放課後等デイサービスで看護師として働くには?【なるには・仕事内容・給料・メリット・デメリット】

放課後等デイサービスとは、障害を持つ子供たち(主に6~18歳の小中高生)が放課後や長期休みに通う、療育を目的とした施設です。放課後等デイサービスでは様々な職種の人が働いていますが、そのうちの一人が看護師。この記事では、放課後等デイサービスで看護師がどのような役割を担っているのか、看護師が放課後等デイサービスで働くメリット、デメリットなどを紹介します。就職先や転職先を探している看護師さんはぜひこの記事を参考に、放課後等デイサービスを勤務先の一つの選択肢にしてみてはいかがでしょうか?

放課後等デイサービスの看護職員になるには?

看護師・准看護師・保健師・助産師いずれかの資格が必要

放課後等デイサービスで看護職員として働くには、 看護師、准看護師、保健師、助産師のいずれかの資格が必要です。特に、医療ケアを必要とする重度心身障害児型の放課後等デイサービスには看護職員が営業時間の間、1人以上勤務していなければなりません。一般的な放課後等デイサービスでは、医療ケアが必要な子供が施設を利用しているときのみ看護職員の配置が必要です。医療資格を持っていないと行うことができない仕事も多く、看護職員は放課後等デイサービスで重要な役割を担っています。

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放課後等デイサービスで働く看護師の仕事内容は?

子供に対する医療的処置やケア

放課後等デイサービスで働く看護師の仕事で一番重要なのが子供に対する医療的処置やケア。具体的には、 人工呼吸器の管理や胃ろうからの経管栄養、気管切開からの吸引などがあります。これらは医療行為であり、放課後等デイサービスでは看護師以外は行うことができません。ただし、重度心身障害児に対する医療ケアは嘱詫医の指示のもとで行われます。重度心身障害児がいない施設では、インスリン注射の補助や服薬管理など比較的簡単な医療ケアを行います。

子供の送迎への付き添い

放課後等デイサービスにおける看護師の仕事二つ目は、子供の送迎への付き添いです。放課後等デイサービスでは、子供たちの家や通っている特別支援学校から施設までの送迎を行っている施設があります。送迎の道中、子供たちが車内で体調を崩してしまうことが。そのようなとき、看護師が付き添うことで、すぐに対処することができます。また、特別支援学校の教員から、子供たちの体調の申し送りや学校での様子等を聞くことも送迎中の看護師の仕事です。

子供への食事・排泄介助

三つ目は、子供への食事介助や排泄介助です。放課後等デイサービスでは子供たちにおやつが出ることが多く、看護師による食事介助が必要です。食事介助が必要なのは長期休暇中のお昼も同様。安全に食事ができるように子供たちへの注意はかかせません。また、オムツ替え等の排泄介助も行います。食事介助や排泄介助は他のスタッフが行うこともありますが、医療ケアが必要な子供への介助には看護師が不可欠です。

子供の健康管理

四つ目は、子供の健康管理です。放課後等デイサービスは障害を持つ子供たちの療育を目的としていますが、子供たちの安全と健康があってこそ。そのためには、看護師が子供たちを観察し、注意しておくことが必要です。障害を持つ子供たちの中には自分の体調管理が苦手な子がいます。そのため、看護師が子供たちの様子を注意深く観察し、いち早く体調不良に気が付けるようにしなければなりません。体調面だけでなく、ケガにも注意が必要です。特に、公園や運動場などの外遊びのときにはより一層注意しましょう。

保護者のサポート

五つ目は、保護者のサポートです。子供たちの体調の変化を保護者に伝えたり、医療機関の受診を進めたりするのも看護師の仕事です。保護者とのコミュニケーションは、子供たちのケアにおいて欠かせない要素であり、信頼関係を築きながら情報の共有やサポートを行うことが重要です。障害を持つ子供のお母さんやお父さんには医療面やそれ以外でもわからないことや不安なことが多くあるでしょう。そのようなときに気軽に質問できる環境を作ることができると良いですね。

レクリエーション等への参加

六つ目はレクリエーションや遊びへの参加です。子供たちが放課後等デイサービスで楽しい時間を過ごすことができるよう、スタッフ側も全力で遊びを楽しみましょう!楽しいという感情は子供たちにも伝わります。子供たちと一緒にはしゃいで楽しむという経験は病棟勤務ではなかなかできない体験でしょう。ただし、楽しい気持ちは安全や健康があってこそ。全力で遊びながらも子供たちのケガや体調への注意は忘れずに。

放課後等デイサービスで働く職員の平均年収は?

