?宗教法人が運営する保育園は、母体とする宗教の教育理念に基づいた保育を行うという特徴があります。今回の記事では、宗教法人の保育園の特徴や運営方針、保育内容などについて説明していきます。さらに、宗教法人の保育園に就職する前に確認すべきことなども解説していますよ。保護者の方はもちろん、保育士さんもぜひ参考にしてみてくださいね。

宗教法人の保育園の特徴

運営母体の教えを取り入れた活動や行事がある

宗教法人が運営する保育園では、運営母体の宗教的な教えが日々の活動に色濃く反映されています。例えばキリスト教系の保育園であれば、朝と帰りの会や食事の前後にお祈りがあります。また、賛美歌を歌う習慣があったりクリスマスイベントに力を入れていたりします。仏教系の保育園では、教室にお釈迦様の絵が飾られていたり、仏壇がある園もあります。数珠を持って念仏を唱えたり、お釈迦様の歌を合掌したり、お盆のイベントがあったりしますよ。特定の宗教行事や儀式を通じて、子供たちがその宗教の価値観や道徳観を学ぶ機会を提供しているということですね。日常の保育活動においても、宗教的な倫理観や思いやりを育むことを目的とした活動が多いと言えるでしょう。

宗教活動を通じた地域との繋がりが強い傾向がある

宗教法人の保育園の特徴として、宗教活動を通じた地域との繋がりが強いことが挙げられます。基本的に宗教法人は、宗教に関連があるイベントや行事の開催を大切にしていますが、その際に地域との交流を重視する園が多い傾向です。例えば、宗教にルーツを持つ地域の祭りや行事に参加したり、行事の際に地域住民と合同のイベントを実施したりすることで、保護者や地域の人々と密接に関わる機会が増えます。こうした園の取り組みが地域に根付いているのも、宗教法人が運営する保育園の特徴と言えるでしょう。

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宗教法人が保育園を経営しているのはなぜか

教会やお寺に親が子供を預けていたから

保育施設には様々な運営主体がありますが、なぜ宗教法人が保育園を経営しているのか疑問に思う人もいますよね。実は、昔から地域社会において、教会やお寺が子供たちの教育や保護を担っていたという歴史的な背景があります。保育施設が十分でなかった時代でも、様々な事情や社会の変化によって、保護者は子供を預けられる場所が必要でした。そうした時代に教会やお寺は地域のコミュニティに深く根差し、信者の子供たちの世話をすることが自然な役割として求められていたのです。現代においても宗教法人が運営する保育園は、その伝統を引き継ぎ、宗教的な価値観を基盤に子供たちの教育や成長を支える役割を果たしています。

宗教法人と学校法人の保育運営の違い

経営上の収入や土地が非課税になる

ここからは、宗教法人と学校法人の保育経営の違いについて見ていきましょう。まず初めに挙げられるのが、宗教法人が運営する保育園は、経営上の収入や土地が非課税になるということです。非課税になる理由は、宗教法人が非営利的性格を持っているためです。宗教法人は一般的に、営利目的ではなく社会貢献を目的として事業を行っているとみなされるため、所有する土地や建物、そしてその収益について、法人税や固定資産税が免除されています。こうした税の免除により園は運営経費を抑えられるので、より多くのリソースを子供たちの教育や保育に充てることが可能になります。

受け取れる補助金が少なくなる可能性がある

宗教法人の保育園は、非課税措置という面で一定のメリットがある一方で、受け取れる補助金が少なくなる可能性があります。学校法人は、国や地方自治体からの補助金や助成金を受けることが一般的です。特に公的保育園や認定こども園としての認可を受けている場合、安定した補助金支援を受けることができます。しかし、宗教法人の場合は補助金の対象外となることもあり、受けられる公的支援が限られることがありますよ。そのため、宗教法人が運営する保育園は補助金に頼らず独自に資金調達を行う必要があるので、経営面での柔軟さが求められることになります。

宗教法人と学校法人で異なる保育内容とは?

