保育士の借り上げ社宅制度ってどんなもの?【メリット・デメリット・注意点】

あなたは、借り上げ社宅制度をご存知ですか?借り上げ社宅制度とは、企業が社員に低価格で住居を提供する家賃補助制度です。保育士のための借り上げ社宅制度は、正式には『保育士宿舎借り上げ支援事業』といいます。本記事では、その保育士宿舎借り上げ支援事業の概要や借り上げ社宅制度を利用するメリット・デメリット、利用する際の注意点などを詳しく解説します。「保育士の借り上げ社宅制度について詳しく知りたい」という方は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。

保育士の借り上げ社宅制度とは?

国の家賃補助制度のこと

保育士の借り上げ社宅制度とは、保育士への家賃補助制度のことです。この制度は、保育士不足を改善するために作られました。保育士不足の原因として、長時間労働や低賃金に加え、都市部の家賃の高騰も大きな負担となっている点が挙げられます。この問題を解消するために作られたのが、保育士宿舎借り上げ支援事業と呼ばれる制度です。これは、保育施設が物件を借り上げ、保育士に低家賃で貸し出すことで、住居費負担を軽減し、人材確保・定着を促進することを目的としたものです。

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保育士が借り上げ社宅制度を利用するメリット

税負担を抑えられる

保育士が借り上げ社宅制度を利用する1個目のメリットは、税負担を抑えられるという点があります。なぜなら、借り上げ社宅制度では基本的に、住居費が給料から天引きされるからです。一般的に、住宅手当は給与の一部として支給されるため、所得税の課税対象となります。しかし、借り上げ社宅制度では家賃が給与から天引きされるため、課税対象となる所得が減るというメリットがありますよ。

初期費用・更新料がかからない

保育士が借り上げ社宅制度を利用する2個目のメリットは、初期費用・更新料がかからないという点です。一般的な賃貸では、入居時に敷金・礼金・仲介手数料・鍵代などの初期費用や数ヶ月分の家賃といった費用がかかる場合が多く、大きな負担となりますよね。また、契約更新時には更新料が発生し、家計を圧迫する原因となります。しかし、借り上げ社宅制度ではこれらの費用がかからないため、まとまった出費を抑えることができ、経済的な負担を大幅に軽減できるのです。

不動産へ家賃を振り込む手間がかからない

保育士が借り上げ社宅制度を利用する3個目のメリットは、不動産へ家賃を振り込む手間がかからないという点です。一般的な賃貸では、毎月家賃を振り込む必要がありますよね。しかし、借り上げ社宅制度の場合は、家賃が給与から天引きされるため、振り込み手続きが不要になるのです。このように、借り上げ社宅制度は、家賃振り込みの手間を減らすことができるのです。

家賃負担がかからない

保育士が借り上げ社宅制度を利用する4個目のメリットは、家賃負担がかからないという点です。借り上げ社宅制度を利用することで、自分で物件を契約するよりも家賃負担を大幅に削減できるという利点があるのです。自治体によって補助金額に違いはありますが、借り上げ社宅制度を利用すれば、家賃の負担が1割〜2割程度で済む場合もあるようです。また、市区町村の借り上げ社宅制度を利用しながら、園独自で行っている住宅補助も受けられる場合もありますよ。

引っ越しの金銭的な負担を軽減できる

保育士が借り上げ社宅制度を利用する5個目のメリットは、引っ越しの金銭的な負担を軽減できる点です。借り上げ社宅制度を実施している企業のなかには、引っ越し費用の一部や全額を負担してくれる場合があります。遠方から引っ越しを考えている保育士さんにはありがたいですよね。また、借り上げ社宅制度を利用する場合、指定された物件から住居を選ぶことができます。そのため、不動産屋さんに行ったり内見をしたりする手間が省けます。忙しい引っ越し準備の中で、部屋探しの負担を軽減できるという利点もあるのです。

保育士が借り上げ社宅制度を利用するデメリット

好きな部屋を選べない

保育士が借り上げ社宅制度を利用する1個目のデメリットは、好きな部屋を選べないという点です。借り上げ社宅制度では、企業が用意した物件に住むことになります。そのため、希望するエリアや間取り、設備などの条件に合致する物件を見つけられるわけではありません。また、借り上げ社宅制度では、入居前に内覧できない場合があります。そのため、実際に住んでみてから思っていたのと違うと感じる可能性もあります。このように、借り上げ社宅制度を利用する場合は、希望に沿った物件ではない可能性があることもあるのです。

退職すると住めなくなってしまう可能性がある

保育士が借り上げ社宅制度を利用する2個目のデメリットは、退職すると住めなくなってしまう可能性があることです。なぜなら、借り上げ社宅制度は、借り上げている企業に勤めている人のみが利用できる場合がほとんどだから。そのため、退職や解雇などによって、雇用関係が終了した場合は、借り上げ社宅を退去しなければならなくなるのです。退職後の住居探しは、希望するエリアに空きがない、家賃が高いなどの理由で、すぐに住む場所が見つからない可能性もあります。

仕事とプライベートの切り替えが難しい

保育士が借り上げ社宅制度を利用する3個目のデメリットは、仕事とプライベートの切り替えが難しい点です。なぜなら、借り上げ社宅は職場に近い場所にある場合が多いからです。借り上げ社宅では、同僚と部屋が近かったり、近所で園に通う子どもやその保護者と会ったりする可能性もあります。仕事とプライベートをきっちりと分けたい方にとっては、休日に仕事関係の人に会う可能性があるのは、デメリットと言えるでしょう。

