エリクソンの発達段階理論とは?【発達課題・保育士試験・心理・アセスメント】

目次

エリクソンの発達段階理論を知っていますか?エリクソンが1950年に発表した、人の一生を8つの段階に分け、それぞれに発達課題があるとする考え方です。この記事では、各段階ごとの発達課題の詳しい解説や、保育士試験で頻出するキーワードについて解説していますよ。保育士試験にも、日常の保育にも役立つ考え方なので、保育士を目指す方や、保育士として働いている方にはぜひ知っておいていただきたい内容です。

エリクソンの発達段階理論とは?

年齢ごとに発達課題があるとする考え方

エリクソンの発達段階理論とは、人の人生を年齢ごとに8つに分け、それぞれの期間ごとに達成すべき発達課題があるとする考え方です。各段階では心理的な葛藤が生じ、それを乗り越えることで次の成長につながると考えられていますよ。乳幼児期から老年期まで、発達は連続しており、未解決の課題はその後の人生にも影響を及ぼします。この理論は、子どもの保育に役立つのはもちろん、大人の生き方を見直す上でも重要です。

保育士くらぶ

エリク・H・エリクソンとは

アメリカの精神分析家

エリク・H・エリクソンとは、アメリカの精神分析家の1人です。発達段階理論(ライフサイクル理論)を考案しました。エリクソンはドイツ生まれのユダヤ人で、1933年のナチス台頭によってアメリカにわたりました。実の父は不明で、母と義理の父によって育てられたことや、ユダヤ人系の見た目によって迫害を受けたことで、自分の生い立ちに悩んだそうです。このような経験がアイデンティティや発達段階理論の考案に影響したと言われていますよ。

乳児期(出生から1年未満)の発達課題

基本的信頼vs不信

出生から1年未満の乳幼児の発達課題は、基本的信頼です。そしてそれに対する心理社会的危機は不信です。養育者が一貫して愛情深く世話を行い、欲求に応えてもらえる経験を重ねることで、子どもは「この人は安全で信頼できる」という感覚を身につけますよ。母親や養育者、自分自身を信頼するようになります。反対に、不安定な関わりや無視が続くと不信感が強まり、その後の対人関係や情緒の安定に影響を及ぼすと考えられています。

幼児期初期(1歳~3歳)の発達課題

自律性vs恥・疑惑

1歳~3歳までの乳幼児初期の発達課題は、自律性です。そしてそれに対する心理社会的危機は恥・疑惑です。この時期の子どもは自分でやりたいという自律性が芽生え、排泄や食事、衣服の着脱などを通して自主性を高めます。周囲の大人が失敗を温かく受け止め、適切に援助することで自律性が育つ一方、過度な叱責や制限は恥や疑惑を強め、自己評価の低下につながりますよ。子どもが安心できる関わりが重要です。

幼児期後期(3~6歳)の発達課題

積極性vs罪悪感

3歳~6歳の幼児期後期の発達課題は、積極性です。そしてそれに対する心理社会的危機は罪悪感です。この時期の子どもは自分で考え、試そうとする意欲が高まります。保育の場では、やってみたい気持ちを受け止め、失敗しても挑戦を価値づける関わりが重要です。一方で過度な禁止や叱責は罪悪感を強めます。保育の場では、子どもたちに選択の機会や役割を与え、見守りと適切な援助で主体性を育てましょう。

学童期(6~12歳)の発達課題

勤勉性vs劣等感

6歳~12歳の学童期の発達課題は、勤勉性です。そしてそれに対する心理社会的危機は劣等感です。学童期の子どもは、学習や活動の実体験を通して達成感を積み重ねていきます。周囲の大人は結果だけでなく努力の過程を認め、適切な課題設定で成功体験を支えることが大切です。比較や否定が続くと劣等感につながるため、子ども一人ひとりの得意分野を見つけ、継続して取り組める環境を整えましょう。

