エリクソンの発達段階とは?【各段階の特徴・発達課題・メリットなど】

みなさんはエリクソンの発達段階という言葉を聞いたことがあるでしょうか?エリクソンという発達心理学者が提唱した人間の発達段階のことです。この記事ではそのエリクソンの発達段階について触れていきます。各段階の発達課題やポイント、子供と接する上でのメリットなどについても触れていきますよ。子供への接し方で悩んでいたり、子供の成長速度が不安だったりする方もいるでしょう。ぜひこの記事を読んで、エリクソンの発達段階について知ってみてくださいね。

エリクソンとは?

アメリカで最も影響力があった精神分析家の一人

エリクソンはアメリカで最も影響力があった発達心理学者の1人とされています。彼は幼い頃から差別を受けてきた過去があります。加えて父親の所在がわからないという状態で育ち、辛い幼少期を送っていたことでしょう。この幼少期は、その後のエリクソンの思想や理論に大きな影響を与えていると言われています。現代の心理学において誰もが知っているであろう、アイデンティティの概念はエリクソンが生み出しました。自分が他のものではないという自己の同一性を確立したエリクソンは、そのほかにも多くの発達段階を提唱しました。

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エリクソンの発達段階とは?

人間が成長する中での経験を年齢に応じて分類したもの

エリクソンが提唱した心理社会的発達理論という精神分析理論。この中でエリクソンは人が生まれてから死ぬまでに心理社会的にどのように発達していくかを述べました。ヒトの人生を8つの段階に分けており、この発達段階に沿って成長していくものだと考えられています。各段階において乗り越えるべき心理的な課題や危機が設定されており、この課題を解決するための方法や課題達成によって得られる要素が明らかにされています。この理論は20世紀後半に提唱されたものですが、今もなお重要な発達理論として扱われていることに驚きですよね。

エリクソンの発達段階の8段階とは?

乳児期

エリクソンの発達段階における乳児期は生後17ヶ月までを指します。この乳児期には両親や周囲の大人から世話をされることを通して、愛情を受け取り、基本的信頼を形成する時期です。不安や恐怖といった感情を持ち始めるのが乳児期ですが、この負の感情を周囲の大人が取り除くことで信頼感が形成されていきます。食事や排泄、衣服の着脱など生活の基盤となるようなことの影響度は大きいでしょうね。基本的信頼感を得られた子供は希望を持ち、その後出会うものに対して信じることが可能となるでしょう。一方で育児を放任されるような乳児期を過ごした子供は周りに不安や不信感をを持つことにつながります。乳児期の発達課題は基本的信頼感と不信感です。

幼児前期

エリクソンの発達段階における幼児前期は生後18ヶ月から3歳までを指します。この幼児前期では、これまで周囲の大人がやってくれていたことを自分でできるようになる時期です。食事や衣服の脱ぎ着などが挙げられるでしょう。何事も自分でやってみたいという自律性が芽生えてきます。挑戦する機会があることによって、子供たちは意思を得ることにつながります。ただし周囲の大人がすぐに手を出して挑戦の機会を奪ったり、挑戦して失敗したことを否定されたりすると、子供たちの自律性が養われることはないでしょう。自分にできるのかと不安に思い、恥や疑惑を持つことにつながるでしょう。幼児前期の発達課題は自律性と恥(疑惑)です。

幼児後期

エリクソンの発達段階における幼児後期は4歳から5歳までを指します。この幼児後期では、外の世界に触れる機会を持ち始め、さまざまなことに興味を持ち始めるでしょう。いわゆるなぜなぜ期ですね。幼児後期では、関心がある物事に対しての自発性や積極性が養われます。対象の物事に対して「なぜ?」という疑問を持つようになり目的意識が得られ、自分の関心ごとへの追求をするようになるでしょう。一方で積極的に活動している姿を周囲の大人が否定したり、嫌な態度をとると子供たちは罪悪感を覚えるようになります。大人に注意されるからと、自発的な行動をやめてしま得ことにもつながるでしょう。幼児後期の発達課題は自発性(積極性)と罪悪感です。

学童期

エリクソンの発達段階における学童期は5歳から13歳までを指します。この学童期では学校に通って勉強を始め多くのことを学ぶ時期です。特に集団生活を行い始める時期ということもあり、友人と自分を比べるようになるでしょう。学童期ではさまざまな物事に触れることで、自分に能力があることを理解し、有能感や自己肯定感を得ることでしょう。物事を達成することによって次の課題への勤勉性を得られるようになっていきます。一方で子供たちはこの学童期に多くの失敗を体験することでしょう。できないことを怒られたり、否定されたりすると劣等感を抱くことにつながってしまいます。再度頑張る機会を与えたり、フォローしたりしてみると良いでしょう。学童期の発達課題は勤勉性と劣等感です。

