3歳児健診について解説!【内容・事前準備・ひっかかる原因・行かないとどうなる?・厳しい?】

目次

3歳児健診とは、満3~4歳の子どもを対象とした乳幼児健診で、自治体ごとに行われます。1歳半健診と比べて子どもの発達に関する様々なことがわかる大変重要な機会なので、「3歳児健診についてよく理解しておきたい!」という方は多いのではないでしょうか?この記事では、3歳児健診の内容や事前の準備について解説するとともに、引っかかる原因や行かないとどうなるのかということなどについてもまとめてみました。保護者や保育士など、小さなお子様に関わる方々はぜひ参考にしてみて下さい!

3歳児健診とは?

乳幼児健康診査の一つ

3歳児健診の正式名称は「3歳児健康診査」で、満3歳を超え満4歳に達しない幼児に対して行われる乳幼児健康診査の一つです。乳幼児健診のうち1歳半と3歳時に行われるものは、国が定めた「母子保護法」に基づいて実施されている検診で、無料で受けることができます。3歳の誕生日の月末頃(日程によってはその翌月の末頃)に自治体から通知が届き、予約をしたうえで最寄健診りの健診場所に赴いて、子どもの心身の成長、栄養状態、疾病の有無の確認や子育てに関する相談などを行うことができます。

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事前にやっておくこと

予防接種の確認

まずは母子手帳でこれまで受けた予防接種について確認するようにしましょう。3歳児健診では、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、四種混合ワクチン、麻疹風疹混合(MR)ワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチン(任意)などについて接種が完了しているかどうかの確認がなされます。乳幼児が受ける予防接種の種類やワクチン名、実施される時期について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

 以下を参考 

持ち物の確認

持ち物は自治体からの案内を確認するようにしましょう。市町村によって異なりますが、一般的に必要とされる持ち物は以下の通りです。

  • 母子健康手帳
  • 子どもの健康保険証
  • 問診票やアンケート
  • 視力検査や聴力検査の結果
  • 尿検査の尿 ・筆記用具
  • 歯ぶらし(指定された場合)
  • 診察券(個別健診の場合)  など

他にも、おむつやおしりふきといった衛生用品や着替えなどがあると安心です。また、混雑による待ち時間対策のために、おもちゃや絵本なども持参しておくとよいでしょう。

視力検査と聴力検査

視力検査や聴力検査のキットが送られてきた場合には、家庭で視力や聴力を事前に検査し健診当日に提出するようにしましょう。視力については、アンケート方式による問診と視力検査(一定の距離からランドルト環や絵などが見えるかどうかを左右それぞれで測るもの)を行います。聴力検査ではささやき声検査(ささやかれた動物の名前と絵を一致させるもの)とアンケートの記入を行い、子どもの聴力について評価します。

尿検査

3歳児健診当日の朝には子どもの尿を取って持参します。下に紙コップを入れられた状態でおしっこをするという普段しない体験に子どもが戸惑ったり緊張することも考えられますので、当日スムーズに採尿できるように事前に練習しておくといいでしょう。また、オムツが取れていない子どもやトイレトレーニング中の子どもは尿が取りにくいかもしれないかもしれません。そのような場合には採尿袋を用いてみてもいいでしょう。

3歳児健診の内容について解説

身体的な発達の確認

身体的な発達状況の確認は、身体測定と運動機能の確認を通して行われます。具体的な測定の内容は以下の通りです。

・身体測定・・・身長・体重・頭囲・胸囲・肥満度などの測定を行い、成長曲線と比較して発育状況を確認

・運動機能の確認・・・粗大運動(走る・片足立ち・ジャンプなどの体全体を使った大きな運動)と微細運動(着替え・靴を履く・丸を描く・積み木を積むなどの手指を使った細かい運動)の発達を確認

精神的な発達状況の確認

言語発達については、自分の名前や年齢が言えるのかを確かめる、今日誰と一緒に来たのかということや家・保育園での様子を尋ねて答えさせる、絵を見せて名前を答えさせることによって、

  • 基本的な会話ができるのかの確認
  • 概念の理解ができているのかの確認

を行います。また、発音の明瞭度や吃音の有無の確認もなされます。認知能力については、

  • 大小や長短の理解が可能かどうか
  • 高低の理解ができるかどうか
  • 色の区別が可能かどうか

などを確かめることで確認します。

子育てや生活の状況の確認

主に以下のようなことが確認されます。

  • 親が子どもに対して必要なサポートを行えているか
  • 子どもの生活習慣(起床・就寝・食事の時間、排尿や排便の状況、歯磨き)
  • 社会性の発達
  • 栄養状態(食事回数・食事内容・食欲・偏食・おやつの時間・おやつの内容など)

