児童指導員任用資格とは?任用資格の種類や要件について解説【種類・申請方法・仕事内容・勤務先】

発達障害を持っていたり、支援を必要としたりする子供や家庭のサポートを行う児童指導員。支援を必要とする子供は増加傾向にあり、児童指導員の需要が高まってきています。児童指導員になる上で必要になる児童指導員任用資格の具体的な種類や、内容について詳しく知りたいという方も多いでしょう。そこで今回は、児童指導員任用資格の種類や資格の申請方法、仕事内容について解説します。主な勤務先も紹介しているので是非参考にしてみてください。

児童指導員任用資格とは

児童指導員として働くための資格

児童指導員任用資格とは、児童指導員として働くために必要な資格です。任用資格とは一定の条件を満たすことで取得できる資格で、試験を受けたり研修を受講したりする必要はありません。

児童指導員任用資格の条件

・大学もしくは大学院で指定の学部・学科を卒業している(社会学や教育学、心理学など)

・指定の資格を取得している(社会福祉士や精神保健福祉士など)

・一定期間の実務経験がある

一般的に児童指導員任用資格はこれらのいずれかの条件を満たすことで取得できます。

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児童指導員任用資格の種類

1. 社会福祉士の資格

社会福祉士の資格を保有していると児童指導員任用資格を取得できます。社会福祉士とは、身体的・精神的に障害を持たれている方の相談に乗り、必要とするサービスを提供する資格です。福祉に関わる全ての相談に対応するため、福祉に関する幅広い知識を身につけることができるでしょう。この資格を取得するためには、学歴や実務経験など受験資格を満たしている必要があるため事前に確認しておく必要があります。子供だけでなく、あらゆる年代の障害者支援に携わりたい方におすすめの資格です。

2. 精神保健福祉士の資格

精神保健福祉士も社会福祉士の資格と同様に、資格取得と同時に児童指導員任用資格を取得することができます。精神保健福祉士とは、心に病気や障害を抱えている人が社会復帰や日常生活を過ごせるように様々な支援を行う資格です。この資格の特徴は、精神障害者やその家族を主な対象として支援する仕事だということです。福祉の中でも、精神保健に興味がある人は取得を検討してみてくださいね。

3. 教員免許状の保有

教員免許を保有している場合は、免許状の写しを証明書類として提出することで児童指導員任用資格を取得することができます。

・幼稚園

・小学校

・中学校

・義務教育校

・高等学校

・中等教育学校

この全ての教員免許が、児童指導員任用資格に定められています。2019年から幼稚園教論の免許も含まれるようになりましたが、保育士免許は対象外となっているため注意が必要です。

4. 大学や大学院で専門課程を修了

大学や大学院において、専門課程を修了してると実務経験なしで児童指導員任用資格を得られます。

4年制大学:社会福祉学・心理学・教育学・社会学を専修する学科を卒業

大学院:社会福祉学・心理学・教育学・社会学の修士号または博士号を授与されている

海外の大学:社会福祉学・心理学・教育学もしくは社会学を専修する学科において課程を修めた人

短期大学を卒業した人は、大学卒業者に含まれず任用資格対象外となるので注意しましょう。児童指導員任用資格を取得するためには、卒業証明書や履修科目証明書を提出必要があるため事前に確認しておく必要があります。

5. 児童福祉施設での実務経験

児童指導員任用資格は、大学を卒業や資格を保有していなくても、実務経験を積むことで取得できる資格です。

・高校または中等教育学校を卒業後、2年以上児童福祉事業を経験している

・児童福祉事業の実務経験が3年以上あり、厚生労働省または都道府県知事から認定を受けている

いずれかに該当する実務経験の期間を満たすことで、児童指導員任用資格を取得できます。複数の事業を通算して実務経験を満たしている場合でも、資格の対象となりますがそれぞれの事業所から実務経験証明書を発行してもらう必要があるので注意しましょう。

児童指導員任用資格の申請方法

任用資格は申請の必要がない

児童指導員という資格がないため、児童指導員の任用資格は申請する必要がありません。しかし、児童指導員として子供たちをサポートする仕事に就くためには、任用資格が必要になります。任用資格では、資格取得に必要な試験はありません。そのため、卒業証明書や成績証明書などの基準を満たし、条件に該当していれば資格を認定されます。また、児童指導員任用資格は資格取得だけでなく、実際に働くことで児童指導員と名乗ることができます。

各地域の証明書発行方法

実務経験証明書の申請(東京都)

実務経験から任用資格を取得するためには、実務経験証明書の発行が必要になります。実務経験証明書の申請に関しては、各地域や自治体によって異なるため事前に確認しておきましょう。東京都の福祉保健局における実務経験証明書のフォーマットに関する具体的な規定はありません。東京都内における児童福祉施設へ就職を考えている場合は、就職先の担当部署に問い合わせて確認する必要があります。

実務経験証明書の申請(大阪)

