高機能自閉症とは?【自閉スペクトラム症・特徴・支援方法・有名人など】

みなさんは高機能自閉症という言葉を聞いたことがあるでしょうか。言葉自体は聞いたことがあっても、どのような症状や特徴なのか知らないという方も多くいることでしょう。今回は高機能自閉症について説明します。本記事では高機能自閉症がどのような症状であり、どのような特徴を持つのかなどに触れていきます。保育園などで高機能自閉症の子供たちと接する際に支援方法にも触れています。保育士などの子供と接する機会があるという方もぜひこの記事を読んで、高機能自閉症について知ってみてくださいね。

自閉症とは?

対人関係が苦手などの特徴を持つ発達障害の一つ

自閉症は発達障害の一種であり、対人関係が苦手であったり、強いこだわりを持っていたりという特性を持っています。一般的には自閉症は先天的なものであり、病気というよりも持って生まれた特徴と捉えると良いでしょう。病気ではないと言った通り、特徴自体を治療するような薬はなく、治療教育や療育とよばれる一人ひとりの特徴に合わせた教育支援で援助します。この療育によって日常生活においての支障を少なくすることもできるようですね。

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高機能自閉症とは?

自閉症のうち知的障害が見られない状態のこと

上でも自閉症は対人関係が苦手であったり、限定的で強いこだわりを持っていたり、という特徴を持つと述べました。この自閉症の中で知的能力に関して遅れが見られない状態のことを、高機能自閉症と言います。知的発達の遅れの基準に関してですが、いわゆるIQを利用することが多く、基本的にはIQ70以上を基準としているようですね。高機能自閉症は3歳程度で現れるとされており、中枢神経の何かしらの機能がうまく働いていない状態であるとされています。

アスペルガー症候群とは言語能力の発達において異なる

知的発達に遅れが見られないものの、コミュニケーションや対人関係を苦手としている症状を見て、高機能自閉症はアスペルガー症候群とよく混同されます。特徴としても似た部分が多い、高機能自閉症とアスペルガー症候群ですが、言語能力という明確な違いが存在しています。アスペルガー症候群は知的能力に加えて、言語能力に関しても障害がありません。一方で、高機能自閉症は知的発達に遅れはありませんが、言語発達に遅れが見られます。

現在は自閉スペクトラム症・自閉スペクトラム障害と表されることも多い

現在でも高機能自閉症という用語を聞く機会も多くありますが、実は新たに診断名ができています。DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)という米国精神医学会が発行しているもので、世界共通の診断基準として用いられているものがあります。日本語では、「精神疾患の診断・統計マニュアル」と訳されていますね。この「精神疾患の診断・統計マニュアル」の第5版であるDSM-5では、新たに「自閉スペクトラム症」、「自閉スペクトラム障害」という診断名ができました。年齢などのさまざまな要素によって症状が細かく異なる、高機能自閉症やアスペルガー症候群を「自閉スペクトラム症」という診断名にまとめられています。一方で、教育や保育、行政などの領域ではいまだに高機能自閉症などの個別の名前を使用し続けているケースもありますね。

高機能自閉症の特徴とは?

言語能力の遅れが見られる

高機能自閉症の子供の特徴として、言語能力に遅れがあることが挙げられるでしょう。2歳ごろに単語を覚えて発するようになり、3歳ごろに日常的な言葉のやり取りができるようになってくるのが発達段階の目安だと言われています。高機能自閉症の子供はこのような年齢相応の言語能力を取得できていないことが多いようですね。高機能自閉症の子供たちは、言語能力に遅れがある一方で、知的能力に遅れがないので発達に応じて多くの単語を覚えたり使えるようになったりしていきます。成長に合わせて発音やアクセントなどに関しても問題なく会話できるようになっていくこともあるようですね。

限定的な反復行動をとる

興味を持ったものに対しての過度な熱中は高機能自閉症の子供の特徴として挙げられるでしょう。自閉スペクトラム症の特徴として挙げられる限定的な行動の過剰な反復、これは高機能自閉症の子供にも当てはまります。特定の領域に興味を持つと、集中力も高く多くの知識をつけていくことになります。一方で一度集中することで、その他のことに対して関心を全く持たなくなってしまうこともあるでしょう。高機能自閉症の子供は興味や関心だけでなく行動に対してもこだわりを持つことがあります。ですから、自分のルールやルーティンのようなものが崩れるとパニックなどの強い拒否反応を示すこともあります。

対人関係を苦手とする

言語能力に遅れがあることが派生した形ではありますが、対人関係が苦手だという点も高機能自閉症の子供の特徴と言えるでしょう。自分が思った通りに言葉を発することができずにストレスを感じたり、相手が伝えていることを正確に推し量ったりといったことが苦手です。園や学校での生活においても相手の気持ちを想像せずに言葉を発して人を傷つけてしまったり、場の空気が読めなかったりしてしまうでしょう。これらのことから周囲とトラブルを起こしてしまうこともあるようですね。