それ以外には、予防接種の状況や事故防止などについての指導がなされたり、気になる点や不安な点について相談した場合はアドバイスを受けることもあります。

歯科健診

歯科検診では、歯の状態や歯磨きの習慣、食生活などについての確認がなされます。歯の状態の確認ついては、

  • 歯の形や数(上下計20本)
  • 虫歯
  • 乳歯の萌出状況
  • かみ合わせ

などを診ることで行われ、歯磨きの習慣については、本人による歯磨きはもちろんのこと、保護者による歯磨きの仕上げが行われているかを確認します。子どもの口腔機能や摂食機能について、普段の生活で気になる部分があれば、歯科健診で相談するようにしましょう。

視聴覚の検査や内科健診など

視力や聴覚については、2次検査として家庭でのアンケートや検査結果の確認と医師による診察が行われ、事前検査がうまくできなかった場合やどこか気になる点がある場合には健診会場で再検査がなされます。視聴覚以外には内科健診が主に行われ、

  • てんかん性疾患
  • 血液疾患
  • 皮膚疾患
  • 循環器系(心臓)疾患
  • 呼吸器系(肺や気管など)疾患
  • 消化器官系(胃や腸など)疾患
  • 泌尿生殖器官系疾患

などの有無が確認されます。

必要な場合は精密検査も

検査項目のいずれかで異常が見つかった場合には、精密検査が行われます。精密検査を行う目的は、3歳児健診によって発見された発達障害やその他の疾患、異常を早期治療し、子どもに対する支援につなげていくことです。精密健康診査が必要になるケースは、一般健康診査を受診した幼児の5~7%程度となっており、割合的には多くありません。2019年度は、3歳児健診を受診した919,593人の内、66,831人(約7.3%)が精密健康診査の対象でした。

 出典 

3歳児健診にひっかかる原因について

視聴覚や身体的な成長の問題

視覚や聴覚、身体的な発育や運動機能に異常がある場合、精密検査を行う必要がある場合があります。主に、以下のような場合にひっかかることが考えられます。

  • 視力検査で視力0.5が確認できない
  • 高度な屈折異常(遠視や近視、乱視)や斜視がある
  • 眼球運動の異常がある
  • 目の病気の可能性がある
  • 難聴が疑われる
  • 著しく低身長や肥満や痩身である
  • 運動機能の異常が疑われる

また、そもそも検査ができなかった場合にも再検査や精密検査が必要になることがあるでしょう。

 詳しく知りたい方はこちら 

言語の遅れ

言葉の遅れが疑われる場合には精密検査が必要になったり経過観察となることがあります。

✔ 自分の名前と年齢が答えられない

✔ 誰と来たのかが答えられない

✔ 大小と長短が理解できない

✔ 高低を理解できない

✔ 色を理解できない

などが言葉の遅れの兆候として挙げられます。ただし健診の場で名前を言えない、会話ができないからと言って発達が遅れていると決めつけることはせず、家や保育園などでの普段の生活の様子を加味して判断する必要があるでしょう。

コミュニケーションや精神発達の問題

コミュニケーションに問題がある場合、精神的な発達の遅れを疑われ専門家に診てもらうことを勧められる場合があります。3歳はお友達との遊びやかかわりが増え、社会性も発達してくる時期なので、

✔ 一人遊びが多い

✔ 簡単な会話が成立しない

✔ 視線が合わない

✔ 表情が乏しい

✔ 簡単な指示に従えずじっとしていない(極端に落ち着きがない)

✔ 育てにくさを感じる

などの傾向が見られる場合には一度相談してみるのがよいでしょう。ただしここでも、健診会場での様子に加えて、家庭や保育園などでも同様のことが見られるのかということも考慮して発達障害かどうかを判断する必要があります

 詳しく知りたい方はこちら 

引っかかったら早めに専門医に相談するとよい

子どもに発達障害、成長障害その他の異常や疾病の疑いがある場合は早期発見、早期治療(支援)が重要になる為、問題を先送りにせず、なるべく早く専門医に診てもらう事が重要です。また3歳児健診では自分から言わないと見過ごされてしまう問題も多いため、何か不安な点がある場合には診察の際に自分から相談をした方がいいでしょう。不安材料を残したままの診断結果は、たとえ引っかからなかったとしても完全に安心できるものではありません。健診に引っかからない場合でも、発達障害や成長障害が後になって判明する場合も多くあります。

3歳児健診に行かないとどうなる?

