保育園で協調性はどうやって育む?【保育園・協調性・協同性・遊び】

子供が集まって遊んでいるのに輪から外れて一人で遊んでいる子がいる…。そんな時に皆さんは、あの子は協調性がないのではないかと不安に思ったことはありませんか。実は周りに合わせることが協調性があるということではありません。無理に一人でいる子供を輪に入れる必要はなく、優しく見守ったり、さりげなく輪に入れるようにサポートをすることが大切です。この記事では、協調性の本当の意味、協調性が高いことによるメリット、子供の協調性を高めるコツや協調性を育む遊びなどを紹介しています。ぜひ保育を行う際に参考にしてみてください!

協調性の間違った認識

周りに合わせるのは協調性ではない

皆さんの中には自分がしたいことよりも、周りに合わせることを協調性だと間違った認識をしている方がいるのではないでしょうか。協調性=周りに合わせることではありません。協調性の本当の意味は同じ目的に向けて考えを共有し互いに協力したり助け合う力のことをいいます。みんなで集まって遊んでいても一人だけ違う遊びをしている…という状況でもその子供に協調性がないということではありません。この子は協調性がないのでは…と心配する必要はないということです。

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なぜ保育園の現場で協調性が求められるのか

協調性が最も育まれる時期が幼児期だから

協調性が最も育まれる時期は幼児期です。そのため、子供たちの保育園に通っている期間は協調性を育むためのとても大切な時期なのです。なぜ幼児期のうちに協調性を育んだ方が良いのでしょうか。協調性はいろいろな周りの人との関わりの中で身に付けることができます。幼児期のうちに周りの人とコミュニケーションをとり協調性を育むことで、協調性を伸ばしていく土台を作ることができます。

協調性が高いことによるメリット

心の繋がりが深い友達ができやすくなる

協調性が高いと相手が何に対して困っているのか理解することができるため、困っている友達に手を差し伸べることができます。助けられた友達は自分も何かしてあげたいと思うようになりますね。友達を助け、助けられることで互いに信頼関係ができあがっていき、心のつながりが深くなります。このように協調性が高いというのは良い人間関係を作る上で非常に重要な能力だとわかりますね。社会に出てからもとても必要な能力です。

他人を理解し受け入れやすくなる

協調性が高い子供は相手が何を考えているか察知する能力が高いため、他人を理解し受け入れることができます。自分が相手のために何かしてあげたいと思っていても相手が何を求めているか分からない場合があります。その時に求められていることと全く違う行動をしてしまうかもしれません。協調性が高い子供は相手を受け入れることで相手の気持ちを汲み取り、相手と同じ目線で適切なコミュニケーションをとることができます。

様々なシーンで物事をスムーズに進められる

協調性が高い子供は周りと協力することができるため、様々なシーンで物事をスムーズに進めることができます。子供たちの中には運動会などの行事やグループで活動するときに、率先してまとめ役をしてグループを引っ張ってくれる子供もいますよね。そのような子供のように協調性が高いと周りを見る能力も高く、グループの中で困っている人がいたら自ら声をかけます。誰が相手でも対等にコミュニケーションを取ることができるため、グループをまとめ物事をスムーズに進められます。このような能力は様々な場面において非常に重要な能力ですね。

どのようにして協調性は育まれるのか

3歳児【協調性がまだなくても見守る】

3歳児はまだ周りへの関心よりも自分のやりたいことを優先させたい年齢です。友達とうまく遊べない、みんながやっていることをやらないなど心配になる方もいるかもしれません。3歳は協調性となる土台ができ始める時期で協調性がないと決めつけるには早い時期です。自分のやりたいことを優先するあまり友達や周りと衝突してしまうこともあります。協調性がないのではと過度に心配するのではなく、まだ協調性の土台を作っている期間だと見守ってあげることが大切ですよ。

4歳児【友達との関わりを積み重ねる】

4歳児は周りへの関心を持ち始め、友達との関わりが増える年齢。周りへの関心を持つことで身近な人やテレビに出てくる人のまねをする子もいます。少しずつルールを守ることができるようになったり、友達と協力して遊ぶなどができるようになっていきます。しかし、子供の成長には個人差があるため、一人で遊んでいる子がいても心配しないで大丈夫ですよ。いろいろな人と関わっていく中で楽しいや悲しいなどの感情を経験し、友達との関わりを積み重ねていくことで協調性を育むことができます。

5~6歳児【友達と集団で遊ぶようになる】

5歳ぐらいから友達の存在を意識し始め、友達と遊ぶことが楽しいと感じ集団で遊ぶようになります。5~6歳頃の時期は一番協調性が身につく時期。友達とたくさん関わっていき集団で遊ぶ経験をすることで、協調性のある子供に育っていきます。5~6歳の時期に友達への思いやりや友達の大切さを教えていくといいですね。また、協調性を身につけると同時に主体性もバランスよく育てることが大切です。

