子供の遊びには、ごっこ遊びや運動遊びなど、様々な種類があります。発達段階によってその内容は変化し、子供は遊びの中でたくさんのことを学びながら成長していきます。さて、みなさんは受容遊びという言葉を聞いたことがあるでしょうか?受容遊びは、遊びの種類の中でも複雑な部分があり、注意点もいくつかあります。今回の記事では、子供の受容遊びについて、期待できる効果や注意することなどを紹介していきます。また、適切な環境構成を大人が子供に提供する必要性があることも説明していきますよ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
受容遊びとは
絵本を見たりお話を聞いたりする遊び
受容遊びとは主に、絵本を見たりお話を聞いたりする遊びです。走り回ったりボールを使ったりする運動遊びや、砂場で楽しむ感覚遊びのようなものとは異なり、目や耳に情報を入れて受容を楽しむことが受容遊び。子供達は遊びを通して様々な学びを得ていきますが、受容遊びは知的好奇心や豊かな心の発達と深い関係があるようです。その名の通り、受け入れて取り込む受容遊びの例を、以下でいくつか紹介します。
受容遊びの例
絵本・紙芝居の読み聞かせ
絵本や紙芝居の読み聞かせは、受容遊びの1つです。読み手が読み上げる物語を耳で聞いて、イラストを目で見ながら受容し楽しみます。絵本や紙芝居の読み聞かせは、想像力や感性が育ち語彙が増えるなど、脳の発達に大きく影響するものです。子供達は知らなかった言葉を聞いて覚えたり、物語の内容に対して「どうなるんだろう」と、創造力を働かせたりしながら楽しむことができますよ。表現力が豊かな読み手であればあるほど、子供達はたくさん受容をし、遊びを楽しめるでしょう。
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テレビや映画の視聴
テレビアニメや映画などを視聴して、見聞きしたセリフを真似することも受容遊びと言います。現実的ではない自分の知らない世界を知ることができ、非現実な体験ができるという特徴があります。子供向けの教育番組は、子供が楽しめるように製作されているため、知的好奇心への刺激にも繋がります。現在は、YouTubeなどネット動画の視聴が子供達の中でも流行していますが、実はそれも受容遊びの1つなのです。
パネルシアターやエプロンシアターなどの観覧
パネル布を貼った板の上で物語を展開するパネルシアターや、エプロンを舞台に見立てて、ポケットから人形を出したり貼り付けたりしながら披露するエプロンシアターなどの出し物も、受容遊びの1つです。こちらは絵本とは規模が異なり、より大きな舞台で物語が繰り広げられていきます。動きのあるシアターは、子供達の視線を集めて感情を揺さぶり、引き込む力があります。動きに加えて音楽を合わせることで、耳から得た情報を、ありのままに受容し楽しむことができますよ。
受容遊びで期待できる効果
想像力が豊かになる
受容遊びは、子供達の想像力を豊かにすることが期待できます。物語や音楽を受容していくうちに、子供達は自分の考えや感情を持ち、現実の枠を超えるような発想をしていくでしょう。耳で聞いたことに対して、頭の中でそのシーンを思い浮かべて想像したり、物語のまだ見ぬ続きを考え出したりします。これらの想像力は、いずれ他人の気持ちを想像する力にも繋がってくるそうです。受容遊びで思いやりの心も成長させることができるんですね。
理解力の向上
絵本やテレビなどを通して、目で見たシーンや耳で聞いた言葉を自分なりに解釈して考えることで、理解力の向上が期待できます。子供達は物語を見たり聞いたりしていく中で、イマイチ意味が分からないなどと、困惑してしまうこともあるでしょう。しかし、たとえ意味を理解できない言葉があったとしても、お話の前後の流れやイラストから意味を理解しようとします。また、受容遊びを通して、子供達は自分と異なる視点や考え方を理解し、共感力や協調性を育んでいくのです。
語彙力が増える
受容遊びでは、語彙力が増える効果も期待できます。テレビやDVDの視聴を通して言葉のリズムやイントネーション、文脈に応じた語彙の使い方を自然と学んでいきます。それを繰り返すことで、言葉の意味や使い方といった語彙力を増やしていきますよ。また、子供は知らなかった言葉を知ることができ、好奇心が刺激されるというのも大きなポイントですね。これにより学習意欲も高まり、語彙力の増強に繋がっていくでしょう。
集中力が高まる
さらに受容遊びでは、様々な情報を見たり聞いたりしていくうちに、集中力が高まるという効果も期待できます。絵本やテレビの視聴は「この後どうなるんだろう」と、子供達は頭の中で想像したり考えたりと、集中しながら楽しみます。これにより、持続的な集中力が自然と鍛えられていくのです。また、受容遊びは楽しみながら行うことができるので、ストレスを軽減して心のリラックス状態を促します。そのため、集中力を高める環境として適していると言えるでしょう。
受容遊びで注意すること
画面の見過ぎによる視力の低下
