発達障害を改善するのに保育園でできること【接し方・原因・種類・改善方法】

近年、保育現場で大きな課題となっている発達障害。特に近年は発達障害の診断を受ける子ども達の数が急増。保育士さんでも、障害のある子ども達をお世話をする機会が多くなることが予想されます。発達障害がある子どもは一人一人症状や特徴が違います。そのため、子どものペースに合わせてフォローをしていく姿勢が大切になのです。では、具体的に発達障害の子どもにはどんな配慮をする必要があるのでしょうか。本記事では、発達障害について詳しく解説しています。この記事をよく読み、発達障害の子どもに対して適切にサポートできるようにしましょう!

発達障害とは

生まれつき脳機能に偏りが出る障害のこと

発達障害は、生まれつき脳機能に偏りが出る障害のこと。発達障害が原因で社会生活が困難になったり、二次障害でうつ病や睡眠障害に陥ることもあります。しかし、発達障害はマイナスなことだけではありません。自分の好きなことや得意なことといった特定の分野で素晴らしい能力を発揮することもあるのです。そのため、発達障害は同じ障害でも特性や特徴に個人差があるため、その子に合った支援をすることを保育士さんは求められます。

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保育園での発達障害の子供の接し方

発達障害のことを理解する

まずは、発達障害のことを理解することが大事です。例えば、発達障害のことについて詳しく調べてみたり、どのようにサポートしてあげたらよりその子がストレスがないのか…などといったことを理解しましょう。発達障害のことを理解し、実際に子どもと携わった時にどう関わるか工夫をすることで質の良い保育ができるでしょう。発達障害について知識を深めることで保育士としてステップアップすることも期待できますね。

子どもの特性に合わせた指導を

その子の特性に合った適切な支援を行うためには、普段から子供と積極的に会話したり、好きなことや得意なことを観察して見極めたりすることが大事です。子ども一人一人の得意不得意をきちんと理解することを心がけましょう。障害を持つ子どもはみんなと同じカリキュラムを達成するのが難しい事もあります。その子にあった個別カリキュラムを制作して実行しましょう。また、むやみやたらと子どもを手助けすることは避けるようにしましょう。発達障害には、得意なことはどんどん集中できる特性があります。その子の得意分野を伸ばすためにも必要以上に手助けしないようにすることが大事ですよ。

保護者との協力も大事にしよう

発達障害の子どもは様々な症状を抱えていて同じ病名でも個人差があります。保護者の方に、子どもの苦手なことや家庭での過ごし方などを聞いて指導に活かしてみてはいかがでしょうか。保育士さんから園での子どもの様子をその時の対応も含めて具体的に話すことも大事です。また、保護者の方から子育ての相談も受けることもあります。連絡帳でのやりとりなどをまめに行い子供に関して情報交換を大切にしましょう。子どもに関して情報交換を保護者の方と行う事で不安を解消してあげる事が保育士さんの役割です。保護者の方と良い関係性が築きましょう!

できなかったりうまく伝わらなくても怒らない

発達障害があることで指示を理解するのに時間がかかってしまい、スムーズに活動を行うことができません。しかし、保育士さんが子どもに対して焦ったり感情的に怒ることはNG。他の子どもとペースが遅れていて焦る気持ちもわかります。ですが、そこはグッと堪えて子どもに寄り添って理解し、その子のペースに合わせることが大切なのです。発達障害の子供は、情報の受け取り方が他の子供と違う受け取り方をしてしまうこともあるでしょう。混乱を避けるために図やイラストで視覚的に情報を伝えたりといったその子に合った情報伝達がしやすくなる工夫をしましょう。

発達障害の原因とは

まだはっきりとは分かってない

実は、発達障害の原因はまだよくわかっていません。遺伝的や環境的な問題もあると言われていますが、本当の原因はまだわかっていないのです。また、保護者の方でよく勘違いされる方がいらっしゃるのですが発達障害は親のせいではありません。もしかしたら自分の育て方が悪いせいかもしれないと自分を責めてしまう保護者の方もいらっしゃるかもしれません。そのため、まずは発達障害は親のせいではないことを伝えてあげて誤解を解いてあげましょう。

発達障害の種類

自閉症スペクトラム

普段のコミュニケーションの中で言葉や視線、表情、身振りなどを用いてお友達とやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手な障害です。2013年5月に精神医学の診断基準が改訂され、従来の自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害・が自閉症スぺクトラム障害に含まれました。苦手なことだけでなく、自分の好きな事や得意な事に集中力を発揮できるといった長所もありますよ。

注意欠如・多動症(ADHD)

落ち着きがなく待つことができない(多動性・衝動性)・集中力が持続しにくい・作業にミスが多い(不注意)といった特徴があります。その場に応じての行動が苦手でミスや不注意などの症状が他の子に比べて目立ってしまうのです。しかし、自閉スペクトラム症と同様にADHDも自分の好きな事や得意な事に集中力を発揮できるといった長所があります。自閉スペクトラム症もADHDも好きな事を伸ばしてあげるという事がとても大事ですね。

