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公認心理士という資格をご存じですか?公認心理士は心理職の国家資格で、2017年に誕生した新しい資格です。現在公認心理士は、医療や教育をはじめとした様々な領域で需要の高い資格となっています。今回の記事ではこの公認心理士について、資格の取得方法や年収、臨床心理士との違いなどを詳しく解説していきますよ。公認心理士について興味があるという方は、ぜひこの記事でチェックしておきましょう!
公認心理士ってなに?
心理職の国家資格
公認心理士は心理職の国家資格。公認心理士法が施行されたことにより、2017年に新しく誕生しました。また公認心理士法はメンタルヘルスへの注目が集まる中、国民の心の健康の保持増進を目的として策定されました。
e-GOV法令検索『平成二十七年法律第六十八号公認心理師法』
公認心理師と臨床心理士の違いは?
国家資格か民間資格かの違い
公認心理士は国家資格であり、臨床心理士は民間資格であるという点が2つの資格の大きな違いです。また心理に関連する有名な資格として挙げられる産業カウンセラーや認定心理士は、臨床心理士と同じ民間資格です。公認心理士は心理職唯一の国家資格として独自の地位を確立していますよ。
心理職の国家資格
・公認心理士
心理に関連する民間資格(例)
・臨床心理士
・認定心理士
・産業カウンセラー
公認心理士の仕事内容
専門知識に基づく援助や指導
公認心理士の仕事内容は、心理学に関する専門知識を用いて様々な援助を行うことです。具体的な仕事内容については、公認心理士法にて以下のように定められていますよ。
(2) 心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談および助言、指導その他の援助を行うこと
(3) 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談および助言、指導その他の援助を行うこと
(4) 心の健康に関する知識の普及を図るための教育および情報の提供を行うこと
e-GOV法令検索『平成二十七年法律第六十八号公認心理師法』
公認心理士の年収
300~400万円がボリューム層
厚生労働省の調査によると、年収300万円以上400万円未満と答える公認心理士の割合が最も高く、21.3%でした。同年に行われた調査では正社員全体の平均年収が324万円となっているため、こちらと比較しても公認心理士の年収は決して高くないことが分かります。しかしながら経験を積んだ後に、独立したり開業したりすることによって高収入を目指すこともできますよ。
公認心理師の年収(※手取りではなく額面給与)
- 200万円以上300万円未満 16.4%
- 300万円以上400万円未満 21.3%
- 400万円以上500万円未満 17.7%
- 500万円以上600万円未満 11.1%
厚生労働省「公認心理師の活動状況等に関する調査」
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
公認心理士が活躍できる領域
医療・保健領域
保健医療領域に勤務する公認心理士が全体の約30%と最も多くなっています。中でも精神科勤務の割合が高く、保健医療領域で働く公認心理士のうち半数以上が精神科に勤務していることが分かります。また医療領域と比べると少ないですが、保健所や精神保健福祉センターといった保健領域にも活躍の場がありますよ。
保健医療領域の職場
- 精神科病院・診療所 約53%
- 一般病院・診療所 約32%
- 保健所・保健センター 約12%
- 精神保健福祉センター 約3%
教育領域
教育領域で活躍する公認心理士は約29%であり、保健医療領域の約30%に次いで多くなっています。また教育領域における公認心理士の仕事として代表的なのはスクールカウンセラーです。全国で活躍するスクールカウンセラーの多くは公認心理士か臨床心理士の資格を保持していますよ。また教育領域における働き方として特徴的なのは、非常勤での就業が約68%と非常に多いこと。これはスクールカウンセラーの多くが非常勤での雇用であることに関係しています。
教育領域の職場
- 学校スクールカウンセラー(幼小中高等) 約44%
- 公立教育相談機関・教育委員会 約25%
- 学生相談所(大学・短大・専修学校等) 約22%
- その他 約9%
福祉領域
約21%の公認心理士が福祉領域で働いています。上記で紹介した保健医療領域や教育領域に続き、福祉領域で活躍する公認心理士も多いことが分かります。また福祉施設の中でも老人に関連する施設での勤務は比較的少なく、児童や障害者に関連する施設での勤務が多くなっていますよ。
福祉領域の職場
- 児童相談所 約17%
- 児童福祉施設 約15%
- 障害児通所支援事務や障害児相談支援事務所 約11%
- 障害者支援施設等 約9%
- 障害福祉サービス事業所・相談支援事業所 約9%
- 老人福祉施設 約2%
- その他 約37%
産業・労働領域
一般企業をはじめとした産業・労働領域で活躍する公認心理士もいます。一方で産業・労働領域で活躍する公認心理士は全体の6%であり、非常に少ないのが現状。しかしながら2015年には企業におけるストレスチェック制度が始まるなど、メンタルヘルスへの取り組みは徐々に強化されています。メンタルヘルスへの注目が高まる中で、産業・労働領域における公認心理士の需要も高まっていくと予想されます。
司法・犯罪領域
司法・犯罪領域において約4%の公認心理士が働いています。働いている公認心理的の割合は紹介した5領域の中で最も少ないですが、司法・犯罪領域において公認心理士は重要な役割を担っています。具体的には犯罪者の心理的アセスメントや更生支援、被害者の精神的ケアにおいて貢献していますよ。
司法・犯罪領域の仕事
- 法務省矯正局関係(少年鑑別所、少年院、刑事施設等) 約38%
- 警察関係 約18%
- 裁判所関係 約17%
- 法務省保護局関係 約10%
- NPO団体 約8%
- その他 約9%
公認心理士の難易度
難易度は非常に高い
公認心理士は取得難易度が非常に高い国家資格です。公認心理士の取得が難しい理由として、以下の4つが挙げられます。
■公認心理士の資格取得が難しい理由
- 取得に最低6年の期間が必要
- 大学における指定科目の修得が必要
- 大学院における指定科目の履修、または指定の施設における実務研修が必要
- 国家試験の合格が必要
各項目の具体的な内容については以下の段落で解説していきますよ。
公認心理士になるには?