扱う行事の種類

ここからは、宗教法人と学校法人で異なる保育内容について紹介していきます。まず初めに挙げられるのが、扱う行事の種類についてです。宗教法人が運営する保育園では、宗教的行事を中心に様々な行事があります。キリスト教ではクリスマスや感謝祭、イースターなどが挙げられるでしょう。これらのイベントは宗教の教えに沿った形で実施されます。一方で、学校法人が運営する保育園では宗教行事は少ないと言えます。運動会や遠足、発表会、節分やひな祭りなど日本の伝統的な季節の行事が中心で、宗教的な背景は持ちません。ほとんどの行事が、子供たちの社会性や協力の機会を提供する場として行われています。

食前のお祈り

宗教法人の保育園では、食前にお祈りが行われていることも珍しくありません。子供たちが食事の前に手を合わせ感謝の意を示す祈りをすることは、宗教法人の保育園で日常的にみられる光景です。食べ物を大切にする気持ちだけでなく、神や仏に対する感謝の気持ちを育むためとされていますよ。学校法人の保育園では、食事の前のいただきますの挨拶はするものの、お祈りまでは実施していないことがほとんどでしょう。

礼拝や参拝

宗教法人が運営する保育園では、定期的に礼拝や参拝が行われることがあります。例えば、キリスト教系の保育園では、毎朝子供たちが集まって簡単な祈りを捧げる礼拝を行うことが多いです。歌や賛美歌を歌うこともあるでしょう。仏教系の保育園では、仏前でのお参りが日常的に行われていることがあります。また、教会や寺院へ訪問して実際の礼拝や参拝の体験をするなど、宗教的儀式を学ぶ機会もありますよ。これらは学校法人の保育園では体験できない活動と言えるでしょう。

宗教の教えを学ぶ時間

宗教法人の保育園では、宗教の教えを学ぶ時間が保育内容に組み込まれていることがあります。主に絵本や音楽を通して、子供たちに信仰の基盤となる道徳や価値観を伝える活動が行われます。キリスト教系の保育園では、聖書の物語を絵本やお話として紹介して、登場人物の行動や教訓から愛や優しさ、助け合いの大切さを学ぶことがありますよ。また、仏教系の保育園では、仏教の教えに基づく物語を通じて慈悲や思いやりの心を育んでいます。このように、宗教の教えを基に道徳を学ぶ取り組みは、一般的な社会的価値観に基づいた形で倫理や道徳を教える学校法人とは異なる点ですね。

宗教法人の保育園で行うイベント【キリスト教】

クリスマス

ここからは、宗教法人の保育園で実際に行われることが多いイベントについて紹介していきます。キリスト教系の保育園では、クリスマスは一大イベントです。学校法人の保育園のように、サンタクロースの登場やプレゼント交換も行いますが、イベントをただ楽しむだけではありません。イエス・キリストの聖誕祭であることを教えたり、聖書の物語を劇で演じたりすることが特徴ですよ。クリスマスはキリスト教にとって重要な行事なので、保育園でも子供たちにその意味が伝わるような工夫をしています。

イースター

イースターは、学校法人の保育園ではなかなか行われない傾向ですが、キリスト教系の保育園ではお祝いすることが多いイベントです。イースターはキリスト教における復活祭で、イースターエッグと呼ばれる卵やウサギを象徴にしたイベントが行われます。子供たちと一緒に卵に絵を描いたり、園庭でエッグハントを行ったり、楽しみ方は様々です。また、イースターの物語を絵本やお話で紹介することで、復活祭の意味を伝えることもありますよ。

宗教法人の保育園で行うイベント【仏教】

花まつり

花まつりは仏教行事の1つで、仏教系の保育園ではお祝いすることが多いイベントです。学校法人の園ではあまり馴染みがない行事ですよね。花まつりは、釈迦の誕生を祝う行事で、花で飾った釈迦像に甘茶をかける儀式が行われます。甘茶とは、釈迦が誕生した際に天から降ったとされる“天の甘露”に由来しており、生命の恵みや仏教の教えを象徴するものです。花まつりを行う保育園では、釈迦の像を花で飾ったり甘茶を順番にかけたりと、花まつりの儀式を実際に子供たちが担当することもありますよ。命の大切さや仏教の教えを子供たちに学んでもらう機会として活用されています。