大阪府における児童指導員の実務経験証明書は、フォーマットが指定されています。大阪府の公式サイトから指定されている書式をダウンロードすることができます。ただし、公式サイトでダウンロードできるのは大阪府所管内の障害児童支援事業専門の書式となるため、注意しましょう。大阪府内の施設で就職を希望する場合は、実務経験をつんだ事業所に証明書を提出し、記入してもらう必要があります。

児童指導員の仕事内容

子供たちの生活指導

児童指導員のメインの仕事は、支援する子供たちの生活指導です。遊びや学習などのさまざまな場面において、子供たちが日常生活を円滑に進めるように支援していきます。起床や就寝、食事の食べ方に加えて勉強の手伝いなども行うことが多いでしょう。子供の健康的な成長を支えるために、発達や成長段階に応じて適切な指導を行う重要な役割となります。子供の自尊心や主体性を尊重しながら、コミュニケーションを通して支援していくことが大切です。

個別支援

子供たち1人1人に向き合い、短期・長期の目標に向けて個別支援を進めていきます。例えば、学習習慣の定着や、感情・行動のコントロールする力を養うことです。障害のある子どもには特に、それぞれの障害に応じた支援を行い、持っている感覚や認知機能の発達を促すことが大切でしょう。児童養護施設では、集団生活においても個人の空間や持ち物を確保する個別化の取り組みがされており、施設を出た後のアフターケアにも重要になります。

集団生活への適応に向けた支援

日々の関わりを通じて集団生活のルールを指導し、社会性を養う支援を行います。年齢や環境、特性が異なる子との関わりを通じて、協調性を育んだり、人間関係を構築する力を養ったりするきっかけづくりとなるでしょう。また、地域との交流を取り入れることで社会への関わりを促進できます。趣味や特技を活かしたグループ分けや、障害の特性を考慮した活動プログラムを構成することが大切です。

保護者や子供との面談

保護者や子供との面談も、児童指導員の仕事の一つです。保護者とは、子供に関する相談や定期的な話し合いを行い、面談を通して手助けすることが大切です。子供と接するだけでなく、保護者とも積極的にコミュニケーションをとることで信頼を得ることも重要ですね。子供とは、日常的な悩みや学校に関する困りごと、進路相談などを面談を通して解消していきます。面談の中では、子供の意思を汲み取り、より希望に沿ったアドバイスを行なっていくことが大切です。小さな子供を対象とするときは、子供の思いを大切にし、言葉や体の表現で伝えたいことを引き出す工夫を行いましょう。

事務作業や送迎など

子供たちが施設にいる間は、子供たちのそばでサポートを行いますが、子供たちが学校に行っている時間は、事務作業を行います。具体的な内容としては、子供たちが過ごしている日々の様子を記録することや、子供たちの支援・指導方法を考え、計画を立てることが多いでしょう。また、通所系の施設では子供の送迎を行うこともあります。特に、放課後等デイサービスの場合、学校から事業所、事業所から自宅までの送迎を行うこともあります。

児童指導員の主な勤務先

児童養護施設

児童指導員が主に活躍できる場の一つは、児童養護施設です。児童養護施設とは、事故や災害、親の離婚に加えて虐待など、環境的理由で養護が必要な子供が入居する施設です。2歳から18歳までの年齢制限が設けられており、できるだけ家庭に近い環境で生活習慣や学習指導を行なっていきます。児童養護施設では、施設で子供と共同生活を送りながら成長に合わせた支援を行うため、信頼関係を基礎とした支援が重要になるでしょう。子供が心身共に健やかに発達できることと自立を目標として、接することが大切です。

児童発達支援施設

児童発達支援施設は、障害を持った小学校入学前の児童が通所する施設です。福祉サービスをメインとする福祉型と、治療を含む医療型の2種類があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。それぞれの年齢に応じた遊びを通して”できる”を増やし、表現力を養います。適切な指導を行うことで、生活に必要な基礎的動作や、集団生活への適応能力を身につけることを目的とします。重い障害がある子供に対しては、満18歳までを対象として居宅訪問型児童発達支援を行います。

障害児入所施設

障害児入所施設では、身体的障害や知的障害、精神的障害のある子供を対象に、支援を行う入所施設です。子供の日常生活における指導や知識技能を身につけることを目的としています。障害児入所施設も児童発達支援施設と同様、医療型と福祉型の2種類があるため、子供に合った対応を行うことができるでしょう。0歳から18歳が対象ですが、継続的支援が必要と判断された場合は、満20歳まで利用期間の延長することもあります。

まとめ

任用資格を確認し児童指導員として活躍しよう

児童指導員任用資格は、特別な資格がなくても実務経験を積むことで取得することができます。また、福祉や教育系の4年生大学を卒業したことや、特定の資格を保有している場合など、様々なルートで取得できるため、自分に合った方法を見つけやすいですね。児童指導員は、子供たちや保護者を対象に、子供の成長と自立を支援・サポートしていきます。児童指導員任用資格を取得し、児童指導員として子供や保護者の心情に寄り添った対応を行なっていきましょう。

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