みなさんは、障害児の保育を行う加配保育士をご存じですか?加配保育士にはそれぞれの子供の特性に応じて適切な援助やケア、個別カリキュラムの作成など一般の保育士さんとは異なった業務内容を行うという特徴があります。また、加配保育士の経験があることで、保育士としてのスキルアップを目指せます。今回は、そんな加配保育士について役割や必要な資格・スキル、メリット・デメリットを紹介します。加配保育士について気になっている方はぜひ、最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
加配保育士とは?
障害の診断を受けた子供のための保育士
加配保育士とは、障害の診断を受けた子供のために配置される保育士。障害を持つ子供は、コミュニケーションスキルが乏しいことから、集団生活でつまずいてしまい、保育園での生活にうまく馴染めないことが多いです。そんな子供が保育園での生活を円滑に送るために個別の援助やケアを行うのが加配保育士。通常の保育士配置基準のもとでは、障害児に対して十分なケアが行き届かない場合がありますよね。そこに加配保育士を設置することで保育の質を保っているのです。
加配保育士の役割
障害のある子供との信頼関係を構築すること
では実際に、加配保育士の役割とは何なのでしょうか。ここでは加配保育士が担う役割を解説していきます。1つ目は障害のある子供との信頼関係を構築することです。他者と関わることが苦手な障害児は、接し方が分からず対人関係でつまづいてしまう場合があります。そうなると、なかなか他の人に心を開けず日常生活に支障をきたしてしまうことも。加配保育士はそんな子供の行動を見守ったり、その子のペースに合わせて遊んだりしてあげることで安心感を与え、信頼関係を構築していきます。
子供同士のコミュニケーションをサポートすること
2つ目は子供同士のコミュニケーションをサポートすることです。障害を持つ子供は、自分の伝えたいことを上手に伝えることが出来ず、お友達とコミュニケーションをとることが難しい場合があります。障害を持つ子供が同じクラスのお友達と円滑なコミュニケーションがとれるようにサポートしてあげることも、加配保育士の役割です。子供の伝えたいことを理解した上で代弁してあげたり、子供の間に立ったりして関係づくりをサポートします。
行政機関との連携
3つ目は行政機関との連携です。加配保育士は、保健所や保健センター、自治体などの機関と連携し、障害児についての記録を報告するという役割もあります。障害を持つ子供の普段の様子を記録したり、自治体職員から障害児の保育においての専門的な指導を受け、他の職員に伝えたりします。ここまでの加配保育士の役割を見ても、一般の保育士とは異なることが分かりますね。特に、障害児との信頼関係を構築させることは容易ではないようです。
加配保育士の仕事内容
障害のある子供の援助
加配保育士は障害のある子供の援助を行います。そのため、1人ひとりの障害の内容や発達状況を把握して適切なケアを行う必要があります。例えば、障害により集団生活の中で決まったルールに沿った行動が取れない場合がありますよね。そんな時に、障害児に寄り添いながら楽しく活動ができるように工夫してあげることが重要になってくるでしょう。 加配保育士は子供の障害の程度や性格によって援助の方法を工夫しながら、子供に寄り添っていきますよ。
個別カリキュラムの作成
一般的に保育園では、年間計画や月案などを作成したり、園やクラス全体の目標を立てたりしますよね。しかし、障害を持つ子供の中にはみんなと同じ目標を達成させることが難しい場合があります。そのため、加配保育士は障害児の障害の内容や程度を踏まえた上で、個別カリキュラムの作成を行う必要があるのです。障害を持つ子供のペースに合わせて達成可能な目標やカリキュラムを設定します。そして障害のある子供がそれらを達成することが出来れば、他の子供と同様に充実感のある保育園生活を送ることが出来るでしょう。
保護者への対応
また、障害の子供を持つ保護者の相談を受けたりケアを行ったりすることも、加配保育士の大切なお仕事です。子供に対して適切な保育を行うのはもちろんですが、保護者に目を向けることも忘れてはいけません。積極的に保護者の方に困ったことがないか聞いたり、連絡帳などでこまめにやり取りをしたりして保護者の方との信頼関係を深めていくことが大切です。送迎時や電話対応の際など、ちょっとした場面にコミュニケーションを取るだけでも良いでしょう。
加配保育士に必要な資格・スキル
保育士資格
加配保育士になるためには、保育士資格が必要になります。保育士資格の取得方法は主に2つです。
②保育士試験を受験して合格する
保育士試験の受験には、義務教育修了後や高等学校卒業後に一定期間以上の児童施設実務経験を経るか、一般大学や短大、専門学校を卒業することが条件。保育士の有資格者は、加配保育士が配置されている保育園に就職すれば、加配保育士として働くことが可能となります。
障害についての正しい知識と理解
また加配保育士には、障害についての正しい知識と理解がスキルとして求められます。障害児が持つ障害の種類や程度は様々なため、正しい理解に基づいた適切な援助を行うことが大切です。例えば自閉症の子供に対して、なんでも手助けをしようとすると混乱し、逆効果になってしまう場合があります。それは自閉症に見られる、こだわりが強い・決まったやり方で無いと混乱するなどの特性があるため。このように障害についての正しい知識から、適切な保育をすることが求められます。
