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保育園で取り入れているマット遊びは、体の動かし方やバランス感覚を養うだけではなく、楽しみながら他者とのコミュニケーション能力を育むといった様々なねらいがあります。しかし、マット遊びはケガにつながる危険も潜んでいるので、短時間だったとしても子どもから目を離してはいけません。今回の記事では、保育園におけるマット遊びのねらいや年齢別のマット遊びアイデア、注意点などについて紹介します。保育活動にマット遊びを取り入れようと考えている保育士さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
マット遊びを保育に取り入れるねらいとは?
全身の動かし方や使い方を学びながら楽しむ

マット遊びを保育に取り入れるのは、全身の動かし方や使い方を学びながら、運動の楽しさを子どもたちに体験してもらうねらいがあります。例えば転がる、跳ぶ、支えるといった基本的な運動を通じて、筋力や柔軟性、バランス感覚が育まれますよ。また、友達と一緒に遊ぶことで協調性や社会性も養われます。さらに、達成感や挑戦心も実感できるため、自己肯定感の向上にもつながるでしょう。安全な環境で自由に動き回ることで、心と体の健やかな成長を促す効果が期待できます。
柔軟性やバランス感覚などを養う

マット遊びを保育に取り入れるねらいの1つに、子どもたちの柔軟性やバランス感覚、体力の向上を図ることが挙げられます。マットの上での前転や後転、跳び箱の補助などの運動を通して、身体の動きに対する感覚を育みながら自信を持って運動することができるようになります。また、柔軟性を高めることでケガの予防につながりますよ。そして、バランス感覚を養うことで日常生活の動作が安定します。マット遊びを楽しむことで、心身の健康を促進しながら協調性や向上心を育てることができるでしょう。
お友達とのコミュニケーションを楽しむ

お友達とのコミュニケーションを楽しむことも、マット遊びを保育に取り入れるねらいの1つです。マット遊びでは、子どもたちが一緒に運動しながら協力したり、順番を待ったりする場面があります。こうした場面は、相手への配慮や意思の疎通が自然と育まれるため、友達と一緒に遊ぶ楽しさを実感する機会になります。また、転んだり失敗したりしてもお互いに励まし合う経験を通じて、信頼関係を築くことができます。こうした活動は、社会性や思いやりの心を育む土台になると言えますね。
マット遊びのアイデア【乳児】
ごろごろ遊び

全身を使うごろごろ遊びは、乳児向けのマット遊びとして最適です。広いマットの上で、寝そべった子どもの体を保育士が優しく転がしてあげたり、子ども自身がごろごろ転がる動きを楽しんだりします。このとき、柔らかいマットを使用することで、子どもたちに安心感を与えながら体を動かす心地よさや刺激感を提供できますよ。また、保育士や他の子どもたちと一緒に声をかけ合ったり笑い合ったりすることで、情緒の安定や信頼感も育まれます。ごろごろ遊びは簡単で安全な遊びなので、乳児の発達段階に合わせた体験が可能です。
坂道のぼり
体の使い方を学ぶ坂道のぼりは、乳児向けのマット遊びに最適な楽しい運動です。少し傾斜をつけたマットを用意して、子どもたちが手や膝を使いながら自力で登ります。この坂道のぼりでは腕や脚の筋力を育むだけではなく、バランス感覚や体の動かし方、向上心を自然と身につけることができます。また、登る際に保育士やお友達が声をかけることで、乳児に安心感や達成感を与えることもできますよ。安全性を確保したうえで傾斜を工夫するなど、坂道のぼりは簡単に応用ができるので、子どもたちの挑戦心を引き出す楽しい遊びになるでしょう。
いもむしコロコロ
いもむしコロコロは、乳児が楽しめるマット遊びの1つです。マットの上に子どもを仰向けに寝かせ、大人が優しく声をかけながら左右にゆっくり転がします。子どもは、いもむしになった気分で転がる感覚を楽しむことができますよ。いもむしコロコロは身体の動きや感覚を刺激しながら、バランス感覚を養う効果があります。また、保育士との触れ合いを通じて安心感を得られるため、信頼関係の構築にもつながるでしょう。子どもたちに対する笑顔や声かけをたくさん取り入れることで、より楽しい時間を提供できます。
マット遊びのアイデア【幼児】
でこぼこマット