青年期(12~18歳)の発達課題

自我同一性vs同一性拡散

12歳~18歳の青年期の発達課題は、自我同一性です。そしてそれに対する心理社会的危機は同一性拡散です。自我同一性とは、自分は何者かというアイデンティティのこと。そして、同一性拡散とはアイデンティティが混乱し、自分が何をしたいのかわからなくなる状態のことです。いわゆる思春期の時期のこの発達課題を乗り越えることで、アイデンティティを獲得し、その後の人生を自分らしく生きることに繋がりますよ。この時期は自分が好きなことや得意なことを積み重ね、自信をつけることが重要です。周囲の大人は意見を押し付けるのではなく、対話を通して考えを言語化できるように支援しましょう。子どもの迷いや試行錯誤を肯定的に受け止める関わりが、自我同一性の確立を促し、同一性拡散を防ぐ力となります。

成人期(18~40歳)の発達課題

親密vs孤独

18歳~40歳の成人期の発達課題は、親密性です。そしてそれに対する心理社会的危機は孤独です。成人期は、他者と深い信頼関係を築き、愛情や責任を分かち合う力が求められますよ。仕事や家庭、友人関係の中で自分を表現し、相互に支え合う経験が親密性を育てます。一方で他者との関係を避け続けると孤独感が強まります。この時期は、自立と結びつきを両立させ、人との関係を大切にする姿勢が重要ですよ。

壮年期(40~65歳)の発達課題

生産性vs停滞

40歳~65歳の壮年期の発達課題は、生産性です。そしてそれに対する心理社会的危機は停滞です。壮年期は、それまでに培ってきた仕事上の知識や子育ての技術等を次世代に伝える期間ですよ。次世代との関わりがない場合や関心が薄い場合、他者との関わりが薄くなり関心が自分自身に向きやすく、自己陶酔に陥り停滞してしまいます。壮年期は、次世代のために何ができるかを意識することが、心の健康を保つ大きな鍵となる時期なのです。

老年期(65歳以上)の発達課題

自我統合vs絶望

65歳以上の老年期の発達課題は、自我統合です。そしてそれに対する心理社会的危機は絶望です。老年期は自身の死に向き合いそれまでの人生を回顧し、人生を意味のあるものとして捉えることが目標となりますよ。一方で、今までの人生を受け入れられず、自分を信じられず否定的になってしまうと、絶望に陥ってしまいます。過去の行動や選択してきたことを受け入れ、現在自分が置かれている状況や自分自身を受け入れるためのサポートがあると安心でしょう。

エリクソンの発達段階理論は保育士試験に出る?

頻出する

エリクソンの発達段階理論に関する問題は、保育士試験に頻出します。エリクソンの発達段階理論に関する問題は、保育士試験に頻出します。各段階で示される発達課題とその達成・未達成が人格形成に与える影響を理解することが重要ですよ。特に乳幼児期の基本的信頼感や、幼児期の自律性・自主性は、保育実践とも深く結びついています。具体例とあわせて整理して学習すると理解が深まるでしょう。

エリクソンの発達段階理論のキーワード5選

①アイデンティティ

エリクソンの発達段階理論に登場するアイデンティティとは、自己の一貫性や連続性の感覚のことです。具体的には、これまでの経験や人との関わりを通して、自分自身の考え方や性格を理解することを指します。保育士試験では、保育の心理学の分野で出題されることがあります。保育現場では、子どもが安心して自己表現できる関わりや、成功体験を積み重ねる援助をすると、アイデンティティ確立の手助けになりますよ。

②心理社会的モラトリアム

心理社会的モラトリアムとは、青年期において大人としての社会的役割や責任を一時的に猶予され、自己探索を行うための期間のことで、保育士試験に頻出する単語です。この期間に、進路選択や価値観の模索を十分に行うことで、安定したアイデンティティの形成につながりますよ。モラトリアムが適切に保障されない場合、役割混乱を招く可能性があります。保育士試験では、定義とアイデンティティとの関連を押さえておきましょう。

③ライフサイクル論(心理社会的発達理論)

