皆さんは、自己効力感を知っていますか?子ども達の中には自信がなかったり、新しいことにチャレンジしようとしなかったりする子どももいると思います。そんな子ども達でも自己効力感を高めることで自信を持てるようになり、自ら目標を立てて何かにチャレンジするようになるかもしれません。そこで今回は、自己効力感を高めるためのポイントやメリットを徹底解説します。当記事を読めば、自己効力感の事がわかりますよ!ぜひ最後までご覧下さい。
自己効力感とは?
目標達成能力を認識すること
自己効力感(セルフ・エフィカシー)とは、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること。カナダ人心理学者アルバート・バンデューラが提唱しました。自己効力や自己可能感などと訳されることもあります。
簡潔にいうと自己効力感は、自信を持ち自分の目的を叶えられるように行動に移せる力の事です。また、自己効力感は、優越感や劣等感と大きく関係します。
自己効力感の3つのタイプ
自己統制的自己効力感

自己効力感の1つ目のタイプは、自己統制的自己効力感です。自己統制的自己効力感とは、自分自身の行動や感情をコントロールすることができる自信や肯定感のことを言います。簡単に言うと「自分ならできる」というポジティブな気持ちのことです。自己統制的自己効力感が高い子どもは、次のような特徴がありますよ。
・失敗してもやり直せる
・約束やルールを守れる
一方で、自己統制的自己効力感が低い子どもには次のような特徴があります。
・失敗するとすぐに諦める
・ルールを守れない
社会的自己効力感
自己効力感の2つ目のタイプは、社会的自己効力感です。人との関わりや人への共感能力を高めるのに必要な自己効力感です。簡単に言うと、人とうまく関われるという気持ちのことです。社会的自己効力感が高い子どもは、次のような特徴があります。
・トラブル時に話し合おうとする
・新しい集団でもすぐに馴染める
一方で、社会的自己効力感が低い子どもには、次のような特徴があります。
・断られることを恐れる
・人が多いと緊張して動けない
学業的自己効力感

自己効力感の3つ目のタイプは、学業的自己効力感です。学業的自己効力感とは、学業分野での成功体験によって養われる自己効力感のことです。たとえば、試験に合格できる!という気持ちのことです。学業的自己効力感が高い子どもは、次のような特徴があります。
・わからないことを質問できる
・学習計画をたてられる
一方で、自己効力感が低い子どもには、次のような特徴がありますよ。
・間違えることを恐れる
・わからなくても質問できない
自己効力感が高いと起こること
チャレンジ精神が旺盛で行動量が増える

自己効力感が高い子どもの1つ目の特徴は、チャレンジ精神が旺盛で行動量が増えることです。なぜなら「自分ならできる!」と信じられる子どもは、初めての遊びや少し難しい活動にも前向きに挑戦しようとするからです。困った場面にぶつかっても、「きっと乗り越えられるはず」と気持ちを立て直し、最後までやり切ろうとする姿はとても頼もしいですよね。こうした挑戦が増えることで成功体験が積み重なり、結果として目標を達成しやすくなるだけでなく、「できた」という喜びが次の意欲にもつながっていきます。
失敗しても立ち直ることができる
自己効力感が高い子どもの2つ目の特徴は、失敗しても立ち直ることができる点です。たとえば、折り紙で難しい形に挑戦してうまく折れなかったときでも「次はここをゆっくり折ってみようかな」と、自分なりに改善点を見つけようとする姿が見られます。「最終的にはできるはず」と信じているからこそ、つまずいた場面でも気持ちを切り替え、また挑戦しようとする力が育っていきますよ。こうした経験を重ねることで、失敗を恐れず学びに変えていく姿勢が自然と身につき、次のチャレンジへとつながっていくのが印象的です。
高いモチベーションを維持できる

