保育園の一時預かり制度とは?【子供・利用条件・料金・補助金・無償化・一般型】

「保育園に通園していないけど、子供を預けたい…」「子育てに関して周りに頼れる人がいない」そんな悩みを抱えている人も多いですよね。そんな時におすすめなのが、子供を保育園等に一時的に預けることができる一時預かり制度です。この記事では、保育園の一時預かり制度について、対象者や実施主体、利用料金について紹介していきます。制度の利用を考えている人はもちろん、一時預かり制度に携わる可能性がある保育士さんもぜひ参考にしてみてください。

保育園の一時預かり制度とは

子供を一時的に預けることができる制度

保育園の一時預かり制度とは、子供を保育施設に一時的に預けることができる制度です。一般的に、保育園の利用には、親が子供を見ることができない特別な理由が必要です。一方で、一時預かり制度では、保護者の状況に関わらず誰でも利用することができる制度です。利用したい施設に申し込みをし、簡単な面談を行うことで、決まった時間内で子供を保育施設に預けることができますよ。保育園のみならず、幼稚園や子育て支援センターなどにも預けることができます。

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一時預かり制度の目的

保育所等を利用していない家庭への保育支援

一時預かり制度の目的は、保育所等を利用していない家庭へ保育支援を行うということです。専業主婦で家庭保育ができる場合は、子供を保育園や幼稚園に通わせないこともありますよね。しかし、普段は家庭保育を行うことができていても、何かの用事や事情で子供を見れないこともあるでしょう。また、子供が保育園や幼稚園に通っていない場合は、保護者同士の交流が限られるため孤立しやすいということもあります。子供を一時的に預けられる仕組みを作ることで、家庭保育をしている保護者にも保育支援を行うのが一時預かり制度の目的です。

一時預かり制度の実施主体とは

市区町村が主体

一時預かり制度の実施主体は、市区町村が主体となっています。基本的な目的や方針は厚生労働省が決めているものの、利用条件や利用料金などは自治体によって異なりますよ。例えば、習い事や美容院などの理由でも制度を利用できる自治体もあれば、保護者の就労が利用条件となっている自治体もあります。お住いの自治体がどのような要件で制度を運用しているのか、一度確認してみると良いでしょう。また、市区町村は自治体が認めた事業者に、制度を委託することができるとされています。

一時預かり制度を行っている施設

保育園や子育て支援センターなど

一時預かり制度を行っているのは、保育園や子育て支援センターなどの保育施設です。一時預かり制度の実施主体は市区町村と説明しましたが、実際に事業を行っているのは、子供を預かる保育施設です。保育園のみならず、幼稚園にも預けることができますよ。しかし、全ての保育施設が一時預かり制度を行っているわけではありません。施設にいる保育士の人員や施設の方針にもよるので、申し込む際は、よく確認しましょう。

保育園で一時預かり制度を利用できる子供とは

保育所等を利用していない子供

保育園の一時預かり制度では、預けることができる子供に条件が設けられていますよ。一時預かり制度を利用して預けることができるのは、保育所等を利用していない子供のみです。例えば、既に保育園に通っている子供を、別の保育施設に一時的に預けることはできないということです。一時預かり制度の目的は、保育所等を利用していない家庭に対して支援をするということです。そのため、保育園に通っている子供は利用対象に入らないので、注意が必要ですよ。

幼稚園に在籍している子供が使える制度もある

一時預かり制度で預けることができるのは、保育所等を利用していない子供です。しかし、子供が幼稚園に在籍している場合には、一時的に子供を預けることができます。一般的に、幼稚園の保育時間は保育園よりも短いですよね。午後2時頃にはお迎えに行かなくてはならない園が多いと思います。制度を利用することで、通常の預かり時間の前後に子供を見てもらうことができますよ。利用したい場合は、在籍している園に問い合わせてみましょう。

一時預かり制度で預けられた子供は保育園でどう過ごす?

担当の保育士がついて一日を過ごす

一時預かり制度で預けられた子供は保育園でどう過ごすのでしょうか。毎日通園している子供たちとどう交流するのか、保育士はちゃんと見てくれるのかなど、保護者の方は心配することもあるかもしれません。一時預かり制度を行っている保育施設では基本的に、一時預かり保育担当の保育士が在籍していることがほとんどです。そのため、担当の保育士と積み木やブロックで遊んだり、絵本を読んだりして過ごします。時には在園児と外遊びをしたりすることもあるでしょう。

一時預かり制度で保育士さんが気をつけること

アレルギーなどの情報を共有する

一時預かり制度は、毎日同じ子供を預かる一般的な保育事業とは異なります。そのため、一時預かり制度を行う保育園に在籍している保育士は、いくつか注意する点がありますよ。まず一時預かり制度の子供を受け入れる際は、アレルギーや健康状態などの情報共有を、保護者と職員間でしっかりと行いましょう。一時預かり制度で大切なのは、子供を安全に保育して見守ることです。そのため、子供の安全に関わることに関しては、しっかりと事前に把握しておくことが大切ですよ。

