保育士さんが知っておくべき!アレルギーの基本と対処法

アレルギー疾患を持つ子どもは年々増加していて、保育園でもその対応に追われ保育士さんにかかる負担も増すばかりです。

現代の保育士さんなら避けては通れない「アレルギー」について紹介します。

アレルギーの基本

アレルギーとは、特定の抗原に対して過剰な反応を示すことで、本来は体を守る機能が正常に働かず有害な反応を引き起こしてしまう事象全般を指しています。

アレルギー疾患を引き起こす原因である抗原のことをアレルゲンと呼び、花粉やハウスダスト・ダニなどから、卵や蕎麦、小麦や米など様々なものがアレルゲンとなります。

また、小麦や卵、乳製品といった食物が原因のアレルギー疾患は乳幼児に多く見られます。

そのため、保育園での給食やおやつなどの献立やメニューを、アレルゲンを含まないものにするなど園児それぞれに合わせた対応が必要になります。

また、アレルゲンを含んだ食物を摂取しないように注意することが求められます。

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アレルギーの症状

アレルギーはその反応で4つの型に分類されています。

乳幼児に多い食物アレルギーはI型反応の即時型がほとんどで、その症状は大きく分けて5つあります。

どんな症状が出てもアレルギーだと判断できるように、しっかり把握しておきましょう。

粘膜の症状

目の充血、かゆみ、涙、瞼の腫れ
くしゃみ、鼻水、鼻づまり
口内の違和感、のどの腫れ、かゆみ、イガイガ、咳

皮膚の症状

かゆみ、腫れ、むくみ、湿疹、じんましん 発赤

消化器の症状

吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、下血

循環器の症状

血圧低下、不整脈、頻脈、四肢冷感

全身の症状

多臓器症状(アナフィラキシー)
頻脈、ぐったりする、意識もうろう、血圧低下(アナフィラキシーショック)

特にアナフィラキシーショックは命を落とす危険があります。
適切な対処ができるように、対処法をよく勉強しておきましょう。

アレルギー児の入園対応

アレルギー疾患を持つ園児を受け入れるに際して、保育園で対応が必要になります。

職員だけでなく、保護者や医師の力が必要なこともあります。

なにをするべきなのか整理して、手際よく入園対応ができるようにしましょう。

必要書類の配布

アレルギー疾患がある新入園児に関しては、医師の診断書や生活管理指導票などの提出が必要になります。

その基準や様式は保育園の管轄である自治体で定められています。

出典:厚生労働省・保育所におけるアレルギー対応ガイドライン (2019 年改訂版)

保護者との面談

入所時、あるいは入所前に保護者と面談してアレルギーの有無を確認しておくことが必要です。

アレルギー疾患のある子どもの保護者とは、アレルゲンの確認や保育園(自治体)のアレルギー対応の説明などを伝えておくことが大事です。

また症状が出た際の処置、内服薬・エピペンについても、万が一に備えて保護者と話しておきましょう。

園内職員での情報共有

アレルギー疾患のある園児の除去食やアレルギー反応発現時の症状等の詳しい情報を、栄養士や看護師、保育士や調理スタッフなど全ての職員で共有を徹底することが必要です。

また職員の交代時に情報の引継ぎをしっかり行うことが重要です。

緊急時対応の役割分担

誤飲や誤食などでアナフィラキシーショックを起こすといった緊急時等の対応を、マニュアルを作成して備えておくことが大切です。

また、緊急搬送時などに消防隊員に通達することもあるため、エピペン処方の有無も確認・共有が必要です。

緊急時にパニックに陥らないように、通報や連絡を行う者、応急手当てを行う者と役割分担を決めておくことも重要でしょう。

アレルギー事故を予防するために保育園ができること

保育園には小さな子供たちがたくさんいますから、さまざまな事故の危険性があります。

アレルギーでの事故も身近な事故のひとつではないでしょうか。

万が一の事故を未然に防ぐために保育園の職員ができることを紹介します。

誤飲・誤食を避ける

誤ってアレルゲンが含まれた食品を口にしないように気を付けることが最重要です。

そのために、アレルギー疾患のある園児の情報共有を徹底しましょう。

保育園ではじめて食べることを避ける

家庭で食べたことのない食品を、保育園ではじめて食べさせることはやめましょう。

事前にその食物を家庭で摂取しているかどうか、確認できたものだけ食べさせるようにしましょう。

献立のアレルゲンの除去を徹底する

栄養士・調理スタッフはもちろん、保育士や看護師など全ての保育園職員がアレルゲンとなる物質を把握しておくことが大事です。

その上で、アレルゲンを除去した給食やおやつの献立を考案・調理し、徹底したチェックを行う体制が必要です。

保育園でアレルギー反応が起きてしまったら

気を付けていても園児がアレルギー反応を起こしてしまうことはあります。

アレルギー反応が起こった際、迅速で正確な処置をすることが重要となってきます。

ただ、アレルギー反応への対応はひとりで行うものではなく、複数人での対処が前提です。

これから紹介するポイントをしっかり押さえて、園内の職員全員が適切な対応ができるようにしておきましょう。

目を離さない

アレルギー反応を起こした園児の様子をしっかり見ておくことが大事です。

たとえ通報や連絡の必要があっても、いつ重篤な症状を引き起こすか分からないため、当該園児から目を離さないようにしましょう。

エピペン・内服薬を準備する

アレルギー反応が出た際に服用するお薬やエピペンを処方されている園児の場合には、反応が出たらすぐにエピペンや内服薬を用意して、いつでも使えるようにしておきましょう。

緊急性の高いアレルギー反応があるか確認する

意識がもうろうとしている、呼吸困難、繰り返し嘔吐するといった緊急性が高いアレルギー反応がないか反応が出てから5分以内に判断しましょう。

必要に応じて救急車を呼ぶ

緊急性が高い場合には、119番通報し救急車を要請しましょう。
安静にさせて救急車の到着を待ちましょう。

心肺蘇生が必要な場合も

救急車が到着する前に心停止や呼吸停止に陥ってしまった場合には、AEDの使用や人工呼吸といった心肺蘇生が必要になるケースもあります。
日頃から訓練しておくことが大事です。

子供たちを守るために、アレルギーについての理解を深めましょう

アレルギーから園児を守るためには、保育園職員全員がアレルギーに対する知識や理解を深めることが大切です。

またアレルギーは個人差が大きく、ほんの少しのことが命を脅かす場合もあります。

一般的なアレルギーの知識だけではなく、その園児がどんなアレルギーを持ち、どのくらい症状が重いのか、しっかり把握しておくことも必要でしょう。

アレルゲンを排した除去食の提供、徹底したチェック体制や情報の共有など万全の対策で、アレルギーから子どもたちを守りましょう!

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