逆さバイバイとは?自閉症とは限らない【保育・子育て・発達障害】

「自分の子供のバイバイが他の子と違う…」「自分の子供が逆さバイバイをしているから自閉症なのかしら。」と不安になることがありますよね。しかし、逆さバイバイをしているからといって、一概に自閉症などの病気であるとは言えません。幼児の成長には個人差があるものの、他の子と違うことをしていると不安に思ってしまいます。本記事では、逆さバイバイとは何か、自閉症とは何かと自閉症の子への子育て方法を解説します。

逆さバイバイとは

手のひらの向きが逆でバイバイすること

そもそも逆さバイバイはなんなのか、曖昧な人もいると思うので、逆さバイバイとは何かを説明します。通常のバイバイは、手のひらを相手に向けてバイバイをすることです。それに対して逆さバイバイは、手のひらを相手ではなく自分に向けてバイバイすることで、相手から見ると手の甲を向けられてバイバイをしていると捉えられます。先生にさようならのバイバイをする時、友達にバスの中からバイバイをする時、ふと自分の子供を見たらバイバイの向きが違っていた。ということがきっかけで、子供は自閉症なのかと不安に思うお母さんも少なくありません。

自閉症と言われる理由の1つ

なぜ逆さバイバイをすると、自閉症と思われるのでしょうか。それは、他の子とは感じ方が異なると判断されてしまうこと、バイバイをされるときとする時は立場が異なることを想像する力が劣っていると判断されるからです。自閉症の特徴の一つに、他人の立場でものを考えることが苦手であるという特徴があります。少しでも他の子と違うことをしていると、不安になってしまうものです。他の子は自然にしているのに、自分の子は同じようにできないことが、自閉症なのでは?と思うきっかけになってしまうのです。

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逆さバイバイしても自閉症ではない場合

逆さバイバイ以外の行動が正常である場合

逆さバイバイをしているから、その子供が自閉症であるという可能性は低いと言えるでしょう。ここからは逆さバイバイをしていても、自閉症ではない場合を紹介します。ひとつめは、逆さバイバイ以外の行動は正常に行えている場合です。逆さバイバイをしているけれど、会話や遊びは正常に行える場合、たまたまバイバイの行動を相手側に立って想像できず、逆さバイバイをしてしまうこともあります。そのため、逆さバイバイ以外の行動も考慮して、自閉症であるかもしれない可能性を考えるようにしてください。

一回しか逆さバイバイをしていない場合

2つ目は、一度しか逆さバイバイをしていない場合です。1回だけ逆さバイバイをして、2回目以降は普通のバイバイをしている場合、自分の理解が違うことに気付いていることが多いです。また、1度だけ理解を誤って逆さバイバイをしてしまった可能性もあります。想像力が身につく差は個人差があるので、逆さバイバイを1度しただけで、想像力が低いとも言えません。1度逆さバイバイをしていた場合、正しいバイバイの方法を教えてあげて、直ぐに理解出来たらそれは自閉症とは言えないでしょう。

自閉症とは

言葉の遅れなどの症状

続いて、自閉症についての解説をします。自閉症の正式名称は自閉スペクトラム症であり、自閉症は略して言われている名称です。主な症状には、言葉の遅れや知能の遅れが多く見られます。言葉を覚えるのに長い時間がかかったり、友達とのコミュニケーションを上手くとれないなどの特徴が著しい子は、自閉症である可能性があります。自閉症の人は、相手の立場に立って考えることや、他の人のいる空間で自分の立場を考えることが苦手です。そのため、周りとは違ったことや目立ってしまう行動を起こしてしまうのです。

いつから現れるか

自閉症の症状は一体いつから現れるのでしょうか。症状が出てくるのに個人差はありますが、一般的には生後2年目の間に症状が出ると言われています。前後することもありますが、保育園に通っている時期に違和感を感じて病院に行き、自閉症だと診断されることが多い傾向にあります。他の子と違う行動をしていたり、違和感がある場合は保育士さんが保育園での様子を元に教えてくれる場合もあります。不安に思ったらまずは、担当している保育士さんや保護者の方に相談してみて下さいね。

発達障害の種類

注意欠如・多動性障害

小さい子供に見られる発達障害は自閉スペクトラム以外にもいくつかあります。子供の発達に違和感があるけど、自閉症とは少し違うと思っている人は確認してみましょう。注意欠如・多動性障害は、年齢には見合っていない「不注意さ」が目立ち、好きなこと以外には集中力がなく、関心や興味を示すことのない多動性が見られます。場の空気を読むことや、周りに合わせて行動できず、衝動的に行動してしまう傾向にあります。最近はADHDとも言われ、知名度も徐々に高くなっていると言える発達障害です。

限局性学習障害

限局性学習障害とは、知能や視覚聴覚には障害がないにも関わらず、特定の学習行動が上手にできない障害です。障害は「文字を読めない」読字障害、「漢字が書けない」書字障害、「数字の計算ができない」算数障害の3つに分けられ、読字障害が多くを占めています。原因としては、生まれつきの中枢神経系に機能障害があることであると推定されています。自閉スペクトラム症や多動症に伴って現れることも多く、本人は自信を失いやすくなってしまうなど、深刻な発達障害です。

