気になる子ってどんな子供?気になる子への対応を解説!【保育・特徴・要因】

多くの子供の保育をしている中で「この子少し気になるな」という子供がいたことがあるのではないでしょうか。または、保育士さんなら気になる子という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。気になる子とは発達障害と診断されてないが、支援が必要な子供のことです。気になる子やその子供の保護者に対してどう接していけばいいか悩んでいる方もいるかもしれません。この記事では、気になる子の要因や特徴、気になる子や保護者への対応の仕方について紹介しています。気になる子に対しての保育で悩んでいることがある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください!

気になる子とは

発達障害と診断されていない支援が必要な子供のこと

子供たちの中には落ち着きがない子や癇癪を起しやすい子など、ちょっと気になる子がいるかもしれません。気になる子とは、発達障害と診断されているわけではないが、個別に支援が必要な子供のことです。グレーゾーンとも言われています。そういった子は、ほかの子供よりも情緒面やコミュニケーション面で気になる行動をすることが多いです。発達障害や病気が原因とは限らず、子供の性格や家庭環境などさまざまな要因があります。

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気になる子の要因

発達障害が原因か養育環境による影響か

先ほども述べたように気になる子は必ずしも発達障害とは限りません。病気や発達障害のほかにもさまざまな要因があります。気になる子には主に以下のような要因があります。

・病気や発達障害などが原因
・家庭環境(育て方や養育環境、保護者との関係性など)
・園の環境が合っていない

気になる子には一人一人に合わせた保育を行うことが大切です。そのため、保育士さんは気になる子の様子や状況を理解し、保育を行いましょう。

幼少期に見られる代表的な発達障害の種類

自閉症スペクトラム

自閉症スペクトラムの特徴は大きく以下の2つに分かれます。

①他人とのコミュニケーションが苦手

②こだわりが強くパニックを起こしやすい

①では、相手と視線を合わせない、呼びかけられても反応しないといった行動が特徴的です。②では繰り返しの動作を好んだり、自分で決めた行動パターンにこだわるといった特徴があります。この2つの特徴の他には、感覚が敏感すぎたり鈍感すぎたりといったこともあります。

注意欠如多動症(ADHD)

注意欠如多動症(ADHD)は不注意型と衝動型の2つに分かれます。不注意型の特徴としては、注意を保ったり集中できる時間が短いといったことがあります。具体的な例としては以下の通り。

・ちょっとした物音で集中力が途切れる
・着替えや食事の途中でぼんやりしている
・活動を最後までやり遂げられない

衝動型の特徴としては、じっとしていられない、考える前に行動するといったことがあります。具体的な例は以下の通り。

・長い間座っていられず、立ち歩く
・順番を守れない
・静かにしないといけない場面でしゃべってしまう

保育士さんは発達障害に対する理解を持つことが大切です。

気になる子の特徴

【コミュニケーション面】発語の遅れやコミュニケーションを取りにくいなど

気になる子はコミュニケーション面の問題を抱えていることが多いです。発語の遅れや言葉の理解力が乏しいという特徴のほかに周りの子供とのコミュニケーションがとれないという様子が見られることがあります。具体的な例は以下の通り。

・言葉のボキャブラリーが乏しい
・発語の遅れがみられる
・一方的に話をする
・言葉(「すわる」「おいで」など)が理解できないため行動できない
・指示語が分からない

【行動面】衝動性が強い・落ち着きがないなど

気になる子と呼ばれる子供には行動面での問題も見られる場合があります。子供の行動により集団生活に支障をきたす際は加配保育士をつけるなどの支援が必要です。具体的な例は以下の通り。

・落ち着きがなくいろいろなところをウロウロする
・じっとしていられない
・ぼーっとしていることが多く、活動が止まりやすい
・衝動性が強い
・思いついたままに行動する
・呼びかけても反応しないことがある

【人間関係面】すぐ手が出る・友達とのトラブルが多いなど

気になる子は言語能力やコミュニケーション能力が原因で、ほかの子供とトラブルになってしまうことがあります。具体的な例は以下の通り。

・友達とのけんかやトラブルが多い
・ほかの子供と遊ばず一人で遊んでいることが多い
・友達に嚙みついてしまう
・すぐに手が出たり物を投げたりしてしまう

言いたいことを言葉でうまく伝えられない、相手の言っていることが理解できないなどで友達に手をあげてしまう場合があります。

【情緒面】切れやすい・感情のコントロールができないなど

気になる子の特徴には感情をコントロールしづらいというのもあります。具体的な例は以下の通り。

・自分の思い通りにならないと怒る
・怒りや悲しみなどの感情がコントロールできない
・切れやすい
・奇声をあげる
・泣き叫ぶことが多い

こういった特徴は日々のストレスや家庭環境が要因である可能性があります。子供が感情を爆発させてしまったときは落ち着くまで見守ってあげることが大切です。

【生活習慣面】こだわり行動がある・生活習慣が身につかないなど

気になる子は服を着替える動作やご飯を準備したり片づけをしたりといった動作など、普段の生活を送る上で身につくはずの生活習慣が身につきにくい傾向にあります。具体的な例は以下の通り。

