保育園では小さな子どもたちが集団で過ごしており、子どもたちの安全を守る保育士の責任は非常に大きなものです。不審者の侵入を想定した備えや、万が一の際の迅速な対応が、被害を最小限に抑える上で重要となりますよ。この記事では、保育園が日常的に取り組める防犯対策から、緊急時の対応、心のケアに至るまで、安全を守るためのポイントを包括的に紹介しています。保育園の防犯対策について知りたい保育士の方に、ぜひ読んでいただきたい記事です。
保育園の防犯対策で最も大切なことは?
不審者を保育園に侵入させないこと!

保育園における防犯対策で最も重要なのは、不審者を敷地内に侵入させないことです。子どもたちの安全を守るためには、物理的なセキュリティ対策と職員の意識の両面が求められますよ。門扉や玄関の施錠、監視カメラの設置、インターホンでの来訪者確認などは防犯対策の基本と言えます。また、職員全員が日常的に防犯意識を持ち、知らない人物には必ず声をかけることが大切です。さらに、不審者対応の訓練を定期的に実施し、万が一に備えることも欠かせません。
保育園でできる防犯対策
防犯教室を開く
保育園での防犯対策として効果的なのが、防犯教室の開催です。まずは子どもたち自身が危険を察知し、自分の身を守る意識を持つことが何より重要です。防犯教室では、不審者に声をかけられたときの対応や、大声を出す・逃げるといった基本的な行動を学びます。また、職員や保護者も一緒に参加することで、園全体の防犯意識を高めることができますよ。保育園内で企画しても良いですが、警察署や地域の防犯団体を招き、実演を交えた指導を受けると、より実践的で効果的です。
防犯マニュアルの整備
保育園での防犯対策を強化するには、防犯マニュアルや防犯ツールの整備が欠かせません。不審者の侵入時や緊急事態への対応を明確にする防犯マニュアルを作成し、職員全員が内容を把握して共有しておくことが重要です。特に緊急時の連絡網や避難経路の確認など、実践的な訓練も定期的に行うことで、いざという時に迅速かつ冷静な対応が可能になります。防犯マニュアルと防犯ツールの充実は、子どもたちの安全を守るための大きな支えとなるでしょう。
デジタルツールで登園管理
保育園の防犯対策として、登園管理にデジタルツールを活用する方法があります。タブレットや専用アプリを使い、登園と降園の時刻をリアルタイムで記録して共有することで、子どもの所在を正確に把握できます。保護者との連携もスムーズになり、万が一の引き渡しミスや不審者による連れ去りのリスクを減らす効果がありますよ。また、顔認証やICカードを活用すれば、職員の負担を軽減しつつセキュリティ性も向上します。デジタルツールは効率化だけでなく、防犯強化にも大きく貢献する手段です。
オートロックで対策
オートロックの導入も、保育園の防犯対策として非常に有効です。外部からの不審者侵入を防ぐ第一の手段として、門や玄関にオートロック機能を設置することで、許可された人物以外の立ち入りを制限できますよ。インターホンやカメラ付きのオートロックシステムを併用すれば、職員が来訪者の顔や目的を確認したうえで解錠でき、安全性がさらに高まります。また、登園や降園の時間帯以外は施錠を徹底し、常に出入りを管理する体制を整えることも重要です。物理的なセキュリティを強化して、子どもたちの安全を守りましょう。
防犯カメラまたはダミーカメラの設置

防犯対策として、園の敷地内や敷地外に向けて防犯カメラを設置するのも大切です。例えば玄関や門、園庭、建物の死角などにカメラを設置することで、不審者の侵入を抑止する心理的効果が期待できます。防犯カメラであれば、映像の記録により事後の確認や警察への提供も可能ですよ。一方、コストを抑えつつ防犯意識を高めるには、ダミーカメラの設置も有効です。ただし、ダミーカメラはあくまで補助的な対策であり、本物の防犯機器と併用することが望まれます。子どもたちの安全を守るため、目に見える防犯体制を整えることが大切ですね。
近所の住人に日ごろから挨拶をする

保育園でできる身近な防犯対策のひとつに、近所の住民との挨拶が挙げられます。日ごろから地域の方々と顔見知りになっておくことで、不審な人物や普段と違う様子にいち早く気づいてもらえる可能性が高まるのです。園の職員や保護者が近所の方々と積極的に挨拶を交わすことで、地域との信頼関係が築かれ、子どもたちを見守る目が自然と広がっていきますよ。地域ぐるみでの防犯は、不審者への抑止力につながります。
保育園の外では名札を付けない
保育園での防犯対策として、園外活動時に子どもに名札を付けないことは重要な防犯対策です。もしも、名札に記載された名前を不審者に知られてしまった場合、「〇〇ちゃんのママのお友達だよ」などと、親しげに声をかけられたり信用させられたりするリスクが高まります。また、名前を呼ばれると子どもは安心してしまうため、知らない人について行ってしまう危険性も高まるのです。そのため、園外に出る際には名札を外す、または見えない位置に個人マークをつけるといった対応を徹底しましょう。
不審者が侵入してきたときの対応
①侵入を確認したらすぐに110番通報

