絵本専門士とは?【倍率・受講・スキル・活躍できる施設】

絵本に関する知識や読み聞かせなどの高い技術を備えた、絵本の専門家である絵本専門士。絵本専門士は、絵本の専門家であることを証明する資格です。この記事では、絵本専門士になる方法や、絵本専門士に求められる資質やスキルを解説していきます。絵本専門士は保育の現場で役に立つだけでなく、絵本の講師など活躍の場を広げることが出来ます。絵本専門士について興味のある方はぜひ、この記事を参考にしてみてくださいね。

絵本専門士とは

絵本に関する高度な知識を備えた専門家

絵本専門士とは、絵本に関する高度な知識や技術を備えた専門家。この資格は2012年に国立青少年教育振興機構により設立されました。子供にとって絵本は、想像力や思考力が育まれ、言語力・理解力・感性の発達に影響するなど、豊かな人格形成には欠かせない存在です。そのため、絵本専門士には絵本に関する知識や技能、豊かな感性が求められます。絵本に関する専門知識をはじめ、子供との関わりや関係を深められるような読み聞かせの技能や、子供を楽しませることが出来る豊かな感性が必要不可欠なのです。

絵本の読み聞かせについての詳しい内容はこちらを参考にしてみてください!

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認定絵本士との違い

認定絵本士は主に学生向けの資格

認定絵本士との主な違いは、認定絵本士が学生向けの資格であるということです。認定絵本士の資格を取得するためには、認定絵本士養成講座のカリキュラムがある大学や短大、専門学校などでの単位取得が必要となります。認定絵本士は、学生などの若者に絵本の魅力や有用性を理解してもらい、さらなる関心のもと子供の読書活動を牽引してもらう目的で設立されました。なお、認定絵本士も絵本専門士と同じく、国立青少年教育振興機構によって認定される民間資格となります。

絵本専門士になるには?

絵本専門士養成講座を受講する

絵本専門士になるためには、絵本専門士養成講座を受講する必要があります。しかし、絵本専門士養成講座は誰でも受講できるわけではありません。応募要件を満たした上で、絵本専門士養成講座の受講選考に合格する必要があります。応募要件は以下の4つのうちいずれかを満たすことが必要です。

①子どもや絵本に関連する資格を持つこと
保育士や幼稚園教諭、小学校教諭などの資格。
②絵本に関する実務経験が、原則3年以上あること
保育士や幼稚園教諭、小学校教諭、図書館職員などの実務経験。
③絵本に関わる活動が、原則3年以上あること
絵本の読み聞かせ活動や絵本に関わるワークショップなどの活動経験。
④絵本学や児童文学、美術について研究実績があること
大学院で児童文学の研究実績があるなど。

これらの応募要件を満たし、絵本専門士養成講座の授業を修了した上で、絵本専門士として必要な資質や能力を認められた人が資格を得ることが出来ます。

絵本専門士養成講座の内容

知識・技能・感性を学ぶ授業

では、絵本専門士養成講座ではどのようなことを学ぶのでしょうか。絵本専門士養成講座では、知識・技能・感性といった絵本専門士になるために必要な3つの領域を身に付けます。講座は30コマの授業と修了課題により構成されており、1コマあたり90~120分となります。絵本や子供に関する知識から、おはなし会やワークショップを運営する技能、絵本の創作や編集に要する豊かな感性などをバランスよく習得できる内容となっていますよ。また、絵本に関わる専門家や実践家を講師として招き、講義や演習などといった様々な形態で授業を実施。さらに1クラスあたり約35名を定員として、より細かい指導を行うことを特長としています。

絵本専門士の倍率は?