保育園で子供達の協調性を高めるコツ

子供同士のコミュニケーションを見守る

子供はチームを分ける遊びやごっこ遊びなどの、友達との遊びの中で協調性を身につけます。もちろん、助け合おう、みんなで協力しようと子供たちが意識しながら遊んでいるわけではありません。僕はこの役割をやろう、それなら私はこっちをやろうとそれぞれが自分は何をすべきか判断しながら遊んでいます。子供たちが主体性をもって協力することで自然と協調性が育まれるようになります。また、主体性がぶつかり合うことで子供同士で喧嘩をしてしまう時もあるかもしれません。その時は保育士さんが間に入り、子供の思いを聞いて子供と一緒に解決できるように考えましょう。大人が先回りして子供に援助するだけではなく、子供同士の遊びを見守ることが大切ですね。

子供達ひとりひとりの良さを伝えていく

子供の協調性を育むには子供たち一人ひとりの個性を認め、良さを伝えることで自己肯定感を高めることが大切です。集団の輪の中に入れない子供がいても決して否定したり叱ったりしてはいけません。否定することで自己肯定感が低くなり自分への自信がなくなってしまいます。そして、人とコミュニケーションを取ることに対して苦手意識を持ってしまうようになります。協調性が身についていく期間には個人差があるため、子供一人ひとりと向き合い、良さを伝え自信をつけさせることで協調性が育まれるようになりますよ。

集団行動・グループワークを積極的に取り入れる

協調性は集団行動の中で身についていきます。そのため、保育では集団行動・グループワークを積極的に取り入れましょう。集団行動やグループワークの中で子供は自分の役割を判断し、行動します。また、集団行動をする際はルールを守る必要がありますね。ルールを守ることができれば協調性が育まれるようになります。もしルールを守れない子供がいた場合は優しく教えて、協調性を身につけるための手助けをしましょう。

人の輪に入れるようサポートする

子供たちの中には集団の輪の中に入りたくても入れない子供もいるかもしれません。子供が輪の中に入りたそうにしていたら、さりげなく輪の中に入れるようにサポートをしましょう。例えば、入りたそうにしている子供の近くで子供たちに「ここで遊ぼう」と声をかけ集めたり、その子供の好きな遊びをみんなでやるなどです。ただし、最初から最後まで手助けしてあげるのはあまりよくありません。子供が輪の中に入るところまでサポートしたら後は見守ってあげましょう。

協調性と協同性に違いはある?

同じ目的に向けて協力して取り組む力という意味では同じ

協調性と協同性は同じ目的に向けて協力して取り組む力という意味では同じです。協調性と協同性をgoo辞書で調べると以下のように書かれています。

きょう‐ちょう〔ケフテウ〕【協調】 の解説 [名](スル)互いに協力し合うこと。特に、利害や立場などの異なるものどうしが協力し合うこと。「労資が協調する」「協調性」

引用:goo辞書

きょう‐どう〔ケフ‐〕【協同】 の解説 [名](スル)複数の人または団体が、力を合わせて物事を行うこと。共同。「住民が協同して地域の振興に努める」「産学協同」

引用:goo辞書

協同性は複数人で協力して物事を進めることができる素質であるのに対して、協調性は環境や立場が違っても同じ目的に向けて協力することができる素質。協調性は時には意見が違っていても、周りに合わせて譲り合うことができる素質というのも含まれています。協同性は、厚生労働省により幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿の一つに定められています。(厚生労働省:保育所保育指針解説)

保育園で協調性を育む遊び

ごっこ遊び

2人以上で行うごっこ遊びは、友達とのやり取りによってストーリーが出来上がっていきますね。ストーリーを進めるには相手の行動に合わせる必要があるため、コミュニケーション能力が必要になります。また、ごっこ遊びには役割や設定があらかじめ決められていて、その役割をこなすことでストーリーが展開していきます。相手とコミュニケーションをとり、友達と協力してストーリーを進めていくことで協調性が身についていきますよ。

ルールがある遊び

トランプやすごろくなどルールのある遊びをすることで協調性を育むことができます。幼い時から年齢に合ったルールのある遊びをすることで、ルールを守る意識が芽生えます。また、公園に行き遊具で遊ぶ際に、順番を決めたり、何回遊んだら交代するなどのルールを作りましょう。ルールを理解し、ルールを守ることの大切さを知ると、社会においての決まり事を守ることができます。遊びを通してルールを守ることの重要性を伝えていきましょう。

チームスポーツ

チームスポーツは協調性を身に付けるうえでおすすめの遊びです。野球やサッカーなどはルールが決められていて自分の役割があります。チームスポーツは一人が活躍していてもチームで勝利することはできません。周りを見て自分がどういう行動したらいいか素早く判断することが求められます。周りを見る力や素早く判断する力をつけると、協調性も身につきます。チームで勝利を目指し、仲間同士で協力することで協調性が育まれてきますよ。

まとめ

子供達の協調性を育む保育教育を行いましょう

いかがでしたか。協調性の本当の意味や協調性を高めるコツなどを知ることができたでしょうか。保育を行っている中で集団の輪の中に入っていない子供を見ると、心配になる時があるかもしれません。しかし無理に子供を輪の中に入れるのはよくありません。心配になった時は今回の記事で書かれてあることを思い出し、優しく見守る、さりげなく輪の中に入れるようサポートするなどを実践してみてください。幼児期は協調性の土台を作る大切な時期。保育園でどう過ごすかによってどのくらい協調性を伸ばすことができるかが決まってきます。ぜひこの記事を参考にして協調性を伸ばす保育を行ってみてください。

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