保育園で魅力的な作品展を行うには?ねらいやアイデアをご紹介【展示方法・イラスト・共同制作】

保護者の方を保育園へ招いて開催する作品展は、園児にとっても保護者にとっても貴重な機会となる保育園の一大イベント。しかし、年やクラスによって毎回異なるテーマを考えたり、作品制作に向けた材料収集を行ったりと、開催に向けて行うべき準備はたくさんあります。今回はそんな保育士さんの作業の負担を減らしつつ、楽しい作品展を開催できるように、アイデアやポイントをご紹介していきます。指導案を書く際に役立つ情報も載せているので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

保育園で行う作品展とは?

子供の作品制作の成果を保護者へ発表する場

子ども達は、日頃から保育園でたくさんの制作活動を行い、新たな経験や発見などを通して成長しています。新たな道具の使い方を習得したり、素材を丁寧に扱えるようになったりと、たった1年間で子どもの様子や作品の完成度は大きく変わりますよね。そんな子どもの成長の様子や制作の成果を、完成作品を通して保護者の方へ伝えられる場が作品展です。年度の後半である11月や2月頃に開催される場合が多い、子どもの1年の集大成を見せられる保育園の年間行事となっています。また保護者の方にとっては、普段なかなか見られない他の園児の作品なども見て、さまざまな個性に触れることのできる貴重な場でもあるでしょう!

設定したテーマを基に作品を制作し展示する

保育園の作品展では、はじめにテーマを設定し、園児の発達段階を考慮しながらテーマに沿って展示内容を決めたうえで制作に移っていきます。テーマは、園全体で1つのテーマを設定する場合と、クラスごとに設定する場合があり、毎年、先生方で話し合って決めることが多いようですよ。絵本や童話の世界、季節や自然に関するものなどがテーマに選ばれることが多いですが、年中以上のクラスでは園児同士で話し合って決めることもあるようです。また制作は、個人作品の制作だけでなく、みんなで協力して1つの作品を作り上げる共同制作も併せて行う場合が多いようです。園児の意見も取り入れながら、テーマや方向性を絞っていけると良いでしょう!

保育士くらぶ

【保育園】作品展の指導案 書き方の例

ねらい

保育園で行う作品展や、それに向けた取り組みの主なねらいは、以下のようになっています。

・作品の制作を通して、創造力表現力を養う。

・自分でイメージしたものを実際に形にしていく楽しさを味わう。

・共同制作を行う中で、みんなで協力する楽しさや、共同で作り上げる喜びを感じる。

・目標に向かって作品を制作し、日々の成果を発表することで達成感を感じる。

作品を制作することで身につく力得られる喜びなどをねらいとして記入するとよいでしょう。また共同制作は、多くの園児が通う保育園だからこそ行えることなので、その内容も含めるのがおすすめですよ!

活動内容

活動内容は、前年の内容や書き方を参考にするのがおすすめです。以下に例を掲載するので、ぜひ参考にしてみてください。

・子ども同士の話し合い(クラス別のテーマ、共同制作の内容などを決定する)

・個人作品の制作

・クラス別の共同制作

・作品展示会場の設営や装飾づくり

活動内容の項目は、主にこのような形になる場合が多いでしょう。テーマの設定や制作は、誰が行うものなのかによって記述の仕方が変わるので、よく確認してくださいね。

準備項目

作品展を開催するには、さまざまな準備を行い、環境を整えていく必要があります。具体的に必要な準備の一例は、以下の通りになります。

・作品展のテーマを設定する

・テーマについて話し合う場を設ける

・テーマを体感できるような仕掛けを用意する

・作品展を開催する会場、会場内の導線を確保する

・作品制作のために必要な材料を用意する

・会場の設営、完成作品の展示をする

・保護者に向けた案内を作成する

予想される子どもの姿

主に、展示に向けた制作を行う段階における園児の行動について、書かれる項目です。園児が直面するであろう悩みや困りごとなどを具体的に予想して、焦らず対処できるようにしていきましょう。