脳機能障害

脳機能障害とは、脳に損傷を負うと症状が起きてしまう障害です。損傷のきっかけは怪我や病気など様々。主な症状は「新しい物事を覚えられない」記憶障害や「ぼんやりしてしまってミスを頻発してしまう」注意障害です。他にも、「他人に指示をしてもらわないと行動できない」遂行機能障害、「極端に自己中心的になる」社会的行動障害などがみられます。小さい子供はインフルエンザなどでの高熱によって脳に損傷を負うことがあり、それをきっかけに発症する場合もあります。

発達障害児と健常児の違い

行動の違い

発達障害を持つ園児と健常児の違いは、保育園での生活の中でも見られます。主な違いは行動の違いです。例えば一つのことを他の子よりも長い時間没頭していたり、周りの子がしている遊びなどに一切関心を持たなかったりする場合は、発達障害の可能性もあるでしょう。しかし、関心を持っていないことは性格の特徴によっては誰にでもあることです。保育士さんの言うことを聞こうともせずに頑固であったり、周りの子も違和感を感じているほどの違いがみられる場合は他の先生や保護者の方に相談してくださいね。

人間関係での弊害

発達障害の症状は周りの空気を読めなかったり、自己中心的になってしまうことです。そのため周りの友達と仲良く出来なかったり、友達の中で浮いてしまったりします。しかし、少し友達とうまくいっていないだけでは発達障害であるとは判断しないようにしてください。何か理由やこだわりを持っているために、理解はしていてもなかなか仲良くできないだけの可能性もあります。極端な人間関係での弊害が見られる場合は、一定期間観察し、周りの大人と相談しながら保護者の方へ伝えましょう。

相談するべき場所

発達障害者支援センター

発達障害の症状が判明しても、相談できる場所は沢山あります。もし自分のお子さんや担当している園児が発達障害であると診断されたら、不安になりますよね。自分以上に園児の気持ちを想い、気に病むこともあるでしょう。そんな時は、自分の中にため込まずに周りの人たちに相談しましょう。発達障碍者支援センターは、自閉症などの発達障害のある人とその家族が、安心して暮らしていけるよう総合的な支援を行ってくれる東京にある機関です。東京以外に住んでいる人は以下で紹介する機関に相談してみて下さいね。

児童相談所

発達障害者支援センターと違って児童相談所は、全国にあり、全国民が気軽に相談できる機関です。家庭での問題などについて、子供の家族や先生からの相談を受け、子供が明るく過ごしていけるようにお手伝いをしてくれます。18歳未満の子供の問題であれば相談を受け付けてくれるので、小学校に上がっても相談し続けられますよ。医師や保健師、児童福祉司などの専門知識のある方が相談を受けてくれるので適切なアドバイスをもらえます。

子育て支援センター

子育て支援センターは、それぞれの自治体が運営していて、全国どこの自治体にもある機関です。子供たちの相談もですが、主に子育てにおける母親の相談を受け付けています。子育てに悩むママさんのために子育て講座を開いたり、子供と母親が遊べる場所を設けたりしてくれ、その内容は自治体により異なります。子供のことも、子育てのことも、相談したい場合はぜひ自分の地域の自治体にある子育て支援センターを訪れてみて下さい。

自閉症の子への子育て方法

掃除機などの音への感じ方が違うことを理解する

最後に、発達障害の園児の育て方、接し方を説明します。発達障害を持つ子供は大きい音などを過度に嫌ったり、嫌悪感をむき出しにするような行動をしたりします。感じ方が少し異なり、敏感になる特徴もあります。そんな様子を見たときは、決してしからず、子供の気持ちを理解してあげましょう。ストレスに感じるあまり思わず叩いてしまったりすることは、子供のためにも自分のためにも、絶対にしてはいけません。理解者になってあげることが最も子供のためであり、理解してくれる人の前では穏やかになる場合もあります。

具体的に分かりやすく説明する

発達障害を持つ子供に説明や教える場合は、より具体的に、分かりやすく説明してあげましょう。発達障害を持っている子は理解力が劣っている場合も少なくありません。少ししか進まなくても理解してあげて、ゆっくり子供のペースで進めてあげましょう。十分説明したからわかっているだろうと決めつけず、きちんと分かっているか、説明の仕方が負担になっていないかなどを確認しながら、優しく接してくださいね。

ほめてあげる

発達障害を持つ子供は、なぜ自分が周りの子よりもできないのかに気づきません。他の子と同じようにできなくて叱られたり、なかなかできないことに文句を言われたりすると、子供たちは無意識のうちに自分に自信がなくなってしまったりするでしょう。周りの子供たちも、自分達とは違う子がいると感じ取ってしまう可能性もあります。何をするにも努力して上達しようとしているのは発達障害の子も健常児の子も同じです。みんなを平等に、ほめながら接してあげましょう

まとめ

逆さバイバイしても自閉症とは限らないから決めつけないで

本記事では、逆さバイバイしている子供が自閉症と言われる理由から、発達障害の病気の種類、発達障害の子供の育て方などを紹介しました。自分のお子さんや担当している園児に違和感を感じたときは、様子を見守りつつも、専門的な知識がある方のところへ相談しに行きましょう。逆さバイバイをしているからといって、自閉症とは限りません。不安になる気持ちはため込まず、周りのサポートを借りながら子供へ優しく接してあげましょう

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