教員免許更新廃止でどうなる?廃止の理由やメリット、デメリットも紹介!【失効した人・いつから・なぜ・今年更新の人・返金】

皆さんは教員免許についての制度が変わったことを知っていますか?国家資格の1つである教員免許には、もともと更新制度がありました。その更新制度が令和4年から廃止になったのです。ここでは、今まであった教員免許更新制度がなぜ廃止になったのか、廃止のメリットやデメリットと共に紹介していきます。現在教員免許を持っている人は、ぜひこの記事を読んで理解を深めてみてください。これから教員免許を取得しようとしている人にとってもためになる記事になっています。

教員免許更新制度とは

教員の能力を上げるための制度

そもそも、教員免許の更新制度はなんのためにあったのでしょうか。教員免許の更新制度は、もともと教員の能力を上げるための制度としてありました。教員といっても様々な種類がありますが、正しい知識を持って生徒や児童を教えるという役割は同じですよね。教える立場である教員の能力を維持するための制度としてできたのが教員免許更新制度です。これによって、免許取得からある程度時間がたった人でも、再度能力を測る機会を得ることができたということですね。

教員免許を持つ人が対象者

教員免許更新制度の適用対象者は、教員免許を持つ人です。更新制度が適用されていたときに教員免許を持っていた人は、更新を行う必要があったということですね。これは、その時点で教員として働いていたかどうかは関係ないということです。実際に教職に就いていたか否かによらず、免許継続のためには更新の必要がありました。注意しておきたいのは、一部免除の対象になる場合もあったということです。文部科学大臣や教育委員会から優秀だと表彰された人や、校長や副校長の立場にある人は更新が免除されていました。

講習を受けて免許を更新する

それでは、教員免許を更新するためにはどのようなことを行っていたのでしょうか。教員免許更新のためには、2年間のうちに30時間以上の講習を受ける必要がありました。30時間というと、決して少なくない時間ですよね。受講申し込みなども自分自身で行う仕組みだったので、有効期限の確認なども個人の責任に任されていたということですね。講習の形式としては、対面式と通信式の2つがあり、自分で選ぶことができましたよ。

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対象となる教員免許

幼稚園・小学校・中学校・高校の教員免許が対象

教員免許更新制度の対象者は、教員免許を持つ人全てだと説明しました。ここで対象となる教員免許は、幼稚園から高校までの教員免許です。小学校や中学校だけでなく、幼稚園の教員免許も含まれる点に注意しておきましょう。幼稚園の教員免許を持っている人の中には、幼稚園ではなく保育園で働いている人もいますよね。そのような人々は、更新義務はありませんが更新対象者になります。保育園は教員免許がなくても働けるため、絶対に更新をおこなわなければいけないというわけではありません。一方で、更新のための講習を受けないと免許は失効してしまいます。更新をしなかったために、幼稚園で働きたいと思ったときに教員免許が失効していた、という事態が起こり得たということですね。

教員免許更新はなぜ廃止されるのか

更新手続きの負担が大きかったため

それでは、教員免許の更新制度はなぜ廃止されたのでしょうか。理由の1つ目としては、更新制度の負担が大きかったということが挙げられます。先程説明した通り、教員免許を更新するためには2年間のうちに30時間以上の講習を受ける必要がありました。その講習を受けるためには約3万円の講習料がかかります。そして、講習を受けるための費用や時間は教員免許を持つ人々の自己負担だったのです。日々の業務に追われている現役の教員にとっては、更新制度を負担と感じることも多かったのではないでしょうか。それらの金銭的かつ時間的な負担を軽減するために、更新制度が廃止されたと言えるでしょう。

講習が実践的な内容でなかったため

廃止の理由としては、講習の内容も挙げられるでしょう。教員免許更新のための講習を受けた人々からは、講習の内容についての不満も出ていました。実践的な内容ではないために必要性を感じられず、つまらないと思う人も多かったようです。確かに、教員としての自信を持って指導にあたるためには、講習などの座学だけではわからないことも沢山あるでしょう。教員免許を持っている人それぞれで、足りない知識や経験も異なります。実際に指導現場に立つことでしか得られない学びも多いはずですよね。そのような状況の中で、多くの時間と費用に見合うだけの講習内容であると考える人が少なかったのではないでしょうか。

教員免許廃止のメリット

教員の負担が減る

教員免許更新廃止のメリットとしては、教員の負担が減るということが考えられます。更新制度が適用されていたときは、教員免許を更新するためには2年間で30時間の講習時間と講習料3万円をすべて自己負担する必要がありました。日々の仕事に追われる現役教員が、これらの負担をしなくてよくなったのは大きなメリットです。今まで講習のために充てていた時間やお金を、他の勉強や余暇時間に使うことができますよね

教員の交代が減る

教員免許更新制が廃止されたことで、教員の交代が減るというメリットもあります。教員免許の更新制度があったときは、更新ができなかった教員がいるために途中で担当教員が代わるということが起こり得ました。教員免許の更新については、有効期限を自分で確認して講習申し込みを行う必要があったため、中には更新をつい忘れてしまうという人もいたことでしょう。更新制度が廃止されたことで、このようなうっかり更新を忘れて免許が失効するということが起きなくなりました。

教員不足が改善される

教員免許の更新が廃止されたことで、教員不足の解消にもつながると考えられます。今まで説明してきた通り、教員免許の更新にはある程度の費用と時間が必要でした。現役で教師として働いている人にとっては、教員免許の更新は必須ですよね。一方で、教員免許は持っているけど教員としての職には就いていないという人も一定数います。そのような人々にとって、多くの時間とお金をかけて免許を更新するのに抵抗がある人もいたでしょう。今後は更新の必要がなくなるため、免許の有効期限切れが無くなり、教員として働ける人が増えると考えられるでしょう。日本は教員不足の問題も深刻なので、大きなメリットだと言えますね。

