保育園で行うお昼寝とは?【目的・時間・環境・注意点】

保育園では、決められた時間に子どもたちのお昼寝タイムがあります。その際に、保育士が寝かしつけを行いますが、子どもたち全員がすぐに寝てくれるわけではないでしょう。今回の記事では、保育園でのお昼寝の目的や環境作り、上手に寝かしつける方法などを紹介します。また、お昼寝の時に注意することも併せて紹介します。なかなか寝てくれない子どもへの対応に困っている保育士さんは、ぜひ参考にしてみてください。

保育園でお昼寝をする目的

子どもの心身の健康状態を保つため

保育園でお昼寝をする目的を紹介します。1つ目は、子どもの心身の健康状態を保つため。子どもたちは日中、保育園で活発に遊びますよね。たくさん遊んだ子どもたちは、お昼寝により疲労回復を図り、心身の健康を保ちます。また、規則正しい生活リズムを形成し、夜の睡眠の質をサポートするという目的もあります。お昼寝の時間は、子どもたちがリフレッシュし、生活リズムを整えたり午後の活動を元気よく過ごせたりするための、重要な時間なんですね。

免疫力向上のため

2つ目は、免疫力向上のため。お昼寝は身体の休息と回復を促進し、免疫のシステムを強化します。特に質の良い睡眠はストレスを軽減させる効果があり、病気に対する抵抗力を高めます。幼児期は免疫のシステムが不十分なので、風邪や感染症にかかってしまうことが多いでしょう。お昼寝の時間に十分な睡眠を確保することによって、免疫力が向上し、病気に対する防御力を備えることができますよ。

記憶力や学力向上のため

3つ目は、記憶力や学力向上のため。お昼寝は脳の発達を促進し、記憶の定着を助ける効果があります。特に、新しい情報を学んだ後に短い休息を取ることで、その情報が長く記憶に残りやすいそうですよ。保育園では、子どもたちが毎日新しいことを経験して学んでいます。お昼寝の時間にその学びの記憶を定着させることも、お昼寝の目的の1つなのです。さらに、十分な睡眠は注意力を向上させ学習効率を高めます。お昼寝後の活動に、絵本の読み聞かせなど集中力を必要とする活動を取り入れても良さそうですね。

保育士くらぶ

お昼寝をするための環境作り

適度な明るさの調節

お昼寝には、子どもが安心して快適に眠れるような環境作りが大切です。部屋は電気を消し、カーテンを閉めてうす暗い環境を作るなど、適度な明るさの調節を行いましょう。部屋をうす暗い環境にしてあげることで、子どもたちがお昼寝の時間だと認識し、スムーズに寝てくれることがあります。また、光の刺激を除去することができるので、ゆっくり休息できるといったメリットもあります。しかし、部屋を暗くしすぎてしまうと、子どもの様子を確認しづらくなってしまうため、注意が必要です。

室温・湿度の調節

心地よく眠れる室温と湿度の調節を心掛けましょう。夏場はエアコンを使用し、室温を26~28度に設定します。湿度が高い場合は除湿機を利用し、湿度を60%程度に抑えましょう。冬場は乾燥しやすく、感染症が広がる原因となるので、加湿器を使用することがおすすめです。また、部屋を暖かく保つことも重要ですが、お昼寝時は体温が上がりやすいです。厚着やお布団の掛けすぎによって子どもたちが息苦しそうにしていないか、しっかりと確認しましょう。

子どもたちの配置を考える

お昼寝時は、子どもたちの睡眠パターンを考慮して配置を考えましょう。年齢や個人によって、睡眠パターンは様々。睡眠パターンの例を以下に挙げました。

1.一度に長く眠る子
2.短時間しか眠らない子
3.特定の時間帯に眠る子

よく眠る子と起きやすい子を隣り合わせにしないようにしたり、仲の良いお友達が周りにいないと寝つけない子ども同士は隣にしたりと、配置における配慮を心掛けましょう。

子どもを上手に寝かしつける方法

音楽やオルゴールを流す

音楽やオルゴールを活用するのは、子どもたちを寝かしつけるのに効果的です。穏やかなメロディーや自然音の音楽、オルゴールの音はリラックス効果があり、子どもの心を落ち着かせることができます。また、お昼寝前に決まった音楽を流すことで、子どもに寝る時間という合図を送ることができますよ。音楽の音量は低く設定し、静かな環境を保つことが重要。これにより、子どもは安心感を持ち、スムーズに眠りに入ることができるでしょう。

添い寝で呼吸を合わせる

添い寝で呼吸を合わせながら寝かしつけを行いましょう。子どもの隣に横たわり体温が伝わるように寄り添うと、人のぬくもりを感じ安心感を与えることができます。その後、子どもの呼吸に合わせて同じリズムで息をします。その際には、寝息のように子どもの耳元で呼吸をしながら徐々にボリュームを落としていくことがポイント。そうすることで、子どもは呼吸のリズムに引き込まれ自然と寝てくれることが多いですよ。子どもは、よく知っている人の声や体温、心音などに安心感を抱きます。それらを意識して子どもの寝かしつけを行うと、よりスムーズに眠ってくれるようになるかもしれませんね。

背中トントン

背中をトントンして子どもを寝かしつける方法は、実践したことがある人も多いのではないでしょうか。子どもを寝かせた状態で背中を優しくトントンしてあげると、心拍のようなリズムが安心感を与え、子どもを眠りに誘導します。また、一定のリズムで続けることが重要で、強すぎず優しい力で行いましょう。なお、子どもによって好きなトントンの速さや強さは異なるため、子どもの様子を見ながら調節するようにしましょうね。

抱っこ・おんぶ

子どもがお布団でなかなか眠れない場合、抱っこやおんぶをしてあげるとスムーズに寝てくれることがあります。抱っこやおんぶをする際には、リズミカルに軽く揺らしてあげることで子どもに安心感を与えることができます。また、抱っこやおんぶをする際に、子どもに優しく話しかけたり子守唄を歌ってあげたりすることも効果的ですよ。子どもを寝かせるには、このようにリズムを意識することで、スムーズに眠りに入ってくれるでしょう。

子どもが眠くなるポイントやコツについてはこちらの記事も参考にしてみてください!

