保育現場で使われる協同性という言葉について、具体的にどのような姿を指すのか気になっている方もいるでしょう。協同性は、子どもが友だちと関わる中で思いや考えを共有し、同じ目的に向かって活動する姿を表します。園生活では、ごっこ遊びや製作活動、運動遊びなど、さまざまな場面で協同性につながる経験が見られるでしょう。この記事では、協同性の意味や大切な理由、子どもに見られる姿、保育士や家庭でできる関わり方について紹介します。子どもの協同性を育むヒントを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
協同性とは?
友だちと関わりながら共通の目的に向かう力

協同性とは、友だちと関わる中で互いの思いや考えを共有し、共通の目的に向かって考えたり工夫したり協力したりする姿を指します。たとえば、ごっこ遊びで役割を決めたり、製作活動で材料を分け合ったり、運動遊びで声をかけ合ったりする姿が挙げられます。自分の考えを伝えるだけでなく、相手の思いに気づきながら遊びを進める経験が、協同性の育ちにつながるでしょう。園生活の中で友だちと一緒に考えたり工夫したりする機会を重ねることで、少しずつ育まれていきますよ。
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の一つ
協同性は、保育所保育指針などに示されている、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の一つです。これは、卒園までに必ず到達すべきチェック項目ではなく、子どもの育ちを理解するための視点として捉えることが大切です。保育士は、日々の生活の中で見られる子どもの変化や、周囲の人と関係を築いていく過程を丁寧に見守ることが求められますよ。年齢や発達段階によって姿の現れ方は異なるため、一人ひとりのペースを尊重しながら関わっていくことが大切でしょう。
協調性や協働性とは意味合いが異なる
協同性と似た言葉に、協調性や協働性があります。協調性は、周囲と調和しながら行動する意味で使われることが多い言葉で、協働性は、複数の人が役割を担いながら物事に取り組む場面で用いられることがありますよ。一方、保育における協同性は、友だちとの関わりの中で思いや考えを共有し、共通の目的に向かって考えたり工夫したりする姿を表します。単に周りに合わせることや、成果だけを重視することとは異なると捉えるとよいですね。
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協同性が大切な理由は?
友だちと気持ちを共有する経験につながる

協同性が大切なのは、子どもが友だちと同じ出来事を味わい、感情を通わせる機会が増えるためです。砂場で大きな山を作ったり、積み木で建物を完成させたりする中で、「うれしい」「おもしろい」「もっとやってみたい」といった気持ちが生まれます。そうした経験を重ねることで、子どもは自分だけでなく、友だちにも感じていることがあると気づいていきますよ。喜びや悔しさを共有する時間は、人と関わることへの安心感や楽しさを育てる土台になるでしょう。
話し合いや折り合いを学ぶきっかけになる
友だちと一緒に過ごす中では、使いたい玩具が重なったり、遊び方への考えが違ったりすることがあります。こうした場面は、子どもが自分の思いを言葉にしたり、相手の考えを知ったりする大切な機会です。保育士が必要に応じて間に入り、「どうしたら一緒に遊べるかな」と考えられるように支えることで、子どもは少しずつ話し合う経験を重ねていきますよ。すべてを思い通りにするのではなく、譲ったり待ったりしながら納得できる方法を探す経験は、協同性の育ちにもつながります。
協同性が育っている子どもにはどんな姿が見られる?
友だちの思いを聞いて受け止めようとする
協同性が育っている子どもには、友だちの発言や表情に関心を向ける姿が見られます。たとえば、遊びの途中で友だちが「こうしたい」と伝えたときに、すぐに否定せず耳を傾けたり、相手の提案を取り入れようとしたりすることがあります。まだ十分に理解できなくても、友だちの考えを知ろうとする姿勢が大切。こうした関わりを重ねることで、子どもは周囲の人と一緒に活動する楽しさを感じられるようになるでしょう。
役割を分担して同じ目的に向かう

協同性が育っている子どもには、友だちと役割を決めながら物事を進める姿が見られます。たとえば、みんなで一つの作品を作る場面で、飾りを作る子、材料を並べる子、完成したものを運ぶ子など、それぞれができることを担うことがあります。自分の役割だけでなく、友だちの動きにも目を向けながら取り組めるようになる点が特徴ですよ。役割を果たす経験を通して、子どもは仲間と力を合わせてやり遂げる充実感を味わっていきます。
遊びの中で自分のアイデアを出す
協同性が育っている子どもは、遊びをより楽しくするために、自分なりの発想を表そうとすることがあります。たとえば、「ここをお店にしよう」「電車の道を長くしよう」など、思いついたことを言葉や行動で示す姿です。自分からアイデアを出すことで、遊びに主体的に関わるきっかけになりますよ。また、その発想が周囲に受け入れられる経験は、子どもの自信にもつながるでしょう。友だちとの遊びの中で、新しい展開を生み出していく姿も協同性の育ちの一つといえますよ。
協同性が育つ途中の子どもにはどんな姿がある?
友だちの遊びに入りにくい

