異年齢保育とは?【ねらい・遊び・環境構成・配慮】

異年齢保育では、年齢の違う子どもたちが一緒に生活することで、日々の遊びや関わりの中にたくさんの学びが生まれます。同じ活動でも見え方や感じ方が異なるため、子どもたちは互いに刺激を受けながら成長していきますよ。一方で、保育者にはそれぞれの発達段階に合わせた配慮が求められ、環境づくりや関わり方に工夫が必要です。今回の記事では、異年齢保育についてねらいやおすすめの遊び、ポイントなどを紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

異年齢保育とは?

異年齢の子どもたちが一緒に生活する

異年齢保育とは、年齢の異なる子どもたちが同じ保育の場で一緒に生活し、関わり合いながら過ごす保育のかたち。年上の子どもが年下の子どもに優しく接したり、お世話をしたりすることで思いやりの心や責任感が育まれます。一方、年下の子どもは年上の子どもの姿を見て自然と学び、安心感を得ることができます。このような関わりを通して、子どもたちは社会性やコミュニケーション力を身につけ、人とのつながりを大切にする心を育てていくのです。

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異年齢保育のねらいとは?

異年齢児との関わりから協調性を学ぶ

異年齢保育のねらいのひとつは、年齢の異なる子ども同士の関わりを通して、自然なかたちで協調性を育むことです。年上の子どもは、年下の子どもに優しく接したり、手助けをする中で思いやりやリーダーシップを学ぶことができます。一方で、年下の子どもは年上の子どもの行動を見て真似をしながら社会的なルールやマナーを身につけていきます。異年齢の子どもたちが一緒に遊び、助け合うことで、互いを尊重しながら協力する力が育まれていくでしょう。

子ども同士の関わりの幅を広げる

異年齢保育のねらいのひとつに、子ども同士の関わりの幅を広げることも挙げられます。年齢の違う子どもたちが共に過ごすことで、自分とは異なる発達段階や価値観に触れる機会が生まれます。例えば、年上の子どもはリーダーシップや思いやりを発揮し、年下の子どもは憧れや模倣を通して成長していきますよ。また、異年齢の関係の中で自然と助け合いや譲り合いが生まれ、人との関わりを柔軟に受け入れる力が育まれます。このような体験は、子どもたちの社会性の発達にもつながるでしょう。

柔軟な発想力と適応力の向上

異年齢保育のねらいのひとつに、子どもたちの柔軟な発想力や適応力を育てることが挙げられます。年齢の違う友達と関わる中で、それぞれの考え方や感じ方に触れる機会が増え、自分の行動を相手に合わせて工夫する力が養われていくでしょう。また年上の子を見て刺激を受けたり、年下の子に配慮した行動をとったりする中で、自然と発想の幅が広がり、さまざまな状況への対応力も身についていきます。このような日々の経験を通して、子どもたちは協調性と柔軟な思考を少しずつ身につけていくのです。

年上の子どもをまねして行動する力を養う

異年齢保育のねらいのひとつに、年上の子どもの行動をまねることで、年下の子どもが自然とさまざまな力を身につけることが挙げられます。例えば、年上の子どもが食事や片付け、遊びの中で見せる姿を年下の子どもが見て「自分もやってみたい!」と感じ、意欲的に行動するようになることです。この模倣の経験は、自立心や社会性、生活習慣を身につけるうえでとても大切。また、年上の子どもが良いモデルとなることで、保育者が教える以上の学びが生まれる点も魅力といえるでしょう。

年下の子どものお世話をして思いやりの心を育む

年下の子どもと関わる中で年上の子どもが思いやりの心を育めることも、異年齢保育のねらいのひとつです。年下の子どもに対して手を貸したり、困っているときに声をかけたりする経験を通じて、自分以外の人の気持ちに目を向ける力が養われますよ。また、お世話をすることで自分が頼られる存在としての自覚が芽生え、自己肯定感の向上にもつながるでしょう。こうした経験の積み重ねが、優しさや協調性を育てる土台となっていきます。

異年齢保育でのおすすめの遊び

自由遊び

異年齢保育における自由遊びは、子どもたちが自発的に関わり合いながら成長できる大切な時間です。例えば、おままごとやブロック遊び、ごっこ遊びなどは、年上の子がリーダーシップをとったり、年下の子の世話をしたりする姿がよく見られます。こうした関わりを通じて、自然と社会性や思いやりの心が育まれていくでしょう。また、ルールのない遊びだからこそ、年齢の違いを越えて協力し合う姿や、自分たちでルールを作る創造性も引き出されます。自由遊びは、子ども同士の主体的なやりとりを促し、異年齢の関係性を豊かに築くきっかけにもなりますよ。

製作遊び

異年齢保育における製作遊びは、年齢に応じた役割分担や助け合いが自然に生まれる活動としておすすめです。例えば、紙皿や画用紙、折り紙などを使った工作では、年上の子がハサミの使い方やのりの貼り方を年下の子に優しく教える姿が見られます。年下の子も、年上の子の手を借りながら作ることで達成感を味わうことができ、自己肯定感の向上にもつながります。また、共同で一つの作品を作る活動では、アイデアを出し合ったり作業を分担したりする中で、協調性や表現力が育まれるでしょう。製作を通じて異年齢の関わりが深まり、子どもたちの成長を多方面から支えることができる遊びです。

