社会福祉法人とは?公務員との違いや保育園の特徴を紹介!【わかりやすく・私立・事業・会社・民間】

社会福祉法人という言葉は、保育や介護に携わる人であれば聞いたことがある人も多いでしょう。一方で、社会福祉法人とは何なのか、理解している人は少ないのではないでしょうか。社会福祉法人とは、数ある法人の種類の中でも、社会福祉事業に力を入れている組織のことです。この記事では、社会福祉法人が行う事業の種類や、株式会社との違いについて説明していきます。社会福祉法人が運営する保育園の特徴も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

社会福祉法人とは

社会福祉事業を行う法人団体

社会福祉法人とは、社会福祉事業を行う法人団体です。法人には様々な種類があります。少し考えただけでも、一般社団法人、NPO法人、学校法人などが思い浮かぶのではないでしょうか。そもそも法人とは、人ではない一方で、法律上人とみなされているものを指します。法人になると、法律上での義務を負ったり、権利を得ることができたりしますよ。つまり、社会福祉法人とは、社会福祉事業を行いながら、法律上で人とみなされている団体ということですね。

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社会福祉法人が行う事業

社会福祉事業

社会福祉法人は主に3つの事業を行いますが、中でも主力となるのが社会福祉事業です。社会福祉事業とは、1人で生活するのが困難な人が、地域社会の一員として自立した生活ができるようにサポートする事業です。介護や療育、保育などがあてはまりますね。公益性が高い事業となるのが特徴で、それぞれの地域に根差したサービスを提供することも多いでしょう。社会福祉事業は、第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業に分類されています。詳しい説明は後ほどするので、参考にしてみてください。

公益事業

社会福祉法人は、公益事業も行うことができます。公益事業とは、人々の生活になくてはならないサービスを提供する事業のことを言います。水道やガス、電気などのインフラ事業の他、医療や保険サービスも含まれますよ。社会福祉法人が行うことのできる公益事業としては、社会合福祉と関連があるもの、また行っている社会福祉事業の規模を超えないものに限られます。住居の提供やリハビリ補助などの事業があてはまりますよ。

収益事業

社会福祉法人の中には、収益事業を行う団体もあります。収益事業とは、事業所を設けて、継続的に行う事業のことを指します。不動産の貸付や販売業などが挙げられますね。一方で、社会福祉法人としての評判を傷つける恐れがある事業は行えません。また、社会福祉法人が収益事業を行う際には、それによって得た収益を社会福祉事業に充てなければいけない決まりがあります。社会福祉法人が事業を行っていくために必要な収益事業が認められている、ということですね。

社会福祉事業の種類

第一種社会福祉事業

社会福祉法人が行う社会福祉事業には、2つの種類があります。1つ目が、第一種社会福祉事業です。第一種社会福祉事業とは、必要性が高く、利用者への影響が大きい事業を指します。具体的には、更生施設や乳児院、養護老人ホームなどが挙げられます。入所して利用するサービスが多いと言えますね。これらの事業は保護の必要性が高い利用者が多いため、経営主体が行政または社会福祉法人でなければなりません。

第二種社会福祉事業

第二種社会事業福祉とは、第一種社会福祉事業と比べて利用者への影響が小さい福祉サービスを指します。デイサービス事業や相談事業、訪問介護事業などが挙げられるでしょう。サポートの時間が限定的だったり、在宅型のサービスだったりするのが特徴です。第一種福祉事業よりも必要性が低いとされているので、経営主体の規制もありません。法人を設立しなくても、事業を始めることができますよ。

株式会社との違い

利益の追求を目的としているかどうか

社会福祉法人とは何かを考えるときに、「株式会社と何が違うの?」と思う人もいるでしょう。株式会社との大きな違いは、利益の追求を目的としているかどうかです。株式会社は、事業の内容に関わらず、利益の追求を目的としている場合がほとんどですよ。株主から資金を調達しているため、利益を上げて株主に還元する必要があるからです。一方、社会福祉法人は、利益の追求が第一の目的ではありません。利用者に必要とされている社会福祉事業を行うことを目的としているため、営利目的の事業は行うことができないという違いがありますよ。

株式を発行できるかどうか

株式会社と社会福祉法人は、資金の調達方法に違いがあります。株式会社は、株式を発行して株主から資金を調達することができますよね。その代わりに、事業で得た利益の一部を株主に還元するという仕組みです。一方で、社会福祉法人は株式を発行することができません。その分、利益の還元を考える必要がないという特徴があります。株式の発行の代わりに、行政からの補助金を受け取ることで運営を行っている法人が多くありますよ。

税金がどれくらいかかるか

社会福祉法人と株式会社では、税金のかかり方も変わってきます。営利目的の事業を行うことができない社会福祉法人は、税金の支払いが免除される項目が多くありますよ。一般的に、株式会社だと会社が得た収入に法人税がかかります。一方で社会福祉法人だと、収益事業以外の事業から得た収入には法人税がかかりません。他にも、印紙税が免除されたり、消費税や固定資産税の優遇措置が受けられることもありますよ。

社会福祉法人を設立するには

所轄庁の認可を得る必要がある

社会福祉法人を設立するときには、所轄庁の認可を受ける必要があります。所轄庁がどこであるかは、事業の規模によって変わります。多くの場合都道府県や市町村になるでしょう。まずは所轄庁に事業計画や予算を提出し、協議を経て事業許可を得ます。事業許可を得たらその後のスケジュールを決め、設立申請に向けて人員や資産を準備するようにしましょう。社会福祉法人は、行政からの補助金や税金の優遇措置を受けることができる法人です。そのため、一般的な法人設立よりも入念な準備が必要となりますよ。

社会福祉法人で働くことは公務員になるのと同じ?