教員免許廃止のデメリット

教員の質が下がる可能性がある

教員免許の廃止には、デメリットも考えられます。1つ考えられるのが、教員の質が下がる可能性があるということです。今までは更新制度があったため、定期的に教員としての知識や能力を確かめる機会がありました。教員として働いている人はもちろん、教員免許を持っていて教職には就いていない人も、指導に必要な技術や知識を再度身に着ける機会があったということです。一方で、更新制度の廃止によって、今後はそのような機会が無くなります。従って、教員としての知識や技術を自ら身に着けていく必要があるということです。今で義務として設けられていた学習の機会が無くなることで、教員全体の質が下がることに懸念を抱く人もいるでしょう。

免許取得から時間が空いた先生でも復職しやすくなる

免許取得から時間が経った先生でも復職しやすくなる、という点もデメリットとして挙げられるでしょう。これは、教員不足解消の面ではメリットとも言えるかもしれません。しかし、免許取得から時間が経っていると、取得当時の技術や知識が抜けてしまっている場合も考えられますよね。取得時と復職時で、教育現場も変化していることもあるでしょう。今までは、更新制度によって、教員免許を持つ全ての人が最新の知識や技術を身に着ける機会がありました。その機会がなくなったことによって、取得時から時間が経った先生が、新しく必要な技術や知識を身に着けずに教職に就くことが考えられます

免許制度についての混乱が起こる可能性がある

教員免許の更新制度が廃止されたことで、教員免許制度における混乱が起こる可能性があります。教員免許更新制度は、平成21年度から実施されてきた制度です。長く施行されてきた制度であるために、教員免許を持つ人々にとっては馴染みのある制度とも言えますよね。一方、この制度が廃止になったことで、戸惑う人も少なくないでしょう。廃止について知らない人も出てくるかもしれません。また、有効期限切れの教員免許や期限切れ間近の免許を持っている人はどうしたら良いのか混乱してしまいますよね。このように、従来長く行われてきた制度が廃止されることで現場に混乱が起こることが考えられます。

教員免許更新の廃止はいつから行われるのか

施行は令和4年の7月から

教員免許の更新制度の廃止は、令和4年7月から施行されます。令和4年の5月に、改正教育職員免許法が成立しました。そこから約2か月後の7月から教員免許更新制度が廃止されることになります。これに伴って、令和4年までに発効された教員免許の取り扱いが異なってきますよ。令和4年付近に教員免許を取得した人や、有効期限が令和4年に定められていた人などは特に注意が必要です。以下で詳しく説明していくので、参考にしてみてください。

現在までに発効されている免許証の取り扱いは?

更新期限が令和4年7月以降だった場合

更新期限が令和4年7月以降の教員免許を持っている場合は、特に手続きなどは必要ありません。令和4年7月をもって、保有している免許は自動的に有効期限がない免許になります。教員免許の更新制度が取り入れられたのは平成21年度だと説明しましたよね。それ以降に発行された教員免許には、免許状に有効期限が記載されています。また、教員免許の更新を行ったことがある人であれば更新攻守修了確認証明書にも期限が記載されているでしょう。厚生労働省のホームページでも自身の教員免許の有効期限は確認することができますよ。

令和4年7月より前に失効した免許を持っている場合

令和4年7月より前に失効した教員免許を持っている場合は、都道府県の教育委員会に再授与申請の手続きを行う必要があります。令和4年7月より前に更新期限が定められていたが更新講習を受けなかった人がこのケースに当てはまりますね。今までは、一度失効した免許を再授与を受けるためには、更新と同じく30時間の講習を受けるようになりました。令和4年7月以降の再授与には講習を受講する必要はありません。失効日に関わらず、手続きに従って申請することで再授与を受けることができますよ。

休眠免許を持っている場合

休眠免許を持っている場合は、令和4年7月以降に自動的に有効期限のない教員免許に移り代わります。休眠免許というのは、旧免許状を持っていて更新期限の際に教員として働いていなかったケースです。教員免許更新制度は平成21年度に導入されたと説明しました。そこで、平成21年度より前に発行された教員免許を旧免許状、平成21年度以降に発行された教員免許を新免許状と呼んでいます。旧免許状保有者で、かつ現職が教員でない場合は、免許が失効ではなく休眠状態になるとされていたのです。令和4年7月より前に失効していた場合と扱いが異なるので注意してください。

今後の教員免許制度はどうなるのか

新しい研修制度が導入される

それでは、今後の教員免許制度はどうなるのでしょうか。教員免許の更新制度が廃止されたことによって、様々なメリットとデメリットが生じると考えられます。今後は、それらのデメリットをカバーする新しい研修制度が導入されるとされていますよ。更新制度の導入や廃止を決定した厚生労働省では、今回の教員免許更新廃止においては解消という言葉を用いています。これは、教員免許更新制度を完全に廃止するというよりも、一度制度を解消して今後新たに代わりとなる制度を作っていくという考えが読み取れるでしょう。教員の質を維持すると同時に、教育現場の負担を減らせるような制度ができると良いですね。

まとめ

教員免許更新廃止についての理解を深めよう

ここまで、教員免許の更新制度廃止について説明してきましたがいかがだったでしょうか。教員免許の更新制度が廃止されたことで、更新費用や講習時間などの負担が減ることになります。一方で、指導にあたって必要な知識や技術を得る機会が限られてしまったり、保有している教員免許についての取り扱いに混乱が生じたりする可能性もあります。まずは、自分の教員免許の有効期限が令和4年7月より前か後かを確認しましょう。今後は、教育現場の負担を減らしつつ教員の質を向上できるような制度が運用されると良いですね。

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