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出産をする人が取得できる産休の制度。皆さんはいつからいつまで産休をとれるかご存知ですか?また、給料はもらえるのか、産休中に受け取れる手当はあるのか等、気になることも多いと思います。今回は、そんな疑問を持つ保育士の方にむけて、産休制度について詳しくご紹介します。産休をとるときに気をつけるべきことや、復帰のタイミングなどについても解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
産休制度とは?
産前と産後の休暇
産休制度とは、出産のために仕事を休める制度のことをいいます。出産前に休む産前休業と、産後に休む産後休業の2種類があり、出産をするすべての人が取得できます。出産前は様々な準備が必要ですし、出産後も十分な休息が必要ですよね。産休中は休息を取ってもらい、出産をするすべての人を保護することが、産休制度の目的であり、労働基準法で原則として定められています。産休制度は、1911年の工場法の中で定められたことから始まり、その後休業期間の変更などがされて、現在の形になりました。
保育士は産休をいつからとれる?
出産予定日の6週前からとれる
産休は、実際の出産日を含めて出産予定日の6週前からとることができます。これは労働基準法に定められており、保育園に休業を申請することで休むことができます。もし実際の出産日が予定日よりも後になった場合は、その遅れた分産休期間が延長されます。出産が遅れたからと言って産休期間が短くなることはありませんので安心してくださいね
【労働基準法 第65条 第1項】 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
引用:e-GOV法令検索「労働基準法」/ https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049/引用日2024/2/3)
双子以上の場合は14週前からとれる
双子以上の場合は、14週前から産休をとることが出来ます。双子以上の出産は体により負担がかかるため、産前の準備期間は多くとっておいたほうがよいという考えのもと、1人を出産する場合よりも長い期間が定められています。また1人を出産する場合と同様に、出産日が予定日の後になったら産休期間は延長されるのでご安心ください。 出産する人数に関係なく、産前の産休期間は原則定められた期間休むことができ、期間が減ることはありません。
産後はいつまで産休をとれる?
産後8週までとれる
産後は、8週が経過するまで産後休業を取得することができます。産後休業は出産した人数に関係なく、すべての人が8週と定められています。しかし、産後6週が経過したのち、医師によって働いてもよいと診断された場合は、早めに仕事に戻ることが出来ます。出産前後は体調の変化が激しいため、6週以降の復帰のタイミングは医師と相談しながら決めるとよいですね。
【労働基準法 第65条 第2項】使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
引用:e-GOV法令検索「労働基準法」/ https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049/引用日2024/2/3)
保育士が産休をとるための条件
妊娠をした女性であれば誰でも取得可能
産休を取るための条件は特になく、妊娠をした女性であれば誰でも取得することができます。言い方を変えると、職場側は妊娠した人を一定期間働かせてはなりません。これは法律により定められているため、産休を取得できないということは通常なく、誰もが産休をとることができます。「産休を取得できなかったどうしよう」と思う方もいるかもしれません。しかし、産休は法の下の権利です。取得出来ないということは無いので、安心して申請してくださいね。
産休を取るために必要な書類は?
産前産後休業届
産休をとるために必要な書類の一つは、産前産後休業届です。この書類は園から受け取ることができ、必要事項を記入し、園へ提出します。要するに、産休をとりたい旨を書類で伝えるようなイメージですね。書類の形式や必要事項、提出期限などは園によって異なります。産休を取得したい場合は事前に確認をしておくようにしましょう。産休を取得するギリギリに書類を用意することは避け、なるべく余裕を持って書類を準備できるとよいですね。こちらのリンクから書類のダウンロードが可能ですので、活用してみてください。
【産前産後休業を取得し、保険料の免除を受けようとするとき】https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/menjo/20140326-01.html
健康保険・厚生年金保険・産前産後休業取得者申出書
健康保険・厚生年金保険・産前産後休業取得者申出書は、園から受け取り、必要事項を記入した後、園が所轄の年金事務所に提出する書類です。提出方法は窓口持参、郵送、電子書籍のいずれかになります。こちらの書類は産休を取得する本人ではなく、園が提出するものですのでご注意ください。提出の期限は、産休終了日から起算して1ヶ月以内です。保育士側は、書類の提出を園に任せるのではなく、書類が提出されたかどうかをしっかりと確認するようにしましょう。 書類のダウンロードは、こちらのリンクから行えます。
【産前産後休業を取得し、保険料の免除を受けようとするとき】https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/menjo/20140326-01.html
産休中の給料について
産休中は給料は支給されない
産休を取得している間は給料がもらえないことがほとんどです。産休は妊娠した誰もが取得できますが、産休中の給料の支払いについての規定は定められていません。産休中に給料の何割かを払ってくれるような企業は稀にありますが、保育園では基本的に支払われないことが多いでしょう。ただし、産休中は次のような手当を受けることが出来ます。条件や対象なども記載してますので、確認してみてください。
産休を取ったときに受け取れる手当
出産手当金
産休を取得したときに受け取れる手当として、出産手当金があります。対象や支給額などは以下のとおりです。
対象:勤務先の健康保険加入者かつ産休を取得した人
期間:産休中 支給額:標準報酬日額 × 2/3 × 日数
出産手当金は、申請条件を満たせば正社員だけでなくパートやアルバイト、契約社員でも受給できます。しかし、
①国民健康保険に加入している
②家族の健康保険の扶養に入っている
③産休中に給付金よりも多く給料をもらっている
以上3つのいずれかに当てはまる場合は受給できませんので、ご自身の状況をよく確認しましょう。
出産育児一時金
また、産休をとると、出産育児一時金という給付金を受け取ることができます。対象や支給額は以下の通りです。
対象:出産する本人 or その家族
支給額:子どもの人数 × 50万円
こちらは、勤務先が加入する保険が国民健康保険の場合は世帯主に給付され、健康保険の場合は被保険者(産休をとる保育士)に給付されます。被保険者が配偶者の扶養内に入っている場合は、本人に給付されます。
傷病手当金
傷病手当金は、病気やケガで仕事をお休みしたときに勤務先の健康保険から受け取れる手当です。実は産休のときもこの手当を利用することができるのをご存知ですか?産前休業に入る前は病休の扱いになるため、こちらの手当を適用することが出来ますよ。
条件は以下の通りです。
①業務外の病気やケガで仕事を休んでいる
②4日以上仕事を休んでいる
③医師の診断の結果、療養のため働くことができない
こちらも国民健康保険に加入している場合は適用することができないため、よく確認しておきましょう。
産休中の社会保険料はどうなる?