でこぼこマットは、幼児が楽しみながらバランス感覚や体幹を鍛えることができるマット遊びです。まず、マットの下にクッションや丸めたタオルなどを敷いて不規則なでこぼこを作ります。子どもたちはその上を歩いたり、跳ねたり、這ったりして遊びます。このマット遊びは、足裏の感覚刺激を受けながら身体の使い方を学ぶことができます。また、子どもたち自身が不安定なマットの上を転倒しないように工夫しながら進むことで、集中力やバランス感覚などの運動能力も鍛えられますよ。そして、友達と一緒に遊ぶことで「落ちないように頑張ろう!」などの会話が生まれ、他者と協力する楽しさも味わえます。
階段マット滑り台
階段マット滑り台は、幼児が楽しみながら体を動かせるマット遊びです。まず数枚のマットを階段状に重ねて滑り台を作り、下から登ったり上から滑り降りたりする遊びです。このマット遊びは、マットで作った滑り台を下から登ることで腕や足の筋力を鍛え、バランス感覚を養う効果があります。また、順番を守ることで協調性やルールを学ぶ機会にもなりますよ。階段マット滑り台で安全性を確保するためには、保育士が周囲に柔らかい素材のマットやクッションを敷いたり、目を離さずに見守ったりする危機管理が欠かせません。こうした配慮により、子どもたちは安心して階段マット滑り台に集中できます。
しゃがみ相撲
しゃがみ相撲は、幼児が友達と一緒に楽しみながら体を動かせるマット遊びの1つです。まず、マットの上で子どもたちがしゃがんだ姿勢になり、両手や体を使って相手をマットの外に押し出す遊びです。このマット遊びでは、バランス感覚や体幹の強化を促しつつ、力の加減や戦略を楽しみながら学ぶことができます。また、友達と競い合う体験は、負けても次に挑戦しようとする意欲や相手への尊敬の気持ちを育みます。ケガやケンカを防ぎ安全に遊ぶためには、事前にルールを決めて子どもたちに周知したり、見守りをしっかり行ったりすることが大切ですよ。
大根抜き
マット遊びの大根抜きは、幼児が楽しみながら体を動かし、友達と協力する力を育てる遊びです。マットの上に寝転んだ子どもたちを大根に見立て、他の子どもたちが抜き手となって引っ張ります。寝転んだ子どもたちは、抜かれないようにマットにしっかりつかまります。この遊びは、腕や全身の筋力を鍛えるだけでなく、友達と力を合わせる楽しさやコミュニケーション能力も育まれますよ。ルールを工夫すれば年齢に合わせて難易度を調整できるので、保育現場で活用しやすい遊びです。大根抜きを行う際は、引っ張るときにケガやトラブルが発生しないように注意しましょう。例えば、子どもによっては関節が脱臼しやすい子がいます。また、引っ張る力加減によってはケンカが始まる可能性もあります。子どもたちの体調や性格への配慮を欠かさずに行いましょう。
マット運び競争

マット運び競争は、幼児が楽しみながら体を動かせる遊びです。2~3人のチームを作り、チーム対抗で小さめのマットを運び速さを競います。子どもたちは力を合わせてマットを運びながら、バランスを取ったり声を掛け合ったりします。また、障害物を置いたり、ジグザグに進むコースを作ることで、チーム内で協力し合いながら工夫しようとするチームワークが生まれますよ。この遊びを通じて、協調性や身体の使い方を学ぶことができます。マット運び競争を行う際は、安全性を確保するルールとして、走らないことやマットをわざと落とさないことを設定しましょう。
逆立ち

