企業内保育所とは?【求人・大手・給料・助成金・メリット・デメリット】

保育園で働いている保育士さんのなかで、子どもとの関わり方や保育スタイルに不満を感じている方はいませんか?保育士さんが働く施設のひとつに、企業内保育所というものがあります。ゆとりのある保育や、子ども一人ひとりともっと関りたいという保育士さんにぴったりの職場。この記事では、そんな企業内保育所の種類や特徴、メリット・デメリット、将来性などを紹介していきます。今後の働き方を考えるうえで、ぜひ参考にしてみてください。

企業内保育所とは?

企業が設ける託児施設のこと

企業内保育所とは、会社で働く従業員が勤務中に子どもを預けられるように、企業が社内や近隣に設ける託児施設のこと。近年、少子化や企業の人材不足、また保育園不足の問題が見られるようになりました。その解決策として、子育てをしながらでも働ける、新たな園の形態である企業内保育所が増えてきているのです。多忙な保育園と比べると、ゆとりのある働き方が出来る施設が多いため、保育士さんが働く職場の新たな選択肢としても注目されていますよ。

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一般的な保育園と企業内保育所の6つの違いとは?

子どもの人数と混合保育かどうかの違い

一般的な保育園と企業内保育所の違いとして、まず挙げられるのが、子どもの人数と混合保育かどうかという点です。それぞれの特徴やメリットを詳しく見ていきましょう。

一般的な保育園企業内保育所
子どもの人数大人数(60〜100名超)
[メリット]
・運動会や発表会などの行事がにぎやかになる
・広いスペースのなかでアクティブに活動できる
少人数(10〜30名程度)
[メリット]
・子ども一人ひとりに目が行き届きやすい
・体調や気持ちの変化にもすぐ気づいてあげられる
保育方法年齢ごとに分けられたクラス制
[メリット]
・同じ発達段階のお友だちと一緒に製作や運動遊びを楽しめる
・「できたね」「一緒だね」と共感し合いながら安心して過ごせる
異なる年齢の子どもたちが一緒に過ごす混合保育
[メリット]
・年上の子が年下の子に靴の履き方を教えてあげるなど、社会性が自然と育まれる
・年下の子が年上の子の真似をして新しい遊びを覚えるなど、成長の機会が増える

大きな行事の有無の違い

次に挙げられるのが、大きな行事の有無の違いです。前提として、企業内保育所はオフィス内や会社の敷地内に施設を設けています。そのため一般の保育園と比べて敷地が狭く、園庭などの広い場所が無い場合が多いので大きなイベントを行わないことがほとんどです。

一般的な保育園企業内保育所
行事多い傾向にある
[特徴]
・運動会や発表会、遠足などが年間行事としてしっかり組まれている
・衣装づくりや壁面装飾づくり、練習の振り返りや書類作成など、準備期間が長い
少ない傾向にある
[特徴]
・季節の製作やお誕生日会、ミニ夏祭りなど、日々の生活に寄り添った温かい行事が中心
・準備や練習の負担が少なく、保育士自身の心にゆとりが生まれる

行事の内容や規模が違うと、日々の業務の負担に大きく関わることが分かりますね。

残業数の違い

先述の通り、子どもの人数・行事の内容や規模が違うと、残業数にも違いが出てきます。

一般的な保育園企業内保育所
残業発生する可能性がある
・平均残業数は1か月あたり約3時間
・大きな行事前は月に10時間以上残る場合がある
[理由]
子どもの人数が多く、大規模なイベントが多いため、残業や持ち帰り作業が発生しやすい
ほぼ残業はゼロ
・定時で帰れる日が多い
・持ち帰り作業が発生することはほとんどない
[理由]
子どもの人数が少なく、行事も小規模なため、業務の負担が分散されやすい

企業内保育所では、子ども一人ひとりと丁寧に関わりながらも、無理のない働き方が実現できると言えるでしょう。長く保育を続けるうえで大きな安心につながりますね。

給与やボーナス水準の違い

続いて、平均年収や平均月収、ボーナス額にも少しずつ違いが見られます。

一般的な保育園企業内保育所(中小企業)企業内保育所(大企業)
平均年収約406万円300~320万円392万円~620万円
平均月収約27.7万円20万円~26万円24万円~38万円
ボーナス額約74万円約69万円69万円~200万円

一般的な保育園では、自治体の補助や園の規模によって月々の給与が決定します。これに比べて企業内保育所では、運営元が企業主体の場合、保育士も企業の社員として扱われため、福利厚生なども他の社員と同様に受けることが可能に。経営成績の良い企業であればあるほど、給与条件が良くなったり、福利厚生が手厚くなったりする点がポイントですね。

