日々を送る中で、人間関係に不安を感じたり、仕事が進まず行き詰まったりした経験はありませんか?例えば、同僚の何気ない一言が気になったり、やることが多すぎて「もう無理かもしれない」と感じてしまったりする場面などです。そんなときに取り入れてみていただきたいのが、リフレーミングという考え方です。今回は、そんなリフレーミングについて詳しく解説していきます。ほんの少し考え方を変えるだけでも、前向きな気持ちで仕事に向き合えるようになりますよ。参考にしてみてくださいね。
リフレーミングとは?
物事の捉え方を変えること

リフレーミングとは、物事の捉え方を変えることです。目の前の出来事を見つめる『フレーム(枠組み)』を変えることで、感じ方や考え方に変化をもたらします。例えば、落ち着きがないと感じていた子どもの姿も好奇心が旺盛でいろいろなことに興味をもてると捉え直してみると、感じ方が変わってきますよね。このようにリフレーミングを意識すると、不安や不満に思えていたことも、成長のきっかけや喜びといった前向きな感情に変えることができるのです。
ポジティブシンキングとは違う
リフレーミングは、いわゆるポジティブシンキングとは少し意味合いが異なります。前述のように、不安や不満に感じていた出来事を、うれしさや納得感へと変えていくことができるのがリフレーミングの良さですが、単に前向きに考えようとする姿勢のことではありません。
リフレーミング:心理学で、ある事柄を、今までとは別の視点で見直すこと。
このように、リフレーミングは、ただ単純に前向きに物事を捉えるポジティブシンキングとは異なるのです。
働きやすい園で、もっと楽しく保育を
人間関係・残業・持ち帰り仕事…環境は園選びでほぼ決まります。あなたの街の求人をのぞいてみませんか?
リフレーミングの3つのパターン
状況の変更

リフレーミングには3つのパターンがあります。1つ目は、状況の変化です。これは、起こった出来事や目の前の人の姿を、これまでとは異なる枠組みで捉え直し、前向きな意味を見いだしていく方法です。たとえ自分にとって不都合に思える出来事であっても、「もし違う状況だったらどうだろう?」と考えてみることが大切です。例えば、慎重で1人では仕事が進まない同僚がいたとしましょう。その同僚は、チームで行うような仕事では、抜群の協調性を発揮しチーム力向上では頼りになる存在になるかもしれません。このように、「現状とは違う状況であったら…」と捉え直すことでプラスに考えることができるようになりますよ。
内容の変更
2つ目は、内容の変更です。これは、出来事そのものを変えるのではなく、その出来事がもつ意味をさまざまな視点から捉え直し、内面と向き合いながら新たな価値を見いだしていく方法をいいます。そのため、内容のリフレーミングは『意味のリフレーミング』と呼ばれることもありますよ。例えば、上司や先輩に自分の頑張りを認めてもらえなかったとき「どうして見てくれないのだろう」と悲しい気持ちになることもありますよね。けれども「もっと工夫できる部分があるのではないか」と見つめ直してみると、新たな課題が見えてくることがあります。すると、次に取り組むべきことがはっきりし、一歩前に進む力へとつながっていきますよ。
自己認識の変更

3つ目は、自己認識の変更です。これは、出来事そのものではなく「自分は自分をどういう人間だと思っているか?」という捉え方を、やわらかく見直していく方法です。自分への思い込みが強いと、せっかくの機会も重荷に感じてしまうことがあります。例えば「みんなの前で発表する役に選ばれたけれど、人前で話すのが苦手だから不安だ」と感じる場合を考えてみましょう。「きっと失敗してしまう」「自分には向いていない」と思い込んでしまうと、ますます緊張してしまいますよね。しかし「選ばれたのは、これまでの取り組みを評価してもらえたからかもしれない」と捉え直すことができれば、自分への見方が少し変わってきます。
リフレーミングの具体的なやり方
事実の客観視
リフレーミングの1つ目の方法は、言葉によるリフレーミングです。これは、かけられた言葉や自分が使っている言葉の意味を、少し角度を変えて前向きに捉え直すことをいいます。長所と短所が表裏一体であるように、言葉にもさまざまな側面があり、見方次第で印象は大きく変わりますよ。例えば「おせっかいだね」と言われたら「出しゃばりすぎたかな」と落ち込んでしまうことがありますよね。でも、その行動の背景には「誰かの役に立ちたい」「困っている人を放っておけない」という思いがあるのではないでしょうか。そう考えると親切や気が利く、周囲をよく見ているといった前向きな意味に捉え直すことができます。
As if 法