各家庭に受診を促す家庭訪問を行う市町村もある

3歳児健診に行かなかった場合、市区町村にもよりますが、自治体の担当の方が各家庭に訪問し受診を促すようです。市区町村が母子保護法に基づいて乳幼児児健診を行う理由は、表向きは子供の成長や発達段階に問題がないかを確認するためですが、それ以外にも親が虐待をしていないかを確認するためでもあるのです。ですので、事前連絡なしに健診に行かなかった場合に行われる家庭訪問や電話は、おそらく「虐待を隠している可能性があるとみなして確認しに来た」という側面もあるのでしょう。

義務ではないので行かなくても法的に問題があるわけではない

母子保護法により、市町村が3歳児健診を行う義務はありますが、各家庭が受ける義務はありません。なので、健診に行かなかったからと言って刑事責任を問われたり罰金を科されるなどの法的な問題はないということになります。ちなみに、令和元年度の3歳児健診の受診率は約95%とほとんどの子どもが受けており、この数字はかなり素晴らしいことだということができるでしょう。しかしその一方で、少数ではあるものの受けていない子もいるようです。

子どもの現状を知れる貴重な機会なので行ったほうがよい

3歳児健診は子どもの発達度合いについて様々な観点から知ることのできる貴重な機会なので、我が子の現状を知り今後の子育てに活かすためにも、よほどの事情がない限りは受診するようにしましょう。「普段保育園とかで見てもらってるし行かなくてもいいんじゃ…」と思われる方もいるかもしれませんが、一見何もなさそうでも、専門家が見ると実は治療が必要だったというケースがあるかもしれません。健診は、普段見過ごされている問題を見つける場でもあるということは知っておいてもらいたいです。

それでも行きたくない(行けない)ときには

「集団健診に不安がある、子どもの負担になる、時間が合わない」などの理由でどうしても3歳児健診に行けない(行きたくない)時には、健診のお知らせにある問い合わせ先に必ず前もって電話をして、行けない理由を伝えるようにしましょう。その際には、かかりつけの病院で健診を個別に受ける旨(自己負担)も同時に伝えます。何の連絡もなしに健診に来ない場合、虐待などが疑われ行政からチェックが入るので、くれぐれも無断で欠席することはしないようにしましょう

3歳児健診は厳しい?

子どもの発達状況によって厳しいと感じられることはある

3歳児健診は、子どもの発達状況によっては厳しいと感じられることもあるかもしれません。子どもの発達スピードは皆同じわけではなく性格や環境、得意不得意などによって個人差が出てきます。なので、健診で聞かれる質問の内容や出される問題にうまく答えられない子がいても全く不思議なことではありません。とはいえ、自分の子がうまくできない様子を目の当たりにすれば、「…厳しいなあ…」と感じてしまうのも仕方ないかもしれませんね。

質問に答えられなかったり課題ができなくても落ち込むことはない

先ほども述べたように、3歳児健診で子どもが質問に答えられないことや課題ができないことは不思議なことではなく、「うちの子、発達遅れてるのかな…」などと落ち込む必要はありません。健診でうまく答えられるかどうかは、保健士さんとの相性、性格やその日の気分、得意不得意、質問された内容に普段から触れているかどうかなどにもよります。他の子と比べてできないことがあったとしても「これも子どもの個性だ」と理解し、困っていることがあれば適度にサポートをしつつ長い目で発達を見守ってあげることが重要です。

保育士ができること

普段から子どもの様子を観察して発達について見極める

まず保育士ができることは、普段から子どもの様子を観察し発達の問題について見極めておくことです。保育士は毎日大勢の子どもと接していることで、子どもの年齢的成長のおおまかな流れや標準を理解しています。ですので、それぞれの子の気になる点についても自ずと見えてくるものがあるのではないでしょうか。子どもの発達の状況について、その子の性格や得意不得意と合わせて理解しておくことで、保護者や子どもに対して困っているときに適切なサポートができるようになります。

自分達の見立てに健診結果を加味して指導方針を考える

3歳児健診は、専門的な観点から子どもの発達について知ることのできる貴重な機会です。健診によって、子どもについて今まで気づかなかった問題点や困りごとが判明することもあるかもしれません。そのような場合には、これまでの自分達の見立てに健診結果を加味して指導方針を考える必要があります。健診の結果を考慮したうえで指導方針を組み立てることで、より一層その子の特性に合わせた対応を行えるようになることが期待できるでしょう。

保護者と連携して園全体で気になる子をサポートする

子どもが何か問題点を抱えていることが明らかになった場合、保護者と連携して園全体でその子をサポートしていく必要があります。保護者にとっては、子どもに問題があるということは簡単に受け入れられるものではないでしょうが、何よりも一番困っているのは子ども自身だということを忘れてはいけません。保育士は保護者に対して、子どもが決して「問題のある子」ではなく「困っている子」であるということを伝え、困難を抱える子を共に支援する仲間としての信頼関係を普段から築いていくことが求められます。

まとめ

3歳児健診を理解して保育や子育てに役立てよう

この記事では、3歳児健診の内容や事前の準備について解説するとともに、引っかかる原因や行かないとどうなるのかということなどについてもまとめてみましたがいかがだったでしょうか?3歳児健診は無料で受けられる乳幼児健康診査の一つで、子どもの発達について様々な角度から知ることのできる貴重な機会だということが理解できたかと思います。保護者や保育士の方は今回の内容を理解し、保育や子育てにぜひ役立ててみて下さい!

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