・自分なりに工夫しながら制作を楽しんで行っている

・テーマを基に具体的に何を作るか迷っている

・制作に必要な道具を使いこなせずに困っている

・話し合いで意見がぶつかり、共同制作の進行が滞っている

・皆で話し合い、協力しながら楽しく共同制作を進めている

保育士の対応

1つ前の項目で予想したような子どもの姿に、保育士としてどのような対応をとるのが適切であるのか、具体的に考えて記入しておきましょう。

・テーマに基づいてどんな作品を作るか悩んでいる子どもに、アイデア出しの補助を行う

・制作に必要なハサミなどの道具の使い方をフォローする

・子どもの頑張っている部分に気がつき、積極的に褒める

・子どものモチベーションを保つために前向きな声がけを行う

・子どもの主体的に取り組もうとする気持ちを尊重する

・話し合いの仲介に入り、子ども同士の意見の衝突を減らす

【乳児編】作品展のテーマとアイデア

【0歳児】宇宙をテーマにしたフィンガーペイント

細かい作業を行うことが難しい乳児には、フィンガーペイントでの制作がおすすめです。フィンガーペイントとは、筆の代わりに手指や足を使って絵の具で色を塗る表現技法です。袋を用いて手を汚さずに作業するものと、直接手で絵の具に触れてダイナミックに制作するものがありますよ。またテーマに関しては、多くの色の混ざりや指先で描いた星のような点描から、宇宙で設定するのはいかがでしょうか?園全体で宇宙をテーマにする場合には、乳児がフィンガーペイントを担当し、他のクラスや先生方でロケットやUFOの制作を担当しても面白いですね!

【1歳児】ジャングルをテーマに拾った素材で木を作る

落ち葉や木の枝を使った大きな木の制作です。子どもと一緒に拾ったものを材料にすることで、本物の自然に触れながら作品を制作することができます。大きな木の幹となる部分を先生が予め画用紙で作っておき、子ども達には葉や枝の実物をテープで貼り付ける作業をやってもらうようにしましょう。共同制作で大きな木を作るだけでなく、動物や周囲の小さな植物も制作すれば、より本物に近いジャングルを再現することができますよ。

【2歳児】お寿司屋さんをテーマに本物そっくりなお寿司を作る

いろんな種類のお寿司を本物そっくりに作る制作です。丸めたティッシュペーパーやラップなどでシャリを作り、画用紙や折り紙で作ったネタを上に乗せて作りましょう。2歳児くらいになるとお寿司屋さんに行ったことのある子どもも増えてくるはずです。作った作品を使って、本物のお寿司屋さんのようなごっこ遊びを行ってみるのもよいでしょう。また、制作を通してさまざまな魚の名前を覚えてもよいですね。

【幼児編】作品展のテーマとアイデア

【3歳児】水族館をテーマに海の生き物を作る

海中や海の生物を再現した制作です。丸めた新聞紙をカラーポリ袋で包んで口を縛り、顔やヒレなどのパーツを取り付ければ簡単にお魚を作ることができます。会場設営のアイデアとしては、床全体にブルーシートを敷き、大きな岩や海藻を作って配置するのがおすすめですよ。すずらんテープやリボンなどをパーツとして取り付ければ、イカやタコなど少し変わった形の生物も作ることができます。図鑑などを参考にしながら、いろんな種類を作ってみましょう!

【4歳児】絵本をテーマにお菓子の家を作る

ヘンゼルとグレーテルのような童話の中に登場するお菓子の家を再現する制作です。画用紙や紙粘土を使ってドーナツやケーキなどのスイーツを作り、段ボールでできた家の形をした土台に貼りつけていきましょう。お菓子は、保護者の方にも協力してもらい、空箱を回収して家のパーツとして活用すると効率が良くおすすめです。お菓子やスイーツは子どもたちそれぞれの好きなものを作ってもいいですが、家のバランスを意識し、分担して制作を進めるのもいいですね。

【5歳児】動物園をテーマに遊べる大型の動物を作る

ゾウやキリンなどの大きな動物を実際に遊べるように作る制作です。段ボールや牛乳パックなどの材料を使い、土台を頑丈に作って子どもたちが乗っても安全なようにしましょう。段ボールや牛乳パックはそれだけでも頑丈な素材ですが、何枚も重ねて使用することでさらに強度を高めることができます。動物をテーマに、先生方で滑り台のような大きな遊具や、もぐらたたきのようなミニゲームを作りましょう。また、子どもたちは周囲に配置する動物をたくさん作ると賑やかになりそうですね。

