登園しぶりへの対応方法とは?【朝だけ・休ませる・具体的な行動・いつまで】

保育園に通う子どもたちの中には、朝になると「行きたくない!」と涙を見せたり、玄関で立ち止まったりする登園しぶりの姿が見られます。登園しぶりは一時的なものもあれば、なかなか改善しないケースもあり、保育士や保護者にとっては悩みの種になることがありますよね。この記事では、登園しぶりの原因や、保護者と保育士それぞれの対応、やってはいけない対応を紹介しています。登園しぶりに直面し、どう接すればよいのか悩んでいる方にぜひ読んでいただきたい記事です。ご参考にしてみてくださいね。

登園しぶりの原因は?

保護者と離れたくない

子どもたちが登園しぶりをする原因には、どのようなものがあるでしょうか。子どもの登園しぶりの原因は、保護者と離れたくない心理が原因の場合があります。子どもにとって保護者は何よりも安心できる存在です。特に新年度や長期休暇明けなど、家庭で過ごす時間が長かった後は、登園をしぶる傾向が強まります。たとえ保育園で楽しい遊びや友達との時間が待っていると理解していても、心がまだ追いつかないことがあるのです。しかし、必ずお迎えに来ることがわかるようになると、少しずつ不安が和らぎ、登園しぶりも自然と落ち着いてくることが多いですよ。

園での人間関係に問題がある

保育園での人間関係に問題がある場合、登園しぶりをすることがあります。具体的には、友達とのトラブルや特定の子どもとの相性の悪さ、先生との関係に不安を感じていることなどが、保育園での居心地の悪さに繋がります。もし友達同士のトラブルが起きた場合は、トラブルを解決することで登園しぶりが解消される可能性がありますよ。保育士は子どもの話に耳を傾け、トラブルの解決に向けて仲裁してあげるとよいでしょう。

園での行事に不満がある

登園しぶりの原因のひとつに、園の行事への不満があることが挙げられます。運動会や発表会など、大勢の人前での発表や競争に強いストレスを感じる子どももいます。また、練習が厳しかったり内容が合わなかったりすると、登園を拒むようになることがありますよ。園の行事への不満が登園しぶりに繋がっている場合は、園と保護者で連携し、繊細な子どもがストレスを溜めずに参加できる方法を考えていきましょう。

家庭環境に変化があった

兄弟が増えた、両親がけんかをした、引っ越しをしたなど、家庭環境に変化があった場合も登園しぶりに繋がることがありますよ。家庭の中での出来事は、子どもにとって大きな不安やストレスの原因になります。環境の変化によって気持ちが不安定になり、保護者と離れたくない思いから登園を嫌がることがあるのです。この場合は、家庭でのストレスを解消するために、保育園と家庭の両方から子どものサポートをしていきましょう。

入園したばかりで緊張している

入園したばかりで緊張している場合、登園しぶりをすることがあります。この場合は、入園から時間が経ち、子どもにとって保育園が安心できる場所になることで、登園しぶりが解消されます。家庭でできる具体的な対策としては、園で楽しかったことを一緒に思い出したり、送り迎えの時間にお気に入りのアイテムを持たせたりするのが効果的ですよ。保育園でできる対策は、子どもを積極的に遊びに参加させ、保育園が楽しい場所だと思えるようにサポートすることです。

イヤイヤ期

イヤイヤ期の子どもは登園しぶりをすることがあります。イヤイヤ期とは、2歳ごろから始まる第一次反抗期で、この時期の子どもは、物事を自分でやり遂げようとする気持ちから、保護者や保育士に反抗的な態度を取ります。この反抗的な態度の表れとして登園しぶりをすることがありますよ。イヤイヤ期の子どもには、無理に説得したり叱ったりしないようにしましょう。短い言葉で前向きな声掛けをして、選択肢を与えて自分で決められるようにすると、子どもの自立心が満たされますよ。そして、子どもの自立心が満たされた結果、登園しぶりが解消されることもあります。

登園しぶりの裏に体調不良が隠れている

登園しぶりの裏には体調不良が隠れていることがあります。まだ幼い子どもは、自分の体調不良をうまく言葉にできないため、行動で体調不良を表現していることがあるのです。体調不良を確認するときは、「体調悪いの?」といった抽象的な声掛けではなく、「頭痛いの?」「おなか痛い?」のように、具体的にどのような不調があるのか、はいかいいえで答えられるように質問をしましょう。発熱や咳、腹痛などのはっきりとした症状がなくても、疲れや睡眠不足、慢性的な便秘やアレルギー反応など、本人も気づかないような不調が原因で登園を嫌がることがあります。

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登園しぶりの対処法【保護者】

①やさしく原因を聞いてみる

子どもが登園しぶりをするときは、やさしく原因を聞きだしましょう。子どもが保育園に対して不安を感じ登園を嫌がっていると、保護者も同じく不安になってしまうものです。保育園に無理矢理行かせようとするのではなく、まずは子どもの気持ちに寄り添いましょう。登園しぶりの背景には、意外な問題が隠れていることもありますよ。必要に応じて保育士にも相談し、家庭と園が協力して解決に向かうことが大切です。些細なことでも子どもの心に寄り添うことが、登園しぶりの改善につながります。

②行きたくない理由は無理に聞き出さない

子どもが登園しぶりをするとき、理由を無理に聞き出そうとするのは避けましょう。保護者にとって、子どもが登園したがらないのは不安ですよね。しかし、無理に理由を聞き出そうとすると子どもはプレッシャーを感じてしまい、かえって心を閉ざすことがありますよ。まず大切なのは、子どもの気持ちに寄り添い、安心して話せる雰囲気をつくることです。自然と打ち明けてくれることもありますよ。保育園と家庭とで連携し、焦らず対応しましょう。