約405万円

働くうえでお給料はやはり気になるポイントですよね。厚生労働省の調査※1によると、放課後等デイサービスで働く職員の平均年収は約4,048,000円でした。正看護師の平均年収は約5,081,700円(厚生労働省の資料より算出※2)のため、放課後等デイサービスの年収は病院で働くより低くなっています。病棟勤務の看護師よりも平均年収が低い要因として、病棟勤務と違い夜勤がないことや勤務時間が決まっており、残業が少ないことなどが考えられます。
※1「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果の概要
※2「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとに「決まって支給する現金給付金額×12ヶ月」に「年間賞与その他特別給付額」を合算して算出

放課後等デイサービスで看護師として働くメリット

柔軟な勤務時間や働き方が可能

ここからは、放課後等デイサービスの看護師として働くメリットを紹介します。メリットの一つ目は、柔軟な勤務時間や働き方が可能なことです。放課後等デイサービスの主な営業時間は昼過ぎから夕方頃です。また、看護師が常駐勤務していなければならない施設や医療ケアが必要な子供がいるときのみ看護師が勤務している施設など、施設によっても働き方は様々。自分の都合に合わせた勤務が可能です。正社員だけでなく、パートやアルバイトでの勤務募集をしている施設も多くあります。

医療的処置やケアが少ない

メリットの二つ目は、医療的処置やケアが少ないことです。放課後等デイサービスは医療ケアの提供ではなく、療育が目的。そのため、基本的に放課後等デイサービスに来る子供たちはその日の調子が良い子たちであり、体調は安定しています。急に体調を崩すことがない限り、医療ケアが必要なことはあまりありません。ただし、重度心身障害児が通う施設では常に医療ケアを行う必要があるでしょう。

子供に焦点を当てたサービスの提供ができる

三つ目は、子供に焦点を当てたサービスの提供ができることです。一般的な病棟では、子供だけでなく、様々な年代の人の看護にあたることがほとんど。また、希望ではない科の病棟に配属されることもあるでしょう。しかし、放課後等デイサービスに通っているのは子供たちのみ。子供が好きで子供に関わる仕事をしたいという看護師さん向けの職場です。レクリエーションや遊びなどで子供たちと一緒に思いっきりはしゃぐことができますよ。

幅広い業務内容で多くの経験を積むことができる

四つ目は、幅広い業務内容で多くの経験を積むことができることです。放課後等デイサービスでは、看護師として子供たちの医療ケアを行うだけでなく、レクリエーションへの参加や学習のサポートなど、他のスタッフと同じ業務をする必要があります。そのため、多くの経験を積むことができるでしょう。また、放課後等デイサービスは障害者施設の一つであるため、1年以上の勤務実績があれば、転職などの際に精神科での勤務実績とみなしてもらえる場合があります。

子供一人ひとりと向き合うことができる

五つ目は、子供一人ひとりと向き合うことができる点です。現在、放課後等デイサービスでは利用定員を10人としている施設が大半。同時に施設を利用する人数が少ないため、子供一人ひとりに合わせたサービスや支援を行うことができます。子供たちと時間をかけてじっくりと信頼関係を構築していきたいと考える看護師さんにオススメの職場です。一人ひとりの特性を見出し、その子にあった対応ができると良いですね。

放課後等デイサービスで看護師として働くデメリット

給与面への不満

一方で、看護師が放課後等デイサービスで働くデメリットも多くあります。一つ目は、給与面への不満です。上で述べたように、病棟勤務の看護師さんより平均年収が低いのが現状。給料が低いのに伴い、業務量もあまり多くないため、物足りなさを感じてしまう人もいるようです。給料や勤務時間、残業時間、夜勤の有無などを考慮し、看護師として自分の希望に合った働き方を見つけることができると良いですね。

特殊な医療ケアが必要な場合がある

デメリットの二つ目は、特殊な医療ケアが必要な場合があることです。特に重度心身障害児が通う放課後等デイサービスには様々な医療ケアを必要とする子供たちがいます。その子たちのケアをするには高度なスキルや専門知識が要求されます。このような点からも、重度心身障害児が通う施設なのかは、勤務する施設選びの重要なポイントと言えるでしょう。また、急な発作や体調不良に即座に反応できるための経験も必要です。

障害や子供についての深い知識が求められる

三つ目は、障害や子供についての深い知識が求められることです。障害を持つ子供たちを相手にするため、病棟での勤務とは異なる特殊な知識が必要です。放課後等デイサービスには様々な障害を持つ子供たちが通っているため、一人ひとりに合わせた知識も要求されます。就職し、実際の勤務が始まってからも継続的な勉強が重要でしょう。放課後等デイサービスでの仕事は医療ケアだけではありません。放課後等デイサービスのスタッフとして、子供たちへの指導をすることがあります。子供に関する障害や医療知識だけでなく、小児心理の知識も必要です。

周りに医師がいない

四つ目は、病院と異なり、勤務中周りに医師がいないことです。基本的に施設にいる医療スタッフは看護師一人。急変などが起きた場合は、医師や救急隊が到着するまでは自分一人で対応、処置を行う必要があります。落ち着いた行動ととっさの判断が必要です。そのようなときには凄まじいプレッシャーを感じるでしょう。また、放課後等デイサービスには専門的な医療用具を置いていないことが多く、最低限の処置をすることしかできません。そのような状況でよりよい行動をとることができるよう、日頃から自分はどうするべきか考えておくことが必要でしょう。

まとめ

放課後等デイサービスで看護師として子供たちをサポートしよう!

いかがでしたか?今回は、放課後等デイサービスにおける看護師の仕事内容やメリット、デメリットについて紹介しました。放課後等デイサービスは、障害を持つ子供たちが安全に健康に、楽しみながら社会のルールや生活規範を学ぶ施設です。このような施設は今後も増加していくと考えられています。子供が好き、子供たちと一緒に楽しみながら働きたいという看護師さんは、この記事を参考に、自分の希望の働き方に合った放課後等デイサービスでの勤務を考えてみてはいかがでしょうか。

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保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/