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保育所保育指針は、保育園における保育の基本的な考え方や方向性を示す国の指針です。子どもの健やかな成長を支えるための指針であり、全国の保育現場で共通の基盤となっています。平成30年には社会や家庭環境の変化を受けて改定が行われ、保育の目標や内容がより具体的に示されるようになりました。この記事では、保育所保育指針の概要や改定の背景、そして子どもに育ってほしい10の姿について紹介します。保育や子育てに関わる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
保育所保育指針とは?
保育の考え方を具体化したもの

保育所保育指針とは、保育園における保育の基本的な考え方や方向性を国が定めた指針です。子ども一人ひとりの健やかな成長を保障するために、養護と教育を一体的に行うことを理念としていますよ。保育士が日々の保育を計画し、実践し、振り返る際の基盤となり、保護者や地域社会とも保育の在り方を共有する役割を持ちます。現場での保育の質を確保し、全国で一定の水準が保たれるように示された枠組みといえるでしょう。
保育所保育指針が改定された背景は?
子どもと家庭を取り巻く環境の変化

少子化や核家族化、共働き世帯の増加など、社会の構造は大きく変化してきました。家庭だけで子育てを担うことが難しくなり、保育園へのニーズは年々高まっています。また、発達障害や外国につながる子どもなど、多様な背景を持つ子どもも増え、保育にはきめ細かな対応が求められるようになりました。こうした状況を踏まえ、保育所保育指針は時代に合わせた改定が必要とされ、子どもや家庭の実態に即した保育の方向性が打ち出されたのです。
保育所保育指針の改定内容は?
保育の目標や内容がより明確に示された
改定では、子どもの発達に応じた保育の目標や内容が一層具体的に示されました。以前は抽象的だった部分が整理され、保育士が日々の実践に取り入れやすい形になっています。例えば、年齢ごとに育んでほしい姿や活動の方向性が明文化され、全国どの園でも一定の質が確保される仕組みが整いました。これにより、子ども一人ひとりの育ちを支えるための道筋がより明確になり、保育士が自信を持って保育を計画して実践できるようになったのです。
保育園が教育機能を持つ施設として明確化された

改定によって、保育園は単に子どもを預かる場ではなく、教育的な役割を担う施設であることが明確に位置づけられました。保育の中で行われる遊びや生活の体験は、子どもの学びや成長につながる重要な教育活動です。特に言葉や社会性、感情のコントロールなど、就学前に身につけたい力が保育の中で育まれることが強調されていますよ。これにより、保育園は家庭や地域と連携しながら、幼児教育の一端を担う存在として期待されるようになったのですね。
子どもの健康と安全への配慮が一層強化された
改定では、子どもの健康や安全への配慮がこれまで以上に重視されました。日常的な衛生管理や事故防止はもちろんのこと、アレルギーや感染症への対応、災害時の安全確保といった幅広い場面での配慮が求められています。また、子どもの体調や心の変化に早く気づき、適切に対応することも重要な役割とされました。安心できる環境が整うことで、子どもは心身ともに健やかに成長でき、保護者も安心して子どもを預けられるようになります。
子育て支援の取り組みが一層充実した

改定では、保育園が子どもを預かるだけでなく、家庭を支える拠点としての役割をより強く担うことが示されました。具体的には、保護者への子育て相談や情報提供、家庭と園との密接な連携が重視されています。また、地域の子育て家庭への支援や交流の場を提供することも明記され、地域全体で子育てを支える体制づくりが求められるようになりました。これにより、保育園は子どもと保護者の双方を支える、地域に開かれた子育て支援の拠点としての役割を果たすことが期待されています。
保育の質向上に向けた取り組みが追加された
改定では、保育の質を継続的に高めるための仕組みが新たに盛り込まれました。特に、計画・実践・評価・改善というサイクルを重視し、園全体で保育を振り返り、次につなげる体制づくりが求められています。これにより、保育士一人の努力にとどまらず、組織として保育の質の向上を図ることが可能になりました。また、職員の研修などの機会も明確化され、専門性を高めながら子どもにより良い保育を提供し続けるための基盤が整えられていますよ。
育ってほしい10の姿とは?
健康な心と体

