子ども・子育て支援法とは?子ども子育て支援新制度との関係も説明!【第7条・子供子育て拠出金・子ども基本法・教育保育施設】

皆さんは子ども・子育て支援法について知っていますか?子ども・子育て支援法とは、子どもが健やかに成長できるように、国や地域全体で保育を支援するための法律です。ここでは、子ども・子育て支援法について、その目的や内容について説明していきます。子育てに関するその他の法律や制度についても紹介していきますよ。現在子育て中の人はもちろん、今後子育てをする予定のある人や、保育士さんなどもぜひ参考にしてみてください。

子ども・子育て支援法とは

子ども子育て3法の1つ

まず初めに、子ども・子育て支援法とは、子ども子育て3法の1つです。それでは、子ども・子育て3法とは何でしょうか。子ども・子育て3法とは、子どもが健康かつ健全に成長できるように作られた法律です。保育支援の制度を整え、質の高い保育を国全体で提供できるようになることを目標としています。子ども・子育て支援法を含めた全部で3つの法律がありますよ。子ども・子育て支援法以外には、「認定こども園法の一部改正」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」があります。

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子ども・子育て支援法の目的

少子化の進行に歯止めをかける

子ども・子育て支援法の目的の1つとして挙げられるのが、少子化の進行に歯止めをかけることです。日本の合計特殊出生率は1980年頃から減少し続けており、少子化が著しく進行しています。理由としては様々なことが考えられますが、女性の非婚化や晩婚化も一因だと言われていますね。日本では共働きの夫婦も多い中、働きながら子育てをする環境が整っていないのも問題です。日本を子育てしやすい国だと思う人が少ないと、出生率も上がりませんよね。子ども・子育て支援法は、そのような現状を改善し、少子化に歯止めをかけるための国の政策の1つだと言えるでしょう。

家庭や地域の環境変化に対応する

子ども・子育て支援法の目的としては、家庭や地域の環境変化に対応するということも挙げられます。日本社会は高度経済成長期やバブル期を経て、大きく変化していきました。家族構成も昔とは大きく変わりましたよね。核家族や共働き、一人親の家庭が増えたことで子育ての環境にも変化が生じてきています。そのような環境の変化に伴って、子育て支援を改革しようというのがこの法律の目的ですよ。現代の日本社会に即した支援を行うことで、より良い保育を提供することを目指しています。

子ども・子育て支援法の内容

保育所などを通じた共通の給付を行う

子ども・子育て支援法には、保育所などを通じた共通の給付を行うことが定められています。この給付は、保育における費用の負担を減らすために、保育施設を利用する保護者に対して行われる給付のことです。保護者に直接給付が行われるのではなく、保育所などの保育施設を通じて給付が行われるのが特徴ですよ。このように、保育施設が代理で給付を受理するのには理由があります。給付が保護者に直接渡された場合、その保護者がその給付を何に使うのかまではわかりませんよね。給付が確実に保育のために使用されるために、保育施設の代理受理という形を取っているのです。

市町村は支援計画に基づいて事業を行う

子ども・子育て支援法の内容の2つ目は、市町村が支援計画に基づいて事業を行うということです。法律として、地域の自治体が保育計画の実施主体であることが明記されたということですね。これによって、市町村の役割と責任が明確になりました。都市部と地方では、抱える保育の問題もそれぞれ異なりますよね。各自治体が主体となって保育計画を実施することで、各地域の実情にあった保育の提供が可能になります。あくまでも市町村が主体となり、国や都道府県はそれを支えるという形を目指していることがわかりますね。

保育士の人材確保を検討する

子ども・子育て支援法においては、保育士の人材確保を検討することも要請されています。現在、日本全体においては保育士の数が不足しているとされています。実際に保育士として働いている人の中にも、日々の人手不足を実感している人も多いのではないでしょうか。保育士の人手が十分でないと、質の高い保育を提供することはできませんよね。保育士の人手不足の背景としては、保育士の賃金の低さや長時間労働、重労働などの労働環境が挙げられます。このような労働環境を改善し、保育士人材を増やしていくことが求められています。

子ども・子育て会議を設置する

子ども・子育て支援法では、子ども・子育て会議の設置を行うことも定められていますよ。子ども・子育て会議とは、保育施設の運営や設置、それに関する費用などについて審議するためのものです。内閣府に設置され、都道府県知事や市町村長、施設事業主などによって審議が行われますよ。他にも、保育に関係する者として、保護者や保育従事者、保育における学識者なども委員会のメンバーとされています。このような会議が設置されたことによって、保育施設の改善について様々な角度から議論することができるようになりました。

子ども・子育て3法のポイント

施設型給付の施行

ここまで子ども・子育て支援法の内容について説明してきました。ここからは、子ども・子育て支援法以外も含めた子ども・子育て3法について説明していきます。1つ目に挙げられるのが、施設型給付の施行です。この給付は地域型給付とも呼ばれています。待機児童問題が深刻な都市部と、子どもの数が減っている地域との格差に対応するために創設された制度と言えるでしょう。これによって、今まで給付が行われていなかった小規模保育施設にも給付が行われるようになりました。

