保育園の絵本コーナーを工夫するには?読書に集中できる環境を作ろう【メリット・レイアウト・コーナー保育】

絵本は子供たちにたくさんの良い影響を与えます。子供に1冊でも多くの絵本を読み、親しんでもらいたいという思いから絵本コーナを作りたいと考えている保育園は少なくありませんよね。また、子供の個性や意志を尊重したコーナー保育の一つとして保育に取り入れる園も増えてきています。今回は、絵本コーナーを作るねらいやメリットについて説明します。絵本コーナーを作る際の工夫やレイアウトについてもご紹介するので是非参考にしてみてください。

絵本コーナーを作るねらい

主体性や創造性を育むため

絵本コーナーを作ることで子供の主体性や創造性を育むことができます。絵本の豊かな物語性は、子供たちに創造力を養わせ、登場人物に共感することで世界を創り出す助けとなるでしょう。さらに、子供は絵本を通して感情の伝え方を学ぶことができます。子供が自分で読みたいと思った本、興味を持った本を選ぶことができる環境を作ることが大切ですね。絵本コーナーで好みに合わせた絵本を選び、読書体験を通して主体性を育むことができます。

自発的な動きを誘発するため

絵本コーナーの環境を工夫することで子供の自発的な動きを誘発することができます。例えば、棚の背を低くし、子供たちが自分から絵本を探しに行くことができるように配置すると自発的な探究心を育むことができるでしょう。また、絵本コーナーの一部の壁を異なる色にし、椅子や机を散りばめることで子供の興味を惹きつけ、自ら積極的に動きたくなる絵本コーナーを作ることができます。子供の視覚や意識に刺激を与え、自ら進んで動きたくなるような絵本コーナーにすることで自発的な動きを誘発します。

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コーナー保育とは

遊びをブース分けする保育方式

コーナー保育とは、絵本だけでなくお絵描きやブロック遊びなどさまざまな遊びをブース分けし、子供が自ら選択して遊ぶ活動です。子供の主体性を伸ばすことを目的とし、保育に取り入れることで自主性や独創性、創造性を伸ばすことができるでしょう。クラス全員で同じ遊びを行う”一斉保育”とは異なり、子供1人1人の個性や意志を尊重した”自由保育”として取り入れる保育園が増えてきています。同じブースで遊んでいる友達と貸し借りをすることで協調性やコミュニケーション能力、協調性が身に付くでしょう。

1歳から取り入れることができる

コーナー保育は3〜5歳児向けのイメージがある方もいるかもしれませんが、実は1歳児から取り入れることができます。1歳児からコーナー保育を行う場合は、子供が遊びやすいように低い位置におもちゃを置くと良いでしょう。また、1歳児向けには特に安全面を考慮して設置する必要があります。棚の角を保護したり、クッションを置くなどひとり遊びを行える環境にすることが大切です。さまざまな種類のおもちゃや素材を置くことで、子供たちが並行遊びを実施しやすくなりますよ。

遊びやすいレイアウトが大切

コーナー保育をレイアウトするときは、子供たちが遊びやすいように工夫することが大切です。子供たちがどのような動線で遊ぶのか、設置するコーナーの間隔は適切に離れているかなど具体的に考えることがポイントです。設置後に子供たちが遊ぶ様子を観察しながら見直しや改善を行うようにすると良いでしょう。また、子供たちがより遊びに集中できる環境づくりも大切です。子供たちの意欲や関心に合わせて、定期的におもちゃを入れ替えることで遊びのバリエーションを広げることができます。

絵本コーナーを作るメリット

子供の読書週間が身に付く

絵本コーナーを保育園に設置するメリットして、子供に読書をする習慣を身につけさせることができます。絵本コーナーを取り入れることで、子供が絵本に触れる機会が増え読書が楽しいと感じるようになると、毎日絵本を読む習慣が身につくでしょう。読書週間が身につくことで、子供たちは物語を通して感情を想像することができ、他の人の視点を理解する力を養うことができます。読書週間を身につけることは、子供が学習への興味を持つことも促進します。

子供の語彙力が育つ

絵本にはさまざまな言葉や表現が含まれており、読み聞かせを通じて子供たちは新しい言葉やフレーズを学ぶことができます。また、絵本の内容やキャラクターのセリフにふれて、文脈にあった語彙や表現を理解し習得することができるでしょう。例えば、キャラクターが感情を表現したり、物語内で新しい場面や出来事が起こったりしますよね。「どうしてこう思ったのかな?」「なんでこうなったんだろう?」と子供たちと一緒に考えることで理解力や語彙力を身につけることができます。

子供の集中力を養う

絵本を読むことは、イラストから物語の展開やイメージを膨らませることができ、子供の集中力を養うことに役立ちます。また、読み聞かせを通じて子供達は長い時間集中して話を聞く力を身につけることができるでしょう。また、絵本を読むことで物語のストーリーを理解し、キャラクターの感情に共感することもありますよね。子供たちは読み聞かせを通じて、物語に没頭し物語の詳細を追いかける練習をすることで、集中力を向上させることができます。

絵本コーナーのレイアウト工夫

興味・発達に応じた様々な絵本を用意する

絵本コーナーのレイアウトを工夫する上で重要なことは、子供たちの興味や発達に応じた絵本を用意することです。乳児クラスの子供には、文字ではなく大きなイラストが描かれている本が良いでしょう。ページが丈夫で、舐めても安全な本がおすすめです。幼児クラスの子どもには、より複雑なストーリーやたくさんのキャラクターが登場する絵本が適しているでしょう。シリーズ化されているものや、章に分けられているものを取り入れると、子どもたちの知識と読解力を促進できます。

