正看護師と准看護師の違いは?【給与・資格・免許・メリット・デメリット】

高齢化が進む日本社会で、看護師の需要はさらに高まっています。看護師になるためには資格を取る必要がありますが、正看護師の資格と准看護師の資格、どちらを選んだらよいのか迷っていませんか。この記事では、正看護師と准看護師の違いについて、様々な角度から解説しています。給与にはどれほどの差があるのか、働く上での違いは何か、資格取得の難しさはどれくらいか、解説しています。看護師の資格に興味がある方、転職を考えている方にぜひ読んでいただきたい記事です。

正看護師とは

国家資格を授与された看護の専門職

正看護師とは、厚生労働大臣によって国家資格を授与された人が就ける看護の専門職のことです。正看護師という職業に求められるのは、科学的根拠に基づき、看護を計画的に実践する基礎的能力です。業務を進めるときには、自らの判断で看護の仕事を行うことができます。准看護師と比較したときの正看護師の強みは、自律的に判断して業務ができる点でしょう。また、経験を積めば看護師長など役職につくこともでき、キャリアアップが見込めます。

保育士くらぶ

准看護師とは

看護や医療の補助を行う専門職

准看護師とは、各都道府県の試験を受け、資格を授与された人が就ける職業です。医師、歯科医師、又は正看護師の指示のもとに、療養上の世話や診療の補助を、対象者の安楽を配慮し安全に実施することができる能力が求められます。業務を進めるときには、自分の判断だけでは看護の仕事をすることができません。業務を行う際には必ず医師や正看護師の指示を受ける必要があるのです。また、保健師助産師看護師法により准看護師は自らを看護師と名乗ることができません。

正看護師と准看護師の違いは?

仕事内容はほぼ同じ

正看護師と准看護師の仕事内容を比較してみても、実はその内容はほとんど変わりません。どちらの職業も、病院やクリニックなどで医師の診察補助や入院患者の身の回りの世話を行います。また、正看護師、准看護師が働ける場所は、病院以外にも、介護施設や訪問看護ステーション、保育園などがあります。正看護師、准看護師ともに職場の選択肢は多いので、自分の希望に沿った職場を見つけやすいと言えますね。

正看護師の仕事には責任感が伴う

准看護師は、仕事を行う際に自分だけの判断で行動できないという特徴があります。どういうことかというと、准看護師は必ず正看護師または医師による指示の下で働かなくてはならないのです。そもそも准看護師という職業は、戦後の看護師不足に対応するため、学歴がなくとも看護師のサポートができるようにと作られた職業なので、正看護師の指示を受ける立場なのですね。准看護師の仕事に責任がないわけではありませんが、指示を出す立場で、さらに自分の判断で動く機会が多い正看護師の方がより責任感を伴うと言えますね。

正看護師の方が給与が高い

正看護師と准看護師の給料を比べると、正看護師の方が高くなっていると言えます。「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、准看護師の平均年収は約413万円です。月給にすると、約28.7万円程度です。一方で正看護師の平均年収は約492万円、月給にすると約33万円です。業務内容はほぼ変わらないにもかかわらず正看護師の方が給与が高いため、同じように働いているのに…と不満に感じることがあるかもしれませんね。

正看護師になるメリット

管理職へのキャリアアップが可能

正看護師になるメリットを2つ紹介します。まずは、正看護師として働くことで管理職への昇格が望めることです。准看護師は管理職になれないというわけではありませんが、正看護師の方がキャリアアップしやすいと言えますよ。なぜなら、准看護師から正看護師に指示を出す行為は認められていないからです。あくまで正看護師のサポート役である准看護師よりも、指示を出せる立場の正看護師の方が管理職になりやすいのですね。

准看護師より給与が高い

正看護師になるメリットとして、准看護師よりも給与面での待遇が良いことが挙げられますよ。看護師という職業は、一般的には職員数が多い大きな病院に勤めているほど給与が高くなります。そしてそのような大きい病院では、正看護師の求人の方が多い傾向があるのです。一方、准看護師の求人が多いのは、予算が限られている診療所やクリニック、介護施設など。したがって、正看護師の方が給与の面で条件のいい求人が多いため、准看護師よりも給与面での待遇が良いと言えますよ。

正看護師になるデメリット

准看護師よりプレッシャーが大きい

正看護師は准看護師よりもプレッシャーが大きいと感じる人が多いです。なぜなら正看護師は准看護師に指示を出す立場だからです。一般的に准看護師は正看護師に指示を出すことが認められていません。正看護師は、年齢や仕事以外での立場にも関係なく、准看護師に指示を出す必要があります。それがプレッシャーが大きいと感じる原因になるかもしれませんね。しかし、自分で判断して仕事ができる分だけやりがいも大きいですよ。

免許を取りづらい

正看護師として働くためには正看護師免許が必要です。この免許は国家資格なので、免許を取るための試験の難易度が都道府県の資格である准看護師と比べ高く設定されています。難易度が高いということは、学習に長い時間をかけなくてはいけないため、教材を買ったり学費を払って学校に通ったりする必要があります。しかし、2024年度の看護師国家試験の合格率は87.8%です。この高い合格率があらわすように、看護師養成のための専門教育を受けしっかり学習を重ねればちゃんと合格できますよ。