最適なお昼寝時間【年齢別】

0歳児

最適なお昼寝時間は子どもの年齢によって異なります。0歳児は2~4時間のお昼寝が最適。しかし、基本的には2~3時間で起き、ミルクを飲むとまた眠るということを繰り返すので、睡眠時間の差が大きく、1人ひとりの月齢や発達状況に合わせてお昼寝時間の設定をする必要があるでしょう。6カ月以降になると、6~8時間続けて眠ることが多くなるので、昼と夜の区別がはっきりつくようになってきたと考えられます。子どもの生活リズムに合わせて、お昼寝時間を確保することが大切ですね。

1~2歳児

1~2歳児は1.5~2.5時間のお昼寝が最適とされています。夜泣きなどで起きる場合もありますが、基本的には夜間にまとめて睡眠をとることが多いです。この年齢の子どもは、体力や活動量が増えてくるため適度な休息が必要となります。また、朝寝の時間をなくして正午頃にまとめて長めのお昼寝を取るようにしましょう。15時頃までには起こすようにすると、夜間の睡眠への影響を抑えられますよ。

3歳児

3歳児から徐々に個人差が大きくなり、お昼寝を必要としない子どもも出てきます。そのためお昼寝時間を設けていない保育園もあるでしょう。しかし、保育園で長い時間を過ごす子どもは、疲れや眠そうな様子を見せることがあるかもしれません。その際は1時間程度のお昼寝時間を設けるなど、子どもの様子を見て対応しましょう。なお、寝かしつけても眠れない、お布団に入るのを嫌がる子どもは無理にお昼寝させる必要はありませんよ。

4~5歳児

4歳児以上になると、8割以上の子供がお昼寝を取らずに一日活動できるようになるため、お昼寝の時間は3歳よりもさらに減少します。5歳になると、ほとんどお昼寝を必要としない場合が多くなるでしょう。この時期のお昼寝時間は、特に家庭での就寝時間との調整が必要となります。寝かせすぎると夜の睡眠時間が遅くなる場合も考えられるので、連絡帳などで保護者と連携を取りながら調整するようにしましょう。

お昼寝時に注意すること

睡眠中の窒息

お昼寝時では、うつぶせ寝などによる窒息に注意しましょう。うつぶせ寝は口と鼻が塞がってしまうので窒息のリスクが高く危険です。予防策として、お昼寝時の窒息の原因になりやすい柔らかすぎる寝具は使用しないようにしましょう。寝具を各家庭で用意する場合は、保護者にお願いしておく必要があります。また、子どもにっとては「これが無いと眠れない」という物があるかもしれません。その際には保育士同士で話し合って、安全管理の徹底に努めるようにしましょう。

長時間のお昼寝による生活リズムの乱れ

また、長時間のお昼寝による生活リズムの乱れにも注意しましょう。長時間のお昼寝は、夜の睡眠の質や生活リズムに悪影響を及ぼす可能性があります。これを防ぐためには、先述したそれぞれの年齢の最適なお昼寝時間を参考に、時間を設定してみると良いでしょう。また、毎日同じ時間にお昼寝を行うことで体内時計が安定しやすく、お昼寝の習慣化に繋がります。15時前までにお昼寝を済ませることで、夜の就寝時間に影響を与えるリスクを減らすことができるでしょう。これらをぜひ参考にして、子どもが安心して眠れる環境を作っていきましょう。

お昼寝をしたがらない子どもの対処法は?

お昼寝前の保育活動で体をたくさん動かすように誘導する

子どもを寝かしつけるために試行錯誤してみても、どうしても眠ってくれない子どももいるでしょう。その傾向がある子どもには、お昼寝前の保育活動で、体をたくさん動かすように誘導してみると良いかもしれません。お昼寝前に体をたくさん動かすと、エネルギーが消費され疲労感が増します。これにより子どもの体は休息を必要とし、自然と眠くなりってスムーズに寝てくれることが期待できます。また、ストレスを減少させてリラックス効果をもたらすホルモンの分泌も期待できるので、質の良いお昼寝へと繋がりますよ。

まとめ

子どもが安心してお昼寝できる環境を作ろう!

いかがでしたか。今回は、保育園でのお昼寝について目的やお昼寝の環境作り、上手に寝かしつける方法などを紹介しました。子どもにとってお昼寝の時間は、様々な面で良い効果が期待できる大切な時間です。保育士は、子どもたちが安心して眠れるような環境作りを心掛けましょう。また、子どもは人のぬくもりを感じると安心感を感じスムーズに寝てくれます。今回紹介した、子どもを上手に寝かしつける方法をぜひ実践してみてくださいね。

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