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保育士の皆さんこんにちは!保育士くらぶ編集部です。
皆さんは「ノンコンタクトタイム」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
実はこのノンコンタクトタイムは,保育士の皆さんの労働環境・保育の質の向上に大きく貢献するとても重要な時間として認識されてきています。
今回はコンタクトタイムとは何なのかについて解説し,さらに導入するメリット,時間の作り方についても紹介していきます!
ノンコンタクトタイムとは?
コンタクトタイムとは,勤務時間内に子どもと接しない時間のことです。
では,子どもと接していない間に何をするのかというと,
- 指導案,保育日誌,連絡帳,個人記録など諸々の書類の作成
- 教材の準備や園内清掃
- 行事の準備や会議
などの,保育以外の業務を行います。
勤務時間外に保育以外の仕事を抱え,サービス残業や仕事の持ち帰りが発生してしまう保育士さんにとって,勤務時間内に様々な業務を終わらせられれば時間外労働が減りかなりの負担軽減になります。
コンタクトタイムを確保すれば,保育士さんの労働環境の改善や,それによる仕事に対する意欲・保育に質の向上が期待できるのです。
では,以下でコンタクトタイムについて詳しく見ていきます。
保育士さんの時間外労働の実態
コンタクトタイムについて触れる前にまずは,保育士さんの時間外労働の実態について紹介していきます。
全国私立保育園連盟の調査によると,ノンコンタクトタイムが0分だと答えた保育士が全体の39%で,20分未満だと答えた保育士は全体の60%に当たるということがわかりました。
また,勤務時間後に行う職務を行うには40分以上必要だと答えた保育士さんが全体の87%にあたり,そのうちの約55%が60分以上でした。
ノンコンタクトタイムが十分に確保されておらず,勤務時間内にできなかった多種多様な業務を長い残業時間で付ける保育士さんはまだまだ多数いるということがわかります。
ノンコンタクトタイムを作るメリット
時間外労働を減らすためにノンコンタクトタイムを作ることはとても有効ですが,それ以外にもメリットは様々あります。
ここでは,ノンコンタクトタイムを確保するメリットについて紹介していきます。
残業時間が減る
ノンコンタクトタイムを確保するメリットとしてまず挙げられるのが残業時間が減ることです。
ノンコンタクトタイムとは,勤務時間内の子どもと接しない時間に保育以外の様々な業務を行うことですから,十分に確保できれば残業や持ち帰りの仕事を減らすことができるでしょう。
職員同士の情報共有・学びの時間が確保できる
職員同士の情報共有・学びの時間が確保できることも,ノンコンタクトタイムを作るメリットとして考えられます。
就業時間内に子どもと接しない時間を作ることで,保育の内容の反省・振り返りを行ったり,子どもたちに関する情報を共有してこれからの保育の内容を考えたりもできます。
保育内容を改善するために,職員同士の情報共有・学びの時間が確保できることはノンコンタクトタイムを作るメリットとして考えられるでしょう。
保育に対する意欲が向上する
仕事に対する意欲が向上するということも,ノンコンタクトタイムを作るメリットとして考えられるでしょう。
ノンコンタクトタイムで子どもからいったん離れる時間を確保することで,勤務中にも保育による疲労を取る休憩の時間を設けることができます。
また,残業や持ち帰りがなくなることで十分な休息が取れて今日の疲れを翌日に持ち越さずに済みます。
心身の負担や疲労を減らすことができれば,その分保育に対するモチベーションも高くなるでしょう。
保育の質が向上する
コンタクトタイムを確保することで得られるメリットとして一番大きいのが「保育の質が向上すること」だといえるでしょう。
ノンコンタクトタイムによるメリットとして先ほど取り上げた保育士の意欲向上や保育環境の改善のための時間の確保は「保育の質」全体の向上にもつながります。
職員の労働環境を整えることで,結果として子どもたちにもより良い保育を提供できるようになるということはノンコンタクトタイムを取り入れる最大のメリットとして考えられます。
デメリットは?
ノンコンタクトタイムを取り入れることに対する懸念事項としては,以下のようなものが挙げられます。
- 子どもの安全性が損なわれるのではないか?
- 子どもの様子がわからなくなるのではないか?
