保育園で子どもが怪我をした際の対応とは?【対応マニュアル・保護者対応・対策・工夫】

保育園で子どもが安心して過ごせる環境を整えることは、保育士にとって大切な役割の1つ。しかし日常生活の中では、遊具での遊びや友達との関わり、活動中のちょっとした不注意から怪我が起こることもあります。こうした怪我は大きな事故につながる可能性もあるため、保育士は常に危険を予測しながら見守り、迅速で適切な対応を行うことが求められます。今回の記事では、保育園における子どもの怪我について、怪我をする場面や対応、怪我を防ぐ工夫などを紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

保育園で子どもが怪我をする場面

走り回って転ぶ

保育園では、子どもたちが園庭や保育室内で元気に走り回る姿がよく見られますよね。しかし、勢い余って足がもつれたり、友だちや遊具にぶつかって転倒してしまうことも。転んだ際には擦り傷や打撲など軽い怪我にとどまる場合が多いですが、状況によっては大きな怪我につながる可能性も否定できません。そのため、保育士は遊ぶスペースの安全を確保するとともに、子どもたちの動きをよく観察し、危険が及ぶ前に声を掛けるなどの配慮が求められます。

遊具から転落する

保育園の園庭や公園で遊具を使って遊んでいる際、子どもが誤って遊具から転落してしまう場面があります。特に滑り台やジャングルジムなど高さのある遊具では、足を踏み外したり、順番を守らずに急いで遊んだりすることで転落の危険が高まります。落下してしまった際には擦り傷や打撲などの軽傷で済む場合もありますが、骨折や頭部を打つ重大な怪我に発展することも。そのため保育士は常に目を配り、危険な行動を未然に防ぐとともに、安全に遊べるルールを日頃から子どもたちに分かりやすく伝えていくことが大切ですね。

子ども同士の喧嘩

保育園では、子ども同士の関わり合いが日々の成長につながる一方で、時には玩具や遊び方をめぐる意見の食い違いから喧嘩に発展し、怪我につながることがあります。特に年齢の小さい子どもは言葉で気持ちを十分に伝えることが難しく、手が出てしまう場面も少なくありません。軽い擦り傷や引っかき傷で済む場合が多いですが、時には転倒や打撲といった大きな怪我になることも。そのため保育士は、子どもの言動をよく観察し、早めに声をかけてトラブルを未然に防ぐことが大切です。また、喧嘩後には双方の気持ちを丁寧に受け止めることで、子ども自身が相手を思いやる心や解決の仕方を学ぶ機会にもつながるでしょう。

誤飲や飲食によるやけど

保育園では日常の中に多くの危険が潜んでおり、その1つに誤飲や飲食によるやけどがあります。小さな子どもは好奇心から身近な物を口に入れてしまうことがあり、玩具や小さな部品を飲み込んでしまうと窒息や内臓の損傷につながる恐れがあります。また、給食やおやつの際に熱いスープやお茶を不用意に口にすると、口腔内や食道をやけどしてしまう危険も。こうした事故は一瞬の不注意で起こるため、保育士は子どもの行動を常に観察し、誤飲防止のために玩具の大きさや食器の温度管理に十分配慮することが求められるでしょう。

はさみや紙などを使用した製作中の怪我

製作活動の時間には、はさみや紙、のりなどを使うため、子どもが怪我をする場面が想定されます。例えば、はさみの使い方に慣れていない子どもが誤って指を切ってしまったり、紙の端で手を切ったりしてしまうことがあります。また、集中して作業するあまり周囲への注意が不足し、友だちと手がぶつかってはさみが滑るなどの事故につながることも。そのため保育士は、年齢に応じた安全な道具を選び、使い方を丁寧に指導することが必要です。また活動中も常に子どもの手元や動きを見守る必要があるでしょう。