”面差しの棚”には好奇心をくすぐる本を置く

面差しの棚は、表紙が見やすく子供たちの目線と同じ高さで本を設置できるため、自ら読みたい本を選択できます。子供たちが自ら絵本を探し、選び、楽しむことに役立ちます。面差しの棚は特に子供たちの目に入りやすいため、好奇心や興味をくすぐる本を置くと良いでしょう。本を設置するときは、詰め込み過ぎてしまうと選びにくくなるため、冊数をできるだけ少なくして間隔を空けて本を展示することをおすすめします。表紙が見えることで、子供たちは自分の好みに合った絵本を選びやすくなり、自己選択の機会を増やすことができますよ。

”棚差しの棚”はカテゴリーで分類

棚差しの棚は、本屋さんのように絵本の背表紙を見せて”棚に絵本を差し込む”ようにして収納する棚です。収納量が多いことが利点ですが、絵本コーナーに棚差しの棚を取り入れる場合はカテゴリーで分類し整理しましょう。色やあいうえお順に分類し、文字や写真などで一目でわかるようにしておくと子供たちが絵本を選びやすくなります。また、カテゴリごとに絵本を整理することで、子供たちも片付けをしやすい環境づくりができるでしょう。子供たちに整理整頓の重要性を教えることもできます。

定期的に絵本を入れ替える

絵本コーナーのレイアウトにおいて大切なことは、定期的に絵本を入れ替えることです。子供たちは常に新しい物語やテーマに興味を持つため、絵本コーナーにおいても定期的に絵本を入れ替え、飽きさせないようにすることが大切です。季節やイベントに合わせて入れ替えてみても良いですね。例えば、クリスマスにはサンタクロースやトナカイなどに関連した絵本を、春にはお花見や遠足などといったテーマにあった絵本を用意してみてください。

絵本コーナーを手作りする時の工夫

クッションやマットを置く

絵本コーナーにクッションやマットを置くことで、子供たちはリラックスして絵本を読むことができます。柔らかく肌触りの優しいクッションやマットを用意し、絵本を読むのに快適な環境を整えると良いですよ。そうすることで、進んで絵本を読み長時間の読書を集中しながら楽しむことができます。クッションやマットを置くときは、安全面に気をつけて子供たちが滑らないように置き場所を決めたり、片付けをするルール作りなどを行いましょう。クッションやマットはカラフルなデザインや子供たちの好みに合わせて選ぶと進んで絵本コーナーで遊ぶようになります。

1~3歳児クラス:”子供目線”で並べる

1〜3歳児クラスには、絵本を子供の視点に合わせて並べましょう。低い棚や本棚に絵本を並べ、子供たちが簡単に絵本を手に取ることのできる環境づくりを意識しましょう。特に1〜3歳児の子供は、まだ立つことができない子もいるので、座りながらやハイハイの状態でも絵本を取り出すことができる位置に置くことが大切です。絵本を取り出しやすく、戻しやすい高さに並べることで子供たちが自分で絵本を選んで楽しめるようになります。

4~5歳児クラス:ジャンル別に分ける

4〜5歳児クラスでは、絵本をジャンル別に分けて配置することで、子供たちが自分の興味にあった絵本を見つけやすくなります。絵本コーナーには、さまざまなジャンルの絵本を取り入れると良いでしょう。

ジャンルの例

・物語絵本

・ファンタジー

・冒険

・動物

・友情

・加速

・交通ルール

図鑑や生き物紹介、宇宙に関する絵本を取り入れてみても良いですね。また、ジャンルごとに専用の棚やコーナーを設け、テーマに沿ったポスターやラベルを掲示すると絵本を探しやすくなります。

絵本コーナーを利用しやすくするための工夫

貸し出し制を取り入れる

貸し出し制にすると、家庭でも絵本を読む習慣を身につけることができます。貸し出し制を取り入れる場合は、貸し出しの期間や返却方法などルールや制限を設けておきましょう。図書館のように、貸し出しカードや読んだ絵本の記録をできる”読書カード”を取り入れると、子供たちが楽しんで利用できますね。自分が気に入った絵本を家に持ち帰って、家族と一緒に読む楽しさを味わう経験に繋げることができます。

保護者向けの本を設置する

絵本コーナーの一部に保護者向けのコーナーを設置することで、親子で本を読む習慣をつけ、読書の楽しさを共有する機会ができます。育児に関する本や、大人にも読んでもらいたい絵本、おすすめの本や保育士の方が趣味で読んでいる本などたくさんの種類の本を設置すると良いでしょう。本の隣にカードを設置して、保護者の方々で感想を共有してみるのも良いですね。子供のためだけではなく、保護者が一緒に楽しめる場所として絵本コーナーを工夫することが大切です。

まとめ

絵本に親しみを持てる絵本コーナーを作ろう

保育園における絵本コーナーは、子供たちが読書を楽しみ、学び、子供たちの成長を支えてくれる場となります。コーナー保育の一つとして取り入れることで、子供の集中力や語彙力などの発達における重要な役割を担います。絵本コーナーを活用しレイアウトを工夫することで、保育の質を充実させることにも繋がるでしょう。また、保護者向けのコーナーを設置することで、子供や保護者同士、保育士の方との関わりも増えるためぜひ取り入れてみてください。絵本コーナーのレイアウトや環境を工夫し、子供たちが親しみを持てる場を作りましょう。

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