児童発達支援士はどんな資格?メリットや資格の取り方などを解説!【国家資格・独学・仕事・保育士】

児童発達支援士という資格を聞いたことがありますか。初めて聞いたという方も多いかもしれません。児童発達支援士とは発達障害に関する知識や発達障害児へのアプローチを身に付けられる資格です。この記事では、児童発達支援士のテキストの内容、試験方法や費用、おすすめの勉強法などを紹介しています。療育に関する知識を身に付けたい方、仕事の中で保育や教育などに関わっている方はぜひこの記事を参考にしてみてください。

児童発達支援士は国家資格か

一般社団法人人間力認定協会が認定する民間資格

児童発達支援士は国家資格ではありません。児童発達支援士は一般社団法人人間力認定協会が認定している民間資格。人間力認定協会は2019年に設立された比較的新しい協会で、人間力(非認知能力)を育成、認定、普及することを目的としています。TwitterやInstagramでも積極的に活動しています。児童発達支援士のほかにも発達障害コミュニケーションサポーター、SSTスペシャリスト、タッチタイピング検定の資格も認定していますよ。

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児童発達支援士は独学で取得可能?

独学では取得できず講座受講が必須

児童発達支援士を取得したいと考えている方の中には独学で勉強できるか気になっている方もいますよね。しかし、児童発達支援士は試験のみを申し込むことはできず、専用の講座を受講する必要があるため、独学では取得できません。講座に申し込むと、テキスト・ワークブック・DVDといった教材が届き、これらをもとに学習します。ほかの講座を受ける必要はなく、自分のペースで学習を進めていくことができます。

児童発達支援士のテキストの内容

発達障害に関する専門知識やアプローチ方法など

テキストの内容は以下の通りです。

1章 発達障害の特性を知る
1-1 発達障害は障害なのか、個性なのか
1-2 発達障害の本当のリスクは二次障害
1-3 発達障害の種類と統計
1-4 自閉スペクトラム症とは
1-5 ADHD(注意欠如・多動性症)とは
1-6 LD(学習障害)とは

2章 支援・療育方法とケーススタディ
2-1 発達障害児の療育とは
2-2 ABA(応用行動分析)
2-3 TEACCH(ティーチ)
2-4 感覚統合療法
2-5 ケーススタディ:1日の流れを見える化しよう
2-6 ケーススタディ:否定語は肯定語に置き換えよう
2-7 ロールプレイトレーニング

3章 脳科学の面から、子どもの特性を知る
3-1 子どもを伸ばすキーワードは“教えない”
3-2 挨拶・返事で頭がよくなる
3-3 習慣化ネットワークの働きを知る
3-4 子どもの幸せを決めるのは学力ではない

4章 人の道に立つための、しつけ教育
4-1 しつけ教育を行う目的とは
4-2 教育と発育の違い
4-3 素直な心を芽生えさせるしつけ
4-4 思いやりの心を芽生えさせるしつけ
4-5 やりぬく力を芽生えさせるしつけ
4-6 しつけを習慣化ネットワークに組み込む

5章 やる気を引き出し、自ら成長していく子の育て方
5-1 やる気を引き出す条件
5-2 子どもの自由な発想を大切にする
5-3 学ぶことが何につながるのかをイメージさせる
5-4 誉めるよりも承認が重要
5-5 劣等感を抱かせない

6章 人間力を身につけ、必要とされる子の育て方
6-1 挨拶にプラスアルファをつけられるように
6-2 あきらめない心を育てるための考え方
6-3 自主性と主体性の違い
6-4 コミュニケーション力が最も求められているスキル
6-5 感謝の心が子どもの未来を変える

1章、2章が医療系、3章以降が教育系の内容となっていて、医療面と教育面をバランスよく学ぶことができます。(参考:人間力協会のブログhttps://ninkyou.jp/blog/?p=1923

試験方法や必要な費用

オンライン形式で費用は合わせて41,470円(税込)

児童発達支援士の試験はオンライン形式で実施されます。ネット環境があればパソコンだけでなく、スマホからでも受験可能ですよ。二択問題と四択問題が出題され、50問中35問以上正解で合格となります。児童発達支援士を取得する際にかかる費用は、受講料が37,400円(税込)、試験料が4,070円(税込)で合わせて41,470円(税込)。支払方法はカードもしくは銀行振込です。カードの場合は分割払いもすることができます。

資格の難易度

難易度は高くない

児童発達支援士の合格率は90%程度と言われています。そのため、資格取得の難易度はそこまで高くなく、しっかりと講座を受講し、勉強すれば合格することができます。合格するにはどのくらい勉強する必要があるのか気になる方もいるかもしれません。児童発達支援士を受講した方へのアンケートによると、学習平均時間は20時間前後となっています。保育士の資格を持っている場合は10時間以内で合格している方もいます。

児童発達支援士のおすすめの勉強方法

テキストを読み込む

児童発達支援士の勉強は受講を申し込んだ際に送られてくる、テキストと動画を使って行います。児童発達支援士では、過去問題や模擬問題は基本的に公開していません。そのため、児童発達支援士に合格するにはテキストをしっかり読み、確認問題を繰り返し解き理解を深めることが大切。また、試験対策動画では試験に出題されやすい部分のみが収録されています。動画を繰り返し視聴することで知識を定着させることができます。

