小児言語聴覚士の資格は働きながら取れる?受験資格や合格率を紹介!【通信・少ない・年収・社会人・国家資格・大学】

言語障害を持つ子供をサポートする小児言語聴覚士。話す、聞く、食べることが難しい子供の支援を行う重要な役割を担っています。一方で、小児言語聴覚士として働いている人は少なく、人材確保の必要性が高まってきている職業です。ここでは、小児言語聴覚士の資格について、取得制度や働き方を紹介していきます。言語聴覚士の資格を取ろうと考えている人はもちろん、福祉の現場に興味がある人はぜひ参考にしてみてください。

小児言語聴覚士が少ないのはなぜ?

国家資格が必要だから

小児言語聴覚士は、リハビリテーションや福祉の現場に関わる職業の1つです。言語聴覚士はその中でも人材が不足していると言われていますが、なぜでしょうか。その理由の1つとして挙げられるのが、国家資格が必要であるという点です。言語聴覚士になるためには国家資格が必要で、受験するためにも様々な条件を満たしている必要があります。国家資格というと、沢山勉強をして倍率の高い試験に合格しなければならないと考える人も多いですよね。実際に、資格を得るためには数年かけて専門知識の勉強をしなければならないため、ハードルが高いと感じる人も多いと言えるでしょう。

通信教育では資格を取得できないから

「通信教育で資格は取れないの?」「忙しいけれど、働きながら勉強すれば資格も取得できるのでは…」と考えている人もいますよね。しかし、小児言語聴覚士の資格は通信教育で取ることができません。既に別の仕事をしていたり、子育て中であったりする場合は、通信教育で資格を取りたいと考える人も多いでしょう。近年はデジタル化も進んでいるため、様々な資格を通信教育で取れるようになってきています。通信教育で資格取得ができないことで、諦めてしまっている人が一定数いることも、資格取得者が少ないことの原因だと言えるでしょう。

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小児言語聴覚士になるための受験資格

国が定める養成学校を卒業する必要がある

小児言語聴覚士になるためには国家資格が必要だと説明しましたよね。国家資格を得るためには試験に合格しなければなりませんが、試験を受けるためには受験資格を満たしている必要があります。小児言語聴覚士の場合、国が定める養成学校を卒業することで受験資格を得ることができますよ。養成学校では、言語聴覚士に必要な知識やスキルなど様々なことを学びます。実習も行われるため、言語聴覚士として実際に働くまでの準備期間とも言えるでしょう。

養成学校に通うためには高校を卒業している必要がある

小児言語聴覚士の資格を取るためには養成学校に通う必要がありますが、養成学校に通うためには高校を卒業している必要があります。中学を卒業してすぐ養成学校に通うことはできないということですね。中学までの義務教育の内容に加え、高校卒業までの基礎学力は必要だと言うことです。高校を卒業せずに既に働いていたり、何らかの事情で高校を卒業できなかったりする場合は高卒認定でも可です。まずは養成学校に行くための条件を揃えるようにしましょう。

高校卒業後の資格取得ルート

2年制または3年制の養成学校に通うルートが多い

小児言語聴覚士の資格を得るためには、まずは高校を卒業する必要があると説明しました。その後は指定の養成学校に通う必要がありますが、資格取得までのルートは様々です。というのも、国が定める養成学校にも種類があるからです。2年や3年で卒業できる専門学校もあれば、学位の取得ができる4年制の大学もあります。早く資格を取得したいと考える人は2年制または3年制の養成学校に通うのが良いでしょう。一方で、4年制の大学ではじっくりと広い分野を学ぶことができます。指定の養成学校であればどの学校を卒業しても良いので、自分に合ったルートを選ぶと良いですよ。

養成学校で学ぶこと

基礎科目

養成学校では言語聴覚士になるために必要な様々なことを学びますが、内容は大きく基礎科目と専門科目に分けることができます。基礎科目では、言語と聴覚に関する一般的な学問知識を学びます。小児言語聴覚士は、障害を持つ子供のリハビリテーションを手伝う仕事ですよね。そのため医学の知識はもちろん、心理学や言語学についても学ぶ必要があるでしょう。子供を相手に接するため、場合によってはコミュニケーション行動や保育に関する知識も必要とされます。

専門科目

養成学校では、基礎科目の他に専門科目も学びます。専門科目では、言語聴覚士としての必要な知識をより詳しく学ぶことになるでしょう。科目としては、言語聴覚障害学総論や、失語・高次脳機能障害学などがあります。言語聴覚士ならではの学問が特徴的で、内容もより詳しく、高度な理解が求められますよ。小児言語聴覚士として正しくリハビリをサポートできるように、しっかりと知識を身につけることが必要です。

実習

養成学校では、基礎科目や専門科目などの座学だけでなく実習も行われます。座学では知識は身につくものの、実践的なスキルを身につけるのは難しいですよね。患者さんとのコミュニケーションの取り方や、予想外の出来事が起こったときの対応方法などを現場で学ぶのが目的です。専門科目、基礎科目で習ったことをもとに、現場でしか得ることができないスキルを身につけられるようにしましょう。担当医とのコミュニケーションを取ることはもちろん、日々の予習復習も重要です。

小児言語聴覚士試験の合格率

7割前後

小児言語聴覚士の資格は国家資格ですが、合格率はどのくらいなのでしょうか。一般的には、7割前後の合格率だと言われています。令和6年(2024年)に行われた第26回言語聴覚士国家試験では、合格率は72.4%だったと発表されました。年によっては70%を切ることもあるため、誰でも合格できる試験ではないことがわかります。一方で、理学療法士や作業療法士の合格率は8割前後です。同じくリハビリテーションに携わる専門職と比べても、資格を取るのが難しい試験だと言えますね。

小児言語聴覚士の資格は働きながら取得できる?