開園時間の違い

開園時間にもそれぞれ特徴があります。

一般的な保育園企業内保育所
開園時間朝7時半から夕方6時半ごろまで開園している園が多い
・延長保育を利用すれば19時前後まで預かる場合もある
・運営している企業の勤務時間に合わせて開園時間が設定されることが多い
[例]
IT企業では9時〜18時、工場や医療系の企業では早朝や夜勤に対応して6時台から開園するケースもある

企業内保育所では、どの業界の企業へ就職するかによって勤務時間にかなり差があります。そのため、自分が目指すライフスタイルに合わせて慎重に選ぶことが大切ですね。

保育士の勤務時間については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

保護者対応の違い

最後に、保護者対応の在り方にも違いがあります。

一般的な保育園企業内保育所
保護者対応・多くの家庭と関わるため、さまざまな家庭環境への配慮が必要
・限られた時間の中で子どもの様子を丁寧に伝えていくことが大切
・保護者が同じ職場で働いている場合が多い
・顔を合わせる機会が多いため、比較的コミュニケーションがスムーズ

一般的な保育園に比べて企業内保育所では、保護者とのやり取りが多いため、自然と信頼関係を築きやすい傾向があります。一人ひとりの家庭とじっくり向き合うことができるのは、子どもの人数が少ない企業内保育所ならではのやりがいと言えるでしょう。

保育士が企業内保育所で働く3つのメリットとは?

緊急時に保護者と連絡を取りやすい

保育士が企業内保育所で働くメリットの1つ目は、緊急時に保護者とすぐに連絡を取りやすい点です。例えば、保育中に子どもが急に発熱した場合でも、同じ企業内で働く保護者へ内線や社用チャットを使って速やかに状況を伝えることができます。すぐに顔を合わせて相談できることで、保護者の不安を和らげることができるでしょう。もしもの事態が起こっても、すぐに連絡が取れるということは、子どもにとっても大人にとっても安心材料の1つになりますね。

アットホームで余裕を持った保育ができる

2つ目は、アットホームな雰囲気の中で、ゆとりを持った保育ができる点が挙げられます。先述した通り、企業内保育所は一般的な保育園と比べて敷地が狭く、大きなイベントなどで慌てることがほとんどありません。また子どもの人数が少ないため、一人ひとりの表情や気持ちに丁寧に寄り添える場面が多くあります。例えば、朝の支度がゆっくりな子どもには「大丈夫だよ」と声をかけながら一緒に準備をしたり、遊びの途中で生まれた小さな発見をじっくり共有したりすることができます。穏やかな関わりは、子どもとの信頼関係を深めることにつながるでしょう。

個人の能力を発揮できる

3つ目は、保育士それぞれの個性や得意分野を生かしながら働けることです。企業内保育所では、決められた1年の行事や流れというものが存在しないため、一人ひとりの発想や力を保育に反映しやすい環境と言えます。例えば、絵本の読み聞かせが得意な保育士が毎日の読み聞かせの時間を工夫したり、製作が好きな保育士が季節の飾りづくりを取り入れたりできるでしょう。こうした関わりが保育士自身のやりがいや成長につながり、結果として子どもたちの笑顔をさらに引き出すことができそうですね。

保育士が企業内保育所で働く3つのデメリットとは?

物足りなさを感じる場合がある

保育士が企業内保育所で働くデメリットの1つとして、人によっては物足りなさを感じてしまう場合があることが挙げられます。企業内保育所では行事の規模が小さく、運動会や発表会が簡単な形で行われることが多いです。そのため、大きな行事を一から作り上げて成功させることや達成感を求めている方には少し寂しく感じられるかもしれません。保育士をするうえで自分の目的や目標などを明確にして、自分に合った職場を選びましょう。

キャリアアップは難しくなる可能性がある

2つ目に、キャリアアップがやや難しくなる可能性がある点も知っておきたいところです。企業内保育所では、園の規模が小さいため主任や園長といった役職が限られており、経験年数を重ねても役割が大きく変わらない場合があります。働いていくなかで、次のステップをどう描こうかと悩むことがあるかもしれません。日々の保育のなかで専門性を深めたり、研修で学んだことを丁寧に実践したりと、自分なりの成長の形を見つけることが大切と言えるでしょう。

給料が景気に左右される

3つ目として、給料が企業の景気に左右されやすい点が挙げられます。企業内保育所は、企業の経営状況や景気動向に大きく影響を受けるため、給料水準もそれに連動します。景気が悪化すると企業の経営が苦しくなり、給料や福利厚生に影響が及ぶことも。安定した収入を得ることが難しくなる可能性があるということは、働くうえで不安ですよね。入職前に園の基盤がどうなっているか、しっかりと確認しておく必要がありますね。

企業内保育所の将来性や働きやすさは?

