子供の成長を支える!手づかみ食べのメリットと方法【手づかみ食べとは・始めるサイン・練習方法・食材】

離乳食が進むと始まる手づかみ食べ。自分から食べ物を手でつかんで口に運ぶようになります。手づかみ食べは、赤ちゃんの接触機能の発達において重要な役割を担います。手づかみ食べを卒業して、スプーンやフォークを上手に使えたり、食への関心が増すきっかけにもなるでしょう。そこで今回は、手づかみ食べの始まる時期や卒業する目安、メリットについて解説します。手づかみ食べの練習方法やおすすめの食材についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

手づかみ食べとは

手でつかんで食べる協調運動

手づかみ食べとは、目・手・口を使った協調運動です。”食べ物を目で確かめ、手でつかみ、口まで運んで食べる”という一連の動作は、発達に非常に重要なステップとなります。

1. 目で食べ物の場所や大きさ、形などを確かめる。

2. 手でつかみ、食べ物の感触や温度、握り方を確かめる。

3. 食べ物を口でたべ、味や食感を感じる。

この手づかみ食べにおける動作の流れが、脳の広範囲を刺激し発達に大きな影響を与えます。

離乳食後期(9~11ヶ月頃)から始まる

手づかみ食べが始まる時期は、離乳食後期である9~11カ月ごろです。茹でたにんじんや食パン、バナナなど歯茎で潰せる硬さの固形の離乳食がたべられるようになると、手づかみ食べが始める目安となります。この時期には、おもちゃなども手で掴むことができ、自ら食べ物に興味を持って触ろうとする仕草も見られるでしょう。ただし、赤ちゃんそれぞれで成長や発達のペースは異なるため、必ずしも離乳食後期のタイミングで始めるわけではありません。

2歳ごろに卒業する

手づかみ食べは、2歳ごろに卒業する子供が多いです。子供の成長段階によっても異なるため、中には3歳ごろに卒業する子供もいるでしょう。手づかみ食べを卒業する時期は、スプーンやフォークを上手に使えるようになる頃です。2歳ごろまでは、食べ物を手で触って感覚を養う手づかみ食べが重要なので、無理に卒業させる必要はありません。キャラクラーのスプーンや、フォークで食べやすい食事に変えていくことで、少しずつ手づかみ食べを卒業していきましょう。

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手づかみ食べのメリット

手指の運動機能を発達させる

手づかみ食べは、指先の細かい運動を必要とするため、子供の手指の発達を促進します。食べ物をつかむ、持ち上げる、口に運ぶといった動作は、指の筋肉や神経系の発達に良い影響を与えるでしょう。パンや野菜など、食べ物を味わうだけでなく、触れることによってたくさんの情報を得ることができます。質感や熱さなど、あらゆる発見から探究し、味わう楽しさを体験することができるでしょう。指先から脳が刺激され、発達が促進することができます。

”食べたい”の意欲を育てる

子供が自分で食べ物を探究し、選ぶ経験を提供してくれる手づかみ食べ。食べることに対する興味や好奇心が刺激され、食欲が育まれる助けになります。食べ物の色や形、質感などを直接感じることで、子供は食事を楽しむことを学ぶことができるでしょう。いろいろな色や形、温度、硬さ、味、においの食材を用意してあげることで、子供の興味を広げ”食べたい”という意欲を育てることができます。食べさせてあげるのではなく、自分から手を伸ばして意欲のままに手づかみ食べをさせてあげることが大切です。

手づかみ食べを始めるサイン

1. 乳歯が生え始める

歯茎の刺激が増え、食べ物を噛む準備ができると、手づかみ食べを始めるサインの1つです。乳歯が生え始める時期は、子供のあごが発達します。乳歯の生えはじめに伴って、噛む力や口の中の運動機能が向上し、食べ物を噛むことができるようになります。前歯が生えていると、食べ物を歯茎の上に移動する前に一口噛むという動作を覚えることができるでしょう。もぐもぐと口を動かし、固形の離乳食を乳歯でつぶして食べられるかどうかもポイントになります。

2. お座りが安定する

背中や首の筋肉が発達することで、支えなしで1人で座ることができます。離乳食用の椅子に一定時間座り、手づかみ食べの動作に集中できることも1つの目安となります。お座りが安定することで、食べ物を持つ手を使いやすくなり、食べ物を掴んで口に運ぶことができるようになるでしょう。手を自由に使いながら食べ物を掴んだり、食べたりすることもありますよね。子供が椅子やハイチェアに座ることができると手づかみ食べの準備が整っています。

3. 舌の使い方やあごが発達する

離乳食を食べているときに、食べ物を口の中で左右に動かしたり、舌とあごで押しつぶすような動きが見られると、手づかみ食べを始めるサインです。子供が離乳食を食べている様子を観察していると、少しずつ違いが見えてくるでしょう。舌で食べ物を押し出すのではなく、飲み込むために使うようになります。また、あごの筋力が発達することによって、噛む動作をできるようになり食べ物を飲み込むようになります。食べ頃のバナナ程度の硬さの食材が食べられるようになることが1つの目安です。