認定こども園制度の改革

子ども・子育て関連3法には、認定こども園制度の改革というものもあります。認定子ども園とは、幼稚園と保育園の両方の機能を持つ保育施設のことです。保育園は、基本的に共働きの家庭などのために子どもを預かるための施設です。幼稚園よりも預かり時間が長く、0歳から預けることができますよ。一方で、教育を主な目的とした幼稚園では預かり時間も短いため、近年利用者が減ってきています。この現状を利用し、待機児童問題の解決のために作られたのが認定こども園です。子ども・子育て3法では、この認定こども園について、児童福祉施設として法的に位置づけられることが決まりました。

地域の実情に応じた支援

地域の実情に応じた支援も、子ども・子育て3法のポイントです。子ども・子育て支援法の目的の1つとして、家庭や地域の環境変化に対応するというものがあります。都市部では待機児童問題が深刻化する一方で、地方では子供の数の減少が問題になっていますよね。地域によって抱える問題は異なるため、それぞれの環境に合った支援を行うことがポイントです。また、保育園などの保育施設を利用する家庭以外にも、在宅で子育てを行っている家庭への支援も充実させることが大切です。

実施主体が市町村に

実施主体が市町村になったことも、子ども・子育て3法のポイントであると言えるでしょう。子ども・子育て支援法では、市町村が支援計画に基づいて事業を行うことが定められたと説明しました。このように、子ども・子育て3法では保育支援において市町村が主体となって行うことがはっきりと記されています。これまで、保育の質の向上には地域に応じた支援が必要であることを説明してきました。それを実現するためにも、市町村主体での支援は欠かせないと言えますね。

消費税の引き上げ

子ども・子育て3法においては、保育の支援拡充における消費税の引き上げもポイントと言えるでしょう。これによって、社会全体で保育支援の責任を負う必要があることがわかりますね。内閣府によると、これまで説明してきた保育支援を実施するためには、1兆円程度の財源が追加で必要だとされています。この追加財源を確保するために、消費税を引き上げることがここに記されているのです。子育てを行っていない人にも関係するポイントと言えるでしょう。

(参考:子ども・子育て支援新制度 制度の概要等)

子ども・子育て支援法の施行日はいつ?

平成27年から施行されている

子ども・子育て支援法は平成27年から施行されています。子供子育て支援法を含む、子ども・子育て関連3法は、平成24年に成立、公布されました。従って、この法律ができたのは今から10年以上前だと言えますね。一般的に法律は、成立・公布してから一定期間を経てから施行されます。国民に法律の内容を周知してから施行に移るためです。子ども・子育て支援法も、公布から施行まで3年程あったことがわかりますね。

子ども・子育て支援新制度との関係

子ども・子育て支援新制度のために子供・子育て支援法が作られた

子ども・子育て支援法と一緒によく聞く言葉として、子ども・子育て支援新制度というものがあります。言葉が似ているので、何が違うのか疑問に思う人もいるのではないでしょうか。子ども・子育て支援法は、子ども・子育て支援新制度のために作られた法律の1つです。子ども・子育て支援新制度のために作られた法律は他にもありますよ。「認定こども園法の一部改正」と「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」です。これら3つを合わせて子ども・子育て3法と呼びます。つまり、子ども・子育て支援法のために子ども・子育て3法が作られ、その3法の内の1つが子ども・子育て支援法であるということですね。

子ども・子育て支援におけるその他の制度

子ども子育て拠出金

ここからは、子ども・子育て支援におけるその他の支援制度について紹介していきます。初めに紹介するのは子ども子育て拠出金です。子ども・子育て拠出金とは子育て支援のために払う税金のことです。社会保険料と一緒に徴収されますが、普段従業員として働いている人にとってはあまり馴染みがないかもしれません。なぜならこの拠出金は全額雇用主や事業主が負担する仕組みとなっているからです。子どもの有無に関係無く、厚生年金の加入者を対象に聴取が行われます。

子ども家庭庁の設置

次に紹介するのは、子ども家庭庁の設置です。子ども家庭庁は、子どもの思いを第一に考えて政策を行うための機関です。内閣総理大臣直属の機関であり、それぞれの機関が別々に行ってきた子どものための施策を統括することを目的としていますよ。各々の機関の連携を行ったりすることで子どもの政策の効率化、充実を図ります。また、今まで行政機関に届きにくかった子ども自身の声や、子育てを行う人の声を集めることにも重きを置いています。

子ども基本法の成立

子ども基本法も、子ども・子育て支援における政策の1つだと言えるでしょう。子ども基本法は、子供家庭庁の創設と同時に施行される法律です。すべての子どもが大切にされ、人権が守られるべきだという原則のもと、子どもの権利を守るために作られました。子どもに関する政策を行う際の基礎として作られたとも言えますね。子ども家庭庁で行われる施策はもちろん、その他の市町村での計画も、この法律に基づいて作られることになります。

まとめ

子ども・子育て支援法は健全な保育を推進する法律

ここまで、子ども・子育て支援法について、関連3法や新制度との関係も含めて説明してきました。国全体における保育の質を向上させるために、様々な政策が行われていることがわかりましたね。施行から約7年経っていますが、中には今まで知らなかった内容がある人もいるのではないでしょうか。保育制度を上手く活用するためにも、しっかりと内容を理解しておきましょう。今後も進んだ政策によって、健全な保育が実現されていくと良いですね。

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