保育士くらぶ

保育園で子どもが怪我をした際の対応

①応急処置をする

保育園で子どもが怪我をした際には、まず迅速に応急処置を行うことが大切。出血がある場合には清潔なガーゼで圧迫止血をし、擦り傷や切り傷には流水で洗浄した上で消毒を行います。打撲や捻挫が疑われる場合には、患部を冷やして腫れを抑えるなど、状況に応じた対応が求められます。応急処置の際には感染予防を意識し、清潔な手袋や器具を使用することも重要。また、子どもに安心感を与えるよう声をかけながら処置を行い、痛みや不安を和らげることも大切です。処置後は速やかに園内での事故報告体制に従って記録し、必要に応じて医療機関や保護者に連絡を取る準備を整えておきましょう。

②園長先生や主任に報告する

保育園で子どもが怪我をした際には、まず応急処置を行ったうえで、園長先生や主任に速やかに報告することが重要です。園長や主任は園全体の安全管理責任を担っているため、事故の内容を正確に伝えることで、今後の対応や再発防止策を検討できます。また、職員間で情報を共有することで、保護者への説明も一貫性を持たせることができ、園に対する信頼にもつながりますよ。さらに、園長や主任が状況を把握していることで、必要に応じて病院や関係機関への連絡もスムーズに行え、迅速かつ適切な対応が可能となるでしょう。

③必要であれば医療機関へ連れていく

子どもが保育園で怪我をした際には、状況に応じた迅速な判断が求められます。特に傷が深かったり、出血が止まらない場合、または骨折や頭部の強い打撲が疑われるようなケースがあるかもしれません。その際には、応急処置を行ったうえで速やかに医療機関へ連れて行く必要があります。また速やかに保護者へ連絡し、怪我の経緯や子どもの様子を丁寧に伝えることが大切ですよ。医療機関での診察を受けることで、適切な処置や後遺症防止につながり、子どもが安心して回復できる環境を整えることができるでしょう。

④保護者へ連絡をする

保育園で子どもが怪我をした際には、保護者への迅速な連絡が欠かせません。まず怪我の程度や応急処置の内容を正確に伝えることで、保護者が安心できるとともに今後の対応方針を共有できます。連絡の際には、どこで・どのようにして・どの程度の怪我であるかを具体的に説明し、必要に応じて医療機関への受診を促すことも重要です。また、言葉選びには配慮し、不安を煽らず誠実に伝える姿勢を心がけましょう。

⑤記録の作成をする

保育園で子どもが怪我をした際には、応急処置や保護者への連絡だけでなく、記録の作成も欠かせない対応の1つです。記録には、以下のような内容を正確に残します。

・怪我が発生した日時や場所
・事故の経緯
・子どもの行動や周囲の状況
・処置の内容
・職員が取った対応など

こうした記録は再発防止のための検討材料になり、園全体で安全対策を強化することができます。また、後日保護者から問い合わせがあった際に客観的に説明できる資料となり、園と家庭の信頼関係を守る役割も果たすでしょう。

⑥再発防止の検討を行う

保育園で子どもが怪我をした際には、応急処置や保護者への連絡だけでなく、再発防止のための検討が欠かせません。まず、事故が起きた状況を職員全員で振り返り、環境面や職員の対応、子どもの行動など複数の要因を多角的に分析します。そのうえで、遊具や室内環境の安全点検を強化したり、活動時の見守り体制を改善したりといった具体的な対策を立てることが大切。また、職員間で共有し日常保育に反映させることで、同じ事故を繰り返さない環境づくりにつながります。こうした取り組みは子どもたちの安全を守るだけでなく、保護者からの信頼にも直結します。

保護者対応における注意点

原因や状況の説明を曖昧にしない

保育園で子どもが怪我をした際の保護者対応では、原因や状況の説明を曖昧にせず、できる限り具体的かつ正確に伝えることが重要。「転んだようです」「ぶつかったみたいです」といった曖昧な表現では、保護者に不安や不信感を与えてしまいます。そのため、事故が起きた時間や場所、どのような活動中だったか、職員がどのように対応したかなどの詳細を正確に説明しましょう。こうした丁寧な説明を行うことで園に対する信頼が高まり、再発防止に向けた保護者との協力体制も築きやすくなりますよ。

