遊び食べはいつまで続く?対応時の5つのポイント【しつけ・2歳・3歳・させない・声掛け】

そもそも遊び食べって?

探索期の子どもの成長過程のひとつ

遊び食べとは、探索期の子どもの成長過程のひとつです。ご飯の際に出された食器やご飯を使って遊び始めてしまう事を指します。子どもの遊び食べという行動に実は明確な定義はありません。子どもが成長していくにつれて自然とあらわれてくる行動ですので、一概に全ての子どもに必ず起こるものというわけでもありません。遊び食べをしない子どもももちろんいます。遊び食べをする時間が長いと、1日に必要な栄養を十分にとれていない場合があります。しっかりと食事をする習慣をつけましょう。

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遊び食べをする4つの原因

①好奇心の表れ

子どもからすると、見るものすべてが知らないものばかり。見たことがない食材や触ったことがない質感の食器など興味の対象です。食材の熱さや固さにも興味津々でこれはなんだろう?どうなるのだろう?とそれがどんなものなのか手で触って確かめて知ろうとします。食べるよりも先に手が動いてしまうんですね。自分の意思を持ち実際に触ってみたり考えたりすることで、周りの環境に興味を持ち始めます。

②集中力の持続性

子どもの集中力は月齢が低いほど短いです。

【年齢別 子どもの集中できる時間数】

2歳:4〜6分

4歳:8〜12分

6歳:12〜18分

8歳:16〜24分

10歳:20〜30分

12歳:24〜36分

14歳:28〜42分

16歳:32〜48分

2歳で4~6分ですので、それよりも月齢の低い子ども達はより集中力が持続しない事が多いと考えられます。最大でも10分ほどでしょうか。集中力が切れないうちにテンポよくメリハリをつけてあげることが大切です。

③食べ慣れていない食材

子どもの発達にあっていない硬さの食材を与えてしまうと、もぐもぐと咀嚼する時間が長くなります。遊んでいるわけではなく、頑張って飲み込んでいる場合があります。よく子どもの表情や口の動かし方を見て発達にあった状態の食材を与えてあげましょう。調理室の方と日頃から細かく連携をとっていると子どもの小さな変化にも気が付きやすいですよ。また、初めての食材に関しては味や食感を知らないのでより遊び食べをする場合がありますので時間を多めにとってあげましょう。

④おなかが空いていない

子どもはお腹が空いていないと、ご飯を出されても食べません。食べたい気持ちより遊びたい気持ちが勝ってしまい、最初から遊び始めてしまう可能性があります。お腹が空いていれば、遊び食べを行っていても最終的にご飯を口に持っていくことが多いです。お菓子を与える量、1回の食事量の確認、食事のタイミング、1日の運動量などを一度見直してみましょう。保護者の方と相談をして、自宅での過ごし方や様子も教えてもらえると良いですね。

遊び食べの種類

好奇心から起こる遊び食べ

この中でとても2つ良い遊び食べがあります。どれでしょう?

① 食べ物を手でにぎったりぐちゃぐちゃにしたりこねたりする。

② 食器や食べ物をスプーンやフォークで叩いて音を出す。

③ 食べ物を床にわざと投げ捨てる。

④ だらだらと遊びながらご飯を食べる。

⑤ フォークやスプーンを持っているが食事をしない。 正解は①の食べ物を手でにぎったりぐちゃぐちゃにしたりこねたりする。 と②の食器や食べ物をスプーンやフォークで叩いて音を出す。です。それ以外はよく見られる遊び食べの事例。一般的に①と②があまり良くない遊び食べのイメージがあるかと思いますが、実は違います。①は、どんな感触なのだろう?これはなんだろう?と大人からは遊んでいるように見えますが、食材について考えて学んでいます。自分で食べたいという気持ちや知りたいという気持ちが芽生え始めている証拠でもありますね。指先を使って物を触ったり、考えたりすることは五感や運動機能を育てる事ができます。子どもたちが目の前の食材に興味をもって、一生懸命向き合おうとしているとても大切な行動でので、見守る時間を一定時間作ることも良いでしょう。②も目の前の食べ物の硬さや、食器を叩いたらどんな音がするのだろう?と食に興味を持って、向き合う姿勢が見受けられます。食事中に音を出すことはマナー違反でありますが、叱らずに声掛けを工夫してみてください。「音が出て不思議だね。こっちの○○はどんな音がするかな?」などと、食事を下げてしまっておもちゃ遊びに切り替えてしまうのもおすすめです。 「なんで叩いてみたの?」と聞いてみると意外な回答が返ってくるかもしれませんよ。

試し行動から起こる遊び食べ

③~⑤の事例は、食事に集中していない為に起こる事が多いです。食べる意欲がなくてだらだらと食べてしまうのはあまり良くない遊び食べです。もう食事に飽きている、他の遊びに意識が向いてしまっているときは、思い切ってご飯をさげてしまいましょう。ここで1つポイントです。食事を下げるときには必ず声掛けをしてください。「ごちそうさましようか」「ごはんさんが食べて欲しいって言っているよ。」「今はばいばいしようね」など。ご飯を下げない場合は、次遊んでいたら下げるという約束をしておきましょう。特に③の行動に関しては、大人の関心を引きたくてわざと行っている可能性が高いです。食べ物を落とす→拾ってくれる→構ってくれる→食べ物を落とすこの行動が繰り返し行われると、子どもの中ではそれを一つの遊びとして認識します。食べ物を落とせば構ってもらえるという思考になるので、食べ物をわざと○回落としたらご飯を下げる。落としても拾わない。などと約束を事前にしておきましょう。

遊び食べの種類を見分けるためには?