保護者への適切な配慮とケア
加配保育士には保護者への適切な配慮とケアも求められます。先述した通り、子供の適切な保育だけでなく障害の子供を持つ保護者の方への配慮も忘れてはなりません。保護者の方の中には、障害を持つ自身の子供に対して悲観的になってしまったり、落ち込んでしまったりする場合があります。加配保育士はそんな保護者の方の相談を受け、適切なアドバイスやケアを通して保護者にとって心強い存在となる必要があるでしょう。
加配保育士になるメリット
保育士としてのスキルアップが目指せる
一般の保育士とは異なり、苦労することも多い加配保育士。ここからは、そんな加配保育士になるメリットやデメリットを紹介していきます。まずはメリットです。1つ目は、保育士としてのスキルアップが目指せるということ。加配保育士として働くと、保育士としての様々なスキルがアップします。特に、子供の変化に気づくことやトラブルへの対応力などのスキルアップが期待出来るでしょう。障害児のサポートをしていると、常に目を離さず見守ることで自然と観察スキルを培うことが出来ます。また、子供が思いもよらない行動を取る場合もありますよね。その際に、なぜそのような行動を取ったのか考えることで対処法を見出し、適切な声がけをすることが可能になるでしょう。
子供1人ひとりとじっくり向き合うことが出来る
2つ目は、子供1人ひとりとじっくり向き合うことが出来るということ。一般の保育士の場合、常にクラス全体を見て同時に指示を出しながら保育を行っていますよね。その場合、子供1人ひとりとじっくり向き合う保育をするのはとても難しいものです。反面、加配保育士は担当する子供の人数が1〜2人前後な場合が多く、子供のペースに合わせて手厚くサポートすることが出来ます。子供とじっくり向き合い、細かいところまで見守ることが出来るのは大きなメリットですね。
子供の小さな成長にやりがいを感じることが出来る
3つ目は、子供の小さな成長にやりがいを感じることが出来るということ。障害児は、健常児が普通に出来ることに対して中々出来なかったりつまづいてしまったりすることがありますよね。加配保育士はそんな障害児に寄り添い、子供のペースに合わせてゆっくりと見守りサポートします。そうすることで障害児のどんなに小さな成長にも、加配保育士として大きなやりがいを感じることが出来るでしょう。生活の些細な瞬間にも、やりがいと喜びを感じることが出来るのはとても魅力的ですよね。
加配保育士になるデメリット
障害や療育についての勉強が大変
次にデメリットとして挙げられるのは、障害や療育についての勉強が大変だということです。加配保育士になるためには、保育士資格以外に特別な資格は必要ありません。しかし、障害のある子供を担当するため、それぞれの障害の特性を詳しく知っておくことが重要ですよ。障害児への適切なサポート方法は、保育士資格を取得する際のカリキュラムのみで身に付けるのは難しい場合が多いです。現場経験や専門書籍、講習を受けるなどして身に付けていく必要があるでしょう。
プレッシャーやストレスを感じやすい
もう1つのデメリットは、プレッシャーやストレスを感じやすいということです。加配保育士の役割の1つに、障害児との信頼関係を構築することを挙げました。しかし、実際には思うようにいかないこともあるのが現実です。障害のある子供への対応は、ベテランの保育士でも苦戦して悩んでしまうことが多いので、多くの人はプレッシャーやストレスを感じやすいでしょう。そんな時は同僚や先輩の保育士さんに相談するなどして、前向きな意見をもらうようにしてみましょう。抱えきれないほどに悩みが大きくなる前に、誰かに相談することがとても大切ですよ。
加配保育士に向いている人
障害や療育についての勉強を続けられる人
障害や療育についての勉強を続けられる人は、加配保育士に向いているでしょう。障害には様々な種類がありますが、同じ障害でも個人によって様子が異なることがあります。予想外の事態にも慌てずに対応するためには、障害や療育について日々勉強することが大切です。研修会やセミナーに参加すると、子供への具体的な支援方法を知ることが出来ますよ。知識を増やし、保育現場での沢山の経験を通して障害や療育についての知識や理解を深めていきましょう。
子供の小さな変化を見つけるのが得意な人
また、子供の小さな変化を見つけるのが得意な人も加配保育士に向いています。一般の保育士よりも1人の子供とじっくり関わることが出来る加配保育士だからこそ、普段の保育では見逃してしまいそうな子供の小さな変化を見つける機会が多くあるでしょう。子供が前よりもちょっと成長したことを見つけ、一緒に喜べる人は加配保育士に向いていると言えます。また、見つけた小さな変化を保護者と共有することで保護者の子供に対する不安も軽減させられるかもしれませんね。
まとめ
加配保育士として障害のある子供をサポートしよう!
いかがでしたか?今回は、加配保育士についてその役割や必要な資格・スキル、メリット・デメリットを紹介しました。加配保育士は障害の診断を受けた子供のための保育士。1人の子供とじっくり関わることが出来るからこそ、やりがいを感じる場面も多い魅力的なお仕事です。勉強しなくてはならないことも多いですが、保育士としてのスキルアップを目指せますよ。子供の成長にじっくりと関わり、障害のある子供をサポートしたいという方は、ぜひ加配保育士を目指してみてはいかがでしょうか。