フロッタージュを保育園で行うには?【指導案・やり方・ねらい・落ち葉】

みなさんはフロッタージュを知っていますか?フロッタージュとは、凹凸のある素材を活用した「擦り出し」の手法で、小学校の図画工作などにも取り入れられています。素材の模様が完成作品に大きく影響するため、素材選びの段階から重要になる、沢山の学びが期待できる工作活動です。保育園でも、3~5歳児を対象に行う場合が多く、作業の前に保育士さんは指導案を作成しなければなりませんよね。今回の記事ではそんな保育士さん向けに、指導案に役立つフロッタージュの情報を解説しています。ぜひ最後までご覧ください!

保育園でフロッタージュを行うねらいとは?

模様が浮かび上がる楽しさを味わい想像力を養う

3~5歳頃になると、お絵かきを楽しんで行う子供が増えてきます。通常のお絵かきでは子供達が一から考えたものを描き出しますよね。一方でフロッタージュは、素材の凹凸部分に重ねた紙を色鉛筆等で擦り、模様を写し取った作品を作るという点で大きな違いがあります。真っ白な紙の上を擦るだけで自然と模様が浮かび上がってくるという新鮮な体験に、子供達はきっと大きな興味をもつことでしょう。どの素材からどんな模様が浮かび上がるのか、常に考えながら手を動かすことで、子供達の想像力を大きく養うことができそうですね!

身近な素材の良さや模様の特徴に気づく

フロッタージュを通して、子供の意識を物体の模様へ向けさせることで、身近な物の模様の特徴や規則性などの発見につなげることができます。子供達は、普段何気なく使っていた物や、用途は一つだけだと思い込んでいた物の可能性の広がりを実感することができそうですね。離れた土地や珍しい物を素材として活用するのも良いですが、日常的に使用している物やすぐ近くに置いてある物を活用することがより効果的ですよ。

身の回りの物や自然をよく観察する

家や保育園の中にある文房具やおもちゃのような身近な物を素材として活用することは、フロッタージュを行ううえで非常に効果的です。また、葉っぱや石などの自然の物を活用することもおすすめですよ。素材収集における観察を通して、子供に自然が生み出す模様の面白さに気付かせることや、自然に対する親しみを覚えさせることができるでしょう。凹凸がしっかりしていても、少し触れるだけで簡単に壊れてしまう脆い自然物も存在するので、子供が物の扱い方を工夫する良い機会にもなりそうですね!

自由に表現することを楽しみながら表現力を養う

フロッタージュでは写し取った模様を活かして絵を描いたり、切り貼りをして作品を作ったりすることができます。浮かび上がってきた模様の形が何に見えるか、何を加えれば思い通り再現できるかなど、子供達は試行錯誤しながら素材や作品と向き合っていくでしょう。あまり決まったテーマは与えずに、子供達の自由な発想を大切にしてあげると、より思考力や表現力を養うことができそうですね!先生方は子供の着眼点や表現の仕方などの良さを沢山見つけて、ぜひ積極的に声をかけてあげてくださいね。

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保育園でフロッタージュを行う際のポイント

薄めの用紙を用意する

画用紙のようにしっかりと厚みがある紙では、素材の凹凸を上手く擦り出せない可能性があります。フロッタージュで素材の模様を綺麗に擦り出したいときには、模造紙やコピー用紙といった薄い用紙を用意するようにしましょう。用紙を薄くすることで、軽い力で擦っても模様が綺麗に浮かび上がるはずです。反対に和紙のような薄すぎる用紙を用いても、凹凸に引っかかって破けやすくなってしまうので気をつけてくださいね。

しっかりと凹凸のある素材を選ぶ

薄い用紙を用いても、模様のないものや真っ平らなものが素材では、形を綺麗に写し取ることができません。素材として用いるものは、なるべく凹凸がしっかりとあるものを選ぶようにしましょう。また、用いる素材は同じでも、種類によって模様の形状や凹凸の有無が全く異なる場合もあります。用いる素材を決める段階において、一度簡単に擦り出しの作業を試してから判断することをおすすめします!