受容遊びは様々な効果が期待できます。しかし、行き過ぎた受容には注意が必要です。ここからは、受容遊びで注意することを3つ紹介します。1つ目は画面の見過ぎによる視力の低下です。長時間、特に近い距離で画面を見続けていると、急に近視化してしまうことがあります。子供は大人よりも目の調節力が強いので、近い距離で画面を見過ぎると目の筋肉が緊張し続け、視力の低下に繋がります。子供が画面に集中し楽しんでいるからといって、動画やテレビを長時間視聴させることは避けましょう。部屋を明るくしたり画面から子供を離したり、視聴の時間制限を設けるなど、工夫をすることが大切ですよ。
他者との交流が減ることによるコミュニケーション能力の低下
2つ目は、他者との交流が減ることによるコミュニケーション能力の低下です。受容遊びは、絵本や紙芝居、テレビといったツールを一方的に受容する遊びです。そのため、他者とコミュニケーションを取る機会が少ない遊びとも言えます。絵本や動画を受容するだけでは、他者との関わりが希薄になりがちですが、見聞きした内容を自分の中に吸収して他者と共有することで、コミュニケーション能力を培っていくことができますよ。大人は積極的に子供達と関わり、普段からコミュニケーションをとる場を設けていきましょう。
運動遊びなどの機会が減る
3つ目は、運動遊びなどの機会が減るということです。先述した通り、さまざまな効果が期待できる受容遊びですが、面白い動画や絵本にばかり夢中になってしまうと、他の遊びに興味を持てなくなる可能性があります。子供はたくさんの種類の遊びを通して成長していきます。また、それぞれの遊びによって培うものも異なります。受容遊びだけに偏ってしまうと、運動遊びや模倣遊び、その他の遊びで得られるものも、得られなくなってしまいますよ。子供の発達に合わせた遊びを、バランスよく毎日取り入れるようにしましょう。
一般的な保育における遊びのねらい
好奇心や探求心を育む
ここからは、一般的な保育における子供の遊びについて説明していきます。一般的な保育における遊びのねらいは、主に3つ挙げられます。1つ目は、好奇心や探求心を育むということ。外に出てお散歩や運動遊びをすると、草花や生き物を目にする機会が増えますよね。春夏秋冬で変化する自然の景観や、生き物の成長などを直接感じながら体験することで、自然や季節への好奇心を育むことができます。さらに、普段の生活においても、好奇心ゆえの疑問が生まれて自ら考えることで、探求心を育むことにも繋がります。
認知能力や想像力を育む
2つ目は認知能力や想像力を育むということ。体を動かす遊びは、子供の運動能力の向上だけでなく、認知能力や想像力も育むことができます。運動をする際には、瞬時の状況判断や思考判断が必要になりますよね。その結果、脳を活発に働かせることができるので、認知能力の向上に繋がります。また、子供達が自分達に合わせたルールを作ったり、新しい遊びを生み出すことで、想像力や創造性を育むことができるでしょう。
人格形成とコミュニケーション能力の向上
3つ目は人格形成とコミュニケーション能力の向上。一般的な遊びには、子供の人格形成やコミュニケーション能力の向上が関わってきます。外に出て自然の中で遊ぶことや、遊びを通して地域の人と交流することは、社会性を身に付けるきっかけとなり、より良い人格形成に繋がります。また、同じ年齢の子供が集まる保育園では、集団遊びをする機会が多いでしょう。お友達と上手に関わりながら遊ぶ中で、コミュニケーション能力を養っていきます。
一般的に子供の遊びで心掛けること
子供が自主的に行うようにする
最後に、一般的に子供の遊びで心掛けることを受容遊びと交えながら紹介します。そもそも遊びは、子供がやりたいと感じて自発的に行う活動です。保育園で保育士に促され、言われた通りに遊びをするのではなく、子供の自発性に任せた遊びをさせることが大切です。受容遊びで絵本の読み聞かせやDVDの視聴などをする際にも、絵本やDVDを大人が決めるのではなく、子供の発達に合わせた内容のものを何種類か用意して、子供に選んでもらうといった工夫をすると良いでしょう。
子供の年齢に合わせた遊びをする
子供の年齢に合わせた遊びは、子供の成長と発達にとても重要です。年齢に合った遊びをするということは、知的スキルや感情的スキル、社会的スキルを育む助けとなります。難しすぎて子供が理解できない遊びや、子供の年齢に合っていない遊びはストレスや挫折感を与えてしまうことがあります。受容遊びでは、子供が理解できて楽しめる内容かどうかを必ず確認してから、読み聞かせる絵本やDVDを選びましょう。
遊びの質を向上させて子供の成長に繋げる
遊ぶという行為は、ただ単純に子供が楽しむだけのものではありません。子供の能力や資質を引き出し、成長を促していくためのものでもあります。つまり、子供にとって遊びとは学びに繋がる大事な行為。その遊びの質を向上させることで、様々な学びから能力の発展や成長が期待できます。大人は、子供が安全に遊べる環境を整えたり学びの要素を積極的に取り入れたりして、遊びの質を向上させていきましょう。
まとめ
受容遊びを通して子供の発達を促そう!
いかがでしたか。今回の記事では、受容遊びについての例や期待できる効果、注意することなどを紹介しました。受容遊びは目や耳から情報を入れて受容を楽しむ遊び。子供の想像力や理解力、語彙力などを高めるうえで有効な遊びでしたね。また、一般の保育における遊びに関しても受容遊びを交えて紹介しました。子供の年齢に合わせ、遊びの質を高めた受容遊びを行い、子供の発達の向上を促していきましょう。