協同性が育つ途中では、友だちの遊びに興味はあっても、自分から輪に入ることが難しい姿が見られることがあります。近くで様子を眺めていたり、入りたい気持ちはありながら声をかけられなかったりする場合もあるでしょう。また、遊びの流れが分からず、どのタイミングで加わればよいのか迷っていることもあります。一人で遊ぶ時間も子どもにとって大切な経験ですが、友だちとの関わりに向かう準備段階として、その子なりのペースを見守ることが大切ですよ。
友だちの意見を聞く前に行動してしまう
友だちと遊んでいるときに、周囲の声を十分に聞かないまま動き出してしまう姿も見られます。たとえば、みんなで積み木を組み立てている場面で、相談する前に形を変えたり、使うものを先に持っていったりすることがあるでしょう。これはわがままというより、目の前の楽しさや思いつきに気持ちが向きやすい時期ならではの姿ともいえます。保育士は、行動を止めるだけでなく、友だちが何を考えていたのかに目を向けられるよう声をかけることが大切ですよ。
自分の思いを優先してしまう
協同性が育つ過程では、「自分が先に使いたい」「この遊び方がいい」といった気持ちが強く表れることがあります。友だちと過ごす中でも、自分の希望を通そうとして順番を待てなかったり、相手の様子に気づきにくかったりする場面があるでしょう。これは、他者の立場を想像したり、状況に合わせて気持ちを調整したりする力が育っている途中だからこそ見られる姿ともいえます。保育士が子どもの思いを認めつつ、友だちの思いも伝えることで、少しずつ相手を意識する姿につながっていきますよ。
協同性を育む遊びには何がある?
ごっこ遊び
ごっこ遊びは、子ども同士が同じイメージの世界を作りながら関わるため、協同性を育みやすい遊びです。お店屋さんごっこや病院ごっこでは、「お客さんはここに並ぶ」「赤ちゃんを寝かせる場所を作ろう」など、遊びの設定を広げるやりとりが生まれますよ。その中で子どもは、自分の考えだけで進めるのではなく、周りの動きに合わせたり、必要な言葉を交わしたりします。共通のイメージを楽しむ経験が、友だちと一緒に遊びを作る力につながるでしょう。
製作活動

製作活動では、子どもが色や形、道具の使い方を考えながら、友だちと自然に関わる場面が生まれます。たとえば、大きな紙にみんなで絵を描くときには、「ここに花を貼りたい」「この色を使ってもいい?」など、自分のしたいことを伝えつつ、周りの表現にも目を向ける必要があります。はさみやのりを順番に使う経験も、友だちの存在を意識するきっかけになるでしょう。一人では思いつかなかった表現に触れながら作る楽しさを味わうことで、協同性が育まれていきますよ。
運動遊び
運動遊びでは、体を動かしながら順番やルールを意識する場面が多くあります。たとえば、リレーでは次の子にバトンを渡すタイミングを考えたり、大縄跳びでは跳ぶ人と縄を回す人が動きを合わせたりします。勝ち負けだけに注目するのではなく、仲間と動きをそろえる心地よさや、最後まで取り組む達成感を味わえることが大切。体を使った遊びを通して、子どもは周囲の動きに気づきながら参加する経験を重ねていくでしょう。
保育士は協同性を育むためにどう援助する?
子どもが安心して過ごせる信頼関係を築く
協同性を育むためには、まず子どもが保育士に受け止められていると感じられる関係づくりが欠かせません。不安や緊張が強い状態では、周囲に目を向けたり、自分から関わろうとしたりすることが難しくなります。保育士が日々の思いを丁寧に受け止め、困ったときに頼れる存在でいることで、子どもは園での生活に落ち着いて参加しやすくなるでしょう。その安定した心の土台があるからこそ、友だちとのやりとりにも少しずつ踏み出せるようになりますよ。
子どもの気持ちを受け止めながら援助する

協同性を育むには、子どもの気持ちを否定せずに受け止めたうえで、必要な場面に応じた援助をすることが大切です。友だちとのやりとりの中でうまく伝えられない思いがあるときは、保育士が「これを使いたかったんだね」「一緒にやってみたかったんだね」などと言葉を補うとよいでしょう。ただし、すぐに答えを出したり、大人が解決したりするのではなく、子ども自身が相手との関係の中で考えられる余地を残すことも大切です。寄り添いながら見守る関わりが、協同性の育ちを支えるでしょう。
家庭で協同性を育てるには?
お手伝いで役割を任せて協力する経験をつくる
家庭では、日常のお手伝いを通して協同性につながる経験をつくることができます。たとえば、食器を並べる、洗濯物をたたむ、使ったものを片づけるなど、子どもが無理なく取り組める役割を任せてみましょう。自分の働きかけによって家族の生活が進んだり、誰かに「ありがとう」と言われたりする経験は、人の役に立つ喜びにつながります。大人が先回りしてすべてを行うのではなく、子どもが家庭の一員として参加できる場面を用意することが大切です。そうした積み重ねが、周囲と力を合わせる感覚を育てていくでしょう。
まとめ
協同性は人と関わる楽しさから育つ
協同性は、子どもが日々の生活や遊びの中で、人と関わる心地よさを感じながら育っていくものです。はじめから上手に相談したり、相手の思いを理解したりできるわけではありません。ときには思いがぶつかったり、うまく輪に入れなかったりすることもあるでしょう。そうした経験も、周囲との関係を学ぶ大切な過程です。保育士や保護者が子どもの姿を丁寧に見守り、必要に応じて支えることで、子どもは少しずつ人と力を合わせる喜びを知っていきます。協同性を育むには、安心できる環境の中で、さまざまな人と関わる機会を重ねることが大切ですよ。






