手づかみ食べの練習方法

崩れにくく、掴みやすい食材

手づかみ食べの練習として、まず子供が掴みやすい食材を用意しましょう。掴みやすく、崩れにくいサイズと形状に気をつける必要があります。ほとんどの食材は、サイコロ状に切って用意してあげることがおすすめです。おにぎりを一口サイズにしたり、野菜であればスティック状にすることで掴みやすくなるでしょう。練習を初める時は、少量からスタートし少しずつ増やしていくことが大切です。また、事前に茹でて柔らかくしておき、やけどに注意して子供に渡すと良いですよ。

食事環境を整える

テーブルや椅子などの食事環境を整えることで、安定した姿勢で食べ物と向き合う場を作ることが大切です。テーブルは、子供が手を伸ばして食べ物を口に運びやすいように、高さを調節しておきましょう。背もたれが背中にしっかりとフィットし、足が踏み台や床につけることができる椅子を準備することも大切です。手づかみ食べの練習では、食べ物が床に落ちて汚れることもありますよね。後片付けを楽にするために、椅子やテーブルの下に新聞紙やビニールを敷くと、まとめて捨てることができます。

お手本を見せる

子供は基本的に、大人の動作をマネて成長していきます。手づかみ食べの練習でも、親や周囲の大人がお手本を見せてあげることで、手の使い方や食べ物の使い方を学ぶことができるでしょう。上手にできた時は、たくさん褒めてあげることも大切です。たくさん褒められることで喜びとなり、食事をすることは楽しいことだとわかることができるでしょう。お手本を見せてあげ、一緒に練習することで手づかみ食べへの興味を引き、成長をサポートすることが大切です。

手づかみ食べにおすすめの食材

野菜:にんじんや大根

手づかみ食べの練習には、柔らかく茹でて一口サイズに切ったにんじんや大根などがおすすめです。慣れてきたら、5cmほどの長さのスティックにしても良いでしょう。にんじんは、少し硬めに茹でて噛みきれないようにすることで、たくさん噛んであごの力を育てることもできます。また、さつまいもやかぼちゃは、口に入れた時に素材本来の自然な甘みを感じるため、子供にとっては食べやすい食材です。

果物全般

果物は手づかみで食べさせやすく便利な食材です。特に、イチゴやバナナは、一口サイズに切ってすぐに食べさせることができるので簡単でおすすめです。バナナは、輪切りだとベタベタと滑りやすいので、1箇所だけ皮を剥いて持たせてあげても良いですね。りんごを使うときは、歯が生えそろっていないと固く上手に噛めないので、粗い角切りにして電子レンジで温めると、柔らかく食べやすくなるでしょう。

主食:おにぎりやパン

野菜や果物に慣れてきたら、おにぎりやパンに挑戦してみましょう。最初は、柔らかめにお米を炊いておにぎりを作ると食べやすいです。2~3cm程の大きさで、丸型の形状に握ってあげると掴んで口もとに運びやすいです。おにぎりの具をプラスすると、成長に必要な栄養素を補うこともできます。また、パンも同様に2~3cm程の角切りに切り、耳の部分は取り除いておきましょう。あごの発達や成長段階に応じて、十分に噛み砕ける大きさに調整することが大切です。

手づかみ食べをしない原因

1. 手づかみ食べに向いていないメニュー

“できるだけ柔らかいメニューを”“手で握れる大きさに”と考えすぎてしまって、手づかみ食べには難しいメニューになってしまうこともありますよね。おかゆやペースト状の食べ物は、手づかみ食べに向いていないメニューの一つです。このようなメニューは、手で掴むことが難しいので手づかみ食べをしようと思わない場合があります。掴んでも崩れない柔らかさと形状を意識して、メニューを考えることが大切でしょう。

2. 手が汚れる・食材の感触が嫌い

子供の中には、手づかみ食べをすることで、手が汚れてしまったり食材の感触が苦手の子も多いです。“手がベタベタするのがイヤ”“食べ物をつかむ感触が苦手”といった理由で手づかみ食べをしなくても、特に問題はありません。子供の個性の1つとして理解してあげましょう。手が汚れない食材や、手触りの異なる食材をいくつか用意することで、手づかみ食べを好んで行ってくれる可能性もあります。その子に合った食材を見つけてあげることが大切です。

3. 人に食べさせてもらいたい

自分で食べるのを嫌がっても、大人がスプーンなどで食べさせてあげると食べてくれる場合は、人に食べさせてもらうことが心地よいと思っている場合があります。食べさせてもらうことに慣れていたり、甘えたいと思っていると、手づかみ食べを嫌がることもあるでしょう。そういった場合は、ある程度時間に余裕を持って、子供が自ら食べたいという意欲が出るのを待ってあげることが必要です。コミュニケーションや遊びを取り入れて、自分で食べたくなるまで様子を見ても良いでしょう。

まとめ

心に余裕を持って少しづつ始めてみよう

手づかみ食べは、食への興味関心を育てるだけでなく、脳や指先の発達にも効果的です。子供それぞれで個人差があり、興味を持ってくれる時期も異なります。食べ物を上手につかめずに、床やテーブルにこぼしてしまうこともあるでしょう。事前に片付けやすいように工夫を行い、心と時間に余裕を持てるタイミングで少しずつ始めていけると良いですね。上手に食べられなくても、手づかみ食べに興味を示さなくても、のんびりと子供の成長を見守ることが大切です。

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