ペンは豊富な種類や色を揃える

芯の黒い鉛筆だけでなく、カラフルな色鉛筆やペンなどを多く用意することで、子供達の発想や表現の幅をより広げることができます。例えば、同じ葉っぱの葉脈を擦り出した作品であっても、茶色で塗れば落ち葉に、青色で塗れば魚に見せることができたりします。色や形を工夫すれば、同じ模様も全く別のものに見せられるという楽しさを子供達に体験させることができますね!また、上記の他にもクレヨンなどを用意することで、違った質感や雰囲気を作り出すこともできそうですよ!

素材収集のための時間を十分に設ける

フロッタージュは、作品に必要な素材を選ぶところから子供達が参加できるという点が大きな特徴の一つです。素材収集を行う段階で、普段と違った視点から身近なものや自然物をじっくりと観察することで、沢山の発見や学びを得ることができます。子供達は、素材の凹凸の有無や擦り出したら浮かび上がりそうな模様、またその活用方法など、様々なことを考えながら素材収集に取り組むでしょう。どの子も焦らずじっくりと素材の観察・選択ができるように、余裕が持てるような時間の設定を心掛けましょう。

素材や使用する道具を変えて難易度を調整する

色鉛筆以外にもクレヨンやクレパス、クーピーなど、使用する画材によって制作の難易度は変化します。色鉛筆の場合、先端はあまり鋭くせずに芯を長めに出すことで、鉛筆を倒した状態での擦り出しの作業が行いやすくなりますよ。また手を汚すことなく、擦り出しの作業を簡単に行えるようにしたい場合には、ポンキーペンシルの使用もおすすめです!ペン全体が芯でできているため、通常の色鉛筆よりも塗りやすく、年齢の低い子供の作業などに向いています。通常の色鉛筆を使用する場合でも、色の明るい方が芯が柔らかく塗りやすいなどの違いがあるので、画材等を変えて難易度を調整してみてくださいね。

保育園でフロッタージュを行う際におすすめの年齢は?

3~5歳くらいの幼児

素材から模様を擦り出す作業では、素材や画材に応じて力を加減することが重要になります。また、擦り出しが完了するまで少し時間を要するため、長時間集中することの難しい年齢には難しい題材といえるでしょう。フロッタージュは、お絵かきを楽しみ、適切な力加減の判断がある程度できるようになる3~5歳くらいの幼児に行うのがおすすめです!乳児クラスで作業を行いたい場合には、前述したように素材や画材によって難易度を下げるようにしましょう。

フロッタージュの作り方

準備物と手順

【準備物】

・凹凸のある素材
・色鉛筆など色が塗れるもの
・コピー用紙

色を塗る道具は色鉛筆のみでも十分ですが、クレヨンやクーピーなど数種類用意すれば、違いを感じたり、選択の幅を広げたりできるのでおすすめです。

【手順】

①素材の凹凸部分の上に紙を乗せる
②色鉛筆等で上から擦る

②の擦り出しの作業へ入る前に、素材が子供の希望通りの適切な位置にあるのか、素材の配置を先生が確認してあげると良いでしょう。また、素材以外の凹凸部分にも反応してしまうため、作業を行う机などに凹凸がないかどうか事前に先生が確かめるようにしましょう。作業台に凹凸がある場合でも、平らなマットなどを敷いた上で作業を行うことで対応することができますよ。

フロッタージュにおすすめの素材【6選】

落ち葉

フロッタージュで用いる素材の定番です。みんなで一緒に園庭や近くの公園などへ行き、素材収集を子供自身が行うことで様々な力が身につけられますよ。葉っぱは表よりも裏面の方が葉脈の凹凸がくっきりとしているので、裏面を使って作業を行えば、リアルな模様を簡単に写し出すことができます。イチョウのように形の異なる葉っぱや、大小さまざまな葉っぱを組み合わせて、オリジナルの葉っぱを作り出してみるのも面白いですね。また、他にも石や木の皮、松ぼっくりなどの自然物も素材として活用できますよ!