養成講座受講の倍率がとても高い

絵本専門士になるためには、応募要件を満たし絵本専門士養成講座の授業を経た上で、必要な資質や能力を認められることが必要でした。しかし、その絵本専門士養成講座自体の競争倍率は非常に高く、狭き門となっています。正確な受講倍率の数字は発表されていませんが、例年、定員70名に対して数百人の応募があるようです。選考結果は国立青少年教育振興機構のホームページで発表となります。絵本専門士は何年挑戦しても受講資格さえ得られないことがある、とても厳しい資格なんですね。

絵本専門士に求められる資質

絵本と子供に関する知識

絵本専門士に求められる資質を紹介します。絵本専門士は大きく3つの資質が求められるようです。1つ目は、絵本と子供に関する知識。例えば、絵本の歴史や絵本と教育の関係、子供に関する専門的な知識などです。絵本は、読解力や言語能力、感性などを養うことが出来る、子供の成長にとって欠かせないものですが、さらにどのような効果があるのかなど絵本と教育の関係性について詳しい知識を持つことが重要でしょう。また、子供の特徴に関する詳しい知識も絵本専門士には必要ですよ。

絵本からメッセージを読み解く感性

2つ目は、絵本からメッセージを読み解く感性。それぞれの絵本には、子供達に向けて何か伝えたいことを含んでおり、メッセージ性があります。絵本を子供達に読み聞かせる場合、読み手がそれらのメッセージを読み解き、適切に伝える必要があります。絵本は、文章と絵のバランスを考えて作られています。そのため、メッセージを読み解くことが出来ず間違った形で伝えてしまうと、そのバランスが崩れてしまいますよね。それぞれの絵本が持つ世界観や言葉のリズムをそのまま楽しむためにも、絵本からメッセージを読み解く感性は重要なのです。

絵本の魅力を伝えるための技能

3つ目は、絵本の魅力を伝えるための技能。絵本専門士は、子供たちの読書活動の推進を図るため、絵本の魅力を子供達に伝えていく必要があります。そのため、絵本の読み聞かせやワークショップ、創作活動などを通して絵本の魅力を伝えるための技能が資質として求められています。また、紹介したこれらの資質は絵本専門士養成講座の中で確実に学ぶことができ、深めていくものとして定義されているようですよ。

絵本専門士に必要なスキル

絵本をチョイスする選択力

次に、絵本専門士に必要とされるスキルを3つ紹介します。絵本専門士になるには以下のスキルを習得することが必要です。習得後は絵本専門士としての仕事の幅も大きく広げることが出来るでしょう。1つ目は、絵本をチョイスする選択力。子供達に絵本を読み聞かせる際、どのような絵本を読めばいいのか悩む人も多いですよね。絵本は、対象年齢によって内容も変わってくるので、子供1人ひとりの発達段階に応じて最適なものを選ぶ必要があります。子供の年齢や発達に合わせた絵本を選ぶことが出来るようになると、読み聞かせの質を向上させることも期待できますよ。

絵本を分かりやすく伝えるための表現力

2つ目は、絵本を分かりやすく伝えるための表現力。子供は、たとえ絵本であっても難しい表現などがあった場合、すぐに飽きてしまい興味を示してくれません。そんな飽きっぽい子供にも、豊かな表現力や感性を駆使して分かりやすく絵本の内容を伝えることが重要です。絵本専門士の養成講座では読み聞かせに必要な表現力をはじめ、スクリーンや音楽、人形などの道具を使った興味を引くテクニックを学ぶことが出来ます。絵本専門士には、子供の視線を釘付けにさせられるような表現力も必要とされているんですね。

絵本に関する研修を行う指導力

3つ目は、絵本に関する研修を行う指導力。絵本専門士は、絵本の読み聞かせを通して子供達の読書活動を支援するだけでなく、絵本に関する研修などの講師としても活躍することがあります。絵本専門士として、広い知識や豊かな感性、技能を持ち合わせた上でリーダーシップを発揮しながら絵本の魅力を伝えていける指導力がスキルとして求められます。ここまで、絵本専門士が求められる資質やスキルを紹介しました。資格取得後はそれらの資質やスキルを活かしながら絵本専門士としてキャリアを積んでいくことが出来るでしょう。