臨機応変な対応を心がける

一時預かり制度で子供を預かるときには、臨機応変な対応を心がけましょう。一時預かり制度で預かる子供たちは在園児と違い、普段の様子や性格を知らない子供たちです。そのため、子供の様子に合わせて、様々な対応を取れるようにしておくことが大切です。一時的だとしても保護者と離れて普段とは違う環境にいることで、子供が泣き止まなかったり落ち着かないこともあるでしょう。遊びのレパートリーを増やしたり、在園児との交流方法を考えておくのも良いかもしれません。

一時預かり制度の種類

一般形

ここからは、一時預かり制度の種類について見ていきましょう。実は一時預かり制度には4つの種類があり、それぞれで利用要件や保育士の配置基準が異なります。まず最初に挙げられるのが、一般形です。一般形は、保育園や幼稚園等の保育施設で、一時預かり事業専用の保育室を用意して行われます。一時預かり制度担当の保育士を配置する必要もありますよ。預かることができるのは、保育所等を利用していない子供に限ります。

幼稚園型

一時預かり制度における幼稚園型とは、幼稚園に在籍している園児を、通常の保育時間の前後または休日に預かる制度です。幼稚園以外にも、認定こども園でも認められている制度ですよ。夏休みなどの長期休暇でも利用することができます。通常の保育時間外で園児を預かるため、専用の保育室を用意する必要はありません。ただし、一時預かり制度担当の保育士は配置する必要があるので注意してください。

居宅訪問型

居宅訪問型の一時預かり制度というものもあります。これは、家庭で一時的に保育が行えないという要件以外にも、利用条件がいくつか定められています。例えば病気や障害などで保育施設での集団保育ができない場合や、家庭の事情で夜間や早朝に保育を行う必要がある場合などが挙げられますよ。また、地域によっては一時預かり制度を行うことができる保育施設が近隣にない場合も、利用できることがあります。研修を受けた専門の保育士が自宅で保育を行う制度です。

余裕活用型

最後に説明するのは、一時預かり制度の余裕活用型です。これは、保育所等の利用者数が定員を満たしていない場合に行うことができる制度です。既存の施設スペースや保育士人員に余裕がある場合に行われるので、新たに専用の保育室を用意したり保育士を雇用して配置する必要はありません。定員の範囲内であれば、特別な準備がなくても制度を行うことができますね。利用できるのは、一般形と同じく保育所等に通園していない子供と定められています。

保育園の一時預かり制度の利用料金

地域や施設により異なる

保育園や幼稚園に子供を通園させるには、利用料金がかかりますよね。それでは、一時預かり制度を利用して子供を預けた場合には、どれくらいの利用料金がかかるのでしょうか。結論から言うと、預ける施設や地域によって利用料金は異なります。なぜなら、一時預かり制度の利用料金は各自治体や各施設で個別に定めているからです。自治体が主体で行っている保育所等に預ける場合を例にあげると、1日8時間の利用で2000円前後、1時間あたりだと500円前後が相場だと言えるでしょう。

地域によっては助成金が出る

一時預かり制度の利用料金は地域や施設によって異なりますが、地域によっては助成金が出ることもありますよ。助成金を受け取るためには、いくつかの条件を満たす必要があります。例えば、保育の必要性があるのに子供を保育所等に通わせることができない場合などは、助成金を受け取り無償で一時預かり制度を利用できることも多いです。また、子供の年齢に応じた利用券などを配っている自治体もあるので、それぞれの自治体のホームページを見てみるのもおすすめします。

東京都の例

ここからは、東京都の例を見ていきましょう。東京都では、一時預かり制度の利用料金については各施設で個別に定められています。ここでは具体的に、墨田区と世田谷区の例について見ていきましょう。墨田区では、本所地域プラザ・八広地域プラザ一で一般型の一時預かり制度を行っています。料金は1時間ごとに定められていて、1時間で500円です。世田谷区では、計8か所の保育所等で一時預かり制度を行っています。利用料金は、1歳以上の場合は2時間まで1250円、3時間までは1850円など年齢と時間によって区分されているのが特徴ですよ。

一時預かり事業を行ったら補助金は出る?

子ども・子育て交付金が交付される

一時預かり制度は、子育て支援を拡充するための取り組みです。そのため、一時預かり制度を行った事業者には、子ども・子育て交付金と呼ばれる補助金が支給されますよ。特に一般型や幼稚園型については、一時預かり制度専任の保育士を配置する必要があったり、専用の保育室を用意する必要がありますよね。それらを準備するための経費として、子ども・子育て交付金が支給されます。子ども・子育て交付金は国と自治体がそれぞれ分担して負担しており、より多くの保育所等が一時預かり制度を行うことを目的として、支給されるのです。

まとめ

一時預かり制度を理解して保護者のニーズに応えよう

ここまで、一時預かり制度の目的や実施主体、利用料金について説明してきました。一時預かり制度は、地域全体で子育てを支援し、より多くの家庭に保育サービスを提供するという目的のもと行われている制度です。施設によって利用要件が定めれらていることもありますが、一般的には保育所等を利用していない家庭であれば、理由を問わず子供を預けることができますよ。保育士にとっては、在園児とは異なる対応を求められることもあり、いつも以上の注意が必要かもしれません。制度の内容をしっかり理解して、保護者のニーズに応えられると良いですね。

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