准看護師になるメリット

2年間で免許が取れる

准看護師になる最大のメリットは、正看護師と比べて短期間で免許を取ることができることです。正看護師になるには、看護師養成課程のある学校へ進学しなければなりません。具体的には、高校卒業後に4年制大学、もしくは3年制の短大で看護について学ぶか、中学校卒業後に5年一貫制看護高校で学ぶ必要があります。しかし准看護師であれば、中学卒業後に高等学校衛生看護科に進学し卒業することにより、最短2年で免許が取れます。

高卒資格が必要ない

准看護師になるには高卒資格が必要ないこともメリットの1つです。中学卒業後、高校へは進学せずにそのまま准看護師養成機関へ進むことができます。准看護師養成機関は2年制(定時制の場合は3年制)なので、最短で准看護師になることができ、正看護師になるより学費も安く抑えられますよ。できるだけすぐに働きたいと考えている方にはおすすめです。また、高卒資格がないまま社会人として働いている人で、病院で働きたいと考えている場合も、高卒資格を取る必要のない准看護師を目指すのがおすすめですよ。

准看護師になるデメリット

正看護師より給与が低い

准看護師と正看護師では業務内容に大きな差はありませんが、准看護師の方が給与が低いというデメリットがあります。正看護師と比べて准看護師の給与が低い理由は、資格取得のために必要な労力の差と、病院経営の都合にあります。まず、国家資格である正看護師の免許と比較して准看護師の資格は取りやすいと考えられます。資格取得の難易度、かかるお金や時間が給与に反映されますね。次に、政府によって7:1看護制度が推奨されたことが挙げられます。これは看護師の負担をやわらげるため、患者1人に対し正看護師を7人配置するというものです。正看護師を多く雇わなければいけないという病院経営側の都合によって、正看護師の給与は高く設定され、准看護師の給与は低く設定されてしまっているのです。

自分だけの判断で看護業務はできない

准看護師になるデメリットは、自分だけの判断で業務ができないということです。これは医療従事者に適用される保健師助産師看護師法という法律に基づいて、正看護師は自分の判断で仕事ができる、准看護師は自分の判断で仕事ができないと決められているからです。そのため、准看護師は正看護師が作成した看護計画に基づいて働くことになり、自律的に看護の仕事をすることはできません。自分で指示を出したり、自分の判断で行動したい方には正看護師のほうが向いていると言えますね。

管理職にはなれないことが多い

准看護師の立場では、正看護師に指示を出す立場である管理職になることは難しいと言えます。自分だけの判断で業務ができないということです。准看護師と正看護師の仕事内容は基本的には同じです。しかし、准看護師という立場では、看護計画や報告書といった、法務上の書類を作成することができません。准看護師は、正看護師と同様に経験を積んだとしても、定められた権限の違いにより、同じように昇級することは難しいのです。

正看護師になる方法は?

看護系の学校を卒業し看護師免許を取得する

正看護師になるためにはまずは高校を卒業することが必要です。高校卒業後、看護系の学科がある大学か専門学校に進みます。この専門学校で3年間看護師になるための教育を受けると、看護師国家試験を受験することができますよ。また、中学卒業後、一般の高校に入学せず5年間一貫制の看護高等学校に入学することで、最短20歳で看護師免許を取得することも可能です。最初の3年で高校卒業の資格が与えられるため、他の大学に編入することもできますよ。

准看護師になる方法は?

准看護師学校養成所に通い准看護師免許を取得する

最短2年で准看護師になることができます。准看護師になるためには、高校卒業後に4年制大学、もしくは3年制の短大で看護について学ぶか、中学校卒業後に5年一貫制看護高校で学びます。また、中学卒業後すぐに准看護師養成所で学ぶことができます。2年で卒業できるので、最短で准看護師になりたい方にはおすすめですよ。また、この准看護師養成施設では定時制で学ぶこともできるため、社会人の方も働きながら准看護師資格獲得を目指すことができます。

准看護師から正看護師になるには

看護師養成学校に通い資格試験に合格すればなれる

准看護師から正看護師になることは可能です。看護師養成のための専門学校か短大に通い、全過程を終了後、看護師国家試験を受験することで看護師として働けるようになりますよ。仕事をやめて、全日制の学校で勉強に集中することもできますが、准看護師として働きながら定時制の学校に通うこともできます。また、准看護師としての実務経験が7年以上ある場合、通信制の学校に通って資格取得を目指すことも可能ですよ。ちなみに、それぞれの方法で資格を取得するまでにかかる最短の時間は、全日制の学校に通った場合は2年、定時制の学校に通う場合は3年、通信制では2年となっています。

まとめ

正看護師と准看護師では給与や必要な資格が違う

正看護師と准看護師には、それぞれ資格の取得方法や働き方の面で差があります。どちらを目指すかで迷った時には、それそれの特徴を比較して考えてみましょう。例えば、費用をなるべく抑えたいなら准看護師を目指すべきです。働きだした後の給与を重視するのであれば正看護師が良いでしょう。准看護師として働きお金を貯めてから、正看護師の資格を取得することもできますね。一人一人の人生設計に合わせて、最適な選択ができるといいですね。

保育士くらぶ

ABOUTこの記事をかいた人

保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/