幼児向けのマット遊びである逆立ちは、体のバランス感覚や体幹を鍛えられる遊びです。最初は壁や保育士の支えを利用して、安全に挑戦できる環境を整えることが大切ですよ。逆立ちをする際には、腕でしっかりと体を支えて足を少しずつ上げていく練習を取り入れます。また、壁にタッチなどの簡単なステップを挟むと、壁倒立をする際の壁に対する恐怖心が軽減できますよ。成功したときの達成感を共有することで、楽しさを感じながら自信を育む機会になるでしょう。
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マット遊びを行う際の注意点
ケガにつながらない環境整備を行う

マット遊びを行う際の注意点として、まずは安全な環境を整えることが重要です。遊ぶ場所の床が滑りやすくないか、周囲に障害物がないか、マットがしっかり固定されているかを丁寧に確認します。また、マットの状態が良好であることを確認して破れやほつれがないかを点検します。マット運び競争でマットが落ちることを想定して、子どもたちにとって衝撃が少ない適切なサイズのマットを使用することも大切です。さらに、マット遊びをする前に準備体操などで体を十分に温めると、ケガのリスクを減らせますよ。
マット遊びの前に準備体操を行う

マット遊びを行う際には、準備体操が非常に重要です。体を温めながら筋肉や関節をほぐすことで、ケガの予防に繋がります。特にマットを使った運動では、転倒や跳ねる動きが多いため、柔軟性やバランス感覚を整えることが大切です。準備体操には、軽いジョギングやストレッチを取り入れて、肩や腰、膝などを重点的にほぐします。また、深呼吸をして心拍数を適度に上げることで、運動への集中力も高まりますよ。こうした準備体操により、マット遊びを安全に楽しみながら、効果的に運動を行うことができるでしょう。
子どもたちから目を離さない

マット遊びを行う際の最も重要な注意点の1つは、子どもたちから目を離さないことです。遊具やマットの上では、子どもたちが急に転倒したり、他の子とぶつかったりすることが多々あります。安全を確保するためには常に目を光らせておく必要があるのです。万が一の事故を未然に防ぐためには、子どもたち1人ひとりの行動に注意を払い、危険な行動を見逃さないことが大切ですよ。特に、小さな子どもたちの行動は予測できない場合が多いため、近くでサポートすることが安全確保の鍵となります。
適切な声掛けをする
マット遊びを行う際の適切な声掛けは、子どもの安全と安心を確保するために重要です。まず、マット遊びを始める前に、今日はどんな遊びをするのかを子どもたちと一緒に話し、ルールを理解してもらいます。例えば、「危ない動きはしないでね」「転んだときはすぐに手をついてね」といった注意を促し、安全意識を高めます。また、遊んでいる最中は「上手だね!」や「もっと頑張ってみよう!」とポジティブな言葉をかけて、子どもの自信を引き出します。さらに、子どもたちから疲れを感じた際は、無理をせず休憩を入れるように声をかけ、楽しく終わることができるように配慮しましょう。
適切な休憩時間を確保する
マット遊びや体を使った活動を行う際、適切な休憩時間を確保することは非常に重要です。休憩は、筋肉をリフレッシュさせて疲労を防ぎ、次の動作への準備を整える役割を果たします。休憩時間が短すぎると、体が十分に回復せず、ケガや疲労の蓄積を招くことがあります。逆に休憩時間が長すぎると活動の効果が薄れてしまうため、活動ごとに15〜20分程度の休憩が理想的です。活動の内容や子どもの体調によって休憩時間を調整し、無理なく楽しめるよう心がけましょう。
まとめ
マット遊びでのびのびと全身を動かそう!

いかがでしたか。今回の記事では、保育園で行うマット遊びのねらいやアイデア、注意点などを紹介しました。マット遊びは、子どもたちが自由に体を動かしながら身体能力やバランス感覚を育む絶好の機会です。また、成功体験を積むことで自己肯定感も高まります。保育士は子どもの安全を守りながら、誉める言葉や適切な指導を通じて運動の楽しさを伝えることが大切ですよ。子どもたちが安心して挑戦できる環境を整え、全身を使った遊びの中で健やかな成長をサポートしましょう。