現在、多くの園で取り入れられている縦割り保育。しかし、いざ縦割り保育をやってみようと思ってもうまくいかないことが多くあるのではないでしょうか。この記事では、そもそも縦割り保育とは何なのかや、縦割り保育のメリット・デメリットについて解説し、縦割り保育でできるおすすめの遊びを紹介します。保育園で縦割り保育を行うことになったけれど、どのように活動を進めれば良いかわからない、異なる年齢の子どもを一緒に活動させるのが不安といった悩みを抱える保育士さんはぜひ参考にしてみてくださいね。
縦割り保育とは?
異なる年齢の子供を集めて保育活動をすること
縦割り保育とは、異なる年齢の子供を集めて一緒に保育活動を行うことです。異年齢保育や混合保育とも呼ばれています。同じ年齢の子供を集める同年齢保育を行うことが大半ですが、保育の一部に縦割り保育を取り入れていたり、常に縦割りのクラスで保育を行ったりする園もあるようです。また、園全体で縦割りのグループを作ったり、0~2歳と3~6歳のように大まかな年齢で分けたりと縦割り保育のやり方は様々。自分の園の保育の方針や子供たちの年齢構成などを考慮し、適切なやり方を選ぶことができると良いでしょう。
縦割り保育のねらい
社会性・協調性を身につけること
縦割り保育のねらいの一つに、社会性や協調性を身につけることがあります。少子化や核家族化により、以前よりも異なる年齢の子供と関わる機会が減っているのが現状。そのため、保育園で縦割り保育を行い、異年齢の子供と一緒に遊ぶことで、社会性や協調性を身につけることが重要となっています。縦割り保育では年齢によって役割が異なります。縦割り保育の活動を通して、そのとき自分がどのような役割を求められているのか学ぶことができるでしょう。
自分と他者の違いを知ること
様々な人との交流を通して、自分と他者の違いを知ることも縦割り保育のねらいです。日々の生活を送るうえで、自分と異なる価値観や考え方を持つ人と関わる機会は多くあるでしょう。大人になってから他者とのコミュニケーションで困ることがないよう、子供のうちから自分と他者と違いを知ることは重要です。様々な年齢の子と一緒に活動する縦割り保育は、他者と関わる練習をするのにうってつけの機会です。
縦割り保育のメリット
人付き合いの幅が広がる
縦割り保育にはたくさんのメリットがあります。一つ目は、子供たちの人付き合いの幅が広がることです。縦割り保育では、普段関わることのない子と交流する機会が多くあります。多くの友達ができるだけでなく、子供たちが園内での居場所を増やすこともできるでしょう。一緒に遊べるお友達や安心できる居場所を増やすことで、保育園を子供たちにとってより楽しい場所にできると良いですね。
思いやりを学ぶことができる
二つ目は、思いやりを学ぶことができることです。幼児期は年齢が一つ違うだけで成長の具合に大きな差があり、できることできないことの違いが多くあります。年下の子が何かできずに困っているとき、年上の子が助けてあげるという経験を通して、子供たちの思いやりの心を育むことができるでしょう。また、年下だった子が年上になったときに、自分が過去にしてもらったという経験に基づき、さらに年下の子を助けてあげるという好循環を作ることができます。
年下が年上のお手本を見ながら挑戦する機会になる
三つ目は、年下の子が年上の子のお手本を見ながら挑戦する機会になるということです。年下の子から見る年上の子はとても大人に見え、憧れの存在です。そのような存在である年上の子を間近で見て、「自分もこうなりたい!」と真似することで、年下の子の成長の機会となるでしょう。また、年上の子にとっても、自分がお手本であるという自覚を持つことができ、年上の子の成長にも繋がります。
縦割り保育のデメリット
遊びや活動内容の幅が制限される
縦割り保育のメリットがたくさんある一方、いくつかのデメリットもあります。デメリットの一つ目は、遊びや活動内容の幅が制限されることです。保育園には年齢によって発達段階が大きく異なる子供たちが集まっています。そのため、体格差やできることの違いなどにより活動内容が限られてしまうのです。限られた活動内容の中でも、参加するみんなが楽しめるような工夫をすることが必要でしょう。
子供たちがストレスを感じることがある
二つ目は、子供たちがストレスを感じてしまうことがあることです。前述したように、幼児期の子供たちは年齢による差が大きく、楽しめる活動には違いがあります。また、違う年齢の子と関わる難しさもあるでしょう。そのようなことが原因で、子供たちがストレスを感じてしまうことがあるようです。せっかくの楽しい活動が子供たちにとってマイナスな印象にならないような工夫が求められます。