別の事に置き換えて考えてみる

好奇心からの行動か試し行動なのか見分けるのはとても難しいですよね。例えば、子ども達の行動を勉強に置き換えてみると分かりやすいです。

・勉強中にすぐ飽きてしまってだらだらと続けている場合(試し行動)

・勉強中に他の解き方があるか考えて、いろいろな方法を試している(好奇心)

子どもの行動も勉強に当てはめて考えてみると試し行動なのか好奇心によってなのか分かりやすくなるかと思いますので、ぜひ試してみてください。

遊び食べの期間はいつまで続くのか

離乳食の食べ始め~3歳くらいまで

冒頭でもお伝えしたように、遊び食べには明確な定義がありません。期間についても、一般的に離乳食を食べ始めたころから3歳ごろまでと言われています。自分で食べたい!やってみたい!の気持ちが高まってくると徐々に始まっていきます。遊び食べの期間は個人差があります。遊び食べを自分で行っている子どもほど、自分一人で食べられるようになるまでの期間が早くなる傾向にあります。終わりの時期が明確に分からないのは不安ですが、一時的なものですので温かく寄り添ってあげてください。

遊び食べ時に効果的な5つの対応方法

①お手本をみせる

まずは、子ども達の目の前にあるものが食べるものであること。食べる方法はこれだよとお手本を見せてあげてください。保育の現場ですと時間があまり取れないので、子どもの隣に座って食べさせてしまう事が多くなってしまうと思います。時間の関係上難しいかとは思いますが、なるべく食事の時は食事のみ。子どもの目の前の席に座って援助をしましょう。食事中に先生が書き物や作業をして動いていると、子どもが自分も食事中に別のことをして良いと思ってしまいます。

②食育に力を入れる

調理室の方としっかり連携を取りましょう。今日のお野菜のコーナーや、今日出てくる食材の絵本を食事前に読み聞かせるなど子どもが食事に興味を持つように誘導してみましょう。いつも残してしまう子どもに対しては、調理室の方や保護者の方と相談をして食事の量を見直してみてください。最初から少し少なめによそうのも一つの手です。全部食べることができたという達成感を与えてあげましょう。

③食事環境を整える

子どもが食事に集中できる環境を整えてあげましょう。テレビや音楽がつきっぱなしであったり、目の前におもちゃが置いてあったりすると子どもは食事に集中することができません。遊ぶスペースと食事のスペースは分けて環境設定することが理想です。また、汚して良い環境も整えましょう。遊び食べが激しい子がいると掃除の時間が大変ですよね。その子の行動を制限してしまうとお互いストレスになってしまいます。床に新聞紙を敷いたり、保護者の方に相談してポケット付きのエプロンに変えてもらうなどできる範囲で構わないので事前に少し手をかけておくのも良いですね。今はポケット付きのエプロンなども安価で可愛いものが沢山売っているので、参考にしてみてください。

④だめな理由を伝える

子どもが食べ物で遊び始めてしまったら、なぜだめなのか理由をきちんと伝えてあげましょう。辞めなさい、だめ、食べ物を取り上げるなど否定をしてしまうと子どもはなにがどうしてだめなのかわかりません。その為、次に同じ状況になった時も同じことをしてしまいます。「食べ物を落とすと食べられなくなってしまうよ。」「作ってくれた調理の○○さん、悲しいっていっているよ。」などと何度何度も食事のたびに伝えてあげる事が大切です。上手に食べることができたら表情と言葉で思いっきり褒めてあげるとより効果的ですよ。

上手な褒め方、伝え方の記事はこちら

⑤食事の時間を決める

だらだらと遊びながら食べてしまう子どもに対しては、食事の時間を決めてしまいましょう。遊び食べを始めたら、「30分までがご飯の時間だよ」、とか「後5分でご飯の時間はおしまいね」などと事前に告知をしましょう。時間になってもだらだらと遊び食べを行っていた場合は、ご飯を下げてしまいましょう。ここでのポイントは、まだ食べたかったのにと泣かれてしまっても、下げてしまうことです。子どもに、このように食べていたらご飯は無くなってしまうのだということをしっかりと認識してもらう為です。しっかり食べている場合は、そのまま食事をさせてあげてくださいね。1日の食事量が足りていない場合は、その後のおやつの時間などで調整をしてください。

遊び食べをする子としない子の違い

食への関心の大きさの違い

遊び食べ自体に明確な定義がないため、他の子どもと違う行動をしていると不安が多いですよね。子どもによって、遊び食べを行わない理由は様々あります。そもそも食への関心が薄い子どもや手が汚れることが嫌でやらない子ども。手先が器用な子どもなどは食べる動作を早く覚えるため、遊び食べをしないこともあります。子どもの発達は個人差が大きい為1歳、2歳と年齢で区別をしないと気持ちが楽になりますよ。遊び食べをしなくて心配でも、無理にさせる必要はありません。自分でやってみたいという気持ちを引き出すような工夫をしてみてあげると良いかもしれませんね。

まとめ

子どもの成長に寄り添いつつ食事時の正しいマナーも伝えていきましょう

遊び食べはあくまでも一時的なものです。いつか終わると思いながらしっかりと子ども達の気持ちを汲み取り寄り添った対応を心がけましょう。自由に遊び食べをさせることももちろん大切ですが、少しずつ正しいマナーも伝えていきましょう。遊び食べをさせない、しない場合ももちろんあるかと思います。しかし、子どもの知的好奇心をくすぐる大切な行動の一つでもあります。遊び食べではなく、学び食べだと思って貴重なこの時期を一緒に楽しんであげてください。

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