絵カードってどんなの?行動を視覚化し子供たちの発達を促進しよう【使い方・メリット・療育・遊び・手作り】

身の回りのものや動物が描かれ、絵合わせなどで使用される絵カード。保育現場で絵カードを活用して、活動の内容や人の気持ちなどを視覚的にサポートすることができます。主に発達に障害のある子供への支援策として使用されますが、障害のない子供にとっても絵カードは有効的ですよ。そこでこの記事では、絵カードの使い方やメリット選び方についてご紹介します。また、絵カードの手作りの仕方や遊びのアイデアについても是非、参考にしてみてください。

絵カードって何?

子供の発達促進に繋がる教育用具

絵カードとは、次の見通しを立てることや自分の気持ちを伝えることが苦手な発達に障害のある子供の支援として利用される教育用具です。「次に何をしたらいいのかわからない」「この先に何が起こるのかわからない」と不安を抱き、パニックにつながってしまうこともあるでしょう。そういった場合のサポートとして、絵カードを使用することで伝えたいことや次の予定を理解し、子供たちの発達を促進します。絵カードを使って活動の流れを理解することで、指示がなくても自分で動けることを目標にしています。

視覚支援として使用される

発達に障害のある子供は、言葉で伝えるよりも視覚的に表現されたものの方が理解できる子供もいます。周囲の大人だけでなく、発達に障害のある子供たち自身が抱える

・先の見通しを立てるのが苦手

・言葉で指示されたことをイメージに置き換えることが苦手

・周囲の人の動きや表情を読み取り、状況に応じて臨機応変に振る舞うことが苦手

といった困りごとを軽減するのが視覚支援です。絵カードを用いることで、視覚的にコミュニケーションをとることでき、積極的に意思表示を行うことができるでしょう。

保育士くらぶ

絵カードの使い方

1. 物語を作る

4コマ漫画のように、4つの場面の絵カードを用意して子供たちに起承転結になるように、物語を作ってもらう使い方です。絵から状況を把握する力、時系列を考える力といったイメージすることが必要になり、子供たちが人の表情や状況を読み取る支援を行います。ただ並べるだけでなく、「これはどんなお話なの?」「この子はこの時どんな気持ちかな?」といった、なぜその配置にカードを並べたのか一緒に考えてあげると良いでしょう。状況を理解し、人の感情を理解することでコミュニケーション力を育み、成長につなげることができます。

2. ”指示カード”として行動を伝える

言葉で伝え、それをうまく行動に移すことができない時に、”今やるべきこと”を指示するために絵カードを使うことができます。

・”歯を磨きます” → 歯と歯ブラシの絵カードを見せる。

・”トイレに行きます” → トイレと行くの絵カードを見せる。

・”ご飯を食べます” → ご飯を食べている絵カードを見せる。

このように、何をやるのかを視覚的に伝えることで、日々の生活がスムーズになることを目標にしています。

3. 手順を教え一緒に考える

絵カードを用いて、行動の流れをイメージしやすいように手順を示します。

学校に行く前に

1. 服を着替える

2. トイレに行く

3. 靴下を履く

このように、場面ごとにカードで手順を説明します。注意点としては、順番がわかりやすいようにすることです。順番に並べたり、暗記カードのようにめくって次の行動がわかるようにしても良いでしょう。場面ごとに手順を教え、一緒に行動について考えていくことで自分で考える力を育てることができます。

絵カードのメリット

コミュケーション能力の向上

絵カードを使用することでもたらされる効果の一つは、コミュニケーション能力の向上です。絵カードは、言葉や文章を使わずに意思疎通をする手段として非常に効果的です。特に、言語の発達が遅れている子供や言語障害のある子供にとって、絵カードは重要なコミュニケーションツールとなるでしょう。絵カードを使うことで、子供たちは自分の意図や欲求を視覚的に表現することができます。また、絵カードを使った対話の中で、相手の意図や感情を理解し、適切に反応する能力も向上させることができます。

社会性の発達

絵カードは、グループやチームでの活動や交流を促進するのに役立ちます。絵カードを通じて子供たちは、自分の意見や感情を表現するだけでなく、他人の意見や感情を尊重し理解することも学ぶことができます。絵カードを使ったゲームや共同作業を通じて、子供たちは協力したり競ったりする中で社会的なルールやマナーを学ぶことができるでしょう。また、絵カードを通じて交流することで、自己表現能力や自己主張のスキルを向上させることもできます。

記憶力の向上

絵カードは視覚的な情報を提供するため、記憶力の向上にも役立ちます。絵カードを使ったゲームや学習活動は、子供たちに対象としている物やルールなどを視覚的にイメージができるようになるでしょう。これにより、子供たちはより効果的に情報を記憶し、関連付けることができます。また、絵カードを使った記憶力のトレーニングは、脳の発達を促し、注意力や集中力の向上にも効果的です。子供が楽しんで遊べるゲームを行い、記憶力を育みましょう。

絵カードの選び方

1~3歳は動物や色など簡単なカードを選ぶ

1~3歳の子供向けには、動物や色などが描かれた簡単なカードを選ぶと良いでしょう。1~3歳の年齢の子供は、言葉の理解力や認識能力がまだまだ成長段階です。そのため、絵カードを選ぶときには、簡単な内容のカードを選ぶことが重要です。例えば、犬や猫などの動物、色や形、果物など、身近な対象を描いたカードを選ぶと良いですね。こういったカードを使うことで、名前や特徴を覚えることができます。