縦割り保育を行うときの注意点
安全面に注意する
縦割り保育を保育園で行う際、注意すべきことがあります。一つ目は、安全面です。幼児期は年齢によって成長の差が大きく、子供同士がほんの少しぶつかっただけでケガをしてしまう、させてしまう可能性があります。そのようなトラブルを避けるためにも、室内の遊びでは走らない、年下の子のペースに合わせるといった声掛けを徹底しましょう。また、何かあったときにすぐ対応できるよう、縦割り保育の時間は職員の数を増やすといった対策も必要です。
年上の子に負担がかかりすぎないようにする
二つ目は、年上の子に負担がかかりすぎないようにすることです。年上の子が、年下の子のお世話を通して思いやりの心を育むことが縦割り保育のねらいの一つですが、それが負担となってしまうこともあるようです。年下の子に気を配りすぎて年上の子に頼りきりになっていないか、年上の子たちも楽しめる活動内容になっているか、注意しながら活動を進めましょう。保育園ではお姉さんお兄さんという立場でも、まだまだ子供であることを忘れてはいけません。
年齢別の活動も取り入れる
三つ目は、年齢別の活動も取り入れることです。縦割り保育は子供たちの成長にたくさんの効果をもたらします。しかし、縦割り保育だけでは子供たちの成長に必要なすべての要素を取り入れることはできません。スポーツや制作活動といった、年齢別に行った方が効果的だと判断できるものは年齢別で行うと良いでしょう。また、保育園で使うおもちゃもそれぞれの年齢に合わせて幅広く準備できると良いですね。
縦割り保育でできるおすすめ遊び
ボールリレー
ここからは、縦割り保育でできるおすすめの遊びを紹介します。一つ目は、ボールリレーです。ボールリレーは以下のような手順で行います。
②前に並んでいる子から後ろの子に、自分の頭の上を通しながらボールを渡していく。
③一番後ろの子まで来たら、今度は後ろから前へ脚の間を通してボールを渡していく。
④再度一番前の子にボールが戻ってきたらゴール!
てつなぎオニ
二つ目は、てつなぎオニです。てつなぎオニは以下のような手順で行います。
②オニにタッチされた子はオニと手を繋ぎ、オニとともに他の子を追いかける。
③オニは逃げている子を追いかけ、手を繋いでオニを増やしていく。
④最後まで残った子の勝ち!
じゃんけん列車
三つ目は、じゃんけん列車です。じゃんけん列車は以下のような手順で行います。
②音楽が止まったら、近くにいる子とじゃんけんをする。
③負けた方が勝った子の後ろにつき、肩をつかむ。
④①~③を繰り返し、全員が1つの列になったとき、先頭にいた子の勝ち!
ロンドン橋落ちた
四つ目は、ロンドン橋落ちたです。ロンドン橋落ちたは以下のような手順で行います。
②オニは手をつないで橋を作る。
③他の子供たちは円になり、音楽が流れている間、順番に橋の下をくぐっていく。
④音楽が止まったとき、オニは橋を下ろし、そのタイミングで橋をくぐっていた子を捕まえる。
⑤捕まった子が新たなオニとなり、②~⑤を繰り返す。
しっぽ取り
五つ目は、しっぽ取りです。しっぽ取りは、以下のような手順で行います。
②年下の子のみにしっぽをつける。
③ゲームがスタートしたら年上の子が年下の子を守りながら他のペアのしっぽを取りに行く。
④しっぽを取られたらそのペアはゲームを終了する。
⑤ゲーム終了時に一番多くのしっぽを持っていたペアの勝ち!
椅子取りゲーム
六つ目は、椅子取りゲームです。同年齢保育でも行われることの多い椅子取りゲームですが、一般的なルールのまま縦割り保育で行うと、体格差により年下の子が不利になってしまいます。不利になるだけでなく、子供同士がぶつかったときにケガをする危険性も。そのため、縦割り保育での椅子取りゲームには工夫が必要です。その工夫とは、年上の子たちが椅子役となることです。音楽が止まると同時に、年下の子たちは年上の子たちのもとに走ります。年上の子たちは自分のもとに走ってきた子と、手を繋いだり抱きしめたりしてスキンシップを取りましょう。このようなルールにすることで、縦割り保育でもみんなが楽しめる椅子取りゲームを行うことが可能です。
まとめ
縦割り保育ならではの活動で子供たちと楽しもう!
いかがでしたか?今回は、縦割り保育の効果やねらい、実施するときの注意点等について詳しく解説しました。縦割り保育には、同年齢保育では得ることのできない効果がたくさんある一方、注意すべきことも多くあります。また、今回は縦割り保育でできるおすすめの遊びも紹介しました。遊びの例を参考にしながら、子供たちの年齢や園の方針などに合わせて、より効果的に縦割り保育を取り入れることができると良いですね。