お盆

お盆は先祖を敬う行事で、一般的にも広く知られていますよね。学校法人の保育園だと、盆踊り祭りをすることが多いのではないでしょうか。仏教系の保育園では地域と連携して、お盆に備える花やお供え物の準備をしたり灯篭作りを行ったりします。中には、地域の寺院で行われる法要に、保育園が招待されることもあるそうです。このとき、お寺の住職から直接話を聞いたり地域の高齢者と交流したりします。このようにお寺や地域と交流することで、お盆は祖先への感謝を育む行事であると子供たちに教えることができるでしょう。

宗教法人の保育園は宗教への信仰心が無くても働ける?

無宗教でも働ける

保育士さんの中には宗教法人の保育園で働くにあたって、宗教への信仰心が無くても大丈夫なのかが気になる人もいるのではないでしょうか。一般的に、無宗教でも宗教法人の保育園で働くことは可能です。多くの宗教法人保育園では、宗教的な行事や儀式を行うことはありますが、保育士にその宗教への信仰を求めているわけではありません。保育の中で宗教的な内容や教えに触れることはありますが、宗教法人の理念や方針を理解して、それを子供たちに説明できれば問題ないでしょう。

宗教法人の保育園に就職する前に確認すること

子供への接し方や雰囲気が合うかどうか

ここからは、宗教法人の保育園に就職する前に確認した方が良いことを紹介していきます。まず初めに、通園する子供への接し方や園の雰囲気が自分に合うかどうかは確認するようにしましょう。子供との接し方や保育園の雰囲気と自分の相性は、保育士としての働きやすさに大きく影響します。もしも自分の保育観や教育方針と合わない場合、保育活動にストレスを感じたり、効果的な保育ができない可能性があったりますよね。こうした悩みを回避するためにも、面接時や見学時に実際の保育の様子を観察して、職員の子供たちへの接し方や園の雰囲気をしっかり確認することがおすすめですよ。

宗教の教えを含む保育方針に共感できるかどうか

宗教の教えを含む保育方針に共感できるかどうかも、確認しておいた方が良いでしょう。宗教法人の保育園は、その宗教の教えに基づいた保育方針を定めています。この方針に共感できない場合、従うことが難しくなる可能性がありますよね。面接時に保育方針や宗教的な行事について具体的に尋ね、その内容に共感できるか確認することが重要ですよ。事前に園のウェブサイトやパンフレットなどを確認し、どのような教えを基に保育を行っているかを調べておくこともおすすめです。

強い勧誘等の心配になる評判がないかどうか

宗教への強い勧誘等、懸念される評判がないかどうかも確認しておきましょう。ほとんどの宗教法人では、保育士の信仰を強制している施設はありません。一方で、中には信仰の強制や勧誘がある場合もあります。自分が望まない宗教活動に巻き込まれることを避けるためには、事前に園の評判や口コミを調べておくことが重要と言えるでしょう。インターネットのレビューや、園に関する他の保育士の意見を聞くことで、勧誘や強制的な宗教活動が行われていないか確認することができますよ。また、面接時に直接その点を確認し、自分がどの程度関与する必要があるのかを具体的に尋ねることも大切です。

まとめ

宗教法人の保育園でも保育内容の大半は同じ

ここまで、宗教法人の保育運営や保育内容の違い、実際に行われる宗教系のイベントについて説明してきました。お寺や教会は、歴史的に地域で子供を預かる役割を果たしてきました。そうした背景により、今でも宗教法人が運営する保育園が多く存在します。運営面では、税金や国からの補助金の制度が他の法人とは異なります。また保育面では、扱う行事の種類が違ったり日々の礼拝の時間があったりすることが特徴です。一般的に、宗教法人の保育園で働く保育士が信仰を強要されることはありませんが、園の雰囲気や保育方針が合うかどうかは必ず確認した方が安心ですよ。就職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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