不審者を園内に侵入させないことが最善ですが、万が一不審者が侵入した場合は、すぐに110番通報をしましょう。現場の混乱を最小限に抑えるためにも、誰が通報するのかを事前に役割分担しておくと安心です。110番通報時には「保育園で不審者が侵入し、〇〇の場所にいる」といった具体的な情報を伝えましょう。また、通報と同時に、子どもたちを安全な場所に避難させ、園内の施錠を徹底することも必要です。万が一の危機に備えて、スムーズな連携が取れるように職員間で訓練をしておきましょう。
②鍵のかかる部屋に子どもたちを避難させる
不審者の侵入が発生したら、すぐに子どもたちを安全な部屋に誘導しましょう。不審者から物理的に距離を取ることで、子どもたちの命を守ることができます。このとき、職員は落ち着いて子どもたちを誘導し、不安を与えないように声かけを行うことが重要です。また、日頃から避難する部屋やルートを職員間で共有し、訓練を重ねておくことで、緊急時も迅速な対応ができますよ。避難後は室内の電気を消して静かに待機するなど、不審者に気づかれにくい工夫も必要です。的確な避難行動が、子どもたちの安全確保に直結します。
③不審者には接触せず対応
不審者への対応は、接触を避けて十分な距離を取って行いましょう。不審者の侵入動機や隠し持った凶器の有無は、侵入直後には確認しきれません。そのような状態で不審者を刺激してしまうと、暴力行為に及ぶ危険性が高まります。まずは距離を取りつつ現状を把握して、具体的で正確な情報を警察に伝えることが必要不可欠です。また、子どもたちの様子にも気を配りましょう。冷静に、かつ慎重に行動することが、被害を最小限に抑える鍵となります。
➃不審者が暴れたときは物を投げつけひるませる
保育園に不審者が侵入して万が一暴れ始めた場合には、子どもたちの命を守るために、最終手段として身近な物を投げつけて不審者をひるませることが有効です。椅子や消火器、おもちゃ箱など手に取れる物を活用して不審者の動きを一時的に止めることで、避難や通報の時間を稼ぐことができますよ。ただし、この行動はあくまで子どもたちや自分の命に危険が及ぶと判断した緊急時に限ります。通報と安全確保を最優先に行動しましょう。
⑤対応完了後は保護者へ連絡

不審者対応が完了し、子どもたちの安全が確保された後は、速やかに保護者への連絡を行いましょう。事実を正確に伝えるとともに、園として適切に対応したことを説明することで、保護者の不安を和らげることができます。連絡手段は一斉メールや連絡アプリ、電話などを使い、混乱を避けて迅速に情報を共有しましょう。また、今後の対応方針や登園への影響なども合わせて伝えると安心感につながりますよ。万が一の事態に備え、あらかじめ連絡体制を整備しておくことが大切です。
⑥必要に応じてカウンセラーの手配をする
不審者が侵入するという非常事態を経験した子どもたちや職員には、精神的ショックが残ることがあります。そのため、対応完了後は必要に応じてカウンセリングの機会を設けましょう。特に子どもたちは、恐怖心や不安をうまく言葉にできないことが多いため、ストレスをため込んでしまうことがあります。このとき、専門のカウンセラーによるフォローアップが有効ですよ。また、職員自身もストレスや緊張が蓄積されているため、必要に応じてサポートを受けましょう。
備えておくべき防犯グッズは?
バリケードや防犯盾
保育園での防犯対策を強化するためには、バリケードや防犯盾といった防犯グッズを事前に備えておくことが重要です。不審者が侵入した際、バリケードは通路や出入口をふさぎ、子どもたちのいる空間への侵入を遅らせる効果があります。また、防犯盾は職員が身を守りながら子どもをかばう際に有効で、万が一の対峙にも対応できる心強いツールです。こうした防犯グッズは、目立たない場所に常備しておき、いざというときにすぐ使えるように職員全員が使い方を確認しておきましょう。
ホイッスルや防犯ブザー

保育園での防犯対策として、手軽に導入できるグッズが防犯ブザーやホイッスルです。不審者の侵入や危険を感じた際に、大きな音を発することで周囲に異常を知らせて、不審者を威嚇したりけん制したりする効果がありますよ。職員が常に身につけておくことで、緊急時にすぐ使用でき、状況を迅速に園内に伝えることが可能になります。また、ブザーやホイッスルは電気が不要なため、災害時にも応用できますよ。
催涙スプレー
催涙スプレーは、不審者が暴れたり接近してきたりした際に一時的に動きを止める効果があり、職員や子どもたちの安全を確保する時間を稼ぐことができます。ただし、使用には注意が必要です。風向きや使用距離を誤ると、職員自身や子どもに影響が及ぶ可能性もあります。そのため、使用方法をしっかり理解したうえで、限られた職員のみが扱うようにしましょう。また、法令や地域の指導要領に従い、備えや使用の可否を確認することも大切です。催涙スプレーはあくまでも最後の手段として厳重に保管しましょう。
まとめ
不審者の侵入対策と有事の際の対応を確認しよう
保育園における不審者対策は、子どもたちの命と安全を守るために欠かせない取り組みです。オートロックや防犯カメラなどで不審者の侵入を未然に防ぐとともに、万が一の侵入に備えた避難マニュアルや防犯グッズの整備も大切ですよ。不審者が現れた場合には、速やかな通報と安全な避難、冷静な対応が求められます。日頃から園全体で防犯意識を高め、地域とも連携しながら安全な環境づくりを進めていきましょう。