社会保険料は免除される
産休中は社会保険料が免除されます。免除期間は、産休の開始月から終了日翌日の月の前の月(終了日が月末の場合はその月)までと定められています。例えば、10/1が終了日の場合は、前月の9月までが免除期間ということですね。10/31が終了日の場合は、その月が終了月になるため10月までということになります。ご自身の産休期間を把握し、社会保険料の免除期間を理解しておきましょう。
産休をとるときに気をつけること
園には早めに伝えておく
産休を取得するときは、園には早めにその旨を伝えておきましょう。タイミングとしては、妊娠が判明したときにできるだけ早く伝えるようにしましょう。産休の取得が早い段階で分かれば、園側は業務の引き継ぎ作業をスムーズに行えます。また、産休に入るまでの働き方や復帰後の動きなどについても事前に相談しておきましょう。早めに産休取得の旨を伝えることで相談できる時間が増えるため、焦らずに産休の準備が出来ます。
日頃から職員間でコミュニケーションをとる
日頃から職員間でコミュニケーションをとっておくことは、実は産休取得において重要なことです。日頃からコミュニケーションを取っておくことで、産休に入る前に自分の業務状況を仲間にしっかりと伝えられ、スムーズに引き継ぎを行うことが出来ます。また、職場での人間関係が良好であれば、産休取得後の仕事復帰がしやすくなり、心理的な安心感につながるでしょう。仲間を大切にして、いざというときに助けてもらえるような関係を築いておけると良いですね。
連絡手段を確保しておく
産休に入る前に連絡手段を確保しておくことで、産休中も園とスムーズにやり取りを行うことが出来ます。連絡をする頻度や連絡事項などを定めておくことで、お互いに負担無く状況を把握することが出来ますよ。園側は、産休に入る人が担当していた業務について質問出来ますし、産休に入る人側は、子どもたちについての情報を教えてもらえますね。産休に入る前には、もう一度園と自分の連絡先を確認し、共有事項をあらかじめ決めておきましょう。
復帰はいつからできる?
出産後好きなタイミングで復帰可能
産休が終わったあとは、好きなタイミングで復帰することが出来ます。産後休業が過ぎても体調が優れず、業務を行える状態ではない場合は、無理せず休むことを推奨します。職場復帰するときの注意点は、復帰をする前に子どもの預け先を探して、確保しておくことです。スムーズに職場復帰できるように、保育所や認定こども園のほか、実家や親戚の預かってくれる人を事前に探しておきましょう。
産休に入る保育士に何をプレゼントしたらいい?
スイーツやスキンケア用品
なかには、産休を取得した保育士へプレゼントを贈りたいと考えている方もいるでしょう。しかし、何を贈ればいいか迷ってしまいますよね。 おすすめするプレゼントの1つ目はスイーツです。疲れたとき、なぜか無性に甘いものを食べたくなりますよね。妊娠中は様々なストレスとの戦いのため、妊娠した本人は周りから見る以上に疲弊していることがあります。スイーツを贈って、日々の疲れを癒やしてあげましょう。 2つ目はスキンケア用品です。妊娠中はホルモンバランスが崩れるので、肌が荒れてしまうことがあります。産休に入る人に合ったスキンケア用品を選んであげてくださいね。
まとめ
仕組みや条件を把握して産休を取得しよう
いかがでしたでしょうか?今回は保育士の産休制度についてご紹介しました。産休は、産前と産後に休暇があり、その期間は様々な手当金を受け取ることが出来ます。条件がいくつかあるので、よく確認して受け取りましょう。また、産休を取る際は早いうちに園に伝えたり、職員間でコミュニケーションをとったりすることをおすすめします。そうすることで、産休前の準備が円滑に進むほか、業務負担があるときに仲間が支えとなってくれますよ。これから産休を取得する方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。