社会福祉法人で働いても公務員になるわけではない

社会福祉法人で働く、というと公務員のような働き方をイメージする人も多いのではないでしょうか。確かに、公益性が高い社会福祉法人の事業と、公務員が行う事業には似ている部分もあるかもしれません。一方で、社会福祉法人はあくまでも民間の団体です。そのため、社会福祉法人として働いているからといって公務員としてみなされるわけではありません。待遇も団体によって異なるため、公務員としての仕事とは別であると考えた方が良いでしょう。

公務員と同等の待遇が得られることもある

社会福祉法人で働くことと、公務員になることは同じではない、と説明しました。一方で、社会福祉法人で働いている人の中には、公務員と同等の待遇で働いている人もいます。社会福祉法人の1つである、全国社会福祉協議会などはその例です。国家公務員に準ずる給与と賞与が与えられるため、公務員とほぼ同じ働き方であると言えるでしょう。また、社会福祉法人は、行政からのサポートを受けて事業を行っているため、経営が安定しやすいという特徴があります。そのため、一般的な民間法人で働くよりも高水準で安定した給与を得やすいとも言えるでしょう。

社会福祉法人の保育園の特徴

地域に根差している

社会福祉法人が行う事業の1つとして、保育所の運営があります。ここでは、社会福祉法人が運営する保育園の特徴を紹介しますよ。1つ目に挙げられるのが、地域に根差した保育園が多いということです。社会福祉法人は、その地域で暮らす人々のために事業を行う法人団体です。そのため、地域に根差した取り組みを行っている保育園が多いという特徴がありますよ。具体的には、地域の老人ホームや医療施設との交流を行ったり、地域住民に施設を貸し出したりしている保育園もあります。地域の住民との関わりを持ちながら園の運営を行っていると言えるでしょう。

家族経営が多い

社会福祉法人が運営する保育園は、家族経営の園も多くあります。社会福祉法人を設立するにはある程度の人員が必要になります。理事長の他に評議員や幹事など、決めるべき役職が多くあるからです。その時に、家族や親族の名前を使って法人を設立する団体も多くあるでしょう。そのため、保育園の運営においても園長や保育士が家族で構成されている場合も多いと言えます。連携が取りやすい一方、外部の人材を取り入れにくいという注意点もあるかもしれませんね。

経営が安定している

社会福祉法人の保育園は、経営が安定しているという特徴もあるでしょう。社会福祉法人は、利益のための事業を行っているわけではありません。保育園も、その地域に住む子供と保護者のために公益性を持って行っている事業ですよね。そのため、利益が上がらないから経営が破綻するということも起こりにくいと言えるでしょう。行政からの補助金を受け取って経営しているため、安心して働くことができますよ。

ベテラン保育士さんが多い

ベテラン保育士さんが多いのも、社会福祉法人が運営する保育園の特徴です。社会福祉法人の保育園では、地域に根差した活動を行っていたり、家族で経営していたりする園も多いと説明しました。そのため、長く働き続ける保育士さんが多く、昔からその園で働いているベテラン保育士さんもたくさんいると言えるでしょう。昔からのやり方や制度にこだわる人もいるかもしれませんが、ベテラン保育士さんから様々なアドバイスを受けながら働くこともできますよ。

制度が整っている

社会福祉法人の保育園は、制度がしっかり整っている園がほとんどです。社会福祉法人を設立するには、行政が定める様々な基準を定める必要があります。行政からの補助金を受け取って運営しているからこそ、しっかりとした制度を整えることも求められます。それは保育園も例外ではありません。社会福祉法人が運営する保育園では、給与や休暇、保障などの制度が整っているところが多いですよ。

まとめ

社会福祉法人は公益性の高い事業を行っている

ここまで社会福祉法人について、その特徴や株式会社との違い、事業内容などを説明してきましたが、いかがだったでしょうか。社会福祉法人は、医療や介護、保育などの事業に関わるのであれば知っておいた方が良い言葉です。公益性の高い事業であるからこそ、行政が定める様々な基準を守って事業を行う必要があるということですね。一般的な民間法人よりも自由度は低いという特徴はありますが、その分安定していて整った制度の中で働けるのが魅力です。これから医療や介護、保育などに携わろうと考えている人は、社会福祉法人が運営する施設の特徴も理解しておくと良いでしょう。

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保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/