青年期

エリクソンの発達段階における青年期は13歳から19歳までを指します。青年期は思春期とも呼ばれ、多くの葛藤を体験し、自分が何者であるかを自問する時期です。自分らしさとは何か、自分はどのように生きていきたいかなど多くのことを悩む時期である青年期。この時期に多く悩み、アイデンティティを確立できると、自分自身の価値を信じることにつながるでしょう。自分の価値や生き方に対して、貢献し応えようという忠誠心を得ることとなるでしょう。一方でアイデンティティを確立できないと、悩み続けることになってしまいます。現代ではこの青年期の引きこもりが多く、これはアイデンティティを確立できずアイデンティティの混乱という状態に陥ってしまっている状態です。青年期の発達課題は同一性(アイデンティティ)とア同一性拡散(アイデンティティの混乱)です。

成人期(成人期前期)

エリクソンの発達段階における成人期は20歳から40歳を指します。成人期では自分を確立し、友人間や社会など多くのコミュニティにおいて信頼できる人たちとの仲を深める時期です。結婚する人も多くなってくる年齢層ですよね。自分のアイデンティティを、自分や信頼できる人に受け入れてもらうことで愛や幸福を得られるのがこの成人期です。信頼できる周囲の人と親密になっていく時期と言えるでしょう。一方で、自分のアイデンティティが確立されていなかったり、周囲と積極的に関わることができなかったりすることもあるでしょう。これらは表面的な人付き合いをしたり、周囲の人との関わりを拒絶したりすることにつながり、孤独を感じることとなるでしょう。成人期の発達課題は親密性と孤独です。

壮年期(成人期後期)

エリクソンの発達段階における壮年期は40歳から65歳を指します。壮年期では次の世代を支える子供やアイデア、技術など偽局的に関心を持つようになり、これを世代性の発達と言います。自分がこれまで教わったり学んだりしてきたことを子供や孫の世代に伝えていくことによって世話の能力を獲得していくでしょう。一方で、世代間の関わりを持たず、次の世代に興味を持たないと、自分の世代のことばかりを考えることになるでしょう。この状態を停滞といい、自分の生きている意味を見失ってしまったり、自分の価値観を押し付けたりしてしまいます。壮年期の発達課題は生殖性と停滞です。

老人期

エリクソンの発達段階における老人期は65歳以降を指します。老年期では多くの人が退職し、老後の生活を始める人が多いです。自分の人生の意味がどうあるかを考え、折り合いをつける時期とも言えるでしょう。ここまで発達課題をクリアしてきた人はこの老年期に賢さを手に入れることでしょう。この賢さによって大きな歴史の流れにおいて自己統合という自分の人生を見出すことになります。一方でこの自分の人生の意味を見出せなくなると絶望の状態に陥ってしまうでしょう。この老人期で絶望が強いと老後に不安を抱え、精神疾患を発症することもあり得ます。自己統合が絶望を上回った時良い人生だと思えることになり、より良い老後へとつながっていくでしょう。老人期の発達課題は自我の統合と絶望です。

エリクセンの発達段階は必ずクリアしないといけない?

あくまでも目安で必ずクリアしないとダメなわけではない

ここまでエリクソンの発達段階の各ステージと目安の年齢について触れてきました。ここで注意するべき点は、この年齢的な目安は絶対的なものではないということです。人格や性格は生涯かけて作り上げていくものです。ですからエリクソンの発達段階にピッタリと沿った成長でなくとも、いつかは自分なりのバランスを取れるようになるものです。子供たち一人ひとりが異なる適切なバランスを持っているので、目安に沿っていないからといって不安に思う必要はないでしょう。

エリクソンの発達段階を学ぶメリットは?

成長段階に合わせた教育ができる

特に子供たちと接する機会が多い親御さんや保育士の方などにとってエリクソンの発達段階を学ぶことは非常に有効です。というのも子供たちは日々成長しており、変わり続けています。子供たちが何を考えているかわからなかったり、成長の度合いが適切なのか不安になったりすることでしょう。エリクソンの発達段階を理解していると、子供たちの成長段階に合わせた教育ができます。子供たちの成長に関して不安や疑問を持ったら、エリクソンの発達段階を活用してみましょう。

子供の自分らしさを伸ばせる

多くの大人が、子供たちに対して自分らしく生きていってほしいと願うものです。子供たちが自分らしさを獲得していく際に、周りの大人たちがエリクソンの発達段階を理解していることは有効です。自分というアイデンティティを獲得し、育んでいくためにも、多くの心理的な危機を乗り越えていく必要があります。時には周囲のサポートが必要になることもあるでしょう。そういった際に、子供たちの特徴や状況を理解するためのヒントとしてエリクソンの発達理論を参考にすると良いのではないでしょうか。

まとめ

エリクソンの発達段階を理解し活用しよう

いかがだったでしょうか。この記事ではエリクソンの発達段階について説明してきました。各段階の特徴やポイント、発達課題にも触れてきましたね。子供との接し方や子供の成長度合いに悩むことあるでしょう。もしもこの記事を読んでエリクソンの発達段階に興味を持ったり利用できそうだなと感じたりしたら、是非活用してみてくださいね。子育てや子供との接し方に、これといった正解はないでしょう。だからこそ新しい方法をどんどん採用していき、子供たちにとっても自分にとっても良い方法を探してみると良いでしょう。

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