児童発達支援士を取得するメリット

保育などの現場で知識を活かせる

児童発達支援士は療育の現場で知識を役立てることができます。児童発達支援士は学習過程にロールプレイトレーニングが含まれているため、資格取得後すぐに現場で活かすことができます。学習内容は療育に特化していますが、一般的な子育ての知識も学べるため、教員や保育士など子供と関わる職業で役立てることができるのではないでしょうか。児童発達支援士の資格を活かせる現場には主に、学童保育、放課後等デイサービス、学習塾が挙げられます。

就職や転職に役立てることができる

児童発達支援士の資格は民間資格ではありますが、履歴書に書くことができます。児童発達支援士の資格は認知度が高いため、療育分野において専門知識を有しているというアピールになります。意欲的に知識を習得していることや積極性が評価されることが多いため、就職や転職の際には積極的にアピールしていきましょう。また、児童発達支援士の資格を持っていると、保護者から信頼を得やすくなり、安心して子供を預けてもらえるようになるかもしれません。

資格取得後もサポートがある

児童発達支援士の場合、資格取得後もサポートを受けることができます。一般社団法人人間力認定協会が行っている主なサービスは以下の通りです。

・公式LINEで情報発信

・意見交換会(毎月実施)

・専用サイトの閲覧権限付与

公式ラインでは、療育動画の配信や発達支援の最新情報などが配信されています。意見交換会では受講者は無料で参加することができます。意見交換会で仲間ができたり、さまざまな意見を聴くことで知見を広げることができるかもしれません。専用サイトでは療育に関するエピソードを読むことができます。エピソードを読むことで自分の悩みを解消できたり、新しく情報を得られたりと役立てることができそうですね。ぜひ活用してみてはどうでしょうか。

児童発達支援士に似ている資格

発達障害児支援士

発達障害児支援士は四谷学院が主催している認定資格です。学習内容は児童発達支援士と似ているため、混同される方もいるかもしれません。発達障害児支援士は中上級者向けの内容となっています。そのため、児童発達支援士の資格を取り、もっと知識を得たいとなったら発達障害児支援士の資格を取ると、より理解を深めることができそうですね。発達障害児支援士は保育士、幼稚園教諭、小学校教諭、療育従事者、発達障害児支援者を対象としています。

早期発達障害児支援士

早期発達障害支援士は、こども家庭早期発達支援学会が認定している資格。内容はやや上級者向けで、子供の発達とその支援に関する基本的な知識を持つ方を対象としています。受験資格を得るには以下の条件を満たしている必要があります。

こども家族早期発達支援学会の一般会員、あるいは正会員であること。
①〜⑧のいずれかに該当し、資格申請時を起点として過去5年間において、400時間以上の実践(原則として有償勤務)を有すること。
①学校(幼稚園・小・中・高・大・専修学校など)の教員(非常勤を含む)経験のある方
②公的な児童相談関係の職員(非常勤を含む)経験のある方
③保育園や児童福祉施設の職員(非常勤を含む)経験のある方
④その他子どもや家族の発達支援に関連する医療機関や療育機関の職員(非常勤を含む)経験のある方
⑤保育園、学校、学童クラブなどで支援の経験のある方
⑥学校心理士、特別支援教育士、臨床心理士、臨床発達心理士などの関連資格を有する方
⑦大学・大学院の学生などで、現在子どもの発達に関する臨床や研究に携わっている方
⑧その他本学会が過去の実績を認めた方

実務経験があることが条件であるため、保育や療育業界で従事されていて、キャリアアップを考えている方にはおすすめの資格です。

子ども発達障害支援アドバイザー

子ども発達障がい支援アドバイザーは、発達凸凹アカデミーが認定する民間資格。ユーキャンのサイトから申し込みができます。子ども発達障がい支援アドバイザーは、子供の発達に関する基礎知識から発展的な内容まで網羅的に学ぶことができます。学習内容は児童発達支援士よりもやさしめであるため、初心者の方が学ぶにはおすすめの資格。子ども発達障がい支援アドバイザーで知識をつけてから児童発達支援士を受講するというようにしてもいいかもしれません。

児童発達支援士の資格を活かせる場所や仕事

保育園・幼稚園

近年、発達障害と診断されないグレーゾーンと言われる人が増えています。そのため、多くの子供と関わる保育園や幼稚園では、一人ひとりの個性に合わせた対応が求められるようになるかもしれません。児童発達支援士の資格を取得すると、子供に対する適切な関わり方ができるようになるでしょう。また、児童発達支援士の資格を持っていると、療育に関する知識を持っていることの証明となるため、保護者の方も安心して子供を預けてくれるかもしれません。

学童保育や放課後等デイサービス

ここ数年で学童保育や放課後等デイサービスの事業所は増加傾向にあり、療育に関する知識を持った人材の需要は、今後さらに高まると言われています。また、児童発達支援士は国家資格ではなく、民間資格であるため、児童発達支援士の資格を必須としている求人はほとんどありません。しかし、児童発達支援士の資格を持っていると、就職や転職の際に療育に関する知識や熱意が評価されるかもしれません。

まとめ

児童発達支援士を取得して療育の現場で役立てよう

いかがでしたか。児童発達支援士は資格を取得することで療育に関する専門的な知識を身に付けることができます。そのため、教育や医療、保育などのさまざまな分野で知識を役立てることができます。この記事で児童発達支援士について初めて知ったという方もいるかもしれません。少しでも児童発達支援士に興味を持った方は、ぜひ受けてみてはどうでしょうか。内容は初心者向けであるため、勉強して自分の身にしていくといいですね。

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保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/