受験資格を取得した後に国家試験に合格する
公認心理士になるには、受験資格を取得した後に国家試験に合格する必要があります。また受験資格の取得ルートは、現時点で7種類用意されています。それぞれのルートに複雑な規定がありますので、以下の段落で確認していきましょう。
公認心理士になるためのルート
- 受験資格を取得する
→取得ルートはA~Gルートの6種類 - 国家試験に合格する
また公認心理士の取得方法については変更される可能性があります。厚生労働省のホームページに最新の情報が掲載されていますので、こちらと合わせてご確認ください。
公認心理士の受験資格を取得する方法
1.大学と大学院を卒業する【Aルート】
1つめに紹介するAルートは、大学と大学院を卒業するルートです。また大学と大学院を卒業するだけではなく、それぞれの課程で指定の科目を履修する必要があります。指定の科目を履修することができる学校は限られているため、学校選びに注意しましょう。
②大学院において指定の10科目を履修
公認心理師となるために必要な科目を開講している学校
厚生労働省『公認心理師となるために必要な科目を開講する大学』
厚生労働省『公認心理師となるために必要な科目を開講する大学院』
厚生労働省『公認心理師となるために必要な科目を開講する専修学校の専門課程』
2.大学卒業後に実務経験を積む【Bルート】
次に紹介するBルートは、大学卒業後に実務経験を積むルートです。大学卒業後、プログラム施設で実務経験を積みながら受験資格の取得を目指すことができます。また大学卒業までの条件は上記で紹介したAルートと同じになっています。
②指定のプログラム施設で2年以上の実務を経験
プログラム施設一覧:厚生労働省『公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ』
3.その他のルート【Cルート】
A・Bルートを終えた者と同等以上の知識・技能を有すると認められた場合に受験資格が与えられるルートです。Cルートの審査対象者は以下のようになっていますよ。
・外国の大学+日本の大学院(10科目)
・外国の大学+日本のプログラム施設(9施設)
・外国の大学+外国の大学院
・外国の大学院+外国の心理職資格
・新たな審査対象者
厚生労働省・文部科学省 『公認心理師のカリキュラム等について』
4.特別措置【D・E・Fルート】
最後に紹介するD・E・Fルートは、経過措置のために用意された特例ルートです。2017年以前に大学や大学院に在籍していた方は、特別措置に該当していないか確認してみましょう。
Eルート:2017年以前に4年制大学に入学したもの(卒業後に大学院へ)
Fルート:2017年以前に4年制大学に入学したもの(卒業後に実務ルートへ)
文部科学省・厚生労働省「公認心理師のカリキュラム等について」
公認心理士試験の合格率
近年は50%前後
近年の公認心理士試験の合格率は、50%前後を推移しています。6年以上をかけ受験資格を得た人のみが受験することを踏まえると、公認心理士試験は合格が難しい試験であるといえます。直近の5年間における公認心理士試験の合格率は以下のようになっていますよ。
2022年 | 48.3% |
2021年 | 58.6% |
2020年 | 53.4% |
2019年 | 46.4% |
2018年 | 79.6% |
社会人や主婦が公認心理士を目指すには?
通信制大学を利用する手も
忙しい社会人や主婦の方も、通信制大学を利用して公認心理士を目指すことができます。ただし学校を選ぶ際には、公認心理士の受験資格取得の条件を満たしているか確認する必要があります。公認心理士の資格要件を満たしている大学としては以下のような大学があります。
公認心理士のカリキュラムに対応している通信制大学(一部)
- 東京福祉大学 通信教育課程
- 聖徳大学 通信教育部
- 京都橘大学 通信教育課程
- 放送大学
通信制大学情報局『公認心理師をめざせる通信制大学を徹底比較【2023年最新版】』
まとめ
公認心理士を知って将来の選択肢を広げよう!
今回の記事では公認心理士の仕事内容や活躍の領域、資格の取得方法について紹介しました。公認心理士は取得難易度の高い資格ですが、取得すると様々な領域での活躍に繋げることができます。将来のキャリア選択の一つとして、この機会に確認しておきましょう。また療育求人ガイドでは、療育保育士や児童指導員といった療育分野で活躍する様々な職業について紹介しています。ぜひこちらも合わせてチェックしてみてくださいね。