リフレーミングの2つ目の方法は、As if 法です。As if法とは言葉のとおり、物事を「もし、〇〇だったら〜」と仮定して捉えることです。私たちは、悩みの中にいるとき、どうしてもできない自分という狭い枠に閉じこもり、視界が曇ってしまいがちです。そこでこのAs if 法を使い、強制的に視点をずらしてみるのです。例えば、トラブルがあった場合は以下のように考えてみましょう。
「自信満々の自分なら、このトラブルにどう対処するか?」
「上司の○○さんならこうするだろう」
そんなふうに自分に問いかけ、そのフリを演じることで、いつの間にか元のネガティブなフレームから抜け出していることに気づくはずです。ただし、ネガティブな想定をしてしまうと意味がないので要注意です。
時間軸変更
リフレーミングの3つ目の方法は、時間軸変更です。これは、今この瞬間に起きている出来事を点として捉えるのではなく、長い人生の線の中に置いて眺め直す手法です。私たちは目の前に困難が立ちはだかると、その苦しみがまるで永遠に続くかのような錯覚に陥り、心の余裕をなくしてしまいます。そこで、意識的に視点を未来や過去へと飛ばしてみるのです。例えば、以下の通りです。
現在:「現段階で問題が発覚したから、大きなミスに繋がらずに済んだ」
過去:「あの時の失敗があったから、今のスキルが身についた」
このように、時間軸によるリフレーミングを行うことで、今何をするべきかが見えてきますよ。
5W1Hによる解体

リフレーミングの4つ目の方法は、5W1Hによる解体です。これは、今の状況を5W1Hの視点でバラバラにほぐして、頭の中を整理する方法ですよ。例えば、保育園で行事を行うとします。準備で大変な時期だと「何から手を付けていいかわからず、混乱している」という方もいるのではないでしょうか。そんなときに、
Who: 先生同士でどんなふうに助け合って、チームで動いていこうか?
When:無理なく進めるために、いつまでに準備を整えよう?
Where:お部屋のどこでするのが、子どもたちが一番のびのびと過ごせるかな?
How:どんなふうに援助していけば、みんなの「できた!」に繋がるかな?
やりたいことを細かく解きほぐしてみると、不思議と「あ、これなら今日からできそう!」という小さな一歩が見つかるはずです。
リフレーミングにおすすめのツール
リフレーミング辞典
リフレーミングにおすすめのツール1つ目は、リフレーミング辞典です。インターネットでリフレーミング辞典やリフレーミング一覧と検索すると、さまざまな言い換え例を紹介しているサイトが見つかります。気持ちが沈んでいるときのヒント集として、そっと支えてくれる存在です。次のような時には、一度辞典を開いてみてください。
・子どもの姿を肯定的に伝え直すとき
・誰かを励ましたいときに
リフレーミング辞典はコチラ:https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-hellowork/list/asahikawa/kyushokusha/reframing.html
リフレーミングノート

リフレーミングにおすすめのツール2つ目は、リフレーミングノートです。自分の中にあるネガティブな思い込みを書き出してから、別の視点で見直して言葉を置き換えていくノート術で、心の整理にとても役立ちますよ。例えば、自分の欠点や苦手だと感じていることをノートの左側に書き出し、右側にはその裏にある長所や別の見方を丁寧に書いていきます。こうすることで、つい気になってしまうマイナスの部分も「こんな見方もできるんだな」と客観的に受け止められるようになりますし、視点を変える練習にもなりますよ。
参考:https://studyhacker.net/reframing-note
保育現場でのリフレーミングの効果
自己肯定感が高まる