今後の対応と再発防止策の提示をする

保護者対応においては、怪我の状況や処置内容を正確に伝えるだけでなく、今後どのように対応していくかを明確に示すことも重要。その際には、園としての再発防止策を具体的に説明し、保護者が安心できるように配慮します。例えば、見守り体制の強化や遊具の点検頻度の見直しなど、改善策を丁寧に伝えることで、園の安全への取り組み姿勢を示すことができますよ。さらに、保護者からの意見や要望も真摯に受け止め、連携を深めながら信頼関係を築いていくことが大切です。

保育園で子どもの怪我を防ぐ工夫

遊具や設置家具の定期点検

保育園で子どもの怪我を防ぐためには、遊具や設置家具の定期点検が欠かせません。遊具のネジの緩みや破損、ささくれ、錆びなどは子どもの転倒や挟み込みの原因となります。また、家具のぐらつきや角の欠けは思わぬ怪我を招く可能性があります。定期的に点検を行い、異常が見つかった場合は修繕や交換を実施して、安全な保育環境を維持していきましょう。さらに、点検内容を記録して職員間で共有することで、見落としを防ぎ、保育士全員が安心して子どもを見守れる体制を整えることができますよ。

見守りの人数を増やして死角をなくす

保育園で子どもの怪我を防ぐためには、保育士が十分に配置され、常に子どもたちを見守れる体制が欠かせません。特に園庭や室内の遊び場では、死角となる場所が多く存在し、子どもの小さな行動の変化を見逃してしまう危険も。そのため見守りの人数を増やし、配置を工夫して死角をなくすことで、子どもが不意に怪我をするリスクを大幅に減らすことができるでしょう。また、複数の保育士が関わることで、状況に応じて迅速な対応ができ、子ども自身の安心感にもつながります。このように、見守り体制を強化することは、怪我の未然防止に直結し、安全で安心できる保育環境づくりに大きく貢献するのです。

子どもたちへの安全教育

保育園での安全教育は、子どもたちが日常生活の中で自ら危険を回避できる力を養う大切な取り組み。例えば「走るときは周りをよく見よう」「はさみは座って使おう」など、具体的な場面に即したルールを繰り返し伝えることで安全な行動習慣が身につきます。また、絵本や遊びを通して楽しく学べる工夫を取り入れると、子どもたちの理解も深まりやすくなるでしょう。さらに保育士自身が手本となって行動することも、子どもにとっては印象の強い学びとなり、事故や怪我の予防につながりますよ。

こちらの記事では救急の知識について、子どもたちへの伝え方などを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください!

ヒヤリハットを全職員で共有する

保育園では、子どもの安全を守るために日々の小さなヒヤリハットを全職員で共有することが重要です。個人の経験にとどめず、情報を園全体で共有することで、同じ状況が再発するリスクを減らせます。例えば、園庭での転倒や製作中の道具の扱いなど、事故には至らなかった事例も細かく報告し合えば、職員同士で危険箇所の改善や指導方法の工夫につなげられますよね。この積み重ねが、予防意識の向上や環境の見直しを促し、結果として重大な事故を未然に防ぐことに直結するのです。

まとめ

安全な保育環境と信頼できる対応を心がけよう

いかがでしたか?今回の記事では、保育園における子どもの怪我について、怪我をする場面や対応、怪我を防ぐ工夫などを紹介しました。保育園での子どもの怪我は完全に避けることは難しいですが、日々の小さな工夫や情報共有によって大きく減らすことができます。怪我が起きた際には冷静な対応とともに、原因を振り返り再発防止へつなげる姿勢が重要。また、保護者への丁寧な説明や協力体制も安心感を与える大切な要素となりますよ。子どもたちが安全にのびのびと過ごせる環境を築くことは、保育士にとって最も大きな使命であり、日々の実践の積み重ねが信頼につながっていくでしょう。

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