③2~3日なら休ませるのも方法の1つ

保育園の人間関係などで子どもが悩み、毎日登園を拒否する場合には、2、3日間程度休ませるのも方法の1つです。このとき、子どもが思い悩んでいるのか、ただ単純にわがままなのかを見極める必要がありますよ。もしもわがままで休みたがっている場合に毎回休ませていると、保護者は自分の言うことを何でも聞くものだと思い込んでしまう可能性があります。どうしても休みが必要だと感じたときのみ休ませましょう。保育園を休んでリフレッシュすることで、また行ってみようと思えるようになるかもしれません。お休みしている間は子どもと向き合い、たくさんコミュニケーションをとっていきましょう。

登園しぶりの対処法【保育士】

①子どもが泣いたらまずは共感する

子どもが登園しぶりをしているときの保育士の対応として最も大切なことは、共感することです。登園してきた子どもが、保育園に行きたくないと言って泣いていたら「行きたくないよね」「ママと離れたくないね」と、子どもが思っているであろう気持ちを口に出してみましょう。子どもは「この先生は自分の気持ちを分かってくれているんだ」と安心感を抱きます。共感の姿勢を示し、子どもとの信頼関係を深めていきましょう。

②好きな遊びに誘う

泣きながら登園してきた子どもには、子どもが好きな遊びに誘って気分を切り替えてあげましょう。「このあと○○ちゃんが好きな鬼ごっこをしようか!」など、子どもがイメージしやすいように具体的な遊びの名前を出すことで、「おうちに帰りたい」という沈んだ気持ちを少しずつほぐしていきます。子どもが安心して気持ちを切り替えられるように、穏やかな雰囲気で接しましょう。また、登園できたことをさりげなく認め、「来てくれてうれしいよ」と明るく声をかけると、子どもの気持ちが軽くなるかもしれませんね。

③保護者と子どもをすぐに引き離す

保護者と子どもはすぐに引き離すようにしましょう。保護者がいつまでも見えていると、子どもは「まだ引き返せるかも」と期待して、登園しぶりの時間が長くなってしまいますよ。保護者の方には保育園に子どもを連れてきたらすぐに帰ってもらうよう、事前にお願いをしておきましょう。また、保護者が迷いや不安な表情を見せると、それが子どもにも伝わり、ますます不安が強くなることがあります。送り出すときは、笑顔で「いってらっしゃい!」と声をかけてもらうように伝えるとよいでしょう。

やってはいけない登園しぶりの対応

保育園に行きたくない気持ちを強く否定する

登園しぶりをする子どもに対して「そんなこと言わないの!」「行くのが当たり前でしょ」と、子どもの気持ちを強く否定するのは逆効果です。子どもは自分の不安やつらさを受け止めてもらえないと感じると、ますます保護者や保育士に反発してしまいます。「保育園に行きたくない!」という気持ちには、何かしらの理由や不安が隠れていることが多いです。まずはその気持ちに寄り添い、受け止めることが大切ですよ。子どもが保護者や保育士を信頼することで、登園しぶりが解消される可能性があります。

嘘をついて保育園に連れていく

スムーズに保育園まで送り届けようと、嘘をついて保育園に連れて行くのはNGです。例えば「今日は遊園地に行くよ」「お出かけしよう」などと嘘をついて保育園に連れて行くのは避けましょう。保護者に騙されたショックはずっと残ってしまいますし、それ以降のお出かけの時にも支障をきたします。保育園に行くときは正直に、「保育園頑張ろうね!〇時になったらお迎えに来るよ!」と簡潔に伝え、子どもを園に預けたら保護者はすぐにその場を離れましょう。

脅して不安をあおる

「保育園に行かないとお化けが来るよ」など、不安をあおる言葉で子どもを脅すのは避けましょう。このような脅しは、一時的に子どもに言うことを聞かせる効果があるかもしれません。しかし、長期的には信頼関係を損ねたり、不安や恐怖心を植え付けたりする原因になってしまいますよ。子どもの行動を変えるには、なぜそれが必要なのかを丁寧に説明し、安心できる言葉で寄り添うことが大切です。子どもを脅すよりも、保育園で楽しみにしている遊びやイベントの話をして、子どもがポジティブな気持ちで保育園に行けるようにサポートをしてあげましょう。

毎回休ませてしまう

子どもが保育園に行きたがらないとき、毎回休ませてしまうのは避けましょう。一度休ませることで安心する場合もありますが、繰り返すと「泣けば行かなくて済む」と学習し、登園しぶりが長期化する恐れがあります。また、園生活への不安が解消されず、集団生活に慣れる機会を逃してしまうことにもつながります。大切なのは、子どもの気持ちに寄り添いながらも、安心して登園できるようにサポートすることです。保護者は保育士と連携し、少しずつ園に慣れていける工夫をすることが解決への第一歩ですよ。

まとめ

共感と気持ちの切り替えが重要

登園しぶりをする子どもへの対処法は、家庭、保育園ともに共感と気持ちの切り替えが重要になります。「登園したくない」という子どもの気持ちに対し共感の姿勢を見せながらも、登園後は子どもが気持ちを切り替えて楽しく過ごせるようにサポートをしましょう。場合によっては一時的なお休みも必要かもしれません。必要に応じて保育士と相談しながら進めましょう。子どもが自分のペースで園生活に慣れていけるように、温かく、前向きにサポートしていくことが、登園しぶりの解消と子どもの健やかな成長につながっていきますよ。

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