・こだわり行動がある
・衣服の着脱や排せつなど生活習慣を身に付けにくい
・同じ行動を好む
・音に敏感
・苦手なことが上達しにくい

できるようになるまで繰り返しサポートして徐々に身に付けられるように見守っていきましょう。

気になる子への対応

発達状況に合わせた対応をする

発達のレベルは子供によってそれぞれ違います。そのため、発達状況に合わせた対応をすることが大切です。例えば、長い間座ることが苦手な子には、環境を変えるために落ち着いて過ごせる場所を用意してみましょう。また、口頭での指示を理解することが苦手な子には絵が描いてあるカードを使ったり、ジェスチャーで伝えるなど視覚的に伝えてみましょう。子供によって支援方法を工夫することで子供が安心して過ごせるようになります。

子供にとってよりよい方法を考える

大人の都合に合わせるのではなく、子供にとってより良い方法を考えることが大切です。例えば、集団行動が苦手な子には無理やり集団に入れるのではなく、様子を見ながら徐々に集団への参加を促していくといいでしょう。個別のカリキュラムを組むというのも気になる子へのサポートがしやすくなるでしょう。気になる子はほかの子供より発達がゆっくりです。個別のカリキュラム作ることで、その子の発達や成長に合わせて内容を考えることができます。

ポジティブな言葉で褒める

気になる子に苦手なことがあるとき、ついそちらの方に目を向けてしまうことがありませんか。周りの子と同じようにできず、家庭や保育園で注意されるたびに自分を責めて自己肯定感が下がってしまう場合があります。そのため、自分のことを誰も理解してくれない、味方がいないと孤独感を感じてしまう可能性があります。子供が頑張ったことや得意なことはたくさん褒めてポジティブな言葉をかけてあげましょう。

保護者への対応の仕方

具体的な行動・場面を伝える

保護者に伝える際には子供の具体的な行動や場面を伝えましょう。しかし、保護者を心配させてしまうような伝え方は避けましょう。「口数はあまり多くないが、お友達と楽しそうにお話ししてましたよ」と具体的な子供の様子を伝えるといいですよ。また、保育園での様子を伝えたうえで、家庭での様子も聞いてみると保育を行う上で参考になるかもしれません。例えば、「好きなことをしているときに次の活動への気持ちの切り替えが難しいようです。おうちではどうでしょうか。」と聞いてみましょう。

保護者の気持ちに寄り添う

自分の子供がほかの子と違うと言われると保護者は不安を抱えてしまうかもしれません。そのため、保護者の気持ちを汲み取り、寄り添うことも保育士の大切な役目です。また、保護者に寄り添うには信頼関係を築くことが大切です。送り迎えの時間など、ほんの短い時間に子供の様子を伝えることで徐々に信頼関係を築くことができますよ。毎日コミュニケーションをとり、積み重ねていくことで保護者から悩みを打ち明けてもらえるようになるかもしれません。

断定的な発言は避ける

保育士が保護者に気になる子について伝える際は、断定的な発言は避けましょう。保育士は医者ではないため、「この子は発達障害の疑いがあります」「この子はADHDかもしれません」などと伝えるのは絶対にやってはいけません。また、反対に「これもこの子の個性ですから心配ありません」という対応も避けましょう。病名を明言したり、言い切ってしまわずに、子供の具体的な様子を伝えましょう。

客観的事実を伝える

保護者に伝える際には保育士の感情ではなく客観的な事実を伝えるようにしましょう。気になる行動があっても日常生活に問題がないならば、その旨を保護者に伝えましょう。そうすることで保護者が安心することができます。また、先ほど書いたように断定的な発言は避け、保育士自身が正しい知識をつけることで説得力が増し、保護者に信頼してもらえるようになります。客観的事実を伝え、「こうしたらいいですよ」というアドバイスもできるようになりますよ。

これからの対応について伝える

具体的な子供の様子を伝えた後はこれからの対応についても伝えましょう。保護者の中には自分の子供とほかの子供の違いに焦ったり不安に感じたりしている方もいます。「私も見守っていきます」「○○ちゃんにはこのように対応していきます」というように具体的な方針を述べ、保護者に寄り添うような言葉をかけましょう。保護者の不安を取り除いて安心して子供を預けてもらえるようにしていきましょう。

まとめ

気になる子の特徴を理解して保育に役立てよう

いかがでしたか。気になる子の特徴について知っていると、同じような子供に対して適切な対応ができるかもしれません。子供に合わせた関わり方をして、子供が安心して保育園に通えるような環境を作ることが大切です。また、保護者への伝え方には十分配慮してください。保護者の中には気になる子について伝えた際に、自分の子供とほかの子供との違いにショックを受けてしまう方もいるでしょう。保護者の不安や心配事を取り除くためにも子供の様子を詳細に伝え、これからの対応を丁寧に説明していきましょう。気になる子について悩んでいる方や気になる子について知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。

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保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/