保育で行う延長保育ってどんなもの?【内容・料金・時間・無償化・メリット】

保育士や保護者の皆さんは延長保育のことについて知っていますか。延長保育とは、定時の預け時間を超えて子どもを預かる保育のこと。言葉や大まかな意味は知っていても、具体的な内容についてはわからないという方もいらっしゃるのではないかと思います。そこで今回は、延長保育の具体的な内容について解説していこうと思います。さらにそのうえで、よく間違えられることが多い一時保育との違いや最近所得制限で話題になった幼保無償化についても詳しく解説していきますよ。

延長保育とは

定時の預け時間を超えて子どもを預かる保育

延長保育とは、定時の預け時間を超えて子どもを預かる保育のこと。例えば、保護者の仕事の都合などで通常時間外に子どもを預かるとなった場合、それは延長保育に当たります。通常時間外には、始業前と終業後や長期休み期間中も含まれます。保護者の都合によって早朝や夕方遅くまで子どもを預けることや、夏休みや冬休みなどに預かってもらうことも可能ですよ。現行の制度だと、11時間の保育時間をオーバーした場合が延長保育となります。

延長保育を実施してないところもあり

延長保育は、幼稚園や認定こども園で実施されていますが、その中でも実施している園としていない園があります。文部科学省の内閣府によれば、令和元年度において延長保育を実施している幼稚園は全体の87.8%(公立:70.5%・私立:96.9%)を占めています。また、延長保育を行っている割合は年々増加傾向にあるので保護者の方にはとても嬉しいものですが、保育士の負担はその分かかってしまいますね。

保育士くらぶ

延長保育の対象は?        

園に在園している子どもたち

保育の対象となるのは、普段から園に通う在園児。幼稚園での延長保育は誰でも利用できるものではありません。延長保育は誰でも気軽に利用できるわけではなく、利用できるのは普段から在園している子どものみとなります。後でも述べますが、対象者は延長保育と一時保育で変わります。普段幼稚園に通っていない子を一時的に預けたい場合には一時保育を利用することになりますので気をつけましょう。

延長保育の時間帯

定められた区分で預けられる時間が変わる

延長保育が何時から何時まで預けられるかについて、保護者の方は特に気になるポイントではないでしょうか。延長保育の時間帯は、定められた区分で預けられる時間が変わります。そのため、延長保育の時間帯は早朝、夕方、夜間、深夜の時間まで存在します。平均で、14時から18時頃まで延長保育を実施していることが多いです。また、平日だけでなく祝日や長期休暇期間にも延長保育は行っていますよ。

延長保育の料金

平均で月額2000円から3000円

延長保育の利用料金は、いつも払っている保育料と別で支払う必要があります。また、料金には明確な規定がありません。そのため、保育園や幼稚園、託児所などの保育施設や地域によって様々な金額に違いがあります。安いところで1日100円から預けられるところもありますが、月で払う場合は平均で2000円から3000円ほどかかります。その中でも、おやつなどの食事を利用する場合は別でまた支払う必要があるので気をつけましょう。

延長保育の具体的な内容

延長保育のスケジュールの例

延長保育の大まかなスケジュールの例として以下のような流れになります。

7:00~ 始業時間前に子どもを預かる

8:30~ 登園時間

15:00 通常のお迎え時間

~18:00 預かり保育

園によって、始業時間や就業時間はもちろんのこと。延長保育を行ってもらえる時間や実施の有無も異なります。延長保育のご利用を考えている保護者の方は子どもが通われている幼稚園の一日のスケジュールを確認してみましょう。

保育の内容

多くの幼稚園では、延長保育はクラスに関わらず各年齢で合同に行われています。延長保育の内容は園によって異なっていますが、自由遊びをさせるところや英語、ダンス、体操、ピアノなどの習い事の時間を設けるところなどがあります。また、保育施設によっては料理をしたり、ゲーム大会などといったイベントを設けているところもありますよ。イベントがあるところでは、保育士さんの準備が大変になりますね。

一時保育との違いは?

実施してる施設が異なる

延長保育と一時保育の違いとしてまず挙げられるのが、実施している施設が異なるということ。まず、延長保育は幼稚園または認定こども園で実施されています。その一方で、一時保育は、保育所や幼稚園、認定こども園、地域子育て支援拠点などで実施されています。延長保育と一時保育を両方実施している園もあるのですが、両者が行われている施設が異なる場合があるということは抑えておいた方がいいでしょう。

利用対象者が違う

利用対象者も延長保育と一時保育で異なります。延長保育の利用対象者は、幼稚園などに在籍する満3歳以上の子ども。一方で、一時保育の利用対象者は普段から園に在籍していない乳幼児と決まっているのです。子どもが普段から通園している園であるか通園していないかで利用できるサービスが違ってくるということになります。園よってそれぞれ利用対象者が異なるので、延長保育を利用する場合には事前に園に確認しておくのがよいでしょう。