断面の見える野菜

野菜は種類によって断面の違いを楽しむことができます。水分が多く、断面の柔らかいトマトのような野菜は素材に向きません。一方で、レンコンやピーマンなど素材に適している野菜も数多くあり、子供の選択の幅が広くなっていますよ。キャベツなどの葉菜類、大根などの根菜類のように、断面の硬さや質感の異なる野菜をじっくり観察・比較しながら作業を行っていきましょう!長時間を要するデッサンとは違い、模様を擦り出す作業は短時間で行えるので、野菜が腐る心配をする必要がなく扱いやすいですね。

凹凸のある布

レースや麻の布など、模様や凹凸のある布の素材です。レースは模様の種類が豊富なので、可愛いものや綺麗なもの、ゴージャスなものなどの中から子供たちが自由に選ぶことができます。また、テーブルクロスなども凹凸があれば素材として活用できますよ。百円ショップ等で手軽に購入することができるので、大人数での作業にもおすすめの素材です!お気に入りの模様の素材を見つけて、色を変えて塗って遊んでみてくださいね!

おはじき

おはじきの表面には魚の鱗のようなデコボコ模様がついているため、素材としての活用に向いています。またおはじきの他にも、レゴブロックなどの小さなおもちゃや硬貨などを活用するのもおすすめです。しっかりめの凹凸や硬さがある素材の場合、色鉛筆を押しつけすぎると紙が破けてしまう可能性があるので注意しましょう。加えて、乳児などの小さい子供のクラスで扱う場合には、小さな素材を誤飲してしまわないように複数人の先生方で監視を行いましょう。

凹凸のある壁紙や床の木目

壁紙には、塗り壁風やレンガ調・タイル調などのおしゃれな凹凸のついた種類が存在します。規則性のある模様やランダムな模様など、模様やテイストの違いを楽しみながらフロッタージュの素材として積極的に活用していきましょう!また、壁に限らず床の模様も、凹凸があれば素材として活用ができます。木目調のデザインは木らしい模様がはっきりと写るので、擦り出す作業がとても楽しそうですね。

バドミントンの羽根

バドミントンの羽根の素材です。バドミントンの羽根は立体感があるため、そのままの状態で素材として活用するのはおすすめしません。子供でも扱いやすい素材の形状にするには、先生方が事前にハサミを用いて、羽根部分とコルク部分に分離させて用意するようにしましょう。羽根部分は細部までしっかりと作り込まれているものがほとんどなので、広げて上から擦ることで豪華な扇子のようなものが出現するはずです。ざるなどの素材を活用しても細かい網目模様が浮かび上がって面白いですよ!

【発展】保育園でのフロッタージュ

切り取ったパーツをいろんなものに貼り付ける

フロッタージュで模様を擦り出した作品をハサミで切り取り、それぞれのパーツを紙コップに貼り付けることで簡単にペン立てを作ることができます。例えば、落ち葉を写したパーツを貼ればおしゃれなペン立てに、ボタンやレースを写したパーツを貼れば可愛いペン立てになるはずです。ペン立て以外にも、色や使用画材、素材の種類や配置の仕方などを工夫して、パーツを活かした自分だけのアレンジ作品を作りましょう。

模様の特徴を活かした絵を描く

フロッタージュによって浮かび上がった模様は、さまざまなものに見えてくるはずです。模様を擦り出して終わりではなく、ぜひ模様を活かして絵画作品の制作などにつなげていきましょう。絵画にすることで模様の特徴の捉え方の違いが視覚的にわかりやすくなるため、作品完成後はみんなで鑑賞しあうことも大切です。子供たちは大人が気が付かなかったことにも注目しているかもしれません。気になることなどがあったら、ぜひ先生から子供へ積極的に声をかけましょう

まとめ

素材の良さを活かしたフロッタージュ作品を作ろう

いかがでしたか?フロッタージュを取り入れた工作を行ううえで「素材」はかなり重要な要素です。素材のイメージ、発見、選択、活用など、フロッタージュは素材を中心に作業が進行するといっても過言ではありません。先生方は子供たちが素材にしっかりと向き合うことができるように、態勢を整えてサポートするようにしましょう。画材の色や種類によって扱いやすさが変わる部分はありますが、あえて子供に選択をさせ、自身の失敗や成功の体験を通して気が付かせても良いでしょう。子供の発達段階などをふまえて臨機応変にやり方を工夫していきましょう!

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