保育現場でのリフレーミングの1つ目の効果は、自己肯定感が高まることです。自分では短所だと思い込んでいた部分も、視点を変えてみることで「実は大切な強みだったのかもしれない」と気づけるようになります。そうした気づきは、心をふっと軽くしてくれるものです。例えば「心配性で考えすぎてしまうな」と感じていても、見方を変えれば、安全面に細やかに気づける、準備を丁寧に行えるという長所になります。保育はチームで行う仕事だからこそ、それぞれの個性が力になります。プラスの面が見えてくると、自分自身を信じながら、安心して子どもたちと向き合えるようになりますよね。
モチベーションが向上する
保育現場でのリフレーミングの2つ目の効果は、モチベーションが向上することです。物事の捉え方を見直すことで、「今の自分に何ができるのか?」「これから何を大切にしたいのか?」が少しずつ整理されていきます。気持ちが整うと、不思議と前に進む力も湧いてくるものです。例えば、行事の準備に追われて、毎日をこなすだけで精一杯と感じることもありますよね。でも「子どもたちの笑顔のために取り組んでいる」「この経験は自分の保育力を高めてくれる!」と捉え直してみると、本来大切にしたかった視点を思い出せることがあります。忙しさの中で見失いかけていた目標が、もう一度はっきりしてくるのです。
苦手意識が下がる

保育現場でのリフレーミングの3つ目の効果は、苦手意識が下がることです。苦手だと感じている相手に対しては、どうしても短所や気になる部分ばかりに目が向いてしまいがちですよね。しかし、リフレーミングを通して苦手に感じている場所を振り返ってみると、その理由が少しずつ見えてきます。例えば「はっきり意見を言う所が苦手だな」と感じている場合、それは強い口調が怖いと思っているのかもしれません。でも見方を変えれば責任感が強いという長所ともいえますよね。このように、苦手意識の原因が明確になると短所と思い込んでいた部分が、実は自分にはない強みであることに気づけることもありますよ。
人間関係の改善
保育現場でのリフレーミングの4つ目の効果は、人間関係の改善です。上記でお伝えしてきたように、物事の捉え方を少し変えるだけで、相手に対する苦手意識はやわらいでいきます。日頃から意識してリフレーミングを行っていると「この人は苦手!」と決めつける前に、別の見方ができるようになるのです。相手の短所ばかりに目を向けるのではなく「この人の良さはどこだろう?」と考えてみてください。そうした積み重ねが、チーム全体の雰囲気をやわらかくし、これまで以上に温かな人間関係を築く力になっていきますよ。
ストレスの低減

保育現場でのリフレーミングの5つ目の効果は、ストレスの低減です。毎日子どもたちの命を預っている先生方は、自分を後回しにしてしまいがちですよね。例えば、お昼寝の時間に寝てくれない子がいたとき「どうして寝てくれないの!」と苛立ちを感じてしまうこともあるでしょう。そこで一呼吸おいて「今、世界が楽しくて仕方ないエネルギーに満ち溢れているんだな」と捉え直してみるのです。このように視点をちょっと変えるだけで、不思議とトゲトゲした気持ちがスッと穏やかになり、心にゆとりが生まれます。このように、状況は変わらなくても、自分の受け取り方を変えるだけで、精神的な負担は驚くほど軽くなるものですよ。
保育現場でのリフレーミングの例
①うるさい→元気
保育現場でのリフレーミングの例をご紹介します。1つ目は『うるさい→元気』です。例えば、雨の日でお外に出られず、お部屋の中で子どもたちがワーッと大声を出しながら走り回っている場面を想像してみてください。先生も人間ですから、重なる叫び声や足音に、つい「もう、静かにして!」と言いたくなってしまう瞬間があるかもしれません。けれど、そこで一呼吸おいて「ああ、この子たちは今、外に出られない分、体中のエネルギーを爆発させているんだな」「なんてパワフルで健康的なんだろう!」と捉え直してみるのです。このように視点を変えるだけで、不思議とイライラしていた心がすっと落ち着き、子どもたちにかける言葉も優しくなるはずですよ。
②ダメ!→こうしよう