【年長クラス】将来の夢をテーマに自由に制作

子どもたちの将来の夢を思うがままに形にする制作です。卒園の近い年長クラスで題材として選ぶのがおすすめですよ。画用紙や紙粘土、絵の具や廃材など、材料はさまざまな種類のものを用意しておくと子どもたちが自分のイメージに近い表現をすることができるでしょう。将来の夢の内容は子どもによってさまざまなので、子ども同士で否定したり馬鹿にしたりすることのないように子どもの様子をよく観察しましょう。会場内を街のようにし、夢の街などをテーマにしても面白そうですね。

【作品展】共同制作のアイデア 具体例

顔出しパネル

先生や子どもたちで協力して同じ作品の制作に取り組む共同制作では、穴に顔をはめて遊ぶことができる顔出しパネルを作るのがおすすめです。段ボールなどの硬い素材を土台にしてもいいですが、顔を出す際に怪我をする危険性もあるので、程よく柔らかいスチレンパネルを使うといいですよ。スチレンパネルは、ホームセンターや100円ショップなどで入手が可能です。ハサミやカッターで穴をあける作業は子どもにはかなりやりにくいので、子どもには穴の周囲のデザインを任せるといいでしょう。会場を遊園地のような雰囲気にして展示するのもいいですね。

保護者と子供が一緒に遊べる巨大な作品

▲巨大モグラ叩き

▲巨大ダンボールカー

▲巨大ダンボールハウス

共同制作を行う場合には、個人制作では少し作るのが難しそうな巨大な作品に積極的に挑戦するのがいいでしょう。子どもが上に乗れるような頑丈な作品や大人が中に入れるような大きなサイズの作品には、段ボールが素材として適しています。段ボールを刃物で切断する作業は大人や年長組で担当し、年齢の低い子どもは柔らかい紙での装飾のパーツ作りや貼る作業などを担当しましょう。完成後に思いっきり遊ぶことを楽しみにしながら制作活動が行えるといいですね!

保育園で作品展を行うときに保育士が意識すべきポイント

制作に必要な廃材を早い段階で保護者に告知する

作品展に展示するための子どもの作品や会場の装飾を作るには、多くの材料が必要です。画材であれば購入することができますが、お菓子などの空箱やトイレットペーパーの芯、ペットボトルや牛乳パックなどの廃材は収集が困難ですよね。作品展のテーマが決まってから材料収集を始めるのではなく、テーマが決まる前であっても早い段階から保護者の方に材料収集の協力を要請しましょう。子どもたちの選択肢を増やせるように材料を充実させられるといいですね。

子供主体で子供の個性が活きる展示を目指す

まだ細かい作業に慣れていないことが多い子どもの様子を見ていると、先生はつい手助けをしてしまいたくなるはずです。しかしながら、先生が子どもの代わりにほとんどの作業を行ってしまっては、先生主体の作品が完成してしまいますよね。多少形が歪であっても、保護者の方は子どもが主体の作品を見たいはずです。先生方は、あくまで子どもの作りたいものの実現に向けたサポートを行うのだということをしっかり頭に入れて作業をしましょう。

子供がモチベーションを保てるように前向きな声かけを行う

保育園の中には、諦めたり飽きたりしやすい性格の子どもや、イヤイヤ期に入っている子どもなどがいます。個人制作では自分で完成を決められるような場合も多いですが、共同制作の場合は、制作期間が長くかかってしまうことも少なくありません。子どもの作業を間近で見守る先生方は、子どもが飽きて作業を投げ出さないよう、作品の完成や作品展に向けた前向きな声がけができるようにしましょう。

まとめ

子供の成果が伝わる魅力的な作品展を開こう

いかがでしたか?作品展は、開催に向けて多くの準備が必要になりますが、保護者と子ども、どちらにとっても重要な行事です。保育園で常に子どもの様子を観察できるわけではない保護者の方にとっては、子どもの作品やそれを通した子どもとの交流がかけがえのない機会です。どちらにとっても忘れられない思い出に残る作品展を毎年開催できるといいですよね。準備作業の量や大変なことも増えるかもしれませんが、みんなで協力して、子どもたちの作品の良さや努力の成果がよく伝わるような作品展にしましょう!

保育士くらぶ

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