高機能自閉症の支援方法

幼児期から症状が現れることを意識しよう

幼児期は特に症状が顕著に現れ出す時期です。加えてその時期から保育園や幼稚園に入園して他の子どもたちと接するようになり集団行動を学び始める時期でもありますね。新たな環境に戸惑ったり、ストレスを感じたりすることもあるでしょう。子供たちの周囲にいる保育士や教諭の中であっても高機能自閉症などの病気について知識が十分でない方も多くいます。高機能自閉症の症状や子供の行動に関して細かい理解ができておらず、困惑することも多くなってしまうことでしょう。全てを理解することは難しくても、子供にも高機能自閉症をはじめとした様々な特性があるということを意識すると良いでしょう。

言葉づかいをわかりやすいものにしよう

上でも少し触れましたが、高機能自閉症の子供には言語能力に遅れがあるケースが多いでしょう。ですから周囲にいる大人がかける言葉が難しかったり、わかりにくかったりすると子供たちは混乱してしまうでしょう。特に子供たちに何かを伝える際には、わかりやすい言葉でシンプルに伝えると良いですね。「ここまで伝えたから大丈夫だろう」というように、曖昧な部分を残さないように心がけてみてくださいね。加えて表現を統一することで、より子供たちの理解の助けになることもあります。

より集中しやすい環境づくりをしよう

高機能自閉症の子供たちは集中力という点において問題を抱えているケースも多いと言えるでしょう。ですから環境を子供たちが落ち着けるように整えることが重要となってきます。音が気になりだすとその他の物事に意識を向けられなくなってしまう子供や、視界に多くのものが入ってくることでそちらに意識を引きつけられる子供もいることでしょう。部屋や机を散らかったままにしておかなかったり、静かなスペースを用意したりといった配慮が高機能自閉症の子供たちに有効と言えるでしょう。

伝え方を工夫しよう

高機能自閉症の子供たちは、言語能力や直感力に遅れがあるケースも多いです。ですから子供たちに何かを伝える際に工夫をすると良いでしょう。何かを説明する際に言葉だけで伝えるのではなく、文字やイラスト、写真を用いるなど視覚的に伝えると良いでしょう。スケジュールなども理解できずに不安になってしまう子供たちが多いようなので、視覚的に表して見える場所に貼っておくなどの工夫も有効ですよね。変化に不安を感じやすい子供たちのためにも進んで伝え方に工夫をしてみてください。

保護者との情報共有を大切にしよう

高機能自閉症は保護者など周囲の大人に気付かれないケースも多くあります。知的能力に遅れがないことで、変わったところがある子供だなというように認識されてしまうことも。行動の理由が高機能自閉症であると気付かずに叱ったり、無理を言ってしまったりということもあるでしょう。子供たちの特性に合わせた保育や教育を行うためにも、保護者の方とコミュニケーションを取ることが重要です。保護者の方の知識が十分でないことも大いにあるので、情報共有や理解の支援を行うと良いですね。時には専門家への相談などを進めたほうが良いケースもあるでしょう。

自閉症スペクトラム障害の有名人は?

天才と呼ばれる人が多くいる

高機能自閉症やアスペルガー症候群など自閉症スペクトラム障害を抱えていたとされている有名人が多く存在しています。中には実際に障害を公表している芸能人もいますね。テスラ社など多くの企業のCEOを務めるイーロン・マスクさんも過去にテレビ番組内で自閉症スペクトラム障害を公表しています。イーロン・マスクさんは世界一の富豪とも呼ばれるほどの実業家です。自閉症スペクトラム障害など様々な発達障害を抱えながらも第一線で活躍している方は多くいます。発達障害の方がのびのびと生活し、活躍できるようためにも、周囲の理解や支援は不可欠と言えるでしょう。

アインシュタインも高機能自閉症だったとされている

ドイツ出身の物理学者であるアインシュタインが自閉症スペクトラム障害だったという報告もあります。当時は現在ほど明確に診断等がなされていなかったため、あくまでも推測されている程度のこと。3歳ごろまで言葉を全く話さなかったというエピソードから言語能力の遅れがみられますし、数学以外のことに興味を持たなかったという局所的な興味と類似した話も受け継がれています。そんな自閉症スペクトラム障害の特徴に当てはまる点がいくつもあるアインシュタインは自閉症スペクトラム障害であるとされていますね。そんなアインシュタインは、知らない人はいないほどの天才学者で、相対性理論を提唱するなどの多くの功績を持っています。

まとめ

高機能自閉症の方がのびのびと暮らせる環境づくりをしよう

いかかだったでしょうか。今回の記事では高機能自閉症について取り上げてきました。名前は聞いたことがあっても、細かい症状や特徴については知らなかったという方もいるのではないでしょうか。今回の記事の中では、高機能自閉症の特徴などに加えて、保育士や幼稚園教諭の方向けの子供たちとの接し方についても触れましたね。今回の記事を読んで少しでも理解が進んだり、子供たちにうまく接することができるようになったりしたら良いですね。高機能自閉症の方がストレスや不安を感じず、のびのびと生活できるような環境づくりが重要となってくるでしょう。

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