ライフサイクル論(心理社会的発達理論)とは、人間の一生を8つの発達段階に分け、それぞれの段階ごとに特有の心理社会的課題(発達課題)があると考えるものです。各段階ごとに肯定的に課題を達成するか、否定的に未達成となるかによって、その後の人格や社会的適応に影響が出るとされています。保育士試験では、各年齢段階に対応する発達課題とその特徴を正しく理解することが求められますよ。各段階の発達課題を具体例とともに整理して学びましょう。

➃漸成的(ぜんせいてき)発達

漸成的(ぜんせいてき)発達とは、心理社会的発達が連続的・段階的に進む過程のこと。エリクソンは、人間の一生を8つの発達段階に分け、それぞれで特有の発達課題が現れると考えました。各段階は次の段階への基礎となり、課題の達成・未達成が人格や社会的適応に影響します。つまり、発達は突然変化するのではなく、前の段階の経験や課題の積み重ねによって徐々に形成されるという考え方です。漸成的発達は保育士試験に頻出するキーワードなので、読み方も合わせて覚えましょう。

⑤肯定的概念と否定的概念

肯定的概念と否定的概念とは、各発達段階の心理社会的課題に対して、課題を達成した場合の良い面と未達成・失敗した場合の悪い面を指します。保育士試験では、各発達段階の課題と対応する肯定・否定的概念を覚えておくことが重要ですよ。覚える際は表にまとめると効率的です。また、実際の子どもの姿や保育中の場面と結びつけて理解すると、知識が定着しやすくなります。暗記に終わらせず、この行動はどの段階の表れかを考える視点を持つことが合格への近道ですよ。

エリクソンの頻出単語を覚える語呂合わせ

アイで照らして、森のトリアムで迷子中。拡散しても、まだボクじゃない

エリクソンの頻出単語を覚えるには、語呂合わせがおすすめですよ。「アイで照らして、森のトリアムで迷子中。拡散しても、まだボクじゃない」(アイデンティティ、モラトリアム、同一性拡散)を覚えて、頻出単語を頭に入れましょう。アイデンティティの確立に向けて悩み、探索する状態が心理社会的モラトリアム、うまく統合できない状態が同一性拡散です。いずれの単語も青年期に関係する言葉です。

まとめ

エリクソンの発達段階理論を理解して保育に活かそう

今回の記事では、エリクソンの発達段階理論を紹介しました。保育士試験に頻出する範囲なのでしっかりと覚えましょう。試験対策として、各段階ごとの発達課題と心理社会的危機をセットで覚えておくことが大切です。エリクソンの理論は試験以外にも普段の保育で活かすことができますよ。子どもを理解することに役立つだけでなく、保護者支援や保育士自身の振り返りにも役立ちます。エリクソンの発達段階理論を理解し、ぜひ普段の保育でも意識してみてくださいね。

よくある質問

おしえて!保育求人ガイドにはどんな記事がありますか?

おしえて!保育求人ガイドには現役の保育士・幼稚園教諭や保育士を目指す学生さんにとって手遊びや保育内容など今日から役立つ保育のネタをご紹介しています。こちらのトップページより色々な記事をお楽しみください。

おしえて!保育求人ガイドの最新の記事はどこから見られますか?

最新の記事はこちらのおしえて!保育求人ガイドトップページよりご覧ください。月間12本~15本の記事をアップしています。保育で使える季節の遊びや歌、連絡帳の書き方などもご紹介しています。

おしえて!保育求人ガイドのオリジナル動画はどこから見られますか?

おしえて!保育求人ガイドのオリジナル動画はこちらのおしえて!保育求人ガイドyoutubeチャンネルでまとめて見ることが出来ます。おしえて!保育求人ガイドyoutubeチャンネルでは保育で使える歌や遊び、制作以外にも転職のコツや求人の探し方も解説しています。

おしえて!保育求人ガイド

ABOUTこの記事をかいた人

おしえて!保育求人ガイドは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。おしえて!保育求人ガイドでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/