お食い初めのやり方は?準備や当日の流れについて解説【時期・準備するもの・メニュー・マナー】

子供の成長を願う、日本の伝統行事の一つであるお食い初め。百日祝いとも言われ、生後100日前後で行うイベントです。”一生食べ物に困ることがないように”と願いを込めて、子供に一汁三菜を食べさせます。そこで今回は、お食い初めで具体的にどういったことをするのか、準備するものやお食い初めのメニューについてご紹介します。お食い初めの歴史やマナーについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。一生に一度のお食い初めを、しっかり準備して大切な日にしましょう。

お食い初めとは?

子供が一生食べることに困らないように願う儀式

お食い初めは、”子供が健やかに成長し、一生食べることに困らないように”と、願いを込めて行われる儀式です。家族や親しい人たちが集まり、色とりどりの食材を準備します。食材1つ1つにも、願いが込められており、お祝膳と呼ばれることもあるでしょう。祝福の意味を込めながら、子供にとって初めての食事を楽しみます。歯固め、箸ぞろえなど、地域によって呼び方や準備する食材は異なりますが、子供の成長と健康を願う大切な日であることは、共通しています。

子供の成長を喜ぶ伝統儀式

お食い初めは、子供の成長を祝う儀式でもあります。生後100日頃に初めて、固形物の食べ物を口にすることで、歯が生えるまで成長したことを祝います。準備した食材を少しずつ子供に味わせ、将来にわたって健やかな食事習慣を築くようにという祈りも含まれています。家族が集まり、子供に様々な食材を味わせることは、食の喜びや豊かさを教えることにもなるでしょう。お食い初めでは、子供がますます健やかに成長し、食べ物を通してたくさんの経験を積むことを願います。

保育士くらぶ

お食い初めの歴史

平安時代から行われてきている

お食い初めの歴史は、平安時代まで遡ります。現代とは違い、子供の栄養状態が良くない時代は、生後100日を待つことなく亡くなる子供が多かったため、子供が成長できたことを祝う儀式を行うようになりました。生後50日の成長を祝ってお餅を食べさせる五十日の祝いから始まり、徐々に生後100日を祝う儀式に変わっていったと言われています。平安時代、子供にお餅を食べさせる百日(ももか)と呼ばれる行事があり、これがお食い初めの由来とされています。

子供の幸せと健康を祈るために始まった

衛生面や栄養面でも良くなかった昔は、子供が無事に育つことが難しかったため、さまざまな節目で子供の成長を祈る儀式や祝い事が行われてきました。子供の成長を喜ぶとともに、幸せと健康を祈るために始まった儀式がお食い初めです。お祝膳の中にも、子供の健康を祝う意味が込められており、大切な儀式といえますね。お食い初めを通して、子供の食事に対する関心を育むと同時に、祝福と願いを込めるものとして日本の伝統的な儀式となりました。

お食い初めをする時期

生後100〜120日の間に行う

お食い初めを行う時期は、地域によって110日や120日など差がありますが、生後100日前後に行うことが一般的です。乳歯が生え始めたタイミングや子供の体調、家族の予定などを考慮して日取りを決めると良いでしょう。また、真冬や真夏を避けて、気候の良い春や秋に行うこともおすすめです。120日を過ぎてお祝いすることは”食いのばし”と言われ、長寿を祝う意味もあるため、生後120日を過ぎてしまっても問題ありません。

お食い初めで準備するもの

お食い初め用の料理

お食い初めに欠かせないのは、一汁三菜をもとにした料理です。穀物や海のもの、山のものなど子供が人生で必要な食事を与えることで、食に困らないようにという意味が込められています。基本的には、鯛や赤飯、お吸い物に加えて煮物と香の物を揃えた5品を用意しましょう。鯛は、尾頭付きのものを用意するのが一般的です。関西では鯛ではなくボウボウと呼ばれる魚やタコが使われることもあり、地域ならではの食材を用意してみても良いですね。