学習障害

知的発達的に問題が特に見受けられないのに、読む(ディスレクシア)、書く(ディスグラフィア)、計算する(ディスカリキュリア)など特定の学習が難しい事を学習障害(LD)と言います。子どもによって学習障害の症状が異なります。また、子どものことをよく観察してあげないと単に勉強が苦手なだけだと思われてしまい、障害だと見抜けないことも。保育士さんが学習障害に対して知識を入れたり、読んだり書いたりする事が苦手な学習障害の子にあったカリキュラムを製作する事が大事です。

吃音症

吃音症(きつおんしょう)とは、スムーズに話すことができず話そうとするとつっかえてしまう障害のこと。話すときに音や語の一部を繰り返したり、引き伸ばしたり、言葉がつっかえてしまうのが主な症状の特徴。吃音症は、生まれつきなってしまう発達性吃音とストレスなどに起因する獲得性吃音の2つの種類があります。子どもの場合は、発達性吃音であることが多いです。

グレーゾーン

上記の発達障害の特徴があるにも関わらず、診断基準に満たない状態の子ども又はまだ診断をしてない子どものことをグレーゾーンと言います。グレーゾーンにいるので症状が軽いという訳ではありません。そのため、発達障害の診断を受けている子と同じ対応が必要になっていきますので注意しましょう。また、まだ病院などの専門機関を受診していない子どもには保護者の方に一度ご相談してみましょう。専門機関に行くことで発達障害かどうか分かるかもしれませんよ。

発達障害の子供の困りごととは

コミュニケーションが取れず孤立しやすい

発達障害の子どもは、コミュニケーションが取れず孤立がしやすいです。発達障害の子どもは言葉を言語化することが難しいため、うまく自分の言葉で伝えられなくてもめ事が起きやすく孤立してしまう原因になることもあります。自分の思い通りにいかないことでパニックになってしまい、お友達を蹴ったり、叩いたり、引っ掻いたりなど怪我をさせてしまう恐れもあります。他の子とのいざこざを防いだり、子どもが孤立しないようサポートしてあげるのも保育士さんの仕事です。お友達とコミュニケーションを円滑に進める為のサポートをしてあげましょう。

二次障害が出てしまうことも

発達障害の子どもが周囲から障害をうまく理解してもらえなかったりすることで、自己肯定感の低下やストレスを感じてしまうことがあります。そういった体験をすることで様々な二次障害を引き起こすことも。子どもに二次障害が出てしまうと心身面や行動面に現れます。具体的には、うつ病や引きこもり、睡眠障害といった障害を引き起こすことがあります。こういった二次障害は、幼少期に今すぐ現れる訳でなく、年齢を重ねてから症状が現れることが多いのが特徴的。将来、二次障害が現れることがないように発達障害の子どものことを理解してあげたいですね。

感覚が鋭くて過敏

発達障害の子どもの中には、感覚が鋭くて過敏な子もいます。服の中のタグがむず痒く感じる子や自分にとって嫌な音が流れるとパニックになる子もいます。感覚が過敏すぎて刺激を避けるがために自分から活動することが減り、お友達とうまくコミュニケーションが取れないことも。しかし、感覚が鋭いことは長所でもあるのです。五感がとても鋭いことで、子どもが優れた能力を発揮することもありますよ。

発達障害を改善するのにできることは?

保育士さんがきちんとサポートする

発達障害を持っている子どもはなかなか普通の子と混じって集団生活することが難しいことがあります。発達障害を持っている子どもがどうしたら普通の子と混じって上手く集団行動ができるかを工夫しましょう。どんな子どもでも過ごしやすい環境を作ってあげることを意識すると良いと思います。例を出すとルールの理解が難しい発達障害の子には一貫性のあるわかりやすいルールにしたりといったサポートをするといいですね。

病院などに頼る

発達障害の改善するには、早めに専門機関へ相談することをオススメします。発達障害かもしれない子どもがクラスにいた場合も専門機関で相談することで発達障害を発見できるかもしれません。病院だけでなく、地域の子育て支援センター・家庭児童相談室・児童相談所・保健センター・発達障害者支援センター・療育センターなどでも相談を受け付けています。早めに対応することで二次障害を防ぐことができますし、発達障害が少しずつ解消に向かっていくかもしれませんよ!

まとめ

発達障害の特徴を理解して快適に過ごせるようにしよう

本記事では、発達障害について詳しく解説しました。発達障害について保育士さんが知識を入れておくことは大切です。まずは、発達障害について理解して子ども一人一人に対して真摯に向き合う。そして、子どもにあったペースで指導していくといったことを心がけるだけで子ども達が過ごしやすく、保護者も安心できる環境ができるでしょう。また、保護者との連携もとても大切です。保護者と子どものことを情報共有することで日々の保育にも役立ち、保護者との信頼関係も築くことができます。発達障害の子どもが快適に過ごせる環境作りができるといいですね。

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