4~6歳では複雑なテーマを選ぶ

4~6歳の子供は、言葉の理解や資格的な処理能力が身に付き、向上しています。この年齢の子供には、より複雑なテーマや概念を扱った絵カードを選ぶと良いでしょう。例えば、自然の風景や乗り物、職業、季節、食べ物など、より幅広いテーマを取り入れたカードを選ぶことをおすすめします。子供たちはこういったカードを通して、より認識力や関連付けのスキルを発展させることができるでしょう。子供たちの興味や発達段階に合わせて、定期的に絵カードを新しくしていくことも大切です。

絵カード作りの楽しさを体験しよう!

手作り絵カードの作り方と材料の紹介

家庭や保育の場でも、子供それぞれに合わせた絵カードを手作りすることができます。作り方や材料をぜひ参考にしてみてください。

準備するもの

・素材(イラストや写真など) ・画用紙 ・ペン

作り方

1. 画用紙をカードの形に、均等に切る。(名刺カードなどを使用しても良い。)

2. 指示の内容や、素材となるイラストを貼る。(イラストや言葉などを手書きしてもOK!)

絵カードの手順は、このようにとても簡単です。手で貼ることができるラミネートを使うとより強度が高くなりますよ。

絵カード作りを通して創造力を育成する

絵カードを子供たち自身が手作りするとで、創造力を育むことができます。手づくりの過程で、子供たちは絵カードのデザインや色味など自分独自のアイデアや表現を生み出すことができます。例えば、動物の絵カードを作るときに、子供たちが自分のイメージに基づいて、色や模様、表情などを自由に描きますよね。このように、絵カードを子供が手作りすることで、自分自身の物語やストーリーを想像し、表現力も育むことができます。

絵カード遊びのアイデア

1. 言葉遊び

絵カードを使った言葉遊びでは、子供たちが絵カードを見ながら描かれている物の名前や特徴を言葉で表現します。

名前当てクイズいくつかの絵カードを並べて、子供たちにその絵カードの名前を当ててもらいます。「猫を探して」「りんごの近くにあるものは?」などと問いかけながら遊びましょう。
絵カードストーリー絵カードを順番に並べ、物語を作ります。カードに関連するセリフや場面を考えることで、想像力を育むことができます。

2. 絵カードかるた

絵カードかるたはカードを組み合わせて1つの絵にする遊びです。

動物の絵カードかるた同じ動物の絵が描かれたカードを2枚ずつ並べ、1枚のカードになるように組み合わせていきます。「これはトラだね」「このしっぽはどの動物かな」などと話しかけながら遊びと良いでしょう。
文字の絵カードかるたカードに動物や果物の名前が書かれていて、2つカードを組み合わせることで1つの単語に繋がるゲームです。文字を読む練習になり、言葉の表現力を伸ばすこともできますよ。

3. 気持ちを表現する

絵カードを使って自分の気持ちや感情を表現する遊びです。

遊び方

1. まず、様々な感情を表現をした絵が描かれたカードを用意する。

2. カードをいくつか選び、そのカードを使って子供たちと一緒に物語を作る。

3. 物語の説明や、その時にどんな感情だったのかを子供たちに説明してもらう。

この遊びは、コミュニケーション能力や感情理解を養うことに有効的で、子供たちにとっても楽しい時間を過ごすことができるでしょう。

発達に障害のある子供たちへの療育目的

視覚的に物事を理解することができる

絵カードは視覚的な情報を与えてくれるため、発達に障害のある子供たちが抽象的な物事や言葉を理解するのをサポートします。具体的で視覚的にわかりやすい絵カードは、子供たちが簡単に理解できますよね。これによって、子供たちはより具体的なイメージを通じて物事を理解し、情報の処理能力を向上させることができます。日常的なルーティンを理解したり、物事のカテゴリーを学ぶこともできるでしょう。絵カードは発達に障害のある子供たちにとって情報の生理や処理能力の発達に役立ちます。

感情表現の練習ができる

発達に障害のある子供たちは、感情を適切に認識し、表現することが難しい場合があります。絵カードは、子供たちが自分自身や他の人々の感情を理解し、表現するのをサポートします。顔や身体の特徴からその時の感情を読み取り、学ぶことができるでしょう。絵カードを通じて感情を認識し、言葉や行動で表現する力を育みます。さらに、自分の感情を伝えることができる場を提供することで、コミュニケーションスキルの向上にも効果的です。

まとめ

簡単に作れる絵カードで子供たちの発達を促進しよう

絵カードは療育の遊びとして、発達に障害のある子供たちに有効ですが、保育の場でも活用することができます。絵カード遊びを通して、子供たちの表現力やコミュニケーション能力の向上につなげることができるでしょう。日常生活にも取り入れることができ、苦手意識を持っている子供たちに対しても理解しやすくサポートしてくれます。また、簡単にオリジナルの絵カードを作ることもできるので、子供たちと一緒に作ってみてはいかがでしょうか。

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