企業内保育所の数は急増している

企業内保育所の将来性は充分にあると言えます。2018年ごろ企業主導型保育事業は、待機児童対策や働く保護者の支援制度として浸透し始めました。その後、地域のニーズに応える場として期待が高まる傾向に。最新のデータでは、2018年から2023年までの5年間で、企業内保育園の数はおよそ2倍近くに増え、利用定員も大きく広がってきたのが分かります。今後も期待される事業であるため、就職先のひとつの選択肢として検討してみると良いですね。

企業内保育所の数企業内保育所の利用者数
2018年約2,387か所約51,273人
2023年約4,423か所約104,888人

補助制度を利用することができる

企業内保育所が注目され、施設数や利用者数が増えている背景には、子ども・子育て支援新制度が大きく関わっています。子ども・子育て支援新制度とは、子どもを安心して育てられる社会を目指して、2015年にスタートした国の制度です。共働き家庭のお子さんが保育園に入りやすくなったり、3~5歳児の幼児教育・保育が無償化されたりと、保護者の負担軽減につながっています。ただし、保育所によって管轄や費用助成の有無が変わってくるため、よく調べたうえで選択すると安心ですよ。

自治体の認可助成制度
①事業所内保育所認可認可を受けることで自治体から費用助成を受けられる
②企業主導型保育所認可外設置基準を満たせば内閣府から費用助成を受けられる
③企業独自の保育所認可外なし

認可保育園・認可外保育園については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

転職する際に確認したい企業内保育所の種類3つ

事業所内保育所

事業所内保育所・企業主導型保育所・企業独自の保育所は、それぞれ運営方法や設備・環境に特徴があり、転職活動の際にはその違いを理解しておくことが大切です。まずは事業所内保育所の特徴を見ていきましょう。

事業所内保育所の特徴
・自治体の認可を受けて、自治体からの費用助成で運営されている
・厳しい認可基準を満たしており、安定した運営が可能
・長期的に安定した雇用が期待できる
・利用対象児が0~2歳までである
・主に従業員の子どもを預かるために設置されている
・定員の4分の1を地域枠として受け入れる義務がある
・定員20名以上の企業内保育所の場合、職員全員が保育士資格を有している必要がある
・職場の近くに設置されていることが多く、園庭や遊具は限られている場合がある

事業所内保育所への就職を考える場合、安定した雇用を望み、乳児期の子どもを担当したいという方に向いていると言えるでしょう。

企業主導型保育所

続いて、企業主導型保育所の特徴を見ていきましょう。

企業主導型保育所の特徴
・自治体の認可外で、内閣府の費用助成を受け運営されている
・認可保育園と同等の助成を受けられる
・利用対象年齢、開園時間、休日、地域枠を企業が自由に決められる
・従業員の子どもに加え、地域の子どもも受け入れることができる場合がある
・自由度の高い運営のため、自分に合った職場を探しやすい
・設備は国の基準に沿った安全面が整っていて、保育室や遊戯スペースは広めに設計されていることが多い

企業主導型保育所への就職を考える場合、自分の理想の保育スタイル・ライフスタイルを実現したい方に向いていると言えるでしょう。

企業独自の保育所

続いて、企業独自の保育所の特徴を見ていきましょう。

企業独自の保育所の特徴
・自治体の認可外で、費用助成はなく企業独自に運営している
・一般的に小規模となる場合がほとんどで、託児スペースと表現されることが多い
・企業が直接運営するケース、事業委託によって運営されるケースがある
・保育施設の運営が、企業の経営状況や景気動向に左右される可能性がある
・保育の利用対象は従業員の子どものみである
・少人数のため、アットホームな保育が期待できる
・企業が自由に運営方針を決められるため、自然体験や英語教育など特色あるプログラムを取り入れる園もある

企業独自の保育所への就職を考える場合、少人数の子どもたちとじっくり丁寧に関わりたい方に向いていると言えるでしょう。

託児所については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

まとめ

企業内保育所で自分に合った働き方を実現しよう

今回の企業内保育所に関する記事では、働き方や保育の在り方について、さまざまな視点からご紹介してきました。少人数でアットホームな環境のなか、子ども一人ひとりの気持ちに寄り添えることは、企業内保育所で働く大きなメリットですね。一方で、行事の規模やキャリアの広がり方など、人によっては悩む場面があることも事実です。どんな保育をしたいかということを自分なりに見つめることが大切ですね。そして企業内保育所の特徴を理解したうえで選ぶことで、子どもにも保育士にも、やさしく心地よい毎日につながっていくのではないでしょうか。

おしえて!保育求人ガイド

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