小児言語聴覚士の資格を働きながら取るのは難しい

小児言語聴覚士になりたいと考えている人の中には既に働いていたり、新卒で資格を取るべきかどうか悩んでいたりする人もいるのではないでしょうか。そんな人たちにとっては、小児言語聴覚士の資格が働きながら取れるのかどうか、気になるポイントですよね。結論から言うと、小児言語聴覚士の資格を働きながら取ることは難しいと言えます。ここまで説明してきた通り、小児言語聴覚士の資格を取るためには、試験を受ける前に2年~4年の養成学校に通う必要があるからです。通信教育では受験資格を得ることができないため、働きながらの資格取得は難しいケースが多いと言えるでしょう。一方で、養成学校の中には夜間部を設けている学校もあります。どうしても働きながら資格を取得したい場合は、夜間部での勉強を考えてみるのも良いかもしれませんね。

小児言語聴覚士になるために必要なスキル

知識

ここからは、小児言語聴覚士になるために必要なスキルを紹介していきます。リハビリテーションのサポートする仕事である言語聴覚士では、様々なスキルが求められます。まず初めに挙げられるのが、知識です。言語と聴覚に障害がある子供を支えるためには、障害に関する知識はもちろん、医療や看護、保育に関する正しい知識が必要です。どんなケアが必要なのか、何ができて何ができないのか、イレギュラーな事態が起きたときの対応方法など、専門知識は欠かせません。養成学校での勉強を踏まえて、資格試験を受ける前に正しい知識をしっかりとインプットするようにしましょう。

コミュニケーション能力

小児言語聴覚士には、コミュニケーション能力も求められます。言葉の発達が遅れている子供や聴覚に問題がある子供とのやり取りでは、言葉によるコミュニケーションが上手くいかないことも多々ありますよね。子供の様子や反応に注意して意思疎通を図ったり、言葉の発達を促す接し方も重要です。また、子供の場合はそれぞれ障害の程度が大きく異なることもめずらしくありません。一見障害がないように見える子も多いのが、小児言語聴覚士の仕事の難しいところです。それぞれの子供に合ったリハビリテーションの手伝いができると良いですね。

表現力

小児言語聴覚士として活躍するためには、表現力を磨く必要があります。言語でのスムーズなやり取りができないことも多い環境では、障害を持つ子供に正しく言いたいことが伝わらない場合があります。そんなときに、言葉だけでなく表情や身振り手振りを使ってコミュニケーションを取ることも大切ですよ。特に、言葉の発達が遅れている子供の場合は大げさに表現しないと伝わらないこともあります。表現力を磨くことで、子供もそれを真似して意思疎通が取れるようになることもありますよ。

小児言語聴覚士の年収は?

350万~500万ほど

小児言語聴覚士の年収は350万〜500万円程であると言われています。日本の平均年収は450万円前後なので、それと比べると低い傾向にあることがわかりますね。背景には、リハビリテーションに携わる介護職に分類されるため、サービスの改善や個人のスキルアップが給与に反映されにくいという現状があります。国家資格を必要とする専門職でありがながらも、昇給に限界があるということですね。一方で、経験年数や他に持っている資格によっても給料は変わってきます。言語聴覚士の資格と合わせて、他のスキルも身につけていくことで、給与アップを狙うことはできると言えるでしょう。

小児言語聴覚士の資格を取った後の就職先

医療機関

ここからは、小児言語聴覚士の資格を取った後の働き方について紹介していきます。まず初めに挙げられるのが、医療機関で働くということです。小児科のある病院では、言語聴覚士が在籍しているところもありますよ。特に、言語障害の診察を扱っているところや、リハビリテーションを専門としている医療機関では求人が出ていることもあるでしょう。医療に携わりながら専門的に子供のリハビリをサポートしたい人にはぴったりの環境だと言えますね。

福祉

小児言語聴覚士の資格を持っている人は、福祉の現場に携わることもできます。障害が比較的重い子供や、自宅で療養している子供のための訪問介護サービスや、療育施設などの福祉施設でも働くことができますよ。訪問サービスに従事する場合は、理学療法士や作業療法士などと一緒にリハビリテーションのサポートをすることも多いです。包括的なサポートを行いたい場合にはおすすめです。福祉施設では、言語障害の他にも様々な障害を持った子供がいますよね。そのため、言語障害以外にも発達障害全般についての知識と対応スキルが求められますよ。

療育

療育の現場でも、小児言語聴覚士は働くことができます。放課後等デイサービスや言葉の教室には、はっきりと障害があるかどうかはわからないものの、言葉の発達に不安がある子供達が通っています。保護者が不安を抱いている場合も多いので、保護者との連携や教育機関との連携もしっかりと行うことが求められます。言葉を引き出す訓練をしたり、定期的に聴覚検査をしたりと、子供がスムーズに学校でコミュニケーションを取れるような手伝いをすることができますよ。

まとめ

小児言語聴覚士の資格取得には養成学校への入学が必要

ここまで、小児言語聴覚士の資格について、受験資格や合格率、資格取得後の働き方について紹介してきました。小児言語聴覚士の仕事は、子供のリハビリテーションに携わりながら生活をサポートする専門職です。資格を取得するためには、国が定めた養成学校に通い、国家試験に受かる必要があります。成り手が少ないのは、そのハードルの高さにもあると言えるでしょう。一方で、資格を取得すれば医療機関や福祉施設、療育の現場などで働くことができます。様々な立場から子供のリハビリに携わることができますよ。養成学校にも様々な種類があるため、自分に合った方法で勉強を進められると良いですね。

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