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読み聞かせやお話づくり

異年齢保育において、読み聞かせやお話づくりは年齢の異なる子どもたちが一緒に楽しめる有効な遊びです。年上の子どもが年下の子どもに絵本を読み聞かせてあげたり、物語を一緒に考えたりすることで、表現力や思いやりの心が育まれます。年下の子どもにとっては、安心感を得ながら言葉の発達や集中力を高める機会になりますよ。また、みんなで登場人物や展開を考えるお話づくりでは、創造力や協調性が自然と育ち、異年齢ならではの豊かな関わりが生まれてくるでしょう。

探検や散歩

異年齢保育では、探検や散歩といった外遊びが特におすすめです。年上の子どもが年下の子どもを気にかけたり手をつないで歩いたりする中で、思いやりや責任感が自然と育まれ、草花や虫、季節の変化を共有することで、興味や関心を広げるきっかけにもなります。年齢によって視点や反応が異なるため、同じ景色でも多様な気づきが生まれ、豊かなコミュニケーションが育まれる活動といえるでしょう。

異年齢保育のポイント

定期的な環境の見直し

異年齢保育では、子どもたちの成長や関係性の変化に応じて、保育環境を定期的に見直すことが重要です。年齢や発達段階によって興味や遊びのスタイルが異なるため、一人ひとりが安心して過ごせる空間づくりが求められます。遊具の配置や素材の選定、活動スペースの工夫などを通じて、異年齢の子どもたちが互いに関わり合いながら、それぞれの発達に応じた遊びが展開できる環境整備を心がけることがポイントですね。

子どもたちの挑戦をサポートする環境を提供

異年齢保育では、子どもたちが自分なりの挑戦に取り組めるような環境づくりが大切です。例えば、年下の子が年上の子の遊びに憧れて真似しようとしたときに、保育士が少し手を添えてあげることで「やってみたい」という気持ちが実現につながります。また、年上の子が年下の子に教える場面を意識的に設けることで、子ども自身も責任感や達成感を得ることができます。さらに活動の幅を広げるためには、難易度に幅のある教材や遊具を用意したり、自由に選べる時間や空間を設けたりすることも効果的です。こうしたサポートは、子どもたちの挑戦する意欲を引き出し、成功体験や自信へつながっていくでしょう。

子どもと保育者の意見を反映する

異年齢保育では、子どもと保育者の双方の意見を反映しながら活動を進めることが大切です。例えば「今日は何して遊ぶ?」という保育者の問いかけに対し、「お店屋さんごっこがしたい」「折り紙も使いたい」といった子どもたちの声を聞き、保育者が「じゃあ、みんなでお店を作るには何が必要かな?」と提案を広げていくようなやり取りが挙げられます。このように、子ども自身が意見を出せる環境を整えることで主体性が育まれるとともに、自分の考えが受け入れられる経験にもつながります。また、保育者が提案する活動に子どもが関心を示した場合には、その反応を受け止めて内容を柔軟に調整することも重要です。こうした双方向のやり取りが、異年齢の子どもたちが安心して活動に取り組む土台を築いていきますよ。

異年齢保育の注意点

ルールを決める

異年齢保育では、年齢や発達に差がある子どもたちが一緒に活動するため、ルールを事前にしっかり決めておくことが重要です。例えば、年上の子はやっても良い遊びでも年下の子には危険な場合があります。そのため、子どもたち全員が理解しやすく守れるルールを、保育者と一緒に確認することが必要不可欠です。また、ルールを子どもたち自身と話し合って決めることで、主体性や協調性が育まれ、自ら守ろうとする意識も高まりますよ。さらに、年齢に応じた配慮も行いましょう。

1人ひとりに見合ったおもちゃの設定

異年齢保育では、年齢や発達段階に応じたおもちゃを設定することが重要なポイントです。年上の子どもが好む複雑なおもちゃや小さなパーツを含む玩具も、年下の子どもにとっては危険を伴うことがあります。そのため、安全性を確保しつつ、全ての子どもが楽しめるように工夫する必要があります。例えば、同じ空間でも年齢に応じた遊びのコーナーを設けたり、多用途なおもちゃを用意することで、個々の発達に見合った遊びを提供することができるでしょう。

安心できるスペースの確保

異年齢保育では子どもたちが安心して過ごせるように、年齢や発達段階に応じたスペースを確保することも必要です。年下の子どもたちは刺激に敏感で、年上の子どもたちの活発な動きに不安を感じることもあります。そのため、静かに過ごせるコーナーや休憩できる場所を設けることが大切ですよ。また、年上の子どもたちにも集中して遊べる環境が必要です。子どもたち全員が安心できる空間づくりは、異年齢での関わりをより豊かなものにする土台となります。

年齢差によるトラブルや危険な場所を把握しておく

異年齢保育では、年齢や発達の違いから生じるトラブルや事故に十分注意する必要があります。年上の子どもが無意識に力加減を誤ったり、年下の子どもが年上の遊びに巻き込まれてケガをする可能性もあります。また、活動内容や使う道具によっては危険が伴う場面もありますよ。こうした危険を回避するためにも、保育者は事前に子ども同士の関わりをよく観察し、危険が予測される場所や場面を把握しておくことが大切です。子どもたちが安全に過ごせる環境づくりが、信頼につながるでしょう。

まとめ

異年齢保育から養われる力を育もう!

いかがでしたか?今回の記事では、異年齢保育についてねらいやおすすめの遊び、ポイントなどを紹介しました。異年齢保育は、子どもたちの個性や成長のリズムを大切にしながら、お互いに学び合える関係を育む保育のかたちです。年齢の違いを超えて関わり合う中で、子どもたち一人ひとりが自分らしく過ごせる時間をつくることが、保育者の大きな役割といえます。また、子どもたちが無理なく自然なかたちで支え合える環境を整えることで、子どもたちの豊かな育ちに大きくつながっていくでしょう。

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保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/