お食い初め用の食器

お食い初め用の食器は、漆器や素焼きのお椀を用意しましょう。男の子は全部が朱塗り、女の子用は外側が黒塗りで内側が朱塗りの食器を使用するのが一般的です。男の子と女の子で準備する食器が異なるので、注意しましょう。お膳は、お宮参りの時に神社から贈られることもあり、贈られたお膳を使用すると良いでしょう。お箸は、柳の白木を準備します。地方によっては、準備する食器が違うところもあるため、事前に確認することをおすすめします。

祝い箸と歯固め石

お食い初めには、祝い箸と歯固め石も用意しましょう。祝い箸とは、柳で作られ、両端が細くなっているお箸のことで、縁起の良いもの言われています。祝い箸を使う時は、箸の中央部分を持ち、箸の先から約3cmの部分を使って食べるようにしましょう。歯固め石とは、子供に丈夫な歯が生えてくるようにと願うために用意します。使用する石は、お宮参りに行った神社からもらうようにしましょう。歯固め石は、赤・白・黒の色があり、それぞれ1個ずつ用意するのが正式ですが、必ずしも全てを用意する必要はありません。

お食い初めのメニュー

一汁三菜を基本とした祝い膳

お食い初めでは、一汁三菜を基本としたお祝い膳を用意します。それぞれに異なる意味が込められた縁起が良いと言われている食材を使用します。


鯛(尾頭付き):首尾一貫の初めから終わりまで全うするという意味から、尾頭付きの鯛を用意します。めでたい赤色の鯛で、長寿の願いが込められています。
赤飯:邪気を祓うことや、魔除けの意味が込められています。子供が病気や災難に見舞われることなく、健やかに成長するようにという願いも込められています。
お吸い物(蛤):吸う力が強くなるようにという意味が込められています。また、蛤は二枚の貝がぴったり重なり合うことから、良縁に恵まれることを意味します。
煮物:にんじんや大根、かぼちゃなどめでたい意味のある食材や、旬の野菜を使用しましょう。かぼちゃは、”亀の甲羅”の形になるように、六角形に切ることで長寿の願いを表します。また、昆布には”よろこぶ”にかけて一家発展の意味があるので、ぜひ用意してくださいね。
香の物:季節の野菜を漬け込み、長寿の願いが込められています。
歯固め石:丈夫な歯が生えてくるようにと願うために用意します。お食い初めの時は、石を箸で触り、その箸で子供の歯茎に当てましょう。

お食い初めのやり方

年長者が子供に料理を食べさせるマネをする

お食い初めでは、家族の年長者が子供に食べさせるマネをします。これは、年長者に食べさせてもらうことで長寿にあやかる意味が込められています。赤ちゃんに食べさせるマネをする役は、”養い親”と言い、基本的に男の子なら男性が、女の子なら女性が行います。子供を膝の上に乗せ、祝い膳を食べさせるマネを行いましょう。最近では、養い親に限らず、祖父母や両親が食べさせ役を行うこともあり、家族みんなが順番に食べさせるマネをしても問題ありません。

ご飯から順番に食べさせる

お食い初めには、子供に祝い膳を食べさせる順番が決まっています。実際には、まだ料理を食べることができないので、子供の口元に近づけ食べさせるマネを行いましょう。

食べさせる順番

ご飯→汁物→ご飯→魚→ご飯→汁物


この順番を1つのサイクルとして、合計で3回繰り返します。必ずしもこの順番や回数にこだわる必要はなく、食べさせやすい順番や子供が興味を示したものから食べさせても良いでしょう。