入居可能年数が定められている

保育士が借り上げ社宅制度を利用する4個目のデメリットは、入居可能年数が定められている点です。借り上げ社宅制度は、自治体によって補助を受けられる期間や金額が異なります。現在、保育士の借り上げ社宅制度は支給期間の見直しがされており、令和5年には8年から7年になり、令和6年においても、「令和5年度に引き続き、対象期間の段階的 な見直し(7年→6年)を行う。」とされています。

参考:令和6年度 保育関係予算概算要求の概要

保育士が借り上げ社宅制度を利用する際の注意点

借り上げ社宅制度が今後なくなってしまう可能性がある

借り上げ社宅制度を利用する際の注意点は、借り上げ社宅制度が今後なくなってしまう可能性があるという点です。上記でも解説しましたが、借り上げ社宅制度は年々縮小されています。そのため、「今後、保育士不足が解消されたら、無くなってしまうかもしれない」と言われています。国の支援がなくなってしまっても、独自に家賃補助を行うと表明している自治体もあるようなので、保育士自身も今後の動向をチェックしておきましょう。

自治体によって補助金額がちがう

借り上げ社宅制度を利用する際の2個目の注意点は、自治体によって補助金額が違うという点です。なぜなら、自治体によっては借り上げ社宅制度の補助の規模を縮小している場合があるからです。自分が働く予定の職場がどの自治体から補助を受けているのかを確認しておきましょう。また、借り上げ社宅制度はすべての自治体で行われているわけではありません。借り上げ社宅制度を利用するには、自治体が国の新子育て安心プランに加入し、園が自治体へ申請している必要がありますよ。借り上げ社宅制度を利用できる求人を探したい方は、求人票に借り上げ社宅制度ありと記載されているものをさがしてくださいね。

市内での転職では利用できない場合がある

借り上げ社宅制度を利用する際の3個目の注意点は、市内での転職では利用できない場合がある点です。なぜなら、多くの自治体では同じ自治体内での転職の場合は利用不可としている事が多いからです。同じ自治体内での転職では利用できない理由は、転職して補助してもらえる年数を増やそうとする不正を防ぐためだと言われています。市内転職での利用を検討している場合は、お住まいの地域の制度内容をよく確認しましょう。

対象者が限られており利用できない事がある

借り上げ社宅制度を利用する際の4個目の注意点は、対象者が限られており利用できない事がある点です。借り上げ社宅制度の利用条件は自治体によって異なりますが、基本的には以下のような条件が設けられています。

・保育士資格の所有している
・同じ自治体内の転職に該当しない
・常勤勤務
・配偶者の所得が所定の金額以下

このような条件の他にも、利用者が単身者であることが含まれている場合もありますよ。借り上げ社宅制度は利用対象者が限られている事があるので、入居条件をしっかりと確認しておきましょう。

借り上げ社宅制度と住宅手当の違いは?

家賃の支払い方法

借り上げ社宅制度と住宅手当の1個目の違いは、家賃の支払い方法です。借り上げ社宅制度の場合は、企業が借りている物件に住むため、家賃は給与から天引きされます。そのため、借り上げ社宅制度だと家賃の支払い忘れや滞納が起こりません。一方で、住宅手当の場合は、給与とは別に手当として支給され、社員自身が家賃を支払います。そのため、家賃に関する事務手続きなどは自分で行わないといけません。このように、借り上げ社宅制度と住宅手当には、家賃の支払い方法に違いがあるのです。

住居の選択肢

借り上げ社宅制度と住宅手当の2個目の違いは、住居の選択肢です。借り上げ社宅制度では、企業が用意した物件に住むことになります。そのため、物件の種類や立地、間取りなどは限られます。一方で、住宅手当では社員自身が自由に賃貸物件を選ぶことができます。そのため、希望に合った条件の物件を見つけやすいというメリットがありますよ。このように、借り上げ社宅制度と住宅手当では、住居の選択肢が大きく異なります。自分のライフスタイルや住環境へのこだわりに合わせて、自分に合った制度を選択することが重要ですよ。

税金の支払い方

借り上げ社宅制度と住宅手当の3個目の違いは、税金の支払い方です。住宅手当は、給与に追加して支給されます。そのため課税対象となってしまうのです。つまり、所得税や住民税、社会保険などの算定基礎額が増えてしまいますよ。一方で借り上げ社宅制度の場合は、給与から天引きされるため、税制上の負担が軽減されます。また、家賃との差額を社員から徴収して埋めるため、福利厚生費として計上できます。これは、給与扱いの住宅手当とは異なり、社員の社会保険料の負担増加には繋がらないのです。

まとめ

借り上げ社宅制度を知って、保育園選びに活用しよう

いかがでしたでしょうか?今回は保育士の借り上げ社宅制度について詳しく解説していきました。保育士のための借り上げ社宅制度は、正式には『保育士宿舎借り上げ支援事業』といい、保育士への家賃を補助する制度ですよ。借り上げ社宅制度を利用すると、税負担を軽減できたり家賃振込みの手間がかからないといったメリットがあります。一方で、入居年数に制限があったり好きな部屋を選べなかったりといったデメリットもあるのです。借り上げ社宅制度がある保育園に転職したいと考えている保育士さんは、この記事を参考にしてみてくださいね。

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