自己効力感が高い子どもの3つ目の特徴は、高いモチベーションを維持できる点です。たとえば、縄跳びの練習でまだ10回しか跳べなくても「次は15回いけるかも」と自分の力を伸ばそうと、毎日少しずつ挑戦する事ができますよ。「自分ならできるようになれる!」という思いがあるからこそ、できることを増やしたいという気持ちが自然と生まれ、向上心が途切れにくくなるのです。その結果、コツコツ頑張り続ける姿勢が身につき、落ち着いて学びに向かう力も育っていきます。
自己効力感が低いと起こること
ネガティブ思考に陥りやすくなる

自己効力感が低い子どもは、どうしてもネガティブな考えに引き寄せられやすいところがあります。たとえば、まだ挑戦していないのに「どうせできないよ…」と言ったり「失敗したらいやだな」と不安そうな表情を見せる子もいますよね。近年では、テレビやネットを通して「え!どこからそんな言葉覚えてきたの?」というネガティブな言葉を覚える子もいます。すぐにポジティブな考えに切り替えるのは難しいですが、焦らずゆっくりと子どものペースに寄り添い、「やってみよう」という気持ちが育つように支えてあげましょう。
自己効力感を生み出す要因
達成経験

自己効力感を生み出す1つ目の要因は、達成経験です。たとえば、苦手だった跳び箱が1段跳べるようになったり、逆上がりができるようになったり、こうした小さな成功こそが大きな自信につながっていきます。このような成功体験は、子どもにとって「次もできるかもしれない」という心の支えになり、挑戦する勇気をそっと後押ししてくれますよ。こうした積み重ねが多ければ多いほど、子どもの自己効力感はしっかりと育ち、前向きに行動できる力へとつながっていくのです。
代理体験
自己効力感を生み出す2つ目の要因は、代理体験です。代理体験とは、自分ではなく周りの人が頑張っている姿や成功している場面を見て「わたしにもできるかもしれない」と気持ちが前向きになる経験のことです。たとえば、お友だちが逆上がりに挑戦してできるようになった様子を見て「ぼくもやってみようかな」と意欲がわく子もいますよね。身近な人のがんばりは自分の挑戦と重ねて感じられるため、遠い世界の有名人の成功よりも心に届きやすく、自己効力感が育ちやすいのです。
言語的説得

自己効力感を生み出す3つ目の要因は、言語的説得です。言語的説得とは、周りからのあたたかい励ましの言葉です。たとえば、失敗して自信をなくしている子に「◯◯ちゃんならできるよ」とそっと声をかけるだけで、気持ちがふっと軽くなることがあります。ただし、「がんばって!」という言葉は、状況によっては子どもにプレッシャーを与えてしまうこともあるため、少し注意が必要です。代わりに、「がんばってるね」「ゆっくりでいいよ」と今の努力そのものを認める言葉を届けてあげましょう。そうすると、子どもは「見てくれているんだ」と安心し、心が前向きになりやすくなりますよ。
生理的・情動的喚起
自己効力感を生み出す4つ目の要因は、生理的・情動的喚起です。生理的・情動的喚起とは、自分の心身の状態を正しく把握し、意識して気分や体調を整えることです。心身が元気でないと新しいことに挑戦する気持ちが湧いてこないため、日々の生活リズムはとても大切になります。たとえば、夜更かしが続くと朝の活動に集中できず「もういいや…」と諦めてしまう子もいます。園では、十分に体を動かしたあとにゆったり過ごす時間を設けたり、安心できる声掛けを大切にしたりすることで、子どもの心と体が落ち着きやすくなりますよ。体調が整ってくると気持ちにも余裕が生まれ「やってみようかな」と前向きに挑戦する心が育ちやすくなるのです。
想像的体験

自己効力感を生み出す5つ目の要因は、想像的体験です。想像的体験とは、イメージトレーニングをすることです。たとえば、運動会のかけっこで「よーいどん」の合図とともに元気に走り出す自分を想像しておくことで、本番でも落ち着いて走れる子がいます。アスリートが自分の動きをイメージして試合に臨むのと同じで、子どもたちも頭の中で成功する姿を思い描くことで自信がふくらみやすくなりますよ。脳は、実際の体験と鮮明なイメージをしっかり区別するのが少し苦手だとも言われています。そのため、成功している自分を何度も思い描くことで、自然と前向きな気持ちが高まり、本番でも力を発揮しやすくなるのです。
自己効力感を高める具体的な方法
小さな成功体験を積み重ねる

