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新しい教育法「ピラミッドメソッド」
みなさんは「ピラミッドメソッド」という教育法について聞いたことがありますか?
ピラミッドと言えば、エジプトの古い建造物のことですね。ピラミッドメソッドとは、いったいどんな教育法なのでしょうか。
言葉自体は聞いたことがあっても、その内容や、従来の教育法との違いについてまでは詳しくはわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな新しい幼児教育法である「ピラミッドメソッド」について詳しく解説していきます。
主な特徴からメリット、またデメリットまでを理解して、参考にしてみてください。
ピラミッドメソッドとは?概要と成り立ち
まずは、「ピラミッドメソッド」について、その成り立ちや概要についてご紹介いたします。
ピラミッドメソッドを知るためのキーワードは、
- オランダ式
- 4つの基本要素
- 自主性
です。では詳しく見ていきましょう。
オランダ発祥
ピラミッドメソッドは、
Cito(オランダ政府教育評価機構・1999年に民営化)が21世紀型の幼児教育カリキュラムとして開発し、オランダ政府が1994年にオランダ国内の全幼児教育施設に導入を推奨した
参考:一般社団法人子どもと育ち総合研究所
ことが、その始まりでした。
開発の責任者は、Dr.Jef van Kuyk(ジェフ フォン カルク教育心理学博士 )です。彼は、教育心理学で博士号を修得した後、幼児障害児施設で心理セラピストとしての経験を積みました。
幼児教育部門の責任者として幼児教育法の研究に携わった彼は、1994年にピラミッドメソッドを開発しました。
ピラミッドの四角錐に込められた想い
このフォン・カルク博士は、多くの教育・心理学の理論を研究し、豊かな理論を作り上げました。
そのなかで、「理論と実践の関係」を具体的に見てわかるようにすることが、誰もがよく理解して実践につなげられるようにするために大切だと考え、四角錐=ピラミッドの形を用いて整理したのです。
これこそが、ピラミッドメソッドです。
ピラミッドメソッドの特徴4つ
さて、オランダで博士によって開発されたピラミッドメソッドですが、基本となる4つに考え方がそこにはあります。ピラミッドを真上から見ると、正方形に見えますね。これを4分割するイメージです。
それぞれについて解説していきます。
①保育者の主体性
まずは、「保育者の主体性」です。これは、子どもの自主性を育むということを、大人である保育者の視点から考える要素です。
保育者には、子どもがのびのびと活動できるよう、信じて支援する姿勢が必要です。
またその一方で、教育者として、子どもたちの発達を活性化させるためにねらいをもって活動をすすめたり、計画的に支援方法に段階を設けるなど、能動的な働きかけも必要です。
②子どもの主体性
次に、「子どもの主体性」です。これは書いて字のごとく、子どもたちの主体性を維持・促進するという考え方です。
子どもたちが存分にその能力を発揮していく、その種が刺激されるような環境づくりが大切になるのです。
もちろんピラミッドメソッドの4つの要素は互いに独立した考え方というわけではなく、それぞれが相互に関連しています。
既出の「保育者の主体性」、またこれから紹介する2つの要素も、この「子どもの自主性」を育む上で重要な要素になってくるということです。
③寄り添う=nearness
3つめは、「寄り添う(=nearness)」です。
子どもたちが安心して自らの探求心に従って行動するためには、周りにいる保育者と子どもたちが信頼関係でつながっていることがとても大事になるのです。
こうした「養護」の視点は、ピラミッドメソッド上で、「教育」の視点の土台となります。
寄り添うこと、信頼関係を気づくことなくして、自主性の発達は見込めないということでしょう。
④距離をおくこと=distance
最後は、「距離をおくこと(=distance)」です。
この要素には、「今、目の前にある」物事だけを学ぶのではなくて、「目に見えないもの」にも焦点を合わせる学びが子どもの発達を促す上で大切である、という“ディスタンシング理論”を適用しています。
子どもたちに
身近で具体的なことから取組みを始め、徐々に外の世界・抽象的な世界へと導く中で、表現することに挑戦させて発達
参考:一般社団法人子どもと育ち総合研究所
を促す考え方です。
ピラミッドメソットのメリット
ピラミッドメソッドの重要な要素が確認できたところで、この教育法のメリットについてみていきましょう。
自主性が育つ
まずは、基本要素の中でも触れていた「子どもの自主性」の向上です。
ピラミッドメソッドを取り入れることにより、子どもたちが
- 自分で解決しようとする力がつく
- 自信をもって行動するようになる
といった効果が期待できます。
言語表現が具体的になる
また、ピラミッドメソッドを取り入れることにより、子どもたちの言語表現がより具体的になるという効果もあるようです。
具体的に自身の感情や要求を表現できるようななることは、子どもたちの自由な成長の現れですね。
遊びに広がりを持たせることができる
また、ピラミッドメソッドでは、テーマをもとにプロジェクトを行ったり、個人活動による成長と集団での活動による成長の両方を考えるので、実施する遊びに広がりがでるというメリットもあります。
日常の保育活動の発展にとって、プラスなポイントですね。
ピラミッドメソットの注意点
保育者の主体性が重要
基本要素のところでも触れたように、ピラミッドメソッドでは、保育者自身の主体性が求められます。
子どもたちそれぞれの発達段階を見極め、ときには寄り添い、時には信じて自主性に任せるといったつかず離れずの関係性を意識的に築いていく必要があります。
また、こうした活動の効果として、子どもたちが自主的に何かを要求してきたり、明確な意思表示をするようになると、保育者もそれに合わせて関係性が変化してきます。
子どもの変化に応じて、保育者自身も変化するということを意識しましょう。
周囲から浮いてしまう可能性
ピラミッドメソッドはまだ日本国内での実施例が少なく、こうした教育法で育った子そもたちが、小学校に進学した際に浮いてしまうという懸念があります。
もちろん、自主性が高いということは、非常に良いことです。
ただ、協調性を重んじる日本において、自主性を高めた子どもたちが浮いてしまう可能性があるということは、1つの注意点として認識しておく必要があるでしょう。
まとめ
今回は、「ピラミッドメソッド」という教育法についてご紹介しました。
オランダで生まれたこの教育法は、子どもたちの自主性を養うことが掲げられ、4つの基本的な考え方がありました。
「子どもが幸福な国」ランキング1位のオランダに見習い、まずはこうした国の教育についての考え方を理解することから始めましょう。
ピラミッドメソッド千葉保育園
ピラミッドメソッド千葉保育園は、千葉市中央区にある認可保育園です。
ピラミッドメソッドを徐々に取り入れていく上で、日本で実際にピラミッドメソッドを実践している保育園の例を参考にしてみることもよいですね。