利用条件と方法が違う

延長保育の場合には、通院や介護、仕事などのやむ負えない都合で所定時間に迎えに行けない場合であることが多いのが特徴的。また、書類での手続きが必要な場合やそうでない場合など園によって申し込み方法が異なります。一方で、一時保育の場合には保護者が子どもを見ることが一時的に困難になった場合や親御さんがリフレッシュしたい場合など気軽に利用することができますよ。また、一時保育を利用する場合は、様々一時預かりの登録を行ったうえで、施設に直接利用登録と申請書を提出または市役所窓口での申し込みが必要です。

延長保育のメリット

知ってる園で安心安全に預けることができる

延長保育を行うメリットとして、知ってる園で安心安全に預けることができることが挙げられます。日常的に子どもが通っている幼稚園に預けられるというのは、それだけで安心感があり親御さんは心配なく仕事に向き合うことができますね。また、知ってる幼稚園だと自宅や職場に近い方も多く、子供をお迎えに気軽にいきやすいところも保護者にとって嬉しいポイントですね。

子どもに新しい経験をさせられる

延長保育は、預かる専用の部屋が用意されていて、その部屋で異年齢の子どもとすごすことが多い傾向があります。普段接しない他クラスや違う年齢の友達と遊ぶ機会ができ、子どもに新しい経験をさせられることも延長保育のメリットです。普段の園生活では関わらない子と遊んだり、いつもはやらないゲームや遊びをすることは子どもたちにとってもすごく新鮮な体験になるでしょう。

延長保育のデメリット

料金がかかる

まず、延長保育で子どもを預けるためには料金がかかります。1回の費用は安くても、続けていけば家計にとって痛い出費になります。お金の面で心配がある方は利用する前によく考えてから利用しましょう。どうしても手が離せず子どもを迎えに行けない場合に利用するなどといった自分のスケジュールとの兼ね合いをしっかりと考えて利用するようにすると出費が減りますね。

子どもがかわいそうという声も

延長保育は、周囲の方に子どもがかわいそうと思われてしまう可能性があります。また、子どもにとってストレスになってしまったり寂しい思いをさせてしまう場合があることもデメリットの一つとして考えられます。子どもに負担がかかってしまうのはかわいそうです。子どもを本当に延長保育に任せて大丈夫なのかということを、子どもの性格や担当の先生の人柄、保育の内容を加味したうえで考えるようにしましょう。

延長保育の無償化について

幼保無償化とは

令和元年の10月から、幼児教育の負担軽減を目的とした保育施設の利用費の無償化がスタートしました。3~5歳の子供が対象と丁度幼稚園に通う子供達が対象。また、0歳〜2歳の子供たちは住民税非課税世帯のみが無料になります。幼稚園の無償化がお子さんに適用されるには事前に手続きが必要な場合があります。子ども・子育て支援制度に移行していない幼稚園では、給付金を受け取るために手続きが必要ですので事前にお子さんが入園希望の幼稚園はどうかをしっかり確認しておきましょう。

延長保育も無償化の対象に

延長保育を利用する子どもに関しても無償化の対象になります。ただしその場合には、共働きやシングル家庭などといった親が仕事をしているなどのやむ負えない理由によって、自治体から保育の必要性の認定を受ける必要があります。もし無償化の対象になれば、幼稚園保育料の無償化分の月額25700円にプラスして、月額11300円までの助成を受けることができますよ。

幼保無償化に所得制限がかかる?

2022/3/8の参院予算委公聴会で慶応大の中室牧子教授が「財政状況が極めて厳しい中、高所得世帯ほど手厚い再分配となっている」と幼保無償化を批判しました。Twitterでもそのニュースが切り取られ、炎上してトレンドにも上がりました。炎上している訳は、幼保無償化に所得制限を設定する動きがあるのではというのが理由です。しかし、「保育士さんの給料アップになるなら」といったプラスの意見もあります。現状、3歳になれば確実に幼保無償化が適用されるのが当たり前という未来がなくなるかもしれませんね。※更新日現在の情報です。

延長保育で働くには?

3つの条件のいずれかに適する必要がある

延長保育で働くためには、以下の3つの条件のいずれかに適する必要があります。

  1. 担当職員の1/3以上が保育士又は幼稚園教諭免許状所有者であること
  2. 教育・保育に関して一定の知見を有する小学校教諭または養護教諭の方
  3. 幼稚園教諭教職課程及び保育士養成課程を履修中で、教育・保育に関して一定の知見を有する学生の方

保育士さんはもちろんのこと保育士を目指す学生さんに関しても経験を積むために預かり保育で勤務することが可能です。

まとめ

延長保育は時代の流れで生まれた新しい制度

今回は延長保育について詳しくまとめました。いかがでしたでしょうか。延長保育は、子育て世代のニーズに合わせた時代の流れで生まれた新しい制度。延長保育は、保護者の方だけでなく保育士さんにもとても関係のあることです。知っておいて損はないでしょう。増加傾向にあるものの、延長保育を行っていない施設も一定数あるので、利用を考えている保護者の方は子どもが通う園が実施園か否かを確かめておくといいでしょう。延長保育は地域の保護者さんのニーズに幅広く応えるやりがいのある仕事ですので、是非検討してみてはいかがでしょうか。

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