絵本専門士が活躍できる施設

教育施設

絵本専門士が活躍できる場所としてまず挙げられるのが、教育施設です。保育園にいる子供達は、絵本を通して想像力や言語能力を育んでいく大事な時期ですよね。また、小学校低学年くらいまでは絵本で本を読むことの楽しさを知っていく時期だと考える人も多いでしょう。絵本専門士はそんな子供達に向けて絵本の魅力を伝え、読書活動の支援をしていくことが出来ます。そのため絵本専門士の資格は、保育士さんや小学校教諭の方におすすめ。さらに、絵本専門士が活躍できる場所は、保育園や学校などの教育施設だけではありません。その他の活躍場所を以下で紹介します。

図書館

絵本専門士は図書館でも活躍することが出来ます。子供達に向けた、図書館内での絵本の読み聞かせや、絵本の特集を作成しおすすめの絵本を紹介します。既に図書館員として働いている方は、職場で培った絵本の専門知識を活かしてさらに活躍していくために、絵本専門士の資格はおすすめですよ。今後、絵本専門士の認知度が高まれば、絵本の詳しい知識を持った職員を求める職場が増えるかもしれませんね。

医療機関

治療の一環として絵本を扱う医療機関でも、絵本専門士は活躍します。例えば小児医療において子供が医療行為に対して抱く恐怖心や不安感を軽減し、頑張る子供の気持ちをサポートするために絵本を活用します。絵本を通して子供に分かりやすく治療の説明をしたり、医療の教育をしたりすることを目指しているそうです。子供でも、自身がこれから行う治療を少しでも理解することによって、恐怖心や不安感を軽減させることが出来そうですよね。

高齢者福祉施設

さらに、絵本専門士は高齢者福祉施設でも活躍します。絵本には、その仕掛けによる視覚的刺激や触覚的刺激により認知症ケアとしても効果があるとされています。また、感動や喜びを思い出すことで他者とのコミュニケーション意欲に繋がります。絵本を介して高齢者同士、あるいは介護者や家族といった世代の違う人とのコミュニケーションを促進することが出来るようです。絵本専門士による表現豊かな絵本の読み聞かせで、高齢者の集中力向上や認知症ケアに貢献出来たら嬉しいですね。

絵本専門士を取得すると得られる利点

絵本の講師など活躍の場を広げられる

最後に、絵本専門士を取得すると得られる利点について紹介します。絵本専門士は、子供達に対し絵本の読み聞かせをする活動だけでなく、大人に対し講師として絵本に関する研修をするなど、幅広く活躍の場を広げることが出来る利点があります。また、仕事の幅が広がることはもちろん、絵本専門士養成講座でも様々な職業の人と知り合うでしょう。仕事において大切な人脈も広げることが出来るので、さらに活躍の場を広げられる可能性も高まりますよ。

保育業界へ就職する際のアピール材料になる

また、絵本専門士の資格は保育業界へ就職する際のアピール材料となります。保育士になった場合、保育園の活動の中で子供達に絵本の読み聞かせをする機会が多くあるでしょう。絵本の読み聞かせは子供の成長に大きく関わるものなので、子供の興味を釘付けに出来る絵本専門士の資格を取得した保育士さんは、採用確率も上がるかもしれません。これから保育士として働く方や、既に保育士として働いている方は絵本専門士の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

絵本専門士を取得して子供達の読書活動を支援しよう!

いかがでしたか。今回の記事では、絵本専門士の資格の取得方法や求められる資質・スキルなどについて紹介しました。絵本専門士は子供の想像力や思考力を育むことが出来る、絵本に関する高度な知識・技術を備えた専門家。子供の成長に関わる絵本は、読み手の伝え方が大きく影響します。絵本専門士の資格を取得して、絵本に関する知識や豊かな感性、技能を駆使し子供達の読書活動を支援しましょう!

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保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/