自己効力感を高めるための1つ目の方法は、日常の中で、できそうなことを少しだけ頑張ってみる機会を意図的につくることです。たとえば、積み木を10個積むのが難しい子には、まず3個だけ積んでみるチャレンジを提案し、できたら次は4個に増やすなど小さなステップを丁寧に作っていきます。保育の現場でも、最初から難しい課題を出すのではなく、子どもが「これならやれそう」と思えるレベルを一緒に探してあげることがとても大切ですよ。こうした無理のない挑戦を重ねることで、「ちょっと頑張ればできる」という感覚が育ち、自己効力感がゆっくりと積み上がっていきます。
身近な人の成功体験を知る
自己効力感を高めるための2つ目の方法は、身近な人の成功体験を知ることです。たとえば、お友だちが鉄棒を練習して、逆上がりができるようになった話を聞くと、「自分もやってみようかな」という気持ちが自然と芽生えますよね。保育の現場では、先生が「Sくんも最初はできなかったけれど、少しずつ練習してできるようになったんだよ」と優しく伝えましょう。そうした声かけをすることで、子どもは「自分もやってみようかな」と感じ、挑戦する勇気を持ちやすくなりますよ。身近な誰かの頑張りに触れることは、子どもにとって自分にもできるかもしれないという前向きなイメージを育てる大切なきっかけになります。
積極的にポジティブな声を掛ける

自己効力感を高めるための3つ目の方法は、積極的にポジティブな声を掛けることです。たとえば、園でお片づけをがんばった子に「ここまで自分でできたね、すごいね」と声をかけるだけでも、子どもは「できた!」という気持ちになれますよ。また、失敗して落ち込んだときも「挑戦しようとした気持ちが立派だよ。次は一緒にやってみよう!」と、寄り添う声かけをしてみましょう。子どもの、もう一度挑戦してみよう!という気持ちにつながりますよ。子どもの小さな行動や頑張りに気づき、丁寧に声を掛けることは、子どもの自己効力感を育てる大切なサポートになります。
健康維持を心がける
自己効力感を高めるための4つ目の方法は、健康維持を心がけることです。たとえば、十分な睡眠をとって朝スッキリ起きられるだけでも、子どもは1日の活動に前向きになりやすくなります。また、園でバランスの良い食事を摂ったり外遊びで体を動かしたりすることも、健康な体づくりには欠かせません。体調が整っていると「今日はやってみよう!」とポジティブになりやすく、結果として新しいことに挑戦する力を育てます。健康は目に見えにくい土台ですが、子どもの自己効力感を支える大切な要素なのです。
自己効力感のチェック方法
一般性セルフ・エフィカシー尺度で測定する
子どもの自己効力感を客観的に知りたいときには、一般性セルフ・エフィカシー尺度という測定方法を使うことがあります。これは、坂野雄二氏と東條光彦氏によって1986年に作られた質問票で、16個の質問に「はい」か「いいえ」で答えるだけの、子どもにも取り組みやすいシンプルな仕組みですよ。たとえば、「失敗したと感じることのほうが多い?」といった質問などがあります。このように点数として見える形になることで、子どもへの関わり方を見直すヒントにもつながっていきます。一般性エフィカシー尺度は、心療内科や精神科、または併設されているカウンセリングルームなどでを受けられる場合がありますよ。
まとめ
自己効力感について学び子どもの自信を育もう!
いかがでしたでしょうか?今回は、子どもの自己効力感についてまとめてみました。自己効力感は、新しい活動でも「やってみよう」と思える気持ちを支える大切な力です。小さな成功体験を積んだり、身近な人の頑張りを知ったり、温かい声かけを受けたりすることで、少しずつ育っていきます。毎日の生活の中で子どもの「できた!」を一緒に喜びながら、自信につながる環境を丁寧に整えていきたいですね。



