子どもが成長するうえで大切な基盤となるのは、心と体の健康です。栄養バランスの整った食事や十分な睡眠、そして外での遊びや運動を通して基礎体力を養うことは欠かせません。体を動かす心地よさや楽しさを感じる経験は、健やかな体づくりと生活リズムの安定につながりますよ。また、大人や友だちに囲まれ、自分が受け入れられていると実感することは情緒の安定を促し、心の健康を育みます。体が元気で心が落ち着いていると、子どもは日々の遊びや学びに意欲を持ち、自分らしくのびのびと成長することができるのですね。
自立心
自分のことを自分でやろうとする気持ちや態度は、子どもの成長に欠かせない要素です。衣服の着脱や食事など身の回りのことに挑戦する経験は、自信を育み、自立心を育てる第一歩となりますよ。うまくできなくても、繰り返し挑戦する中で「自分でできた」という達成感を得ることが大切なのです。また、大人に頼るだけでなく、自分で考えて行動する力を育てることは、問題解決力や主体性にもつながります。保育の中で見守られながら自分の力を試す経験を重ねることで、子どもは将来につながる自立心をしっかりと育んでいけるのですね。
協同性
子どもは友だちや大人との関わりを通して、思いやりや協力する力を育みます。遊びや共同の活動では、自分の思いを主張するだけでなく、相手の気持ちを理解し、折り合いをつけながら進める経験が大切ですね。役割を分担して遊んだりする中で、協力する楽しさや達成感を味わうことができます。こうした経験を重ねることで、人と協力して目標を達成する力が育ち、社会生活の基盤となる協同性が身につきますよ。協同性は、友人関係を築くだけでなく、将来の学びや仕事にもつながる重要な力となるでしょう。
道徳性や規範意識の芽映え
子どもが集団生活を送る中で大切なのが、道徳性や規範意識の芽ばえです。順番を守る、約束を守るといった基本的なルールを学ぶことは、周囲の人との信頼関係を築く第一歩となります。また、善悪を判断する力や相手を思いやる気持ちは、日々の生活や遊びの中で自然に育まれていきますよ。例えば、おもちゃを譲り合ったり、困っている友だちを助けたりする経験は、社会性と道徳性を培う大切な学びです。こうした積み重ねによって、子どもは社会の一員として行動する力を少しずつ身につけ、将来の生活に必要な基礎を築いていきますよ。
社会生活と関わり
子どもは家庭や保育園だけでなく、地域社会や様々な人との関わりを通して社会性を育んでいきます。友だちと遊ぶことや地域の行事に参加することは、自分が社会の一員であることを実感できる大切な機会ですね。また、地域の人にあいさつをする、公共の場でのマナーを学ぶといった体験は、社会で生きていく力を身につけるきっかけになります。こうした経験を積み重ねることで、子どもは他者を尊重し、社会とつながる喜びを知るようになりますよ。社会生活との関わりは、将来の人間関係づくりや社会参加の基盤となる力を育てるのです。
思考力の芽生え
子どもは身近な出来事に疑問をもち、考えたり試したりする中で思考力を育んでいきます。例えば、積み木を高く積もうとして崩れてしまったときに「どうしたらうまくいくのか」と試行錯誤する経験は、考える力を伸ばす大切な学びですよ。また、友だちや保育士との会話を通じて、自分の考えを言葉にし、相手の意見を聞くことも思考を深める機会となります。思考力の芽ばえは、学習の基盤となるだけでなく、将来の社会生活を豊かにする力へとつながるでしょう。
自然との関わり・生命尊重

子どもは自然に触れる体験を通して、豊かな感性と命を大切にする心を育みます。草花や虫、動物と関わることで、生き物の不思議さや命の尊さを実感できますね。例えば、植物に水をやり成長を見守る体験や、小さな生き物を観察する活動は、生命を慈しむ心を育てます。また、四季の変化や自然の美しさに気づくことは、感性を豊かにし、環境を大切にする気持ちにつながりますよ。自然との関わりを通じて養われた生命尊重の心は、人との関わりを大切にする姿勢へと広がり、子どもが社会の中でよりよく生きていくための基盤となるのです。
量・図形や文字等への関心・感覚

子どもは遊びや生活の中で、自然と数や形、文字に親しんでいきます。積み木を並べたり、高さを比べたりする活動は数量や図形への感覚を育みます。また、絵本の読み聞かせや文字に触れる経験を重ねることで、言葉の面白さや文字への関心が芽生えますよ。こうした体験は、学習として強制するのではなく、遊びや日常のやりとりの中で楽しみながら身につくことが大切です。量や図形、文字に親しむことは、就学後の算数や国語の基礎となり、学ぶ意欲を育てる大切な土台となりますね。
言葉による伝え合い
子どもは日々の生活や遊びの中で、言葉を使って気持ちや考えを伝え合う力を育んでいきます。自分の思いを言葉にして表現する経験は、自己理解や自己肯定感を高めるきっかけとなります。また、相手の話を聞いて受け止めることは、他者理解や共感の力を養うことにつながりますよ。絵本の読み聞かせや会話のやりとりは、語彙を豊かにし、表現力を広げる大切な場面です。言葉を介したやりとりの積み重ねにより、子どもは人との関係を深め、社会生活に必要なコミュニケーション能力を少しずつ育てていくのですね。
豊かな感性と表現
子どもは音楽や絵、体を使った遊びなどを通して、感性を磨き、自分の思いを表現する力を育てます。歌を歌ったり絵を描いたりする中で、心が動いたことを自由に表す経験は、創造力や自己肯定感を高める大切な機会となりますよ。また、感性豊かに物事を感じ取ることは、他者への共感や理解する力にもつながります。表現の方法に正解はなく、子どもが安心して自分らしさを発揮できる環境が重要ですよ。豊かな感性と表現は、子どもの個性を尊重し、将来の学びや人間関係を豊かにする土台となるでしょう。
まとめ
今後も保育の質向上が求められる
保育所保育指針は、子どもの利益を守り、健やかな成長を支える重要な基盤となっています。改定を通じて保育の目標や内容がより具体的に示され、保育園が教育機能を担う施設としての役割が明確化されました。また、子育て支援や安全への配慮、保育の質向上に向けた取り組みも整備されています。今後も社会の変化に柔軟に対応し、保育士や保護者、地域が連携して子どもを育てていくことが大切です。継続的な保育の質向上が、未来を担う子どもたちの豊かな成長へとつながっていきますよ。




