3回食べさせるマネを行って歯固めの儀式をする

3回食べさせる順番のサイクルを繰り返したら、歯固めの儀式を行います。この儀式は、”石のように丈夫な歯が生えてきますように”という願いが込められています。お宮参りや神社の境内から用意した歯固め石を、お箸で軽く触ります。そのお箸で、願いを込めながら子供の歯茎にちょんちょんと、優しくあててあげましょう。子供の歯茎に石を直接あててしまうと、誤飲の恐れがあるため避けることをおすすめします。儀式が終わった後は、神社の境内へ感謝の気持ちを込めて歯固め石を返しましょう。

お食い初めのお祝いマナー

地域によっては母方の実家から祝い膳を贈る

お食い初めを行う時のルールとして、祖父母や親戚が祝い膳を贈ることがあります。一般的に、お食い初めのお祝いは子供の親が用意しますが、慣習やマナーが異なる地域もあります。特に祝い膳を盛り付けるための食器は、母方の実家から贈るのが昔からの習わしです。実家の家紋が入ったものや、代々使われているものを用意しても良いでしょう。最近では、伝統にとらわれず家族の好みで食器を用意する家庭も増えています。子供の生後100日を、どうお祝いしてあげたいかという気持ちが大切です。

招待されたら祝い膳の金額を目安に現金を包む

お食い初めに招待された人は、お祝い金を包むのがマナーです。お祝い金の相場としては、1万円程度が目安となっていますが、祝い膳の金額を目安にすると良いでしょう。自宅以外にレストランや料亭でお祝いする家庭もあるため、食事場所によって金額を調整することをおすすめします。お金の包み方は、水引が紅白で超蝶結びされているのし袋に入れて渡しましょう。表書きには、”初膳御祝””祝御食初””御祝い”と記入し、なるべく新札を準備することが望ましいです。

内祝いやお祝い返しをする

基本的には、お食い初めに招いて一緒にお祝いすることがお返しとなり、お祝い返しは必要はありません。地域によっては、内祝いを贈ることもあり、お礼状や菓子折りなどを渡すこともあるでしょう。特にお祝いを頂いた人を招くことができなかったり来てもらうことができなかったりした場合は、お返しを渡す必要があります。また、実家などから祝い膳の食器や贈り物をもらった時は、お返しとしてフォトフレームや子供の写真を贈ることをおすすめします。

お食い初めで注意すること

地域によって用意する食材が違う場合がある

お食い初めの注意点としては、家ごと地域ごとの風習が異なるため、確認しておくことです。特に食材は、地域によって用意するものが変わってくるため注意しましょう。北海道や東北地方では、小豆ではなく甘納豆を使ってお赤飯を炊く家庭が多く、岩手県ではアワビを使用することがあります。関西地方では、梅干しを使用した香の物や、タコを用いて歯固めを行うことが多いです。九州地方では、鯛の代わりに刺身や寿司、煮付けなどを準備することが多く、食器は”ぽっぽ膳”と呼ばれる博多曲物の食器が使用されます。

祝い膳の並べ方

祝い膳の並べ方にも注意が必要です。祝い膳は、一汁三菜を基本としているため、手前の左に茶碗、右に汁碗がくるように置きましょう。左利きの場合であっても、茶碗と汁碗の位置を変えることはマナー違反となるため、不便ですがこの並べ方を守る必要があります。奥の左側から煮物や副菜、奥の右側に香の物や副々菜を並べましょう。また、歯固めの石は、茶碗と汁碗の間に並べるようにしてください。

まとめ

お食い初めで子供の健康と幸せを祈ろう

お食い初めは、子供の幸せと健康を祈ると共に、生後100日まで成長できたことをお祝いする伝統的な儀式です。それぞれに意味が込められている食材や、口元に運ぶ順番が決まっている祝い膳など古くからの風習があり、人生にとって欠かせない行事の1つです。決まり事は、1つ1つ確認しながら進めていと良いでしょう。食器の配置や歯固めの儀式、養い親などルールはありますが、家族全員でお祝いを楽しむことを最も大切にしてくださいね。

保育士くらぶ

ABOUTこの記事をかいた人

保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/