- 咄嗟のトラブルに対応できないのではないか?
上記の懸念は確かにデメリットではあるでしょう。
しかし,以上のような問題は時間ごとの職員の配置を見直したり,短時間勤務の保育士さんや保育補助の方を雇うなどして誰かしらが子どものそばにいるような状態にすることで解決できます。
ノンコンタクトタイムを確保することのデメリットはきちんと勤務の体制を整えることで解決可能なものですし,ノンコンタクトタイムがきちんと確保されているということはそれだけ保育園の運営体制が整っているということの証でもあるのです。
保育園が抱える問題点を解消していくことが十分なノンコンタクトタイムの確保につながっていきますので,デメリットについてそれほど心配する必要はないでしょう。
どうやってノンコンタクトタイムを確保する?
業務の内容と方法の見直し
ノンコンタクトタイムを作るうえでまず行うべきなのが,業務の内容を見直すことです。
保育士の業務は多岐にわたるので,一度それらの仕事を整理してみるとよいでしょう。
業務内容を見直した結果,
- 不要な書類や事務手続き
- 簡略化していい作業(行事の準備,作り物や壁面装飾など)
- 効率よくできる作業(清掃などの日々の雑用)
などの点に気が付くかもしれません。
無駄な書類の省略したり,今まで必要以上に凝りすぎていた行事のための作り物や装飾などの簡略化するだけで意外と時間は多く取れるものです。
もちろん,いきなり業務内容を変えるということには無理があるのでまずは「どのような業務をどのように行っているのか」ということを洗い出して検討してみるのがいいでしょう。
人員配置の見直し
人員配置を見直すこともノンコンタクトタイムを確保する上でとても重要なことです。
同じ時間帯に保育者が偏っていないかとうことに気を配り,時間ごとにバランスよく人員を配置することで保育士さん一人一人の負担の削減が望めます。
また,保育補助の方を採用し保育士だけでは対処できない業務の手助けをしてもらったり,保育の知識が必要ない作業を保育職以外の方に行ってもらうなども有効な人員配置の方法として考えられます。
もちろん各保育園ごとに人手に関する事情は違っていますので,それぞれの事情に合わせて「いつどこにどの人を配置するのかを」考えるようにしましょう。
ICTの導入
ICTを導入することも有効な方法として考えられます。
これまで手作業で行っていた園だよりや個人記録,保育日誌など諸々の書類の記入作業や集金や給与,人事などの管理業務でデジタル化できるものに関してはICTを導入することで,作業の効率化・時間短縮につながります。
ただし,園児や保護者に向けたものなど書類によっては手書きで書いた方がよい場合もありますので利便性が求められる業務からICTの導入を検討することがオススメです。
保育園のICT導入についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください!
職員同士で時間確保を意識しあう
ノンコンタクトタイムを作るうえで一番重要なのが,職員同士で時間を作ろうと意識しあうことです。
「ちゃんと保育以外の時間も取るぞ!」という目的意識を持つだけで作業を早く行ったり効率的に進めるような工夫がおのずとなされて時間が取れたりもします。
また,職員同士がお互いに時間を確保できるように配慮しあえばより一層空き時間ができやすくなるのでお互いに目的を共有することはとても大事なことです。
保育者の労働環境と保育の質は連動している
保育現場においては子どもにより良い質の保育を提供することが最優先事項ですが,よりよい保育を提供するには保育士の労働環境を改善することが必要不可欠です。
保育を提供するのは他でもない保育士さんなので,まずはノンコンタクトタイムによって保育者がより時間の余裕をもって働けるような環境を整えることが重要になります。
子どもから離れる時間が十分に確保できれば,空いた時間で職員同士が連携して保育内容をよりブラッシュアップしていくこともできるので結果的には保育の質が向上するでしょう。
より良い保育を目指すためにも,まずは保育士さんが勤務時間内に業務を終わらせられることを目標にしてみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回はノンコンタクトタイムについて紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
勤務内で子どもと接しない時間を作ることのメリットを理解していただけたら幸いです。
労働環境や保育の質を改善するためにも,まずは保育士さん一人一人が時間を作るように意識して日々の業務を見直すところから始めてみましょう!