2つ目は『ダメ!→こうしよう』です。毎日子どもたちと過ごしていると、危険な場面やトラブルを止めようとして、ついつい「ダメだよ!」「やめて!」という否定的な言葉が出てしまいますよね。本当は怒りたくないのに反射的に口走ってしまい、後で罪悪感を感じたこともあるのではないでしょうか。例えば、おもちゃを投げそうなときは「投げないで!」ではなく「これは床に置いて、大切にトントンして遊ぼうか」と声をかけてみましょう。~をしてはいけないではなく何をすればいいのかを伝えると、子どもたちは「否定された」と感じることなく、次の行動に移ることができますよ。
③危ないよ!→ゆっくりね
3つ目は『危ないよ!→ゆっくりね』です。子どもたちの安全を第一に考える先生方にとって、「危ない!」は反射的に出てしまう大切な警告ですよね。しかし、急に大きな声で言われると、子どもはハッと驚いて動きが止まってしまったり、具体的にどう動けば安全なのかが分からず戸惑ってしまったりすることもあります。例えば、階段を降りる時に「危ないよ!」と言わずに「手すりを持って、一段ずつゆっくり降りようね」と声をかけてみましょう。ゆっくりという言葉を添えてあげると、子どもたちは「あ、今は慎重に動く場面なんだな」と自分で判断して、落ち着いて行動できるようになります。
保育現場でリフレーミングを実践する際の注意点
問題の根本改善を忘れない
保育の現場でリフレーミングを取り入れる際に、まず気をつけておきたい大切なポイントは、問題の根本にある原因を見逃さずに改善することです。リフレーミングは心を軽くしてくれる言葉の力を持っています。しかし、出来事の問題点に目をつぶり、体裁の良い言葉で蓋をして終わらせてはいけません。例えば、何度も椅子から立ち上がってしまう子を見て「好奇心が旺盛で、探究心がある証拠だね」と捉え直すのは、保育士の心のゆとりのためにはとても素敵なことです。でも、その子が周りの音が気になって集中できないなどの、環境による問題を抱えているのならば、生活環境を整えてあげることが最優先ですよ。
ネガティブな感情を否定しない

保育の現場でリフレーミングを取り入れる際に気をつけるべき大切なポイントは、ネガティブな感情を無理に否定しないことです。リフレーミングは心を前向きにしてくれる素晴らしい技法です。しかし、悲しいときやイライラするときに、その気持ちを無視して強引にポジティブな言葉で上書きしようとすると、かえって心が疲れてしまうことがありますよ。感情に良い、悪いはありません。まずは「今、私はこう感じているんだな」と、ありのままの感情を認めて寄り添いましょう。感情が落ち着いてからリフレーミングを使ってみてくださいね。自分の本当の気持ちを大切にできてこそ、初めて心からの優しい言葉が子どもたちに届くはずですよ。
まとめ
リフレーミングを活用して日々を楽しく過ごそう
いかがでしたでしょうか。今回は、リフレーミングの具体的な方法やその効果についてお伝えしてきました。ご自身が置かれている状況や、実際に起きた出来事に合わせて、「今の自分にはどの方法が合っているかな?」と考えながら取り入れてみてください。忙しい毎日だからこそ、フレームを変えて考える習慣は大きな支えになります。子どもたちと向き合う場面はもちろん、保護者や上司との関わりの中